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シスコの M&A 戦略:要所での積極策で差別化を図る


シスコの M&A 戦略:要所での積極策で差別化を図る

 
| 2013 年 3 月 20 日午前 6:23 PST

 

  * 米国Cisco Systems Inc.で掲載されたブログを翻訳したものです。
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イノベーションはシスコの原動力です。シスコが作り出した最初の装置は、スタンフォード大学の 2 つの学部のコンピュータを繋ぐという、素晴らしいアイデアを思い付いた起業家精神に燃える一組の夫婦よって組み立てられた物でした。そこから、オープンスタンダードをベースにした通信プロトコルを拡大して人やプロセス、データを含めてあらゆるモノをつなぐさまざまな手法に適用し、すべてが接続されたネットワークを構築できるのではないかというシンプルな考え方が、シスコに一気に弾みをつけました。あの革新的なエンジンから始まったイノベーションは、シスコを世界のIT企業のリーダーにまで押し上げ、インターネットの次の時代「Internet of Everything」の中心勢力として、ネットワークによる接続をかつてないほど身近で価値の高いものにしようとしています。シスコはこうしたことを、社内に構築した研究開発体制と人材育成のための投資によって実現します。それと並行して、業界全体が大きな変革期を迎える現在、優れたテクノロジーやビジネスモデル、人材の外部からの獲得も、要所要所で積極的に進めていきます。

シスコのイノベーション文化の中核をなすのが「構築(build)、買収(buy)、提携(partner)」のアプローチです。長期的な差別化を維持していく上で、市場が大きく変化し、さまざまな混乱が生じる中にあってはとりわけ、このアプローチがトータルなツールキットとして重要な役割を果たします。インターネットの創生期、シスコはそれまでまったく考えられなかったような関連ソリューションを真っ先に構築し、大きな混乱に陥ったルータ分野の革新を先導しました。次いで、同様に混乱するスイッチイング市場で Crescendo、Grand Junction、Granite といった企業を次々に買収し、業界を一気に転換させました。さらにその後、コラボレーション、モビリティ、データセンター、ビデオといった今現在も大きく揺れ動く分野においても、WebEx、Starent、Meraki、Nuova、NDS などの企業を傘下に収めました。

それでは、シスコはどのような道を経て今日に至っているのでしょうか?

2012 年の M&A 市場は前年から 30% 減と大きく落ち込み、IT 業界における M&A も15% 以上減少しました。業界のこうした動向にもかかわらず、シスコは 2012 年の 1 年間で 80 億ドル近い資金を投入して 14 件の買収を成立させ、過去 10 年間で最も活発に M&A を行いました。その前の 2 年間、鳴りを潜めていた M&A がここにきて一気にそのペースを速めたのはなぜでしょうか。そこにはどんな理由があったのでしょうか。その答えは、この数年間のシスコの動きの中に見ることができます。シスコは新たな戦略を導入し、歩みはそこから始まったのです。周到に準備体制(Readiness)を整え、一気に動き始めたのです。そして、実行力(Actionability)を発揮することで現在のシスコが形作られているのです。

2010 年、2011 年とシスコにとっては試練の年が続きました。優先分野の多くで、収益の拡大に懸命に取り組みました。もちろん、この時期苦戦していたのはシスコだけではなく、シスコの事業領域における景気後退圧力も重なり、シスコは 2011 年に戦略の見直しを図りました。それまで隣接領域を含めて 30 以上に及んでいた事業領域を 5 つの基本的な優先分野に絞り込みました。この戦略の移行によって、社内の再活性化戦略を策定すると同時に、これらの優先分野と密接に関連する個々の市場に対し、集中的に取り組むことが可能になりました。

2011 年の後半になってしっかりとした戦略が実行に移されたことで、シスコの経営陣は改めて会社がささやかなスタートを切った当時から常に守り続けてきたこと、「戦略的カテゴリーでトップ企業となり、その地位を新たな市場に拡大していく」という基本に立ち返りました。シスコにはさまざまな分野の優れたリーダーがあふれており、エンジニアリング、セールス、サービスなどあらゆる部門のあらゆるレベルから斬新なアイデアを持った人材が次々に中核ポストに送り込まれるようになりました。

優れた戦略と卓越したリーダーシップの両方が社内に揃ったことで、実質的に大きな意味のある M&A 活動が見られなくなっている感のある IT 業界において、シスコは積極的に市場で買収の機会を追求することができたのです。例えば、シスコは明確なモビリティ戦略を明確に定めたうえで、確実にそのステップを実行し、シスコのお客様に大きな可能性を提供することに成功しています。四半期ごとのペースでCariden、Broadhop、Intucell の各社を買収しました。これらの M&A はいずれも、ネットワークの末端から IP エッジに至るまで、ネットワーク全体へのインテリジェンスの導入を推進する戦略の一環として行われ、これによってシスコはより高い付加価値を提供するとともに、お客様が直面する課題の解消を可能にしました。ユニファイドアクセスやデータセンターに関しても同様の例を見ることができます。シスコは Meraki や Cloupia といった企業を取得し、これによって、次世代のエンタープライズ アーキテクチャへの移行推進を継続すると同時に、中核事業に隣接する分野での新たなビジネスモデルの展開が可能になりました。さらに、ビデオ分野でも、適切に選択された領域での企業買収を行うことによって、ソフトウェアをベースとする Videoscape アーキテクチャ戦略を実現させています。一連の買収の最後となった総額 50 億ドルでの NDS の買収は 2012 年の IT 業界において最大の M&A 案件となりました。

以前にも増してハイペースで M&A を進める中、投資資金を捻出するためのコスト削減にも継続して取り組んでいます。常にポートフォリオを見直し、Linksys 事業の Belkin への売却にみられるように、慎重な検討を経て特定の事業分野の切り離しを実行しています。こうした動きによって、シスコは自社が強みを持ち、競争に打ち勝つことのできる分野に集中し続けることができます。

シスコは今も新たな M&A 案件の評価を行い、強力な変革と混乱の波が市場を覆う IT 業界をけん引していくための新たな可能性を探っています。シスコは今後も積極的かつ統制のとれた M&A 活動を継続し、これまでと同様、常に確実な戦略と周到な社内の準備体制(Readiness)、市場における実行力(Actionability)を基盤とするアプローチを取り続けます。

2013 年、シスコの次の新たな動きをお伝えできることを楽しみにしています。

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* 米国で発表されブログの内容は、以下をご参照ください。
<M&A: Taking Action When it Matters Most>