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専門家が語る、グリーン データセンター実現への近道

容易ではないグリーン データセンターの構築。高いエネルギー効率を達成するデータセンターの実現について、3 人の専門家がアドバイスします。

  * 当資料は、米国で発表されたニュースリリースの抄訳です。

2010 年 1 月 4 日、デイブ・トローブリッジ

世界各地のデータセンターはまさに「嵐」に襲われています。「嵐」の源はハリケーンと同様熱エネルギー、つまり高密度にラックに収容されるブレード サーバからの廃熱です。IT 機器の消費電力 1 ワットの冷却に 2.5 ワットが必要になることさえある現在、エネルギーの消費はビジネスだけでなく環境にも影響を与えることから、グリーン データセンターへの関心がますます高まっています。

電力はすでにビジネスの 3 大コストの 1 つです。また、eBay や Google のようなデータセンター中心の企業にとっては最大のコストとなっています。多くの企業の幹部は、増え続けるデータセンターのエネルギー コストが、業務の運営や拡大を妨げる要因になることを懸念しています。また、McKinsey & Company の 2008 年の報告 [英語] によれば、世界のデータセンターで消費されるエネルギーに関連する二酸化炭素排出量を合計すると、世界第 24 位の経済規模を持つアルゼンチン全体の排出量に相当しています。

データセンター運用のエネルギー コストと環境への影響を軽減するには、1 ワットあたりの IT パフォーマンスを高めることが重要です。グリーン データセンターがエネルギー効率の向上に密接に関連していることがわかってきています。効率性が向上すると、グリーン データセンターも実現できるのです。

グリーン データセンターへの取り組み

「データセンターの環境が複雑な場合でも、エネルギーと冷却の効率性から始めるのは簡単です。グリーン データセンターの構築に必要なのは省エネルギーだけではありませんが、省エネルギーは最も大きな効果をもたらす方法でもあります。既存のスペースを再利用する場合は特に有効です」と、ダグラス・アルガー(シスコの物理インフラストラクチャ担当 IT アーキテクト、および新しいデータセンター設計に関するシスコプレスの書籍『Grow a Greener Data Center』の著者)は話します。

そのために必要なのは、データセンターのエアーフローに注目することです。「多くのコストを費やさなくても、単純に必要な場所に冷気が流れるようにするだけで、消費エネルギーの削減を実現できるチャンスがあります。空気の吹き出し口が開いているか閉じているかを確認するだけで実現する場合もあります」とアルガーは言います。絡み合った大量のネットワーク ケーブル、ラックの空きスペース、天井や床下の配線の取り込み口からの空気の漏れ、これらすべてが、冷却効率を低下させる原因となります。

既存のデータセンターをグリーン データセンターへと進化させるには、次のような方法もあります。

  • 室内照明にタイマーやモーション センサーを設置する。
  • 新規購入時に、サーバのワット性能やネットワーク機器のポート密度を考慮する。
  • ハードウェアが放熱する場所のできるだけ近くで冷気が生成されるように、「密接した冷却」を考慮する。
  • 仮想化テクノロジーを使用する。ハードウェア リソースの利用率が高まるため、さらなる改善を見込めます。システムの数が減り、消費電力と冷却要件も低下します。
  • データセンターのエネルギー管理を実施する。コストを約 20% 減らすことができます。

グリーン イニシアティブを次の段階へ

このように徐々に改善して次の段階へと移行するには、組織とテクノロジー両方の変革が必要です。既存のデータセンターを改良する場合でも、新しいデータセンターを構築する場合でも、グリーン データセンターを実現にするには、企業ガバナンスの根本的な転換が必要になります。

eBay のグローバル データセンター サービスのシニア ディレクタ、ディーン・ネルソン氏は、そのために 2 つのことが必要だと言います。「CEO 以下、管理職の連携が必要です。また、リーダーを一人任命する必要もあります。このリーダーは、予算と実務両方の権限を持ち、グリーン データセンターに熱意をもって取り組み、成功させる責任を持つ人物です」

「グリーン データセンターのセールスを始めるのに最適な場所は、多くの場合、CFO のオフィスです。IT と電力両方のコストを把握している担当者のところに行き、節約額の分配を提案します。これにより、IT 機器と設備全体の両方の消費電力を減らすことができ、その結果として本当に『持続可能な』プログラムの予算を創出することができます」と話すのはシスコのEfficiency Assurance Program のシニア マネージャ兼主任、ロブ・アルドリッチです。

効率性のテクノロジー

適切なテクノロジーを選択するには、次の 3 点を把握する必要があります。

  • 現在の状況(ベースライン)
  • 予想されるコスト削減額(適切なメトリック)
  • 変更案の実行に伴うリスク

簡単な使用率の調査から始めるとよいでしょう。米国のサーバ使用率は わずか 10 〜 20% であるとアルドリッチは言います。「つまり、データセンターにある 100 台のサーバのうち 80 台は、待機電力と冷却リソースを消費しながら、生産性のある作業をほとんど実行していないということです」

使用率とエネルギー効率は相関関係にあるため、データセンターの仮想化はグリーン イニシアティブの主要な部分を占め、すぐに効果をもたらすことができます。

高密度に収容され、大量の処理を実行するシステムは熱くなるため、正確な温度測定が重要です。そのために、冷却戦略の効果をラックレベルで確認できる、より精細なセンサー ネットワークが必要です。

自動電源管理

現在の状況と戦略の成果を把握した後は、自動化によって大きな成果を得ることができます。さまざまな形式で自動電源管理をサポートするデバイスが増えていますが、これらを利用して未使用機器を低電力状態にし、必要に応じて電源を再投入することができます。エネルギーをサービスとして管理できるため、1 ワットあたりの生産的な作業を確認しやすくなり、またグリーン イニシアティブのビジネス ケースを強化できます。

「Catalyst の全シリーズで利用できる Cisco EnergyWise はその優れた一例です。以前は大まかな対処しかできませんでしたが、EnergyWise をシスコ インターネット オペレーティング システムに組み込むことによって微調整できるようになりました」とアルドリッチは言います。

シスコが実施した EnergyWise の試験運用の一部では、エネルギー消費量が 20% 削減されることを確認しています。また、シスコの 2008 年の電力コストは 1 億 3,500 万ドルでしたが、各国に EnergyWise を展開した結果、初年度で 2,700 万ドルを節約できる見込みです。

グリーン データセンターの新規構築

データセンターを新たに設計する場合、シスコの EnergyWise のようなエネルギー管理アーキテクチャが重要な基本部分になります。物理アーキテクチャは、建物の点でもネットワークのレイアウトの点でも同様に重要です。

「物理インフラストラクチャは軽視されがちですが、優れた設計には全体的なアプローチが必要です」とアルガーは言います。多くの場合、狭い区域での温度測定が行われていないため、データセンターを 1 つの大きな空間と見なし、コンピューティング リソースはどれも同じであるかのように考えられています。その結果、すべてのラックに同じ消費電源量と冷却要件が適用されているのです。

「これは理にかなっていません。プリント サーバを重要なアプリケーション サーバと同じレベルで扱う理由があるでしょうか」とアルドリッチは言います。デバイスと物理スペースの両方を柔軟性の高いモジュラ設計にすることで、それぞれのデバイスとサブシステムで実行される処理の重要性の観点から、電源と冷却のリソースに優先順位を付けることができます。

「建物の耐用期間が終わるまで、今後購入される IT 機器に対応できるようにするには、電源と冷却を柔軟に変更できるようにしておく必要があります」とアルドリッチは指摘します。

Green 2.0−データセンターの再考

3 人の専門家による Green 2.0 の定義はそれぞれ異なりますが、全員が同意しているのは、Green 2.0 を達成するにはデータセンターの設計のあらゆる細かい点に深く配慮する必要があるということです。それは建設地の決定から始まります。建設地の決定には、既存のインフラストラクチャから、現地の電気代(および電力供給状況)、従業員の通勤距離にいたるまで、あらゆることが関係します。

基本的なデバイス設計も同様に変更する必要があります。「すべてのこと、すべての設計レイヤについて再考する必要があります。たとえば、電力密度は急増し続けているため、水冷式デバイスを使わざるを得ないと思います。これがデータセンターと IT 機器ベンダーを大きく転換させるのではないかと考えています」と eBay のネルソン氏は言います。ネルソン氏は、55 の国で 1,300 を超えるグローバル データセンター事業者を擁する業界グループ、Data Center Pulse の創設者でもあります。

また、Green 2.0 には、企業内および企業間の連携も必要です。「企業が犯す最も大きな誤りの 1 つは、データセンターの設計の問題を自社だけで解決できると考えていることです。多くの人が注目し、多くの人が話し合いに参加するほど、優れた解決策が生まれます。秘密にすることで得られる瞬間的な競合上のメリットよりも、共有による利益の方がはるかに大きいものです」とネルソン氏は話します。

アルガーも、コラボレーションが予想もしない優れた解決策を生み出すということに同意しています。彼自身、ベストプラクティスの取り組みにおいて驚くような独創性を目にしてきました。「たとえば、データセンターの廃熱は倉庫から温室、さらには公営のスイミング プールまであらゆるものを暖めるために使用されています」(アルガーの近著で紹介されたいくつかの事例をサイドバーに掲載していますのでご覧ください)

1 つ確かなことがあります。この移行は困難だとわかっていても、避けることができないということです。アルドリッチが指摘するように、データセンターの事業者は常に可用性を優先して考えてきたため、リスクを嫌うようになりました。

「データセンターの事業者は現在、新たなリスクに直面しています。エネルギー コストと環境保護規制に準拠するためのコストの両方が相反するというリスクです。この嵐を切り抜けるには、積極的に取り組む以外ありません」とアルドリッチは話しています。

デイブ・トローブリッジ:カリフォルニア州ボールダー クリークを拠点に活躍するフリーランス ライター

シスコシステムズ合同会社について

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