カイセリで実施されているシスコ主導のパイロット プロジェクト、医療情報を医師と看護師につないで医療を改善
2009 年 10 月 12 日
マイク・ストーン
カルテを探すのに手間取っていては、人命にかかわる危険性があります。1 秒を争うような生きるか死ぬかという状況で、治療記録を探し出し、チャートをコピーし、印刷された報告書を配布することは、医療従事者が行うことではありません。
同様に、重要なスタッフや機器を探している時間も、重篤の患者にとってきわめて貴重な時間を犠牲にすることになりかねません。そんな中、教育および研究を目的として公的資金で設立されたトルコ最大の病院では、Cisco Medical-Grade Network テクノロジーによってこのような作業の迅速化を支援し、同時に経費も削減しています。
アナトリアの主要都市、カイセリにあるカイセリ研究訓練病院(Kayseri Research and Training Hospital)では、コネクテッド ヘルス のコンセプトに基づくアーキテクチャを試験的に導入しました。この導入により、患者は病院に入る前から早くも恩恵を受けることができます。
たとえば、心疾患の患者が普段どおり仕事に向かう途中で突然心臓に異常が生じた場合、患者を搬送する救急車が病院に到着する前に、病院では完全な医療記録をネットワーク上で利用できるようになります。
「デジタルとモバイルを利用すれば、患者の安全に役立ち、しかも生産性が向上して患者の満足度も高まります」
カイセリ研究訓練病院の心臓専門医は Medical-Grade Network を使用して、シスコの IP phone で患者のかかりつけ医師と電話会議を行えます。同時に、両方の医師は、心電図、血管造影図、およびその他の目に見える情報をはじめとする患者の医療データに電子的にアクセスすることが可能です。
患者が病院に到着するまでに、救急チームは患者の基本的な情報をすべて把握できるのです。
救急診断室に入ると、看護師長はコンピュータ画面上で病院のフロア計画にアクセスし、さまざまな科および病棟内で最も近くにある無線 IC タグ(RFID)、つまりタグが添付された医療機器とその状態をすばやく検索できます。
そして看護師長は心電図(ECG)装置が患者の診断に必要な場所にきちんとあることを確認できます。ECG の終了後、患者には RFID リストバンドでタグが付けられるため、その後はネットワーク技術を使用してすばやく患者の居場所を探し、特定できるようになります。
その間、詳細な検査ができるよう、Medical-Grade Network 上から医師のタブレット PC またはモバイル クリニカル アシスタント(MCA; Mobile Clinical Assistant)に ECG がただちに転送されます。
ミスの削減
病院の医師は、シスコの IP 電話と、デスクトップ PC にインストールされた Cisco IP Communicator を通して、再度患者のかかりつけの医師と電話会議ができます。両方の医師は Cisco Unified Video Advantage カメラを使用し、ECG を見ながらフェイス ツー フェイスで話し合うことが可能です。
Medical-Grade Network は画像と医療記録を表示し、また音声と映像の両方をサポートするため、医師は迅速に、例えば「血管造影が必要である」という合意に達します。
そして患者がいる病院の医師は、再度ビデオ会議で、即座に放射線治療チームに要件を伝えます。患者と話をして治療をしている間に、医師は MCA を使用してその時点の患者の治療状況を更新できます。
デジタル血管造影図が PC に転送されると、かかりつけの医師と病院の治療チームが結果についてともにテレカンファレンスで話し合います。このため、物理的なコピーの配布に要する遅延がなくなります。
この会議に基づいて医師と治療チームは、数日も費やすことなく数時間で患者の治療計画を決定できるため、さらなる問題の発生を回避できます。時間や費用を削減し、おそらくは人命も救えるアプローチです。
この先進的な医療は、重要な患者情報をタイムリーにかつ機密を保持したまま医療機関のもとに確実に送ることによって、医療効率を改善するべくトルコ政府が取り組んだ結果の一部なのです。
このような取り組みを支えるのは、シスコとその他の公共および民間部門組織の専門知識とテクノロジーです。
カイセリ研究訓練病院は 1,100 床のベッドを有するトルコの主要病院の 1 つであり、トルコの教育および研究病院の中で 5 番目に高い評価を得ているため、このパイロット プロジェクトの対象に選ばれました。当病院と、当病院に関連する診療所は毎日約 10,000 人の患者に対応しています。
シスコの戦略コンサルティング部門である Internet Business Solutions Group(IBSG)の新しいネットワーク アーキテクチャは、旧来の技術への依存を一掃し、モバイル機器の接続と、情報や医療記録、および人々への迅速でセキュアなアクセスを実現することを目指しています。
戦略コンサルティング部門である IBSG のディレクター、Ahmet Hasanbeseoglu は次のように説明しています。「現在、病院は有線電話、ファクシミリ、および紙のコピーによって患者記録などの情報を共有しています」
情報の接続
「このような記録はせいぜい各科に固定された 1 台または数台のデスクトップ コンピュータに格納され、利用されるだけにすぎません。結果として、情報が最も必要とされる意思決定と治療の際に、必ずしも情報が利用できるとは限らないのです」
「このような課題に対応するために、場所や時間に関係なく患者の治療を高めるために情報が必要とされるような場合、特に救急の場合において、デジタル化された医療情報と医師、看護師、および患者を結び付けることを、トルコの医療は検討する必要があると考えています。」
カイセリ病院の事例は、セキュアなワイヤレス ネットワークがあれば、治療を行うときにすべての必要な情報と医療サービスを安全に利用し、やり取りできるということを示しています。
患者情報は規制に準拠したワイヤレス ネットワークで保護されているため、適切な治療を速やかに行うことができます。
医療記録、放射線画像、およびその他の形式の重要なデータは、有線および無線の Medical-Grade Network を通してモバイル プラットフォームに送信されます。
この病院の情報システムには、タブレット PC または MCA を使用して、広く配備されたシスコのユニファイド ワイヤレス ネットワーク経由でアクセスできます。医師は MCA を使用して患者データを編集しながら、病院内を自由に移動することが可能です。
シスコ ユニファイド ワイヤレス ネットワークの一部として、カイセリ病院ではコンテキストを取り込める医療システムを導入しました。このシステムにより、所在地の温度などのコンテキスト情報を医療アプリケーションに統合することができ、臨床ワークフローを合理化します。
現在では、RFID タグを使用して医療機器と患者の場所が簡単に検索できることで、スタッフの効率を上げ、患者の待ち時間を短縮し、患者治療を改善しています。
副医長の Ahmet Özyalçin 博士は次のように述べています。「カイセリ研究訓練病院では、デジタルおよびモバイル ソリューションを使用すれば、患者の安全を最優先に置いて、全体的な生産性と患者の満足度を向上させることができると判断しました」
この病院の 7 ヶ月におよぶパイロット プロジェクトの複数のケースでは、包括的な Medical-Grade Network 設計によって患者への医療サービスの質が向上し、医療ミスの可能性を削減できることが示されました。さらに、紙のコストまで削減できることがわかり、ある診療所では紙の使用を完全に廃止しました。
「医療情報をつなぐというコネクテッド ヘルスのビジョンに基づいて、病院はネットワーク化されたデータ、情報、知識、プロセスなどのリソースを活用し、治療情報へのアクセスと治療の質の向上、そしてコストの削減が達成できるのです」との結論を、Hasanbeseoglu は述べています。
マイク・ストーン:バルセロナ(スペイン)のフリーランス ジャーナリスト
シスコシステムズ合同会社について
シスコシステムズ合同会社は、米国シスコ(NASDAQ:CSCO)の日本法人です。シスコは、ビジネスの基盤となるインテリジェントなネットワーキングソリューションから、音声、映像、データ、ストレージ、セキュリティ、エンターテイメントをはじめとする新しい分野、そして、人々の仕事や生活、娯楽、学習のあり方を一変させることのできるネットワーク プラットフォームの提案を目指しています。
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