エンタープライズ ネットワーク ユーザ事例

ソニーはグローバル IPv6 化プロジェクトにシスコ ソリューションを採用

ユーザ事例





ソニーはグローバル IPv6 化プロジェクトにシスコ ソリューションを採用



ソニーは「One Sony」実現のために、グローバルかつ事業部を越えたコラボレーション、ビジネスの加速を目的とし、IPv6 環境へ移行を実施中。シスコの包括的なソリューションがソニーの IPv6 化に貢献。


ビジネス上の課題


ソニー株式会社(本社:東京)は、エレクトロニクス商品およびエンタテインメントを扱う世界最大規模の企業です。

2007 年初めに、ソニーは複雑化した企業ネットワークの問題への対応を開始しました。

ソニーはビジネスのグローバルへの拡大、同社が製造・販売する製品群、コンテンツ、サービスのラインナップの激増により、事業部・グループ企業間のシナジー創出に向けた更なる協業が急務となっていました。しかしながら、IPv4 規格に基づく複雑化した企業ネットワークでは、ビジネスの更なる成長に障害を来す可能性がありました。

このときソニーは、これまでに行ってきた大規模なビジネス拡大に伴い、企業ネットワークの拡張に悩んでいました。M&A やジョイント ベンチャーにより、同社のネットワークは非常に複雑なものへと変化していました。多くの場合、独立して発展してきた企業は同じ IP アドレスを使用しており、吸収されたネットワーク システムと通信で競合が発生し、ソニー グループ企業間のコミュニケーションを阻害していました。また、ソニー グループ企業のネットワークがそれぞれ独立しているがゆえに、クラウド サービス等の導入に際しても多くの困難が立ちはだかっていました。ソニー グローバル ソリューションズ株式会社ネットワーク サービス部統括課長兼主任技師、平賀十志男氏は、「このような状況に対応するためのシステム設計および、課題解決やトラブルシューティングに、ソニーの IT スタッフは莫大な時間をかけていた」と述べています。

また、このような状況ではソニーの従業員の通信手段が大きく制限され、生産性にも影響が及んでいました。平賀氏は、「グループ企業間および拡張したビジネス領域でのコラボレーションの需要が爆発的に増えましたが、ファイル共有やリアルタイム コミュニケーション等の高度なコラボレーションが一部実現できていませんでした」と述べています。

以上のように、企業ネットワークの複雑性が、事業部・グループ企業間の連携、スムースな M&A、生産的なコラボレーションの推進、クラウド サービスの活用というソニーの取り組みを阻む重大な要因の 1 つとなっていました。

そこでこれらの問題を抜本的に解決する施策として、ソニーは IPv6 への早期移行が最も戦略的に有効であると判断しました。ほぼ無制限といえるネットワーク アドレス プールを備えた IPv6 に移行すれば、ソニーの長期的な次世代 ICT インフラ戦略をサポートし、拡大するビジネスおよびコラボレーションの課題を解決できることは明白でした。

ネットワーク ソリューション


図 1 に示すように、ソニーはサイロ化していた IPv4 中心のネットワーク アーキテクチャから、統合されたエンドツーエンドの IPv6 ネットワーク アーキテクチャに移行する必要がありました。多くの大規模なグローバル企業と同様、ソニーはネットワーク アドレス変換(NAT)を導入し、重複してした IPv4 アドレス変換して接続性を確保していました。

図 1 ソニーの IPv4 から IPv6 への移行計画

図 1 ソニーの IPv4 から IPv6 への移行計画


IPv6 への移行に関しては多大な作業が発生しました。700 にもおよぶ拠点、数十万のネットワーク接続されたデバイス、世界中に分散する数十万人のネットワーク ユーザがプロジェクトの対象となりました。IPv4 から IPv6 への移行期には、両方のプロトコルをサポートする必要があります。ソニーの企業ネットワークはレガシーの多様なネットワークおよびデバイスで構成されており、あるデバイスとアプリケーションは IPv4 のみをサポートし、当面 IPv6 をサポートしないというものでした。このため、現状の IPv4 ネットワークと共存させながら、最終的に IPv6 に完全に移行する計画をたてることがソニーの重要な課題でした。

平賀氏とそのチームは、IPv4 から IPv6 への移行のニーズに対処するために、シスコを含めさまざまなソリューションを検討した結果、最終的に、ソニーはシスコを重要な戦略的パートナーと位置付けることにしました。ソニーは複数年にわたるプロジェクトの中で、IPv6 ネットワーク のデザインと実装に関して、シスコの米国および日本のエンジニアと幾度となく議論を重ねました。またシスコを重要なパートナーと位置付ける決め手となったもう 1 つの主な要因は、シスコの IPv6 技術の成熟度です。シスコの主力製品であるルータとスイッチをはじめとする多くの製品における IPv6 対応スケジュールはソニーのプロジェクト スケジュールとおおむね一致していました。

シスコは IPv6 技術のパイオニアとして、1990 年代から IETF などの規格団体において IPv6 規格の開発を牽引しています。そして 2001 年には、IPv6 をサポートする Cisco IOS の最初の商用バージョンを発表しました。

シスコのすべての次世代ルーティングおよびスイッチング プラットフォームには IPv6 サポートが組み込まれ、一連の相互運用性および準拠テストにも合格しており、国際的に認知されている IPv6 Ready ロゴ認定を取得しています。

ソニーが管理および運用する必要のあるさまざまなビジネス アプリケーションがそれぞれの優先度に基づいて IPv6 化を選択できるよう、シスコはデュアル スタック、アドレス変換およびトンネリングなどの確立された技術を使用したさまざまな移行技術のオプションを提案しました。

シスコ IPv6 ソリューションを用いてソニーの IPv6 ネットワークが稼働


ソニーは東京本社において、6 ヵ年の段階的な IPv6 移行プロジェクトの策定、検証、実装に着手しました。

2011 年 3 月に東京都内に完成した拠点においては、ソニーはエンドツーエンドで IPv6 ready なネットワークを目指しました。シスコ製品群(Cisco Catalyst シリーズ スイッチ、Cisco ワイヤレス LAN コントローラ、Cisco アクセス ポイントなど)を用いて、ローカル エリア ネットワーク、ワイヤレス ネットワークを含め将来の IPv6 化を念頭においた完全デュアル スタック ネットワークを構築しました。


ソニーのグループ企業とのネットワーク統合プロジェクトにおいては、スケーラブルで信頼性の高い Cisco アグリゲーション サービス ルータ(ASR)1000 シリーズ ルータを導入し、IPv6 での相互接続を短期間にて実現しました。統合されたネットワークは、ソニーの商品開発のための基盤として活用されました。

また、ブランチ サイトにはシスコ サービス統合型ルータ(ISR)G2 が導入されました。ソニーは IPv4 と IPv6 の同時トラフィック処理を行えるよう、社内データセンター、キャンパス、およびリモート オフィスのシスコ製スイッチのアップグレードも行いました。

このように日本のサイトではネットワーク ルーティングおよびスイッチ デバイスの大半が IPv6 対応ですが、アフリカや中東など、海外地域の多くではインフラストラクチャはまだ IPv6 に対する要求をサポートできないため、IPv4 と IPv6 のデュアル サポートは今後も必要となります。また、デュアル サポートが欠かせない別の例として、製造現場が挙げられます。平賀氏は、「ネットワーク接続された製造システムの多くは IPv4 で実行されており、これらのシステムの使用期間が終了するまでサポートする必要があります」と語っています。

導入の効果


平賀氏とそのチームは、同社が「One Sony」というビジネス ゴールを目指す中で、目覚ましい成果をいくつか達成しています。

「One Sony」を情報システムからサポート

IPv6 のスケーラブルなアドレス体系によって IP 競合の問題が排除されます。ソニーのすべての部署の従業員は、IP を活用したリアルタイムのコラボレーション アプリケーションを活用して生産性を向上させることができます。

また、ソニーの NAT デバイスの大半が不要になり、時間のかかる作業も省くことができました。さらに、新たなグループを企業ネットワークに接続するためにかかるリードタイムは、IPv6 化により数ヶ月に大きく短縮されました。

ソニーの長期的な次世代 ICT インフラ戦略としてスタートした IPv6 移行プロジェクトを通じて、企業ネットワークはより柔軟性の高い、かつ通信制限の無いネットワークとなってきています。これにより、ネットワークの TCO を削減しつつ、拡大するビジネスおよびコラボレーションの要望に対応し、「One Sony」を情報システムからサポートすることを目指しています。平賀氏は次のように述べています。「本プロジェクトではさまざまな場面で導入効果が出ております。グループ企業とのネットワーク統合では、迅速にIPv6 ネットワークを構築することで、開発・設計を含めた業務レベルでの生産性の向上、ビジネスの早期立ち上げに貢献しました」

「他社に先駆けて IPv6 の導入を始められたのは、IPv6 対応の製品開発で実績があるシスコがスケジュールをコミットし、プロジェクト中の困難な課題に対しても柔軟かつ迅速な対応を約束してくれたからだと思っています。ソニー内部のネットワーク アーキテクチャを踏まえたシスコのアドバイスで、最終的には、現在の技術水準に対して矛盾がなく、運用面でも負担が少ないものが出来上がったのは大きな成果だと感じています。ソニーでは、国や会社の枠を越え、また、ビジネス カテゴリを越えて協働することを目指し “One Sony” を推進しています。IPv6 の導入は、“One Sony” を情報システムの観点から支える重要な施策と位置づけています」

- ソニー株式会社 執行役員 SVP CIO 堺 文亮 様

新世代の接続方法によってインターネットの成長を促進


さまざまな試算がありますが、ある業界アナリストの算出では、世界のインターネット ユーザは 2012 年 6 月に 24 億人に達するとされており、2005 年 6 月の 9 億 3,800 万人から大幅に増加しています(Internet World Stats)。シスコの予測では、2016 年までにインターネット ユーザは約 34 億名に達し、世界人口の 45 パーセント以上を占めるとしています(Cisco Visual Networking Index、2012 〜 2016 年)。

グローバルに接続された世界についての詳細は、YouTube でシスコのビデオ「Internet of Everything」(http://www.youtube.com/user/Cisco/videos/)をご覧ください。

関連情報


IPv6 についての詳細は、http://www.cisco.com/jp/go/ipv6/ を参照してください。