NextPort ベースのプラットフォームを使用する際、ルータ上で動作する NextPort コードのバージョンを確認しなければならないことがよくあります。 しかし、コードのフォーマット方法および命名方法により、確認することが難しい場合もあります。 このドキュメントでは、NextPort プラットフォームのコードのバージョンを判別するのに役立つガイドラインを示します。
このドキュメントに関しては個別の要件はありません。
このドキュメントの情報は、次のハードウェアのバージョンに基づくものです。
NextPort ダイヤル フィーチャ カード(DFC)
AS5350、AS5400、AS5800、AS5850 などの NextPort 対応プラットフォーム
本書の情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されたものです。 このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。 稼働中のネットワークで作業を行う場合、コマンドの影響について十分に理解したうえで作業してください。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
NextPort モデム サブシステムは、NP30 や NP36 などの番号で実装されます。 たとえば、DFC-NP108 には 3 つの NP36 があります(3 X 36 = 108)。一方、DFC-NP60 には 2 つの NP30 があります(2 X 30 = 60)。 324 UPC には 9 つの NP36 が組み込まれています。
これらのモデム サブシステム(NP30 または NP36)には、それぞれ 5 つか 6 つの CSMV/6 コアと 1 つの i960 プロセッサが搭載されています。 i960 は Cisco IOS® と CSMV/6 間の通信パスを処理します。
各 CSMV/6(6 ポートのセントラル サイト モデム(csm)デバイス)には、1 つの ARM 制御プロセッサ(AT インターフェイスと EC/DC レイヤを処理します)および 3 つの DSP(それぞれが 2 つのポートのモデム変調または音声の符号化を処理します)が含まれています。
たとえば、60 ポート DFC-NP60 カードには 2 つの NP30s があり、それぞれに 5 つの CSMV/6(それぞれは 6 つのポートを処理します)が含まれています。 各 NP30 には、i960 コードの 1 つのインスタンスとその内部で実行する CSMV/6 コードの 5 つのインスタンスが存在します。
i960 コード(「NextPort イメージ」とも呼ばれます)には、シスコでは「np.ios」と呼ぶ形式のファイルが含まれています。 このコードはバンドルせずに使用することはできませんが、Cisco IOS イメージにしかバンドルできません。
np.ios には i960 コードと CSMV/6 コードが含まれています。 np.ios バージョンは「2.3.5.108」のように表示されます。 np.ios バージョン番号 w.x.y.z には、以下のメンバーが含まれています。
フェーズ(メジャー機能のバージョン) | ブランチ(マイナー機能のバージョン) | i960 バージョン(w.x が 2.2 未満の場合、重要ではありません) | CSMV/6 マイナー バージョン番号 | |
---|---|---|---|---|
w | X | y | z | |
例 | 2 | 3 | 5 | 108 |
shownextport mm を使用して np.ios バージョンを確認できます。 例:
esc-5400#show nextport mm IOS bundled NextPort image version: 2.3.5.108 !--- The i960 code version is 2.3.5.108. NP Module(0 ): state = MODULE NOT INSERTED NP Module(1 ): state = MODULE NOT INSERTED NP Module(2 ): state = MODULE NOT INSERTED NP Module(3 ): slot=1, dfc=0, module=0 state = MODULE RUNNING crash=0, bad=0, restarts=0, num SPEs=6 SecondaryQ hits=0, current held=0 NP Module(4 ): slot=1, dfc=0, module=1 state = MODULE RUNNING crash=0, bad=0, restarts=0, num SPEs=6 SecondaryQ hits=0, current held=0 NP Module(5 ): slot=1, dfc=0, module=2 state = MODULE RUNNING crash=0, bad=0, restarts=0, num SPEs=6 SecondaryQ hits=0, current held=0 ... ... !--- Output omitted. ... NP Module(21): state = MODULE NOT INSERTED NP Module(22): state = MODULE NOT INSERTED NP Module(23): state = MODULE NOT INSERTED
i960 コードをアップグレードする必要がある場合(バグが原因など)、プラットフォームの Cisco IOS をアップグレードする必要があります。 ルータのリロードを行わずに i960 コードをリロードすることは、サポートされていません。
CSMV/6 コード(「SPE コード」とも呼ばれます)は、np.ios ファイルにバンドルして使用することができます(したがって、Cisco IOS イメージにもバンドルされます)。 しかし、i960 コード/np.ios とは異なり、このコードはバンドルせずに使用することもできます。また、SPE(CSMV/6)ごとに別個にロードすることができます。 CSMV/6 バージョン番号は「7.11」または「6.103.11」のように表示されます。 CSMV/6 バージョン番号 a.b [.c] の「b」メンバーは、i960 np.ios w.x.y.z の「z」メンバーにマップされます。 たとえば、np.ios 2.3.5. 108 には、SPE バージョン 6.108 が含まれます。
show spe version を使用して SPE バージョンを確認できます。 実際の CSMV/6 バージョン番号 a.b[.c] は、show spe version の出力(0.a.b.c)にマップされます。
次の表は、CSMV/6 バージョンと show spe version の出力との間のマッピングの例を示しています。
CSMV/6 バージョン | show spe version の出力 |
---|---|
7.15 | 0.7.15.0 |
6.103.11 | 0.6.103.11 |
6.108 | 0.6.108.0 |
次の show spe version の出力には、SPE バージョン 6.108 と 7.15 の AS5400 が示されています。
esc-5400#show spe version IOS-Bundled Default Firmware-Filename Version Firmware-Type ===================================== ============ ============= system:/ucode/np_spe_firmware1 0.6.108.0 SPE firmware !--- The SPE version bundled with IOS is 6.108. !--- Remember that this matches with the i960 value 2.3.5.108. On-Flash Firmware-Filename Version Firmware-Type ===================================== ============ ============= bootflash:np.7.15.spe 0.7.15.0 SPE firmware !--- Another spe file (version 7.15) has been loaded in bootflash: SPE-# Type Port-Range Version UPG Firmware-Filename 1/00 CSMV6 0000-0005 0.7.15.0 N/A bootflash:np.7.15.spe !--- SPE 1/00 uses the SPE code in bootflash (Version 7.15). !--- Use the firmware location command to accomplish this. 1/01 CSMV6 0006-0011 0.6.108.0 N/A ios-bundled default !--- All the other SPEs use the SPE code (6.108) bundled with IOS. 1/02 CSMV6 0012-0017 0.6.108.0 N/A ios-bundled default 1/03 CSMV6 0018-0023 0.6.108.0 N/A ios-bundled default 1/04 CSMV6 0024-0029 0.6.108.0 N/A ios-bundled default 1/05 CSMV6 0030-0035 0.6.108.0 N/A ios-bundled default 1/06 CSMV6 0036-0041 0.6.108.0 N/A ios-bundled default 1/07 CSMV6 0042-0047 0.6.108.0 N/A ios-bundled default ... ... !--- Output omitted. ... 6/15 CSMV6 0090-0095 0.6.108.0 N/A ios-bundled default 6/16 CSMV6 0096-0101 0.6.108.0 N/A ios-bundled default 6/17 CSMV6 0102-0107 0.6.108.0 N/A ios-bundled default
CSMV/6 コード(SPE コード)は、IOS バンドル SPE バージョンとは関係なしに、SPE ごとに自由にロードできます。 つまり、SPE コードは、ルータのリロードを行わずにアップグレードすることができます。 アップグレード手順については、「Cisco デジタル モデム内蔵ルータにおけるファームウェア/ポートウェアのアップグレード」を参照してください。