設置場所の計画
ここでは、Cisco NCS 520 の設置場所を計画する方法について説明します。
一般的な注意事項
シャーシの使用および取り扱いについては、次の一般的な注意事項を守ってください。
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システムコンポーネントをラジエータや熱源の近くに置かないでください。また、通気口をふさがないでください。
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コンポーネントの上に食べ物や液体をこぼさないでください。また、水気のある環境で本製品を操作しないでください。
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システムコンポーネントの開口部には、何も押し込まないでください。内部コンポーネントがショートして火災や感電の原因となる可能性があります。
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システムケーブルおよび電源コードの位置に注意してください。踏みつけたり、つまずいたりすることがないように、システムケーブルおよび電源コードを引き回して接続する必要があります。システムコンポーネントのケーブルや電源コードの上に、何も乗っていないことを確認してください。
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電源ケーブルとプラグを改造しないでください。場所を変更する場合は、ライセンスを待つ電気技術者または電力会社にお問い合わせください。必ず、地域および国の配線規則に従ってください。
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システムの電源を切断した場合は、システムコンポーネントの損傷を防ぐために、30 秒以上の間隔を置いてから電源を再投入してください。
設置環境のチェックリスト
次のチェックリストを使用して、設置場所の準備作業をすべて実行してください。
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設置場所が環境条件を満たしている。
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設置場所の空調システムで、シャーシの発熱量に対応できる。
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シャーシを配置する部分の床がシステムの重量に耐えられる。
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設置場所の供給電力が電気製品を扱う場合の要件に適合している。
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シャーシに電力を供給する電気回路が電源要件に適合している。
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TIA/EIA-232F に従って、コンソールポートの配線とケーブル接続の制限が考慮されている。
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シャーシのイーサネットケーブル接続距離が規定された制限の範囲内である。
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シャーシの設置を予定している装置ラックが、規定された要件に適合している。
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ラックの場所を決める際は、安全性、メンテナンスの容易さ、および適切なエアーフローの要件を考慮する。
設置場所の選択に関する注意事項
デバイスには、環境面で固有の動作条件があります。温度、湿度、高度、および振動がデバイスのパフォーマンスおよび信頼性を左右する可能性があります。
このデバイスは、業界の EMC、安全性、および環境基準を満たすように設計されています。
設置場所の計画のエアーフロー
デバイス |
機能 |
最大システム温度での最大システムエアーフロー(CFM) |
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N520-4G4Z-A |
Cisco NCS 520 - 4xGE + 4x10GE、商業用温度、AC 電源 |
25.0 |
N520-X-4G4Z-A |
Cisco NCS 520 - 4xGE + 4x10GE、工業用温度、AC 電源 |
28.0 |
N520-X-4G4Z-D |
Cisco NCS 520 - 4xGE + 4x10GE、工業用温度、DC 電源 |
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N520-20G4Z-A |
Cisco NCS 520 - 20xGE + 4x10GE、商業用温度、AC 電源 |
50.0 |
N520-20G4Z-D |
Cisco NCS 520 - 20xGE + 4x10GE、商業用温度、DC 電源 |
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N520-X-20G4Z-A |
Cisco NCS 520 - 20xGE + 4x10GE、工業用温度、AC 電源 |
57.0 |
N520-X-20G4Z-D |
Cisco NCS 520 - 20xGE + 4x10GE、工業用温度、DC 電源 |
環境要件
シャーシの環境モニタリングは、過電圧や過熱状態による損傷からシステムおよびコンポーネントを保護します。正常なシステム動作を維持し、不要なメンテナンスの手間を省くには、設置作業を行う前に、設置環境の条件を整えておく必要があります。設置が完了したら、環境特性が満たされていることを確認します。
外部プラントを設置(セルサイトキャビネット、仮設小屋など)する場合は、空気汚染、埃、湿気、昆虫、有害生物、腐食ガス、汚染大気やその他の反応性要素からシャーシを保護する必要があります。ユニットは完全に密閉されたエンクロージャまたはキャビネットに設置することをお勧めします。このようなキャビネットの例には、Telecordia GR487 に準拠した熱交換器を備えた IP65 キャビネットが含まれます。温度は –40 ºC ~ 70 ºC の範囲に保つ必要があります。
エンクロージャによって天候と環境の直接的な影響から保護されている空間内にデバイスを配置します。
プレミアムバリアントの場合は、動作環境が GR-3108-CORE のクラス 2 で定義されていることを確認します。
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-40 °C(-104°F)~ 70 °C(158°F)
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5 ~ 85% RH
基本バリアントの場合は、動作環境が GR-3108-CORE のクラス 1 で定義されていることを確認します。
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-5 °C(23°F)~ 50 °C(122°F)
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< 5 ~ 85% RH
寸法および重量
デバイスを適切な場所に設定するには、その物理的特性に精通している必要があります。
エアーフローに関するガイドライン
冷気は、デバイスの後方に取り付けられているファンによってシャーシを循環します。
内部ファンは、通気口から冷えた空気を取り込み、シャーシに空気を循環させることにより、内部コンポーネントの正常な動作温度を維持します。
エアーフローの方向は、前面から背面に向かっています。
装置ラックを十分なエアーフローが通過するようにするために、少なくとも以下に示す空間を常時確保することをお勧めします。
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前面の空間:5 インチ(12.7 cm)
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背面の空間:3.93 インチ(10 cm)
次の点に注意してください。
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シャーシと他のデバイスを背中合わせに配置する場合は、その間に最低 3.93 インチ(10 cm)のエアーフロー空間を確保してください。また、シャーシの後ろにあるデバイスが、シャーシに空気を吹き付ける場所に設置されていないことを確認してください。
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ラック内での通気が制限されている場合、またはラックおよびデバイスに流入した空気が高温になっている場合は、過熱状態がラック内で発生することがあります。
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埃がない場所であることを確認します。埃はデバイスのファンに詰まる傾向があり、機器ラックと、ラックに配置されているデバイス内で冷気の流れが低下するため、過熱状態のリスクが高まります。
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閉鎖型ラックの場合、換気が十分に行われるようにしてください。各デバイスから放熱されるため、ラックに詰め込みすぎないようにしてください。冷気が回るように、閉鎖型ラックにはルーバーが付いた側面とファンが必要です。ラックの下部近くにある機器による放熱は、上部にある機器の吸気口に流れ込む可能性があります。
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オープンラックにシャーシを設置する場合、ラックフレームが排気ファンをふさがないようにしてください。
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ラックに設置された機器、特に閉鎖型ラック内の機器に障害が発生した場合、可能であればその機器を操作してみてください。そのラック(および隣接するラック)内にあるその他すべての機器の電源を切ることで、デバイスに最大の冷気とクリーン電力を供給できます。
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シャーシの吸気口に隣接機器の排気が流れ込むような場所には、シャーシを設置しないでください。デバイス内をどのように空気が流れるかを検討してください。エアーフローの方向は、前面から背面であり、シャーシ側面の吸気口から周囲の空気が取り込まれます。
注意 |
いずれのタイプのラック機器にデバイスを設置する場合にも、デバイスへの吸入空気の温度が、製品の指定された動作温度制限を超えないようにしてください。 |
ETSI ラックに取り付ける場合のエアーフローに関する注意事項
支柱が 2 本または 4 本のラックにデバイスを設置するには、キャビネットの前面と背面のドアを取り外す必要があります。次の図に示すように最小の空間距離を常に保つことをお勧めします。
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前面の空間:5 インチ(12.7 cm)
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背面の空間:3.93 インチ(10 cm)
4 支柱の閉鎖型キャビネットにシャーシを取り付ける場合は、シャーシの両側に 3.93 インチ(10 cm)以上のスペースを確保してください。
床荷重に関する考慮事項
シャーシを支えるラック下の床は、ラックとその他すべての搭載機器の合計重量を支えられる強度があることを確認してください。
床荷重要件の詳細については、『GR-63-CORE, Network Equipment Building System (NEBS) Requirements: Physical Protection』のマニュアルを参照してください。
設置場所の電源に関する注意事項
シャーシには、電源および電気配線についての固有の要件があります。これらの要件を満たすことによって、信頼できるシステム動作が保証されます。シャーシの設置場所の電源を準備するときは、次の注意事項および推奨事項に従ってください。
- 冗長電源のオプションは、2 番目の同一種類の電源を提供して無停電電源を確保します。
- それぞれの電源装置を個別の入力電源に接続します。別の電源に接続しないと、外部配線に不具合があったり、回路ブレーカーが落ちたりした場合、システム全体の電力が失われることになります。
- 入力電力の損失を防ぐため、各回路上の最大負荷は配線とブレーカーの定格電流の範囲内となるようにしてください。
- 設置前に設置場所の電源を確認し、設置後も定期的に確認して、クリーン電力が供給されるようにしてください。必要に応じて、電力調整器を取り付けてください。
- 電力線への落雷や電力サージを原因とするけがや機器の損傷を防ぐために、適切なアースを施してください。シャーシアースは、セントラルオフィスまたはその他の内部アースシステムに接続する必要があります。
注意 |
この製品は、設置する建物に回路短絡(過電流)保護機構が備わっていることを前提に設計されています。国および地域の電気規格に準拠するように設置する必要があります。 |
(注) |
シャーシの設置は、適用可能なすべてのコードに準拠する必要があり、銅の導体のみでの使用が認可されています。金具を固定するアースボンドは、適合性のある材料にする必要があります。また、金具や結合材料の緩み、劣化、電食が起きないものにする必要があります。シャーシアースとセントラルオフィスまたはその他の内部アースシステムとの結合は、6 AWG ゲージのワイヤ、銅のアース導体を使用して行う必要があります。 |
電気回路の要件
各シャーシには、専用の電気回路が必要です。デバイスを二重化電源にする場合は、電源モジュールごとに別々の回路を用意し、電源の冗長化機能が損なわれないようにする必要があります。
シャーシは、DC 電源または AC 電源の両方をサポートしています。機器がアースされていて、電源ストリップ定格に従っていることを確認してください。電源ストリップに接続する全製品の合計アンペア定格が、定格の 80% を超えないようにしてください。
設置場所のケーブル配線に関する注意事項
ここでは、設置場所の配線およびケーブル接続に関する注意事項を取り上げます。シャーシをネットワークに接続できるように設置場所を準備する際は、各コンポーネントに必要なケーブルのタイプと、ケーブルの制限事項を考慮してください。シグナリングの距離制限、電磁干渉(EMI)、およびコネクタの適合性を検討します。使用できるケーブルタイプは光ファイバ、太いまたは細い同軸、ホイルツイストペア、シールドなしツイストペアです。
さらに、トランシーバ、ハブ、スイッチ、モデム、チャネルサービスユニット(CSU)、データサービスユニット(DSU)など、必要なその他のインターフェイス機器も検討してください。
シャーシを設置する前に、ほかに必要なすべての外部機器およびケーブルを手元に用意してください。発注については、シスコのカスタマーサービス担当者にお問い合わせください。
ネットワークの規模およびネットワーク インターフェイス接続間の距離は、次の要因にも左右されます。
- 信号タイプ
- 信号速度
- 伝送メディア
ここで示す距離およびレート制限は、シグナリングを目的とした IEEE 推奨の最大速度と最大距離です。シャーシを設置する前に、この情報を参考にしてネットワーク接続のプランニングを行ってください。
配線が推奨距離を超える場合、または配線が建物間にまたがる場合は、近辺で発生する落雷の可能性に十分に注意してください。雷などの高エネルギー現象に起因する電磁パルスにより、電子装置を破壊するほどのエネルギーが非シールド導体に発生することがあります。過去にこのような問題が発生した場合は、電力サージ抑止やシールドの専門家に相談してください。
非同期端末の接続
シャーシは、ローカルコンソールアクセス用の端末またはコンピュータを接続するコンソールポートを提供します。このポートは RJ-45 コネクタを備えており、IEEE RS-232 規格で指定された推奨距離の RS-232 非同期データをサポートします。
干渉に関する考慮事項
ある程度の距離にわたって配線する場合は、遊離信号が配線上で干渉として受信されるリスクがあります。干渉信号が強い場合、データ エラーや機器の損傷を引き起こすことがあります。
ここでは、干渉の原因と、シャーシへの影響を最小限に抑える方法について説明します。
EMI
AC 電流を動力とするすべての機器は、EMI を引き起こす可能性のある電気エネルギーを伝達し、他の機器の動作に影響を与えることがあります。EMI の代表的な発生源は、機器の電源コードおよび電力会社からの電力供給ケーブルです。
強力な EMI は、シャーシ内の信号ドライバおよびレシーバを破壊する可能性があります。さらに、電力線を通じて設置機器に電源サージが発生し、電気事故を引き起こすこともあります。このような問題が起きることはめったにありませんが、いったん起きると深刻な事態になります。
これらの問題を解決するには、専門知識および特殊な機器が必要であり、時間もコストも相当かかる場合があります。しかし、電気環境のアースおよびシールドが適切であることを確認し、電力サージを抑制する必要性に十分配慮することができます。
無線周波数干渉
電磁場が長距離に及ぶ場合、RFI(無線周波数干渉)が伝達される可能性があります。建物の配線がしばしばアンテナの役割を果たし、RFI 信号を受信して、配線上で EMI をさらに増やします。
アース用導体を適切に配置してプラント配線にツイストペアケーブルを使用した場合、プラント配線から無線干渉が発生することはほとんどありません。推奨距離を超える場合は、データ信号ごとにアース導体を 1 つずつ使用し、高品質のツイストペアケーブルを使用してください。
雷および AC 電源障害の干渉
信号線が推奨ケーブル距離を超える場合、または信号線が複数の建物にまたがる場合は、シャーシへの落雷の危険があります。
雷などの高エネルギー現象がもたらす EMP(電磁パルス)により、電子機器を損傷または破壊するほどのエネルギーが非シールド導体に発生することがあります。この種の問題については、RFI および EMI の専門家に相談し、動作環境において適切な電力サージ抑制および信号ケーブルのシールドを確保する必要があります。
ラックに設置する場合の注意事項
ここでは、ラックの選択とラックへのシャーシの取り付けに関する注意事項を示します。
ラックマウントに関する注意事項
安全を確保するために、ラックマウントに関する次の注意事項に従ってください。
- ラックからコンポーネントを引き出す前に、ラックが水平で安定していることを確認してください。
- ラック内のコンポーネントに適切なエアーフローが確保されていることを確認してください。
- ラック内のシステムまたはコンポーネントを保守するときに、他のコンポーネントまたはシステムの上に足をかけたり、乗ったりしないでください。
- ラックにスタビライザが付いている場合は、スタビライザを取り付けてから、シャーシの取り付けや保守を行ってください。
ラックの選択に関する注意事項
選択した 2 本/4 本支柱の 19 インチ(48.3 cm)または 23 インチ(58.42 cm)ラックが、装置ラックの米国電子工業会(EIA)規格(EIA-310-D)に準拠していることを確認してください。ラックは最低 2 支柱で、シャーシをマウントするための取り付けフランジを備えている必要があります。
注意 |
いずれのタイプのラック機器にシャーシを取り付ける場合にも、シャーシへの吸入空気の温度が、シャーシの指定された動作温度制限を超えないようにしてください。 |
2 つの支柱にある取り付け穴の中心線間の距離は、18.31 インチ ± 0.06 インチ(46.50 cm ± 0.15 cm)である必要があります。シャーシに付属しているラックマウント金具は、大部分の 19 インチ(48.3 cm)装置ラックに適しています。
次の機能を備えたラックにシャーシを取り付けます。
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NEBS 準拠、19 インチ(48.3 cm)ラック、または 23 インチ(58.42 cm)ラック。
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取り付けレールの EIA または European Telecommunications Standards Institute(ETSI)の穴パターン。必要な取り付け金具は、シャーシに付属しています。シャーシの取り付けを予定しているラックに、メートルネジ用のレールがある場合は、独自にメートル取り付け金具を用意する必要があります。
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過熱防止の換気用に穴が空いた天板と開放型の底面。
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安定性を確保するための水平調節脚。
デバイスを閉鎖型ラックに設置しないでください。動作温度を許容範囲内で維持するために、シャーシの冷気の流れが妨げられないようにする必要があるからです。閉鎖型ラックを使用する場合は、エアーフローの要件が「エアーフローに関する注意事項」の説明に従って維持されていることを確認します。