ルータを設置する前に、電源および配線についての設置場所の要件、ルータを設置するための特殊な器具、および正常な動作を維持するための設置場所の環境条件について検討し、準備しておく必要があります。この章では、ルータを設置するための準備作業について説明します。
ルータの梱包は、輸送中の通常の取り扱いによって製品が損傷する可能性を減らすように作られています。
• ルータは必ず、梱包し、立てた状態で輸送または保管してください。
• 設置場所が確定するまでは、ルータを輸送用コンテナに収めておいてください。
ルータに同梱されている『Cisco 12016, Cisco 12416, and Cisco 12816 Router Unpacking Instructions』に従って開梱し、輸送中の損傷がないかどうか、すべての品目を点検してください。破損しているものがある場合は、購入した代理店にただちに連絡してください。
このマニュアルに記載されている作業を開始する前に、人身事故または機器の損傷を防ぐために、ここで説明する安全に関する注意事項を確認してください。さらに、ルータの設置作業を開始する前に、ルータ付属の『 Regulatory Compliance and Safety Information for Cisco 12000 Series Internet Routers 』に記載されている安全上の警告を確認してください。
ここで紹介する 注意事項 には、起こりえる危険な状況がすべて網羅されているわけではありません。ルータを設置するときには、常識的な判断で慎重に行ってください。
• シスコの機器は、仕様および製品の使用手順に従って運用するかぎり安全です。
• 人身事故や装置障害を引き起こす可能性のある作業は行わないでください。
• 重量物を持ち運ぶ際は、必ず 2 人以上で行ってください。
• 作業時には、ルータに引っ掛かるようなだぶついた衣服や装身具は着用しないでください。
• 工具および組立部品が通行の妨げにならないようにしてください。
• 設置作業中および設置後、設置場所周辺は、できるだけ埃のない清潔な状態に保ってください。レーザーを使用するコンポーネントに埃や塵が入らないように注意してください。
• 国および地域の電気規格に従って設置する必要があります。米国では、National Fire Protection Association(NFPA; 米国防火協会)70、United States National Electrical Code が適用されます。カナダでは、Canadian Electrical Code、part I、CSA C22.1 が適用されます。その他の諸国では、International Electrotechnical Commission(IEC; 国際電気標準会議)規格 60364、パート 1 ~ 7 が適用されます。
• ルータ内部の作業を行う前に、室内の緊急電源遮断スイッチがどこにあるかを確認しておきます。
• ルータの取り付けや取り外しを行う前に、すべての電源コードを外してください。
• 回路の電源が切断されていると思い込まず、必ず確認してください。
• 床が濡れていないか、アースされていない電源延長コードや保護アースの不備などがないかどうか、作業場所の安全を十分に確認してください。
• ラインカード シャーシの DC 入力電源システムに接続できるのは、
UL60950、CSA-C22.2 No. 60950、EN60950、ACATS001、AS/NZS 60950、および IEC60950 の Safety Extra-Low Voltage(SELV; 安全特別低電圧)に適合した DC 電源だけです。
• DC入力電源システムを使用するラインカード シャーシには、即座に手の届く二極切断装置を固定配線に組み込んでおく必要があります。
• ラインカード シャーシは、設置する建物にショート(過電流)保護機構が備わっていることを前提に設計されています。
–負傷しないように注意してください。ルータの電源を切断してください。
–可能であれば、医療援助を求めるために誰か別の人を呼んでもらうようにしてください。それができない場合は、負傷者の状況を見極めてから救援を要請してください。
ルータ コンポーネントの多くは、静電気によって損傷を受けることがあります。適切な ESD(静電気放電)防止策を講じなかった場合、コンポーネントが完全に壊れたり、断続的な障害が発生したりする可能性があります。ESD による損傷の可能性を最小限に抑えるために、静電気防止用リスト ストラップまたはアンクル ストラップを肌に密着させて着用してください。
(注) 静電気防止用ストラップの抵抗値を定期的にチェックしてください。抵抗値は 1 ~ 10 Mohm でなければなりません。
このマニュアルで説明している作業を行う前に、静電気防止用ストラップを手首に巻き、シャーシまたはその他のアースされたものの、塗装されていない金属部分に接続コードを固定します。図 2-1 を参照してください。
図 2-1 静電気防止用リスト ストラップとルータ シャーシの接続
フル装備の場合、ルータの重量は 275 ポンド(lb)(124.74 kg)になります。空のシャーシ重量は 125 ポンド(56.7 kg)です。これらのシステムは、頻繁に移動することを想定した設計にはなっていません。ルータを設置する前に、電源の位置やネットワーク接続などの条件を確認し、後日シャーシを動かす必要のない適切な場所かどうかを確認してください。
持ち運びに関する次の注意事項に従って、けがまたは装置の損傷を防いでください。
• 重量のある機器は、一人で持ち上げようとしないで、だれかに手伝ってもらってください。
• 足元がしっかりしていることを確認し、両足で重量を支えてください。
• 装置はゆっくりと持ち上げてください。急に動かしたり、持ち上げながら身体をねじったりしないでください。
• 背筋を伸ばし、腰ではなく脚の力を使って持ち上げてください。装置を持ち上げるときにしゃがまなければならない場合には、腰をかがめるのではなく、ひざを曲げて腰に負担がかからないようにします。
Cisco 12016、Cisco 2416 および Cisco 12816 ルータは、適合規格および安全性の認定を受けるための要件を満たすよう設計されています。適合規格の詳細については、『Regulatory Compliance and Safety Information for the Cisco 12000 Series Router』(Text Part Number: 78-4347-xx)を参照してください(Web サイトでの情報については、 Cisco Technical Support & Documentation Web サイトを参照してください)。
一部のラインカードは、ポートにケーブルが接続されていない場合に、開口部から危険なレーザー光が放射されるポートを装備しています。ポートをのぞきこむと、目に見えないレーザー光で目を傷める可能性があります。
警告 目を傷めないように、ラインカードのポートの開口部をのぞきこまないでください。
ここでは、ルータを設置する前に考慮すべき、設置環境に関する次の条件について説明します。
• 「NEBS の補助的な装置接合およびアースに関する注意事項」
ルータは、装置ラックに関する EIA(米国電子工業会)規格の EIA-310-D に準拠する、ほとんどの 2 支柱、4 支柱、または Telco タイプの 19 インチ ラックに設置できます。ラックには、ルータ シャーシを取り付けるため、マウント フランジ付きの支柱が少なくとも 2 本必要です。2 本の取り付け支柱間で、取り付け穴の中心線から中心線までの距離は 18.31 インチ ± 0.06 インチ(46.50 cm ± 0.15 cm)でなければなりません。ルータに付属するラックマウント金具は、ほとんどの 19 インチ装置ラックまたは Telco タイプ フレームに対応します。
図 2-2 に、一般的な 2 支柱、4 支柱、および Telco タイプ装置ラックの例を示します。
図 2-2 a は、前面に 2 本の支柱がある床置き式の閉鎖型ラックです。ルータは、内部コンポーネントに適した動作温度を保つために、冷気がスムーズに流れなければならないので、このタイプの閉鎖型ラックには 設置できません 。どのようなタイプであっても、閉鎖型ラックにルータを設置すると、 前後のドアを取り外しても 、エアフローが遮られ、シャーシ付近に熱気がたまり、ルータ内部が過熱状態になる可能性があります。
図 2-2 b は、前後とも支柱が 2 本ずつある、床置き式の 4 支柱開放型ラックです。このタイプのラックは一般に支柱の調節が可能なので、装置をラック前面に合わせるのではなく、ラックの奥に設置できます。
図 2-2 c は、Telco タイプのラックです。Telco タイプのラックは、2 本の支柱を上部の横棒および下部のフロアスタンドでつないだ開放型フレームです。
このタイプのラックは通常、床に固定し、場合によっては上部構造または壁に固定して安定性を高めます。ルータ シャーシは Telco タイプのラックに、前面マウントまたは中央マウントのいずれの位置にも設置できます(図 2-3 を参照)。
• 前面マウント位置の場合、シャーシのラックマウント ブラケットを直接、ラック支柱に固定します。
• 中央マウント位置の場合は、オプションの中央マウント用ブラケット 1 組をラック支柱に固定します。さらに、シャーシ ラックマウント フランジを中央マウント用ブラケットに固定します。中央マウント位置にすると、シャーシの重心がラック支柱の縦軸に近づくので、安定性の高いラック設置が可能になります。
図 2-3 Telco ラックへの前面マウントおよび中央マウントでの設置
トラブルのない運用を維持するために、ラックへの設置を計画する際は、次の注意事項に従ってください。
• ラックを設置する場所には、AC または DC 入力電源、アース、およびネットワーク インターフェイス ケーブルの設備が必要です。
• 設置時には、ラック周辺で作業できるだけのスペースを確保してください。必要なスペースは次のとおりです。
–シャーシを移動させ、位置を合わせてラックに取り付けるには、ラックの周囲に 3 フィート(約 91 cm)以上
–PEM(パワー エントリ モジュール)を搭載するには、電源シェルフの前方に 2 フィート(61 cm)以上
• 設置後のメンテナンス作業を行うには、シャーシの前後にそれぞれ 24 インチ(61 cm)以上
• 2 本の支柱またはレールの間にルータを取り付けるには、マウント フランジのエッジ間の 内側 の幅が、最低 17.7 インチ(45.0 cm)必要です。
• ルータに各種カードをフル装備した場合、重量は 440 ポンド(200 kg)になります。ルータ シャーシの底面が床から 10 インチ(25.4 cm)以内になるように設置して、ラックの重心をできるだけ低くしてください。装置ラックの安定性を維持し、安全性を確保するために、安定のための器具が付属している場合はそれを取り付けてから、ルータを設置してください。
• Telco 形式のラックを使用する場合、2 本のラック支柱でシャーシの重量を支えることになります。次の条件を満たす必要があります。
–ルータの重量でフレームが不安定にならないようにする必要があります。
–フレームを床にボルトで固定し、さらに壁面ブラケットまたはオーバーヘッド ブラケットを使用して建物の構造に固定する必要があります。
• ルータを Telco 形式のラックまたは 4 支柱ラックに設置する場合は、必ず、付属のネジをすべて使用して、シャーシをラック支柱に固定する必要があります。
• Cisco 12016 シリーズ ルータの拡張モデルでは、4 支柱ラックのマウント レールは、前面扉を全開閉でき、ケーブル引き回しに十分なスペースが確保できるように 1.5 インチ(約 3.8 cm)以上奥にずらさないでください。
• ルータ付属のケーブル マネジメント ブラケットを取り付けて、ケーブルを整理しておく必要があります。注意事項は次のとおりです。
–ケーブルと装置の接続部分は、適切なストレイン レリーフ方式によって保護してください。
–ラックに設置した他の装置のケーブルがカード ケージの操作を邪魔しないようにしてください。
• ネットワーク インターフェイス ケーブルへのノイズ干渉を防ぐため、電源コードとケーブルが交差したり、平行になるような配線は避けてください。
図 2-4 に、従来型シリーズ ルータ シャーシの設置面積および外寸を示します。
図 2-5 に、ルータ シャーシの拡張バージョンの設置面積および外寸を示します。
図 2-5 拡張ルータ シャーシの設置面積および寸法--上面図
ルータ シャーシの内部は、2 つのブロワー モジュールによって冷気を循環させる構造になっています。ブロワー モジュールは、スイッチ ファブリック カード ケージ(中央)の前面にあるエア フィルタを通じて冷気を取り込み、両方のカード ケージに空気を循環させることにより、内部コンポーネントの適切な動作温度を維持します(図 2-6 を参照)。
各電源装置にもファンが内蔵され、電源装置の前面から冷気を取り込み、シャーシ背面から熱気を排出する構造になっています。
ルータの設置場所を選択する際は、次の注意事項に従ってください。
• 埃の立たない場所 -- できるだけ埃の少ない場所を選んでください。埃の多い環境では、エア フィルタまたは電源装置の吸気口が目詰まりして、ルータに送り込まれる冷気が少なくなります。フィルタや排気口が目詰まりすると、ルータが過熱状態になることがあります。
• スムーズなエアフロー -- 十分なエア フローを得るために、シャーシおよび電源モジュールの吸気口と排気口に、6 インチ(15.24 cm)以上のスペースを確保してください。エア フローが遮られたり制限されたりした場合、または取り込まれる空気の温度が高いときは、ルータ内部が過熱状態になることがあります。極端な場合には、コンポーネントを保護するために、環境モニタ システムがルータを遮断します。
動作時および保管時の設置環境の条件については、 表A-4 を参照してください。ルータは 表A-4 に記載された許容範囲内であれば正常に動作しますが、温度の測定値が最小または最大パラメータに近づいている場合は、潜在的な問題があります。ルータの設置前に設置場所のプランニングと準備を適切に行うことによって、クリティカル値に近づく前に、環境の異常を予測して修正し、正常な動作を維持してください。
ルータは、AC 入力または DC 入力電源サブシステムのいずれを使用しても構成できるので、設置場所の電源要件はルータに搭載した電源サブシステムによって異なります。すべての電源接続配線は、National Electrical Code(NEC)および地域の電気規格に適合するように行う必要があります。
AC PEM は公称 200 ~ 240 VAC の範囲で稼働し、最低限、次の供給電源が必要です。
AC 電源入力ごとに、専用の分岐回路が必要です。AC 入力電源の公称値および許容範囲については、 表A-2 を参照してください。
図 2-7 に、北米およびその他の国で使用可能な、地域の AC 電源に接続する各種 AC 電源コードを示します。
表2-1 に、電源コード オプションを示します。AC 入力電源装置の電源コードは、いずれも長さ 14 フィート(4.3 m)です。
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DC PEM 接続の定格は最大 60 A です。PEM 接続ごとに専用の、同一定格の DC 電源が必要です。
DC電源コードとしては、同一定格の、撚り線ワイヤ銅線ケーブルの使用を推奨します。DC 電源シェルフ接続には、PEM ごとにアース ケーブル線× 1 およびケーブル線× 2(ソース DC 線 [-] およびソース DC 帰線 [+])が必要です。コードの長さは、電源に対するルータの位置によって異なります。
DC 電源コードは、電源シェルフ側でケーブル端子を使用して終端させる必要があります。端子は 2 穴で、0.625 インチ(15.88 mm)間隔の M6 端子スタッドに合うものでなければなりません(たとえば、Panduit Part Number LCD8-14A-L または同等のもの)。
図 2-8 に、DC 入力電源コードの接続に必要な端子のタイプを示します。
図 2-9 に、DC 入力電源シェルフの DC 配電方式を示します。
この図では、電源シェルフのベイ B1(背面パネルから見て DC 入力電源シェルフの右端のベイ)の DC 入力電源端子に、2 本の電源コードが接続されています。
入力 DC 電源コードの各線の色は、設置場所の DC 電源の色分け方式によって異なります。一般に、アース線にはグリーンまたはグリーン/イエローが使用されています。入力 DC 電源の配線に関しては、色分け規格がないので、プラス(+)およびマイナス(-)の極性に注意して、DC 入力電源シェルフの端子スタッドに電源コードを接続してください。
• 入力 DC 電源コードにプラス(+)またはマイナス(-)のラベルが付いている場合があります。ラベルに示されたとおりでほぼ間違いありませんが、念のために各 DC 線間の電圧を測定して、実際の極性を確認する必要があります。この測定では、プラス(+)線およびマイナス(-)線が、電源シェルフの(+)ラベルおよび(-)ラベルに一致していなければなりません。
• 一般に、アース線にはグリーン(またはグリーン/イエロー)が使用されています。
図 2-9 電源シェルフ ベイ B1 の一般的な入力 DC 電源コードの接続方式
DC 入力電源の公称値および許容範囲については、 表A-3 を参照してください。
ルータ シャーシでは電源シェルフへの電源接続の一部としてアース接続が必須ですが、セントラル オフィスのアース システムまたは内部機器のアース システムを、補助的な接合およびアース接続に接続することも推奨します。
補助コネクタは、シャーシ背面の電源インターフェイス パネルの上(図 2-10)およびシャーシ前面フランジ上の Switch Fabric Card(SFC; スイッチ ファブリック カード)ケージの下隅付近(図 2-11)にあります。このシステムの DC 戻り線はシステム フレームおよびシャーシ(DC-I)からは離しておく必要があります。
この接地点は、Network Equipment Building System(NEBS)接合およびアース接続ともいいます。
(注) これらの接合およびアース接続は、補助的接合およびアース接続に関する Telcordia NEBS 要件を満たします。ルータを設置する場所が NEBS 環境ではない場合には、これらの注意事項を省略し、AC および DC 電源シェルフの保護アース接続を利用してもかまいません。
図 2-10 ルータの接合およびアース レセプタクル--背面上部
図 2-11 ルータの接合およびアース レセプタクル--前面
ルータに補助アースを適切に接続するには、次の部品を使用します。
• アース端子× 2 -- 0.625 ~ 0.75 インチ(15.86 ~ 19.05 mm)間隔で 2 つの M6 ボルト穴があり、6 AWG 以上の銅より線ワイヤに対応する大きさのワイヤ レセプタクルを備えたものが必要です。この端子は、DC 入力電源装置のワイヤに使用するものと同様です(図 2-8 を参照)。
• M6 六角ナット× 2 およびロック ワッシャ(ニッケル メッキの真ちゅうが最適)
• アース線× 2 -- 6 AWG 以上の銅より線を推奨しますが、ワイヤ径および長さは、ルータを設置する位置および環境によって異なります。
ルータの設置場所を検討する際は、信号の距離制限、EMI(電磁波干渉)、およびコネクタの互換性について考慮する必要があります。電磁波フィールドで長距離の配線を行う場合、フィールドとワイヤ信号との間で干渉が発生することがあります。不適切な配線は、トラブルの原因になります。
• 特に雷または無線送信機が引き起こす強力な EMI。EMI はルータの信号ドライバおよびレシーバを破壊し、さらに回線から機器に電力サージを導くことによって、電気的な事故を引き起こす可能性があります。
(注) 強力な EMI を予測して対処するには、必要に応じて Radio Frequency Interference(RFI; 無線周波数干渉)の専門家に相談してください。
ツイストペア ケーブルを使用し、アース コンダクタが適切に配置されている場合、設置場所の配線が無線干渉を引き起こすことはほとんどありません。該当する場合は、データ信号ごとにアース コンダクタを配置した高品質のツイストペア ケーブルを使用してください。
配線が推奨距離を超える場合、または建物間にまたがって配線する場合は特に、付近で落雷が発生した場合の影響について、慎重に検討してください。雷などの高エネルギー現象で起こる Electromagnetic Pulse(EMP; 電磁波パルス)により、電子デバイスを破壊するエネルギーが非シールド導体に容易に発生する場合があります。過去に EMP の問題が発生した場合には、必要に応じて、電力サージ抑止やシールドの専門家に相談してください。
発生頻度は少なくても、壊滅的な状況につながる可能性のある問題は、大部分のデータ センタでは、パルス計などの特殊機器を使用しなければ解決できません。また、この種の問題が発生した場合、問題の特定と解決にきわめて時間がかかります。適切なアースとシールドを備えた環境を用意し、電力サージ問題の抑止に特に配慮することによって、この種の問題を回避できるように、必要な対策を講じることを推奨します。
ここでは、GRP のすべてのインターフェイスおよびポート接続について、ケーブル接続および信号の詳細情報を示します。さらに、イーサネット ルーティングおよび機器についても説明します。
• 「PRP の AUX およびコンソール ポート接続に関する注意事項」
GRP には EIA/TIA-232 ポートが 2 つあります(図 2-12 を参照)。
• AUX ポート -- モデムなどの Data Communications Equipment(DCE; データ通信装置)デバイス(CSU/DSU[チャネル サービス ユニット/データ サービス ユニット]、別のルータなど)を GRP に接続するための DB-25 プラグ Data Terminal Equipment(DTE; データ端末装置)モード ポート
• コンソール ポート -- ルータの初期設定を行うときにデータ端末に接続するための DB-25 レセプタクル DCE モード ポート
(注) AUX および コンソール ポートは、非同期シリアル ポートです。これらのポートに接続するデバイスは、非同期伝送能力が必要です。
図 2-12 GRP の AUX およびコンソール ポート接続
一部の標準的なケーブルのコネクタは大きすぎて、カード ケージの前面カバーにぶつかる場合があるため、モジュラ型 RJ-45 プラグ付きフラット ケーブルを GRP のコンソール ポートに接続できる、薄型ケーブル アダプタが付属しています。
GRP の AUX ポートは、モデムなどの DCE デバイスをルータに接続するための DB-25 DTE ポートです。この AUX ポートは、ハードウェア フロー制御およびモデム制御をサポートします。
表2-2 に、AUX ポートで使用される信号を示します。
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GRP のコンソール ポートは、ルータに DTE 端末デバイスを接続するための DB-25 DCE インターフェイスです。ルータの稼働中は、Data Set Ready(DSR; データ セット レディ)信号および Data Carrier Detect(DCD; データ キャリア検知)信号が両方ともアクティブです。コンソール ポートは、モデム制御またはハードウェア フロー制御をサポートしません。ストレート EIA/TIA-232 ケーブルが必要です。
コンソール ポートに端末を接続する前に、データ伝送速度(bps[ビット/秒])の端末設定を確認してください。端末の伝送速度の設定値は、GRP のコンソール ポートのデフォルト速度である、9600 bps に一致させる必要があります。端末の動作値を、9600 bps、8 データ ビット、パリティなし、2 ストップ ビット(9600 8N2)に設定してください。
表2-3 に、コンソール ポートで使用される信号を示します。
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GRP には 2 種類のイーサネット コネクタがあります(図 2-13 を参照)。
• RJ-45 Media-Dependent Interface(MDI; メディア依存型インターフェイス)
• 40 ピン D シェル タイプ Media-Independent Interface(MII; メディア独立型インターフェイス)
図 2-13 GRP RJ-45 および MII イーサネット コネクタ
使用できるのは、いずれか一方のイーサネット コネクタだけであり、両方のコネクタを同時に使用することはできません。どちらのイーサネット ポートがアクティブになっているかについては、GRP 前面パネルの 2 つの LED で確認できます。各接続は、10BASE-T および 100BASE-TX 規格に適合する IEEE 802.3 および IEEE 802.3u インターフェイスをサポートします。
(注) イーサネット ポートでは、Unshielded Twisted-Pair(UTP; シールドなしツイストペア)または Shielded Twisted-Pair(STP; シールド付きツイストペア)ケーブルのいずれも使用できます。ノイズに対して非常に強い耐性が求められる場合は、STP ケーブルの使用を推奨します。
GRP のイーサネット ポートは、外部ルーティング機能を提供しません。このポートの主な役割は、ルータへの Telnet ポートとして動作すること、および GRP のイーサネット ポートと直接接続されているネットワークを通じて Cisco IOS ソフトウェア イメージを起動またはアクセスすることです。
図 2-14に、次の例を示します。
• ルータ A のイーサネット ポート(E0)からは、ネットワーク 2.0.0.0 にアクセスできません。アクセスできるのはホスト A、ホスト B、およびルータ C だけです。いずれも ネットワーク 1.0.0.0 上に存在します(点線の矢印を参照)。
• ルータ A からネットワーク 2.0.0.0 にアクセスするには、ルータ A に搭載されたラインカードの 1 つ(この例では POS ラインカード)のインターフェイス ポートを使用する必要があります。ルータ A からのデータは、ルータ B およびルータ C 経由でルーティングされ、ネットワーク 2.0.0.0 に到達します(実線の矢印を参照)。
RJ-45 イーサネット接続には、外部トランシーバは不要です。図 2-15 に、RJ-45 イーサネット ポートにおけるピン配列および使用できるモジュラ型ケーブル ブラプを示します。
図 2-15 GRP の RJ-45 イーサネット レセプタクルおよびモジュラ プラグ
表2-4 に、コネクタで使用される RJ-45 ピンの信号を示します。
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RJ-45 ポートをハブまたはリピータに接続する場合は、図 2-16 に示したストレート ケーブルのピン割り当てを使用してください。
図 2-16 イーサネット ストレート ケーブルのピン割り当て
2 台の GRP をバックツーバックで接続する場合は、図 2-17 に示したクロス ケーブルのピン割り当てを使用してください
GRP の MII イーサネット接続には、100BASE-FX または 100BASE-T4 物理メディア用に、マルチモード ファイバへの接続を可能にする外部 Physical Sublayer(PHY; 物理サブレイヤ)および外部トランシーバが必要です。MII レセプタクルとスイッチまたはハブ間で使用するメディアのタイプに応じて、100 Mbps トランシーバのネットワーク側に、光ファイバ用 SC タイプまたは ST タイプ コネクタ、同軸ケーブル用 BNC コネクタ、またはその他の必要なハードウェアを適切に装備する必要があります。
図 2-18 に、GRP のメス MII コネクタにおけるピンの配列を示します。MII コネクタでは、 ジャックネジ と呼ばれる 2-56 ネジ タイプのロックを使用して、ケーブルまたはトランシーバを MII ポートに固定します。MII ケーブルおよびトランシーバには、刻み付き取り付けネジがあり、これを MII コネクタのジャックネジに固定して、MII ケーブルのストレイン レリーフを得ます。
表2-5 に、MII ポートで使用される信号を示します。
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送信クロック(Tx_CLK) 2 |
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表2-6 に、UTP ケーブルを使用する 100 Mbps 伝送のケーブル仕様を示します。
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1.64 フィート(0.5 m)(MII/MII ケーブル 5 ) |
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100BASE-FX で 3.28 フィート(1 m) 6 または 1,312 フィート(400 m) |
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656 フィート(200 m) 4 (リピータを 1 つ使用) |
3.EIA/TIA-568 または EIA-TIA-568 TSB-36 に準拠。シスコでは提供していません。 4.AWG = American Wire Gauge。このゲージは、EIA/TIA-568 の規格で定められています。 |
表2-7 に、100BASE-TX 接続の IEEE 802.3u 物理特性を示します。
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ここでは、PRP のすべてのインターフェイスおよびポート接続について、ケーブル接続および信号の詳細情報を示します。さらに、イーサネット ルーティングおよび機器についても説明します。
• AUX ポート -- モデムなどの DCE デバイス(CSU/DSU やその他のルータなど)を PRP に接続するための DTE RJ-45 インターフェイス
• コンソール ポート -- データ端末装置をルータに接続するための DCE RJ-45 インターフェイス。ルータの初期設定を行うために必要です。
(注) AUX および コンソール ポートは、非同期シリアル ポートです。これらのポートに接続するデバイスは、非同期伝送に対応する必要があります。
図 2-19 に、PRP から対応デバイスへの AUX およびコンソール ポート接続を示します。
図 2-19 PRP の AUX およびコンソール ポート接続
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PRP の AUX ポートは、PRP にモデムなどの DCE デバイス(CSU/DSU やその他のルータなど)を接続するための DTE RJ-45 インターフェイスです。この AUX ポートは、ハードウェア フロー制御およびモデム制御をサポートします。
表2-8 に、AUX ポートで使用される信号を示します。
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PRP のコンソール ポートは、ルータに端末を接続するための DCE JR-45 インターフェイスです。コンソール ポートは、モデム制御またはハードウェア フロー制御をサポートしません。ロールオーバ RJ-45 ケーブルが必要です。
コンソール ポートに端末を接続する前に、データ伝送速度(bps)の端末設定を確認してください。端末の伝送速度の設定値は、PRP のコンソール ポートのデフォルト速度である、9600 bps に一致させる必要があります。端末の動作値を、9600 bps、8 データ ビット、パリティなし、2 ストップ ビット(9600 8N2)に設定してください。
表2-9 に、コンソール ポートで使用される信号を示します。
ピン番号 |
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1 7 |
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8 1 |
PRP には、RJ-45 MDI イーサネット ポートが 2 つあります。ETH0 および ETH1 です(図 2-20 を参照)。
これらの接続は、10BASE-T および 100BASE-TX 規格に準拠する IEEE 802.3 および IEEE 802.3u インターフェイスをサポートします。イーサネット ポートの伝送速度は、デフォルトでは自動検知ですが、ユーザ側で設定できます。
PRP のイーサネット ポートは、外部ルーティング機能を提供しません。このポートの主な役割は、ルータへの Telnet ポートとして動作すること、および PRP のイーサネット ポートと直接接続されているネットワークを通じて Cisco IOS ソフトウェア イメージを起動またはアクセスすることです。
図 2-21に、次の例を示します。
• ルータ A のイーサネット ポート(E0)からは、ネットワーク 2.0.0.0 にアクセスできません。アクセスできるのはホスト A、ホスト B、およびルータ C だけです。いずれも ネットワーク 1.0.0.0 上に存在します(点線の矢印を参照)。
• ルータ A からネットワーク 2.0.0.0 にアクセスするには、ルータ A に搭載されたラインカードの 1 つ(この例では POS ラインカード)のインターフェイス ポートを使用する必要があります。ルータ A からのデータは、ルータ B およびルータ C 経由でルーティングされ、ネットワーク 2.0.0.0 に到達します(実線の矢印を参照)。
RJ-45 イーサネット接続には、外部トランシーバは不要です。図 2-22 に、RJ-45 イーサネット ポートにおけるピン配列および使用できるモジュラ型ケーブル ブラプを示します。
表2-10 に、コネクタで使用される RJ-45 ピンの信号を示します。
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RJ-45 ポートをハブまたはリピータに接続する場合は、図 2-23 に示したストレート ケーブルのピン割り当てを使用してください。
図 2-23 ハブまたはリピータに接続するストレート ケーブルのピン割り当て
2 台の PRP をバックツーバックで接続する場合は、図 2-24 に示したクロス ケーブルのピン割り当てを使用してください
図 2-24 PRP 間を接続するクロス ケーブルのピン割り当て
表2-11 に、UTP ケーブルを使用する 100 Mbps 伝送のケーブル仕様を示します。
(注) イーサネット ポートの伝送速度は、デフォルトでは自動検知ですが、ユーザ側で設定できます。
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656 フィート(200 m) 10 (リピータを 1 つ使用) |
8.EIA/TIA-568 または EIA-TIA-568 TSB-36 に準拠。シスコでは提供していません。 9.AWG = American Wire Gauge。このゲージは、EIA/TIA-568 の規格で定められています。 |
表2-12 に、100BASE-TX の IEEE 802.3u 物理特性を示します。
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• 一方のアラーム カードは、上部カード ケージ 左端 の専用スロットに搭載されます。
• もう 1 つのアラーム カードは、下部カード ケージ 右端 の専用スロットに搭載されます。
各アラーム カードの前面パネルに 25 ピン D サブコネクタ(ALARM)が 1 つあり、このコネクタを使用して、外部のアラーム メンテナンス システムにルータを接続します(図 2-25 を参照)。クリティカル、メジャー、またはマイナー アラームが発生すると、アラーム カードのアラーム リレーが有効になり、外部アラームをアクティブにします。
アラーム カード上のアラーム リレー コンタクトは、標準の コモン 、 通常オープン 、および 通常クローズ のリレー コンタクトで構成され、これらがコネクタのピンに接続されています。
(注) GR-1089-CORE、Issue II、Revision 01、February 1999 の建物内落雷サージ要件に適合させるために、アラーム カードの外部アラーム ポートに接続する場合は、シールド付きケーブルを使用する必要があります。シールド付きケーブルは、両端ともシールド付きコネクタで終端し、両方のコネクタにケーブルのシールド素材が接合されています。
表2-13 に、ケーブル コネクタ ピンとアラーム カード リレー コンタクト間のピンと信号の対応関係を示します。
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