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このモジュールでは、Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでのマルチ スパニングツリー プロトコル(MST)プロトコルの概念および設定情報について説明します。マルチ スパニングツリー プロトコル(MSTP)は、ブリッジ設定のループを防ぐために使用されるスパニングツリー プロトコルです。他のタイプの STP とは異なり、MSTP は VLAN ごとにポートを選択的にブロックできます。
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• 「マルチ スパニングツリー プロトコルを実装するための前提条件」
このコマンド リファレンスには、各コマンドに必要なタスク ID が含まれます。 このコマンド リファレンスには、各コマンドに必要なタスク ID が含まれます。
イーサネット サービス アクセス リストを実装するには、次の概念を理解している必要があります。
イーサネットは、ネットワークの手段とホストの相互接続に使用される、単なるリンク層テクノロジーではありません。単純な プラグ アンド プレイ プロビジョニングの考え方と統合されている低コストで幅広い帯域幅機能によって、特にサービス プロバイダー ネットワークのアクセスおよび集約の領域で、イーサネットはネットワークを構築するための正規の技法に変換されています。
レイヤ 2(L2)ヘッダーの TTL フィールドがなく、マルチキャスト トラフィック ネットワーク全体が推奨されるか必要とされるイーサネット ネットワークは、ループが発生する場合にブロードキャスト ストームの影響を受けやすくなります。ただし、ループは、冗長パスを提供するため、望ましい特性です。スパニングツリー プロトコル(STP)は、イーサネット ネットワーク内のループ フリー トポロジを提供するために使用され、リンク障害に対処するようにネットワーク内の冗長性を確保できます。
STP には、多くのバリアントがあります。ただし、同じ基本原則で動作します。ループを含む可能性があるネットワーク内では、ループ フリーのスパニングツリーを確保できるように(つまり、ネットワーク内の任意の 2 台のデバイス間に 1 つだけパスが存在するように)、十分な数のインターフェイスが STP によってディセーブルになります。アクティブ リンクの 1 つに影響を与えるネットワークに障害がある場合、プロトコルは、すべてのデバイスが引き続き到達可能になるように、スパニングツリーを再計算します。STP は、単一の LAN セグメントに接続されているか、複数のセグメントが含まれてループがないことを確認するために STP を使用するスイッチド LAN に接続されているかを検出できないエンド ステーションに対してトランスペアレントです。
STP のすべてのバリアントは同じ方法で動作します。STP フレーム(ブリッジ プロトコル データ ユニット(BPDU)とも呼ばれます)は、STP に参加しているネットワーク デバイス間でレイヤ 2 LAN セグメントを介して定期的に交換されます。このようなネットワーク デバイスはこれらのフレームを転送しませんが、ループ フリー スパニングツリーを構築するために情報を使用します。
スパニングツリーは、最初にスパニングツリーの ルート ( ルート ブリッジ と呼ばれます)であるデバイスを選択してから、そのルート ブリッジからネットワーク内のその他すべてのデバイスへのループ フリー パスを判別することで構成されます。冗長パスは、適切なポートをブロック状態に設定することで無効にされます。ブロック状態では、STP フレームを引き続き交換できますが、データ トラフィックは転送されません。ネットワーク セグメントで障害が発生し、冗長パスが存在する場合、STP プロトコルがスパニングツリー トポロジを再計算し、適切なポートのブロックを解除することによって、冗長パスをアクティブにします。
STP ネットワーク内のルート ブリッジの選択は、各デバイスの設定されたプライオリティおよび組み込みブリッジ ID によって決まります。プライオリティが最低であるか、または等しく最低のプライオリティであるが最小ブリッジ ID を持つデバイスが、ルート ブリッジとして選択されます。
一連の冗長パス内でのアクティブ パスの選択は、主にポート パス コストによって決定されます。ポート パス コストは、そのポートとルート ブリッジ間の転送コストを表します。ポートがルート ブリッジから遠いほど、コストは高くなります。コストは、(デフォルトで)メディア速度に依存する量だけ、パスのリンクごとに増加します。指定された LAN セグメントからの 2 つのパスのコストが等しい場合、選択は、接続先装置のプライオリティとブリッジ ID で決まります。また、2 つの接続が同じデバイスに対するものである場合は、接続されたポートに設定されたポート プライオリティとポート ID によって決まります。
スイッチド LAN のネットワーク デバイスは、MAC 学習を実行します。つまり、受信したデータ トラフィックを使用して、その MAC アドレス宛のフレームの送信先となるインターフェイスとユニキャスト MAC アドレスを関連付けます。STP を使用すると、スパニングツリーの再計算(たとえば、ネットワーク障害後)によって、この学習した情報を無効にできます。したがってプロトコルには、古い情報を削除(フラッシュ)して、新しいトポロジに基づいた新しい情報を学習できるように、ネットワーク全体でのトポロジ変更を通知するメカニズムが含まれます。
トポロジ変更 通知は、STP がポートをブロッキング状態から転送状態に移行するたびに送信されます。これを受信すると、受信デバイスは、通知を受け取ったポート以外のブロックされないすべてのポートで MAC 学習エントリをフラッシュして、さらにこれらのポートから独自のトポロジ変更通知を送信します。このように、古い情報がネットワーク内のすべてのデバイスから削除されるようにします。
スパニングツリー プロトコルには、多くのバリアントがあります。
• レガシー STP(STP):元の STP プロトコルは、IEEE 802.1D-1998 で定義されていました。これはすべての VLAN で使用する単一のスパニングツリーを作成し、コンバージェンスのほとんどはタイマーベースです。
• Rapid STP(RSTP):これは、イベントベースであるためにより高速なコンバージェンスを提供するために IEEE 802.1D-2004 で定義された機能拡張です。ただし、引き続きすべての VLAN で単一のスパニングツリーを作成します。
• マルチ STP(MSTP):さらなる拡張機能が IEEE 802.1Q-2005 で定義されました。マルチ スパニングツリーは、同じ物理トポロジで作成できます。異なるスパニングツリーに異なる VLAN を割り当てることによって、データ トラフィックは異なる物理リンクでロードバランスできます。作成できる異なるスパニングツリーの数は、可能な VLAN の数よりもさらに小さい値に制限されます。ただし、複数の VLAN を同じスパニングツリーに割り当てることができます。MSTP 情報の交換に使用される BPDU は常にタグなしで送信されます。VLAN およびスパニングツリー インスタンス データは BPDU 内で符号化されます。
• Per-VLAN STP(PVST):これは、マルチ スパニングツリーを作成するための代替メカニズムです。MSTP の標準化の前にシスコが開発しました。PVST を使用して、別個のスパニングツリーが VLAN ごとに作成されます。PVST+(レガシー STP に基づく)および PVRST(RSTP に基づく)の 2 つのバリアントがあります。パケット レベルのスパニングツリーの分離は、適切な VLAN タグでタグ付けされた標準の STP または RSTP BPDU を送信して行われます。
• REP(シスコ独自のリング冗長プロトコル):これは、リングで復元力を提供するためのシスコ独自のプロトコルです。これは、MSTP ピアとの相互運用を行うために使用する MSTP 互換モードが提供されるため、完全を期すために組み込まれています。
マルチ スパニングツリー プロトコル(MSTP)は、複数および独立したスパニングツリーを同じ物理ネットワークに作成できるようにする STP バリアントです。各スパニングツリーのパラメータは、ループフリー トポロジを形成するために、ルート ブリッジとして別のネットワーク デバイスを選択するか、別のパスを選択するように、別個に設定できます。その結果、特定の物理インターフェイスを一部のスパニングツリーではブロックして、その他のツリーではブロック解除できます。
マルチ スパニングツリーを設定すると、使用中の VLAN セットをツリー間で分割できます。たとえば、VLAN 1 ~ 100 をスパニングツリー 1 に割り当てて、VLAN 101 ~ 200 をスパニングツリー 2 に割り当てて、VLAN 201 ~ 300 を VLAN 3 に割り当てることができます。各スパニングツリーには、異なるアクティブ リンクとの別のアクティブ トポロジがあるため、VLAN に基づいて、利用可能な冗長リンク間でデータ トラフィックを分割できます(ロード バランシングの実行)。
マルチ スパニングツリーのサポートとともに、MSTP では、リージョンの概念が採用されています。リージョンは、同じ管理制御下にあるデバイス グループであり、類似した設定があります。特に、リージョン名の設定、リビジョン、スパニングツリー インスタンスへの VLAN のマッピングは、リージョン内のすべてのネットワーク デバイスで同じでなければなりません。同じリージョン内にあるかどうかを他のデバイスが確認できるように、この情報のダイジェストが、各デバイスによって送信される BPDU に含まれています。
図 34 に、MSTP を実行するブリッジがレガシー STP または RSTP を実行するブリッジに接続されている場合の MST リージョンの動作を示します。この例では、スイッチ SW1、SW2、SW3、SW4 では MSTP がサポートされるのに対して、スイッチ SW5 および SW6 ではサポートされません。
この状況に対処するために、Internal Spanning Tree(IST)が使用されます。これは、常にスパニングツリー インスタンス 0(ゼロ)です。MSTP 非認識デバイスと通信する場合、全体の MSTP リージョンは単一のスイッチとして表されます。図 35 に、この場合の論理 IST トポロジを示します。
図 35 非 MST ブリッジと対話する MST リージョンの論理トポロジ
同じメカニズムが、別のリージョンにある MSTP デバイスとの通信時に使用されます。たとえば、図 35 の SW5 は、すべてが SW1、SW2、SW3、SW4 とは別のリージョンにある多数の MSTP デバイスを表している可能性があります。
MSTP には、スイッチド イーサネット ネットワークのエッジでポートを処理するための PortFast 機能が組み込まれています。スイッチド ネットワーク(通常はホスト デバイス)へのリンクが 1 つだけあるデバイスでは、使用可能なパスが 1 しかないため、MSTP を実行する必要はありません。さらに、代替パスがないため、単一のリンクで障害が発生するか復元された場合に、トポロジの変更(およびその結果の MAC フラッシュ)が起動されることは望ましくありません。
デフォルトでは、MSTP は、BPDU を受け取らないポートを監視して、タイムアウト後に、MSTP に参加しないようにする エッジ モード にします。ただし、エッジ ポートを PortFast として明示的に設定することで、このプロセスを高速化(およびそれによってネットワーク全体のコンバージェンスを改善)できます。
(注) レガシー STP のシスコ実装では、PortFast はシスコ独自の拡張として実装されます。ただし、エッジ ポートと呼ばれる RSTP と MSTP 用の標準に含まれています。
共有管理制御のネットワークでは、ネットワーク管理者が、ネットワーク トポロジの側面および特にルート ブリッジの場所を強化することを推奨します。デフォルトでは、より低いプライオリティまたはブリッジ ID がある場合、すべてのデバイスがスパニングツリーのルート ブリッジになることができます。ただし、ネットワークの中心の特定の場所にルート ブリッジを配置することで、より最適な転送トポロジを実現できます。
(注) 管理者は、ルート ブリッジの場所を保護するために、ルート ブリッジのプライオリティを 0 に設定できます。ただし、これによって、プライオリティが 0 で、低いブリッジ ID を持つ別のブリッジは保証されません。
ルート ガード機能は、管理者はルート ブリッジを強制的に配置できるメカニズムを提供します。ルート ガードがインターフェイスで設定されている場合、そのインターフェイスがルート ポート(つまり、ルートに到達できるポート)になるのを防ぎます。通常はルート ポートになるインターフェイス上で BPDU を介して優位情報を受信すると、代わりにバックアップ ポートまたは代替ポートになります。この場合、ブロッキング状態になり、データ トラフィックは転送されません。
ルート ブリッジ自体にはルート ポートがありません。このため、管理者は、デバイスのすべてのインターフェイス上でルート ガードを設定することでデバイスを強制的にルートにします。競合する情報を受信するインターフェイスはブロックされます。
(注) ルート ガードはレガシー STP および RSTP のシスコ実装でシスコ独自の拡張として実装されます。ただし、制限付きロールと呼ばれる MSTP 用の標準に含まれています。
特定の状況では、特定のポートで発信されたか受信したトポロジ変更を、ネットワークのその他の部分に伝播することが望ましい場合があります。これは、たとえば、ネットワークが単一の管理制御下になく、ネットワーク コアの外部にあるデバイスによるコアでの MAC アドレスのフラッシュを防ぐことが望ましいような場合です。この動作は、ポートのトポロジ変更を設定することでイネーブルにできます。
(注) トポロジ変更ガードは、MSTP 標準の制限 TCN と呼ばれます。
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでは、MSTP は、IEEE 802.1Q-2005 で定義されているように物理イーサネット インターフェイスおよびイーサネット バンドル インターフェイスでサポートされます。これには、レガシー STP、RSTP、および PVST の Cisco 実装にある PortFast、BackboneFast、UplinkFast、およびルート ガード機能が含まれることに注意してください。これらの機能は、標準の MSTP プロトコルに含まれるためです。Cisco ASR 9000 シリーズ ルータは、標準 802.1Q モードまたはプロバイダー エッジ(802.1ad)モードのいずれかで動作できます。プロバイダー エッジ モードでは、BPDU には別の MAC アドレスが使用され、802.1Q MAC アドレスで受信されたすべての BPDU がトランスペアレントに転送されます。
• BPDU ガード:このシスコの機能は、エッジ ポートの設定ミスから保護します。
• Flush Containment:このシスコの機能は、トポロジを変更すると発生する不要な MAC フラッシュを防止するために役立ちます。
• 起動遅延:このシスコの機能は、トラフィックを転送する準備が完了する前に、インターフェイスがアクティブ トポロジに追加されないようにします。
(注) 802.1Q 規格で規定されているように、RSTP との相互運用がサポートされます。ただし、レガシー STP との相互運用性はサポートされません。
BPDU ガードは、エッジ ポートの設定ミスから保護するシスコの機能です。これは、MSTP の PortFast 機能の拡張です。PortFast がインターフェイスで設定されている場合、MSTP は、スパニングツリーの計算時に、そのインターフェイスをエッジ ポートであると見なし、考慮の対象から外します。BPDU ガードが設定されている場合、MSTP はさらに、MSTP BPDU を受信すると、errdisable を使用してインターフェイスをシャットダウンします。
Flush Containment は、ネットワーク内の他の領域での非関連トポロジの変更が原因で発生する不要な MAC フラッシュを防止するために役立つシスコの機能です。これは、例で詳しく説明します。図 36 に、4 台のデバイスを含むネットワークを示します。2 つの VLAN が使用中です。VLAN 1 はデバイス D だけで使用され、VLAN 2 はデバイス A、B、および C またがっています。2 つの VLAN は同じスパニングツリー インスタンスにありますが、リンクを共有しません。
リンク AB がダウンすると、通常の動作では、C がブロックされたポートを起動し、D を含むその他すべてのインターフェイスでトポロジ変更通知を送信します。これにより、行われたトポロジ変更は VLAN 2 だけに影響を与えるにもかかわらず、VLAN 1 で MAC フラッシュが行われます。
Flush containment は、対象の MSTI で VLAN が設定されていないインターフェイスでトポロジ変更通知が送信されないようにすることで、この問題に対処します。ネットワーク例では、これは、トポロジ変更通知が C から D に送信されないこと、および行われる MAC フラッシュがネットワークの右側に制限されることを意味します。
(注) Flush containment はデフォルトでイネーブルにされますが、設定でディセーブルにできるため、IEEE 802.1Q 規格で規定されている動作が復元されます。
起動遅延は、インターフェイスがまだトラフィックを転送する準備が完了していない場合に、スパニングツリーの計算時に MSTP がインターフェイスを考慮しないようにするシスコの機能です。これは、データ プレーンがトラフィックを転送する準備が十分に完了する前に、そのカードのインターフェイスが アップ していることをシステムが宣言するため、ラインカードの最初の起動時に役立ちます。標準によると、MSTP は、 アップ していることを宣言するとインターフェイスを考慮します。これによって、新しいインターフェイスが代わりに選択される場合に、他のインターフェイスがブロッキング状態に移行されることがあります。
起動遅延は、MSTP で設定されたインターフェイスが最初に現れたときに発生する設定可能な遅延期間を追加することで、この問題を解決します。この遅延時間が終了するまで、インターフェイスはブロッキング状態のままになり、スパニングツリーの計算時に考慮されません。
起動遅延は、MSTP ですでに設定されているインターフェイスの作成時(たとえば、カードのリロード時)だけ発生します。すでに存在しているインターフェイスが MSTP で設定されている場合は、遅延は発生しません。
• MSTP は、インターフェイス自体(L2 モードになっている場合)またはすべてのサブインターフェイスに単純なカプセル化が設定されているインターフェイスだけでイネーブルにする必要があります。これらのカプセル化の一致基準は単純であると見なされます。
– 二重タグ付き Q-in-Q フレーム(最も外側のタグだけが検査されます)
– 802.1ad フレーム(MSTP がプロバイダー ブリッジ モードで動作している場合)
(注) デフォルトおよびタグなしのカプセル化を使用するサブインターフェイスはサポートされません。
• L2 インターフェイスまたはサブインターフェイスが、複数の VLAN と一致するカプセル化を使用して設定されている場合、それらの VLAN はすべて同じスパニングツリー インスタンスにマップする必要があります。そのため、各 L2 インターフェイスまたはサブインターフェイスに関連付けられたスパニングツリー インスタンスは 1 つだけ存在します。
• 特定のブリッジ ドメインのすべてのインターフェイスまたはサブインターフェイスは、同じスパニングツリー インスタンスに関連付ける必要があります。
• 同じインターフェイス上の複数のサブインターフェイスは、これらのサブインターフェイスが同じスプリット ホライズン グループ内にある場合を除き、同じスパニングツリー インスタンスに関連付けることはできません。つまり、ヘアピニングはできません。
• ネットワーク全体で、L2 インターフェイスまたはサブインターフェイスを、各スパニングツリー インスタンスにマップされたすべての VLAN のすべての冗長パスで設定する必要があります。これは、ポートの STP ブロッキングが原因で接続が誤って切断されることを避けるためです。
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータに共通する 1 つの導入シナリオには、uPE アクセス デバイスのネットワークと集約ネットワークのコアの間に配置された nPE ゲートウェイ デバイスがあります。各ゲートウェイ デバイスは、図 37 に示すように、多数のアクセス ネットワークの接続を提供できます。アクセス ネットワーク(一般的にリング)には、コアまたは集約ネットワークへの冗長リンクがあるため、ネットワークがループフリーのままになるようにするには、STP のいくつかのバリアントまたは類似したプロトコルを使用する必要があります。
ゲートウェイ デバイスは STP プロトコルにも参加できます。ただし、各ゲートウェイ デバイスは多くのアクセス ネットワークに接続されているため、これによって、2 つのソリューションのうちの 1 つになります。
• アクセス ネットワークをすべてカバーする単一のトポロジが維持されます。これは、1 つのアクセス ネットワークのトポロジ変更が、他のすべてのアクセス ネットワークに影響を与えることを意味するため、望ましくありません。
• ゲートウェイ デバイスは、STP プロトコルの複数のインスタンスを、アクセス ネットワークごとに 1 つずつ実行します。これは、アクセス ネットワークごとに別個のプロトコル データベースと別個のプロトコル ステート マシンが維持されることを意味します。これは、ゲートウェイ デバイスで必要なメモリと CPU リソースが原因で望ましくありません。
これらの両方のオプションには重要な欠点があることがわかります。
別の方法として、各アクセス ネットワークの レグ 間でプロトコル BPDU をトンネリングするが、プロトコル自体には参加しないゲートウェイ デバイスがあります。これによって正確なループフリー トポロジになりますが、重要な欠点もあります。
• アクセス リングの レグ 間に直接接続されていないため、 レグ リンクの 1 つの障害が、他の レグ に接続されたアクセス デバイスですぐに検出されません。したがって、6 秒以上のトラフィック損失が発生する障害からの回復はプロトコル タイムアウトを待つ必要があります。
• ゲートウェイ デバイスはプロトコルに参加しないため、アクセス ネットワークの任意のトポロジ変更を認識できません。そのため集約ネットワークは、トポロジ変更に従って、誤った レグ によるアクセス ネットワーク宛のトラフィックを送信する場合があります。これにより、MAC 学習タイムアウト(デフォルトでは 5 分)の順序でトラフィック損失が発生する可能性があります。
アクセス ゲートウェイは、上記のソリューションの欠点を招くことなく、この導入シナリオに対処することを意図したシスコの機能です。
アクセス ゲートウェイは次の 2 つの前提に基づいています。
• 両方のゲートウェイ デバイスが、常にコアまたは集約ネットワークへの接続を提供します。通常、これにあてはまることを確認するには、コアまたは集約ネットワーク内で使用される復元力メカニズムで十分です。ほとんどの導入では、この復元力を提供するために、コアまたは集約ネットワークで VPLS が使用されます。
• 各アクセス ネットワークのすべてのスパニングツリーで必要なルートは、ゲートウェイ デバイスの 1 つです。これは、(一般に)トラフィックの大部分がアクセス デバイスとコアまたは集約ネットワーク間に存在し、アクセス デバイス間にトラフィックがほとんど存在しない場合にあてはまります。
これらの前提では、STP トポロジには、すべてのスパニングツリーでゲートウェイ デバイスの背後に(つまり、コア側に)仮想ルート ブリッジがあり、両方のゲートウェイ デバイスに仮想ルート ブリッジへのゼロのコスト パスがあると考えることができます。この場合、ゲートウェイ デバイスをアクセス ネットワークに接続するポートは、スパニングツリー プロトコルによってブロックされませんが、常に転送状態にあります。図 38 で、これについて説明します。
このトポロジでは、ゲートウェイ デバイスによって送信された BPDU が一定であることを確認することができます。これは、(集約またはコア ネットワークは常に接続を提供することを想定しているため)ルート ブリッジが変更されることはなく、ポートは常に転送しているという理由から、BPDU で送信される情報は変更されません。
アクセス ゲートウェイは、ゲートウェイ デバイスで完全な STP プロトコルおよび関連するステート マシンを実行する必要性をなくすことでこれを活用し、代わりに、スタティックに設定された BPDU を単にアクセス ネットワークに送信します。BPDU は、完全なプロトコルが実行されている場合に送信される同じ情報を含むように、上記の動作をシミュレート用に設定します。アクセス デバイスには、ゲートウェイ デバイスがプロトコルに完全に参加しているように表示されます。ただし、実際はゲートウェイ デバイスは、スタティック BPDU を送信しているだけであるため、ゲートウェイ デバイスではほとんどメモリまたは CPU リソースは必要なく、多くのネットワーク アクセスを同時にサポートできます。
たいていゲートウェイ デバイスは、アクセス ネットワークから受信した BPDU を無視できます。ただし、1 つの例外は、アクセス ネットワークがトポロジ変更を信号通知する場合です。ゲートウェイ デバイスは、たとえばコアまたは集約ネットワークが VPLS を使用した場合に LDP MAC 取り消しをトリガーすることで、これを適切に実行できます。
多くの場合、ゲートウェイ デバイス間の直接接続は必要ありません。ゲートウェイ デバイスは、アクセス リンク上で設定された BPDU をスタティックに送信するため、(それぞれの設定が一致している限り)それぞれ個別に設定できます。またこれは、図 39 に示すように、さまざまなアクセス ネットワークがゲートウェイ デバイスの異なるペアを使用できることを示します。
(注) 図 39 はアクセス リングを示していますが、一般にアクセス ネットワーク トポロジ、またはゲートウェイ デバイスへのリンクの数または場所に制限はありません。
アクセス ゲートウェイによって、次の障害の場合にループ フリー接続が確保されます
アクセス ネットワーク トポロジの変更を処理するために、2 台のゲートウェイ デバイスが互いに BPDU を交換する必要があるような場合があります。アクセス ネットワークの障害の結果、前にブロックされたポートが転送に移行されるトポロジ変更が発生する場合、アクセス デバイスは、残りのネットワークに変更について通知して、必要な MAC 学習フラッシュをトリガーするように、そのポートにトポロジ変更通知を送信します。通常、トポロジ変更通知は、アクセス ゲートウェイの場合はルート ブリッジ方向に送信されます。これは、いずれかのゲートウェイ デバイスに送信されることを意味します。
上記のように、これによって、ゲートウェイ デバイス自体が必要な処理を実行します。ただし、障害によりアクセス ネットワークが分割された場合は、残りのアクセス ネットワーク(つまり、他のゲートウェイ デバイスに接続されている部分)にトポロジ変更通知を伝播する必要が生じる場合もあります。これを行うには、ゲートウェイ デバイス間の接続を確認して、各ゲートウェイ デバイスが、受信するトポロジ変更通知をアクセス ネットワークから他のデバイスに伝播できるようにします。ゲートウェイ デバイスはトポロジ変更を示す BPDU を他のゲートウェイ デバイスから受信すると、スタティック BPDU でこれを信号通知します(つまり、アクセス ネットワークに向けて送信します)。
トポロジ変更の伝播は、次の 2 つの条件が満たされた場合だけ必要です。
• アクセス ネットワークに 3 台以上のアクセス デバイスが含まれる場合。デバイスが 3 台未満の場合、すべてのデバイスが、発生する可能性があるすべての障害を検出する必要があります。
• アクセス デバイスは、コアまたは集約ネットワーク間だけなく、相互にトラフィックを送信します。すべてのトラフィックがコアまたは集約ネットワーク間のトラフィックである場合、すべてのアクセス デバイスが、すでに正しい方向でトラフィックを送信しているか、トラフィックの発信元アクセス デバイスからのトポロジ変更を学習する必要があります。
アクセス ゲートウェイを支える前提の 1 つは、ゲートウェイ デバイスはコアまたは集約ネットワークへの接続を提供するために常時使用可能なことです。ただし、この前提が成り立たない可能性のある状況が 1 つあり、これは起動時に発生します。起動時に、トラフィックをコアまたは集約ネットワークに正常に転送できることを意味する、必要なすべてのシグナリングとコンバージェンスが完了する前に、アクセス側インターフェイスが使用可能になるような場合です。インターフェイスが起動するとすぐにアクセス ゲートウェイが BPDU の送信を開始するため、これによって、ゲートウェイ デバイスで受信する準備が完了する前に、アクセス デバイスがゲートウェイ デバイスにトラフィックを送信する可能性があります。この問題を回避するには、プリエンプション遅延機能が使用されます。
プリエンプション遅延機能によって、インターフェイスが起動した後、通常の値に戻るまでの期間にアクセス ゲートウェイは不良 BPDU を送信します。他のゲートウェイ デバイスもダウンしている場合を除き、アクセス ネットワークがすべてのトラフィックを他のゲートウェイ デバイスに送信するようにこれらの不良 BPDU を設定できます。他のゲートウェイ デバイスが使用できない場合、部分的にだけ使用可能でも、トラフィックを完全にドロップするのではなく、このデバイスに送信することを推奨します。したがって、BPDU をまったく送信しないのではなく、不良 BPDU はプリエンプション遅延時間中に送信されます。
アクセス ゲートウェイは、次のプロトコルがアクセス ネットワークで使用されるときに Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでサポートされます。
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REP アクセス ゲートウェイ(REPAG)1 |
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PVST+ アクセス ゲートウェイ(PVSTAG)2 |
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PVRST アクセス ゲートウェイ(PVRSTAG)3 |
1.REP アクセス ゲートウェイは、ゲートウェイ デバイスに接続されているアクセス デバイス インターフェイスが REP MSTP 互換モードで設定されている場合にサポートされます。 |
マルチ スパニングツリー インスタンス(MSTI)ごとに、各アクセス デバイスにコアまたは集約ネットワークへのパスが 1 つあることを確認するために、レイヤ 2(L2)環境ではアクセス ゲートウェイが使用されます。コアまたは集約ネットワークは、2 台のゲートウェイ デバイス間の L2(イーサネット)接続を提供します。そのため、障害がない場合、各 MSTI のアクセス ネットワークにブロックされたポートが少なくとも 1 つ必要です。アクセス リングの場合は、アクセス リングにブロック ポートが 1 つ必要です。各 MSTI では、これは通常、ゲートウェイ デバイスの 1 つに接続されているアップリンク ポートの 1 つです。これは、ゲートウェイ デバイスが最善のマルチスパニングツリー プロトコル(MSTP)ルート ノードへの最適なパスを持つように MSTAG を設定することによって行われます。したがって、アクセス デバイスは、ルートに到達するために常にゲートウェイ デバイスを使用し、ゲートウェイ デバイスのポートは常に指定された転送状態になります。
混合レイヤ 2 レイヤ 3 環境では、特定の VLAN のレイヤ 2 サービスおよび他の VLAN のレイヤ 3(L3)サービスを提供するために、L2 アクセス ネットワークが使用されます。アクセス ネットワークでは、L2 サービスと L3 サービスに異なる MSTI が使用されます。L2 VLAN の場合、コアまたは集約ネットワークはゲートウェイ デバイス間の L2 接続を提供します。ただし、L3 サービスでは、ゲートウェイ デバイスは L2 ネットワークを終了し、L3 ルーティングを実行します。通常、エンド ホストが適切なゲートウェイにルーティングできるように、HSRP や VRRP などの L3 冗長性メカニズムが使用されます。
このシナリオでは、単独で MSTAG を使用しても、L3 MSTI の望ましい動作は達成されません。これは、実際にはループがなくても、アクセス ネットワークのいずれかのポートがブロックされるためです。(これは、L3 VLAN のゲートウェイ デバイス間に L2 接続がないためです)。実際は、ゲートウェイ デバイスが L3 VLAN の L2 ネットワークを終了するため、望ましい動作とは、アクセス ネットワークに MSTP ルートが存在し、ゲートウェイ デバイスが単一接続を持つリーフ ノードとして表示されることです。これを行うには、MSTAG 設定を逆にします。つまり、最低品質のルートに最低品質のパスをアドバタイズするようにゲートウェイ デバイスを設定します。これは、アクセス デバイスはルートとしていずれかのアクセス デバイスを強制的に選択させるため、ポートはブロックされません。この場合、ゲートウェイ デバイスのポートは常にルート転送状態になります。MSTAG エッジ モード機能は、ゲートウェイ デバイスによってアドバタイズされるロールを指定からルートに変更することで、このシナリオをイネーブルにします。図 40 に、このシナリオを示します。
正常な MSTAG と L2 MSTI では、トポロジ変更通知が 1 台のゲートウェイ デバイスから他のゲスト デバイスに伝播され、アクセス ネットワークに再アドバタイズされます。ただし、L3 MSTI の場合、これは望ましくありません。アクセス ネットワークに L3 MSTI のブロックがないため、トポロジ変更通知が永続的にループする可能性があります。この状況を回避するためには、MSTAG エッジ モードで、ゲートウェイ デバイスのトポロジ変更通知の処理を完全にディセーブルにします。
Per-VLAN スパニングツリー アクセス ゲートウェイ(PVSTAG)のサポートは、バンドル インターフェイスとともに物理インターフェイスにも拡張されています。そのため、PVST アクセス ネットワークをサポートするカスタマーの数の増加に対応できるようになりました。
物理インターフェイスでは、ブリッジ プロトコル データ ユニット(BDPU)は、インターフェイスをホストするラインカードから送信されます。ただし、バンドル インターフェイス BPDU はルート プロセッサ(RP)から送信されます。RP フェールオーバーが発生しても、バンドル インターフェイスでオーバーフローしたデータ トラフィックは影響を受けません。そのため、BPDU は、フェールオーバーが完了して新しいアクティブ RP に引き継がれるまで送信されません。遅延がある場合、ピア デバイスは BPDU 情報をタイムアウトします。これにより、イーサネット ネットワークの中断の原因になる転送ループが生じる可能性があります。そのため、RP フェールオーバーが発生した場合、ピア デバイスが BPDU 情報をタイムアウトしないようにすることが重要です。
マルチ VLAN 登録プロトコルは IEEE 802.1ak で定義され、マルチキャストおよびブロードキャスト フレームの伝播を最適化するために MSTP ベースのネットワークで使用されます。
デフォルトでは、マルチキャストおよびブロードキャスト フレームは、スパニングツリーおよびネットワークに接続されている各エッジ(ホスト)デバイスに従って、ネットワーク内の各ポイントに伝播されます。ただし、特定の VLAN では、特定のホストだけがその VLAN のトラフィックの受信に関与する場合があります。さらに、特定のネットワーク デバイスまたは場合によってはネットワークのセグメント全体に、その VLAN のトラフィックの受信に関与する接続済みのホストがないようなことがあります。この場合、その VLAN のトラフィックを、関係のないデバイスに伝播することで、最適化が可能です。MVRP は、各ホストおよびデバイスが、接続されたピアに関与する VLAN を示すことができる、必要なプロトコル シグナリングを提供します。
MVRP がイネーブルにされたデバイスは、次の 2 つのモードで動作します。
• スタティック モード:このモードでは、デバイスは、スタティックに設定された一連の VLAN への関与を宣言する MVRP メッセージを開始します。プロトコルが、MSTP トポロジに対してまだダイナミックであることに注意してください。これは、スタティックな VLAN のセットです。
• ダイナミック モード:このモードでは、デバイスは、異なるポートで受信する MVRP メッセージを処理し、関与する VLAN のセットを決定するためにダイナミックに集約します。これは、このセットへの関与を宣言する MVRP メッセージを送信します。ダイナミック モードでは、またデバイスは受信 MVRP メッセージを使用して、接続デバイスが関与を示した VLAN だけでトラフィックが送信されるように、各ポートから送信されるトラフィックをプルーニングします。
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでは、スタティック モードでの動作がサポートされます。これは、MVRP-lite と呼ばれます。
• MSTP の設定
• MSTP の確認
(注) ここでは、データのスイッチングを設定する方法については説明しません。詳細については、「マルチポイント レイヤ 2 サービスの実装」を参照してください。
デフォルトでは、STP はすべてのインターフェイス上でディセーブルです。MSTP は、各物理またはイーサネット バンドル インターフェイスの設定によって明示的にイネーブルにする必要があります。MSTP がインターフェイス上で設定されると、そのインターフェイスのサブインターフェイスはすべて自動的に MSTP イネーブルになります。
MSTP 標準は、多数の設定可能なパラメータを定義します。次にグローバル パラメータを示します。
• ブリッジ プライオリティ(スパニングツリー インスタンスごと)
• ポート プライオリティ(スパニングツリー インスタンスごと)
• 内部ポート パス コスト(スパニングツリー インスタンスごと)
インターフェイス単位の設定は、MST コンフィギュレーション サブモード内のインターフェイス サブモードで行われます。
(注) 次の項にリストされている設定手順では、設定可能なパラメータがすべて表示されます。ただし、通常、そのほとんどではデフォルト値を保持できます。
2. spanning-tree mst protocol instance identifier
3. bringup delay for interval { minutes | seconds }
8. maximum {age seconds | hops hops }
13. vlan-id vlan-range [, vlan-range ][, vlan-range ][, vlan-range ]
14. interface {Bundle-Ether | GigabitEthernet | TenGigE | FastEthernet} instance
15. instance id port-priority priority
次の show コマンドを使用して、MSTP の動作を確認できます。
• show spanning-tree mst mst-name
• show spanning-tree mst mst-name interface interface-name
• show spanning-tree mst mst-name errors
• show spanning-tree mst mst-name configuration
• show spanning-tree mst mst-name bpdu interface interface-name
(注) REPAG の設定手順は同じです。
ここでは、データのスイッチングを設定する方法については説明しません。詳細については、「マルチポイント レイヤ 2 サービスの実装」を参照してください。
物理またはバンドル イーサネット インターフェイスで MSTAG をイネーブルにするには、最初に encapsulation untagged コマンドを使用して、タグなしパケットと一致する L2 サブインターフェイスを設定する必要があります。L2 サブインターフェイスの設定に関する詳細については、 「Cisco ASR 9000 シリーズ ルータ キャリア イーサネット モデル」 を参照してください。
MSTAG は、対応するタグなしサブインターフェイス上で明示的に設定することによって、物理インターフェイスまたはバンドル イーサネット インターフェイスでイネーブルにします。MSTAG はタグなしサブインターフェイスで設定されている場合、物理またはバンドル イーサネット インターフェイスと、その物理またはバンドル イーサネット サブインターフェイス上の他のすべてのサブインターフェイスで自動的にイネーブルになります。
MSTAG パラメータは各インターフェイスで個別に設定され、MSTAG は各インターフェイスで完全に独立して動作します。(ルートを同じアクセス ネットワークに接続している場合を除き)異なるインターフェイスの MSTAG パラメータ間の対話はありません。
次の MSTAG パラメータは、各スパニングツリー インスタンスのインターフェイスごとに設定可能です。
アクセス ネットワーク全体に一貫した動作を確保するには、設定時に次のガイドラインを使用する必要があります。
• アクセス ネットワーク内のデバイスのルート ブリッジ プライオリティおよび ID よりもよい(低い)ルート ブリッジ プライオリティおよび ID を(スパニングツリー インスタンスごとに)使用して両方のゲートウェイ デバイスを設定する必要があります。ゲートウェイ デバイスでは、ルート ブリッジ プライオリティおよび ID を 0 に設定することを推奨します。
(注) アクセス デバイスで検出された STP の矛盾を回避するには、両方のゲートウェイ デバイスで同じルート プライオリティおよび ID を設定する必要があります。
• ゲートウェイ デバイスは両方とも、ポート パス コストを 0 にして設定する必要があります。
• 各スパニングツリー インスタンスでは、ルート ブリッジ プライオリティおよび ID よりも高いが、ネットワーク内の他のデバイス(他のゲートウェイ デバイスを含む)のブリッジ プライオリティおよび ID よりも低いブリッジ プライオリティおよび ID を使用して、1 つのゲートウェイ デバイスを設定する必要があります。ブリッジ プライオリティを 0 に設定することを推奨します。
• スパニングツリー インスタンスごとに、ルート ブリッジ プライオリティおよび ID、最初のゲートウェイ デバイス ブリッジ プライオリティおよび ID よりも高いが、アクセス ネットワーク内のデバイスのブリッジ プライオリティおよび ID よりも低いブリッジ プライオリティおよび ID を使用して、2 番目のゲートウェイ デバイスを設定する必要があります。ブリッジ プライオリティを 4096 に設定することを推奨します(これは、0 よりも大きい最低許容値です)。
• ゲートウェイ デバイスよりも高いブリッジ プライオリティを使用してすべてのアクセス デバイスを設定する必要があります。8192 以上の値を使用することを推奨します。
• スパニングツリー インスタンスごとに、すべてのリンクがアップすると目的のポートがブロック状態になるように、アクセス デバイスでポート パス コストおよびその他のパラメータを設定する場合があります。
図 41 で、上記のガイドラインについて説明します。
(注) トポロジの変更がシグナリングされると、アクセス デバイスはゲートウェイ デバイスから受信した情報を無視する場合のように、これらのガイドラインは、REPAG には適用されません。
(注) 次の項にリストされている設定手順では、設定可能なパラメータがすべて表示されます。ただし、通常、そのほとんどではデフォルト値を保持できます。
2. spanning-tree mstag protocol instance identifier
3. preempt delay for interval { seconds | minutes | hours }
4. interface {Bundle-Ether | GigabitEthernet | TenGigE | FastEthernet} instance.subinterface
14. vlan-id vlan-range [, vlan-range ][, vlan-range ][, vlan-range ]
MSTAG トポロジ変更の伝播は、単に 2 台のゲートウェイ デバイスの MSTAG 対応インターフェイス間の接続を設定することによって設定されます。
1. MSTAG を上記のように設定します。使用するタグなしサブインターフェイスに留意してください。
2. ゲートウェイ デバイス間の接続を設定します。これは、MPLS 疑似回線経由で接続するか、直接物理リンクが存在する場合は VLAN サブインターフェイスになります。
3. 他のゲートウェイ デバイスへのタグなしサブインターフェイスおよびリンク(PW またはサブインターフェイス)が含まれている各ゲートウェイ デバイスでポイントツーポイント(P2P)の相互接続を設定します。
MSTAG 用に設定されたタグなしサブインターフェイスが P2P の相互接続に追加されると、MSTAG トポロジ変更の伝播が自動的にイネーブルになります。MSTAG は、トポロジの変更の検出時に信号通知するよう、その他のゲートウェイ デバイスへの相互接続によって BDPU を転送します。
MPLS 疑似回線または P2P の相互接続設定の詳細については、 「ポイントツーポイント レイヤ 2 サービスの実装」 を参照してください。
次の show コマンドを使用して、MSTAG の動作を確認できます。
• show spanning-tree mstag mst-name
• show spanning-tree mstag mst-name bpdu interface interface-name
(注) ここでは、データのスイッチングを設定する方法については説明しません。詳細については、「マルチポイント レイヤ 2 サービスの実装」を参照してください。
PVSTAG は、PVSTAG 用の物理インターフェイスおよび VLAN を明示的に設定することで、その物理インターフェイスで特定の VLAN に対してイネーブルになります。
次に、各 VLAN のインターフェイスごとに設定可能な PVSTAG パラメータを示します。
正常に動作するには、PVSTAG の設定時に次のガイドラインに従う必要があります。
• アクセス ネットワーク内のデバイスのブリッジ プライオリティおよび ID よりもよい(低い)ルート ブリッジ プライオリティおよび ID を使用して両方のゲートウェイ デバイスを設定する必要があります。ゲートウェイ デバイスでは、ルート ブリッジ プライオリティおよび ID を 0 に設定することを推奨します。
• ゲートウェイ デバイスは両方とも、ルート コストを 0 にして設定する必要があります。
• ルート ブリッジ プライオリティおよび ID よりも高いが、ネットワーク内の他のデバイス(他のゲートウェイ デバイスを含む)のブリッジ プライオリティおよび ID よりも低いブリッジ プライオリティおよび ID を使用して、1 つのゲートウェイ デバイスを設定する必要があります。ブリッジ プライオリティを 0 に設定することを推奨します。
• ルート ブリッジ プライオリティおよび ID、最初のゲートウェイ デバイス ブリッジ プライオリティおよび ID よりも高いが、アクセス ネットワーク内のデバイスのブリッジ プライオリティおよび ID よりも低いブリッジ プライオリティおよび ID を使用して、2 番目のゲートウェイ デバイスを設定する必要があります。ブリッジ プライオリティは、PVSTAG では 1、PVRSTAG では 4096 に設定することを推奨します。(PVRSTAG の場合、これは、0 よりも大きい最低許容値です)。
• ゲートウェイ デバイスよりも高いブリッジ プライオリティを使用してすべてのアクセス デバイスを設定する必要があります。PVSTAG では 2 以上の値、PVRSTAG では 8192 以上の値を使用することを推奨します。
• スパニングツリー インスタンスごとに、すべてのリンクがアップすると目的のポートがブロック状態になるように、アクセス デバイスでポート パス コストおよびその他のパラメータを設定する場合があります。
図 42 で、これらのガイドラインについて説明します。
(注) 次の項にリストされている設定手順では、設定可能なパラメータがすべて表示されます。ただし、通常、そのほとんどではデフォルト値を保持できます。
• 1 つのアクセス デバイスだけをゲートウェイ デバイスに接続できます。
• 1 つの VLAN のトポロジ変更通知は、その物理インターフェイスのすべての VLAN およびブリッジ ドメインに影響します。
2. spanning-tree pvstag protocol instance identifier
3. preempt delay for interval { seconds | minutes | hours }
インターフェイスの PVSTAG でイネーブルになっている VLAN ごとに、その VLAN のトラフィックと一致する対応するサブインターフェイスを設定する必要があります。これはデータのスイッチングと PVST BPDU の両方に使用されます。サブインターフェイスを設定するときには、次のガイドラインに従ってください。
• VLAN 1 は PVST のネイティブ VLAN として扱われます。したがって、VLAN 1 の場合は、タグなしパケット( encapsulation untagged )と一致するサブインターフェイスを設定する必要があります。また、VLAN 1 を明示的にタグ付けされたパケットと一致するサブインターフェイスを設定する必要が生じる場合があります
( encapsulation dot1q 1 )。
• PVST では dot1q パケットだけが許可されます。Q-in-Q および dot1ad パケットはプロトコルでサポートされていないため、これらのカプセル化で設定されたサブインターフェイスは、PVSTAG で正しく動作しません。
• VLAN の範囲と一致するサブインターフェイスは PVSTAG でサポートされます。これがデータ スイッチングのプロビジョニングで望ましい場合を除き、VLAN ごとに個別のサブインターフェイスを設定する必要はありません。
– デフォルトのカプセル化( encapsulation default )で設定されているサブインターフェイス
– VLAN( encapsulation dot1q any )と一致するように設定されたサブインターフェイス
L2 サブインターフェイスの設定の詳細については、 「ポイントツーポイント レイヤ 2 サービスの実装」 を参照してください。
次の show コマンドを使用して、PVSTAG または PVRSTAG の動作を確認できます。
• show spanning-tree pvstag mst-name
MVRP ライトが設定されている場合、MSTP がイネーブルであるすべてのインターフェイスで自動的にイネーブルになります。MSTP は、MVRP をイネーブルにする前に設定する必要があります。MSTP の設定については、「MSTP の設定」を参照してください。
2. spanning-tree mst protocol instance name
次に、MSTP が単一のインターフェイスでイネーブルになっている単一スパニングツリー インスタンスの MSTP 設定例を示します。
次に、スパニングツリー プロトコルの状態の概要を生成する show spanning-tree mst コマンドの出力例を示します。
show spanning-tree mst の出力 例 では、最初の行は、MSTP が dot1q またはプロバイダー ブリッジ モードで動作しているかどうかを示し、この情報の後に各 MSTI の詳細が表示されます。
• CIST の場合、CIST ルートのプライオリティおよびブリッジ ID、および CIST ルートに到達するための外部パス コスト。またこの出力は、このブリッジが CIST ルートであるかどうかを示します。
• この MSTI のルート ブリッジのプライオリティおよびブリッジ ID、およびルートに到達するための内部パス コスト。またこの出力は、このブリッジが MSTI のルートであるかどうかを示します。
• MSTI のルート ブリッジから受信した最大経過時間および転送遅延時間。
• この MSTI のこのブリッジのプライオリティおよびブリッジ ID。
• このブリッジの最大経過時間、転送遅延、最大ホップ、および転送保留カウント(すべての MSTI で同じです)。
• MSTP 対応インターフェイスのリスト。各インターフェイスについて、次の情報が表示されます。
– この MSTI のこのインターフェイスのポート プライオリティおよびポート ID。
– この MSTI のこのインターフェイスのポート コスト。
DSGN:指定:これは、この MSTI のこの LAN 上の指定ポートです。
ROOT:ルート:この MSTI のブリッジのルート ポートです。
BKP:バックアップ:これは、この MSTI のバックアップ ポートです。
MSTR:マスター:これは、CIST のルート ポートまたは代替ポートである境界ポートです。
インターフェイスがダウンしているか、起動遅延タイマーが実行されていて、ロールがまだ割り当てられていません。
– ポートが境界ポートであり、CIST はなく、ポートが指定されていない場合は、境界ポートだけが表示され、残りの情報は表示されません。
– ポートがアップしていないか、起動遅延タイマーが動作している場合、情報は残りのフィールドに表示されません。それ以外の場合は、インターフェイスが接続されている LAN の指定ブリッジのブリッジ プライオリティおよびブリッジ ID が表示され、その後に LAN 上の指定ポートのポート プライオリティおよびポート ID が表示されます。ポートの役割が指定されていない場合、このブリッジまたはポートの情報が表示されます。
次に、上述したように、標準コマンドよりもインターフェイス ステートに関する詳細な情報を生成する、 show spanning-tree mst コマンドの出力例を示します。
出力には、すべての MSTI に適用されるインターフェイスに関するインターフェイス情報が表示されます。
• portfast(BPDU ガードがイネーブルかどうかなど)
• ルートからの BPDU 情報(ブリッジ ID、コスト、プライオリティ)
• このポートで送信される BPDU 情報(ブリッジ ID、コスト、プライオリティ)
• この MSTI の Flush containment ステータス。
次に、MSTP 用に設定されているが、MSTP が動作していないインターフェイスに関する情報を生成する、 show spanning-tree mst errors コマンドの出力例を示します。これは主に、存在しないインターフェイスに関する情報を表示します。
次に、MSTI マッピング テーブルに VLAN ID を表示する、 show spanning-tree mst configuration の出力例を示します。また、送信された BPDU に含まれる設定ダイジェストを表示します。これは、同じ MSTP リージョン内の他のブリッジから受信したダイジェストと一致する必要があります。
次に、特定のローカル インターフェイスで出力および受信される BPDU の詳細を生成する、 show spanning-tree mst bpdu interface の出力例を示します。
(注) 共有 LAN 上で動作する MSTP の場合は、複数の受信パケットを保存できます。
次に、各インターフェイスの MSTI ごとに発生したトポロジ変更の詳細を表示する、 show spanning-tree mst topology-change flushes の出力例を示します。
次に、単一のインターフェイスでの単一スパニングツリー インスタンスの MSTAG 設定例を示します。
次に、MSTAG トポロジ変更の伝搬の追加設定例を示します。
次に、 show spanning-tree mstag の出力例を示します。
次に、特定のローカル インターフェイスで出力および受信される BPDU の詳細を生成する、 show spanning-tree mstag bpdu interface の出力例を示します。
次に、インターフェイスごとに発生したトポロジ変更の詳細を表示する、 show spanning-tree mstag topology-change flushes の出力例を示します。
次に、単一のインターフェイスでの単一 VLAN の PVSTAG 設定例を示します。
次に、 show spanning-tree pvstag の出力例を示します。
次に、 show ethernet mvrp mad の出力例を示します。
次に、 show ethernet mvrp status の出力例を示します。
次に、 show ethernet mvrp statistics の出力例を示します。
ここでは、Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでのマルチ スパニングツリー プロトコル(MSTP)の実装に関する参考資料を紹介します。
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『IEEE Standard for Local and Metropolitan Area Networks - Virtual Bridged Local Area Networks』 |
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Cisco IOS XR ソフトウェアを使用している MIB を特定してダウンロードするには、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用し、[Cisco Access Products] メニューからプラットフォームを選択します。 http://cisco.com/public/sw-center/netmgmt/cmtk/mibs.shtml |
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この機能によりサポートされた新規 RFC または改訂 RFC はありません。またこの機能による既存 RFC のサポートに変更はありません。 |
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