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最高開発責任者のチャーリー・ジャンカルロ、シスコのイノベーション文化について語る





2006 年 10 月 31 日

News@Cisco は、シスコの最高開発責任者であるチャーリー・ジャンカルロ(Charlie Giancarlo)に同社のイノベーション促進について話を聞きました。シスコの製品開発組織の責任者として、そして 1 万 6000 人のエンジニア達のリーダーとして、ジャンカルロはイノベーションの大切さを社員に説いています。ジャンカルロのリーダーシップに導かれる形で、シスコはイノベーションの促進に向けた取り組みを強化し、世界有数の通信・情報技術企業へと成長することができました。以下は News@Cisco がジャンカルロに対して行ったポッドキャスト インタビューの抄録です(ポッドキャストは http://newsroom.cisco.com/dlls/podcasts/audio_feeds.html#MP3_103106 でお聴きいただけます)。

シスコのイノベーション促進の鍵を握っているのは何だとお考えですか?

チャーリー・ジャンカルロ : イノベーションの促進においてもっとも重要な要素の 1 つが、限界を試すことができる環境、そして失敗しても大丈夫な環境を整えることです。もちろん、同じことで何度も失敗を繰り返している人はイノベーティブであるとは言えません。しかし、価値ある目標だと周りが認める何かを目指し、よく考え抜かれたアプローチを取っているのだとしたら、私たちはできるだけそれを受け入れるようにし、そういったリスクを取るのに必要なサポートを社員に提供したいと考えています。会社がサポートしてくれるのだということを、そして、実際のところ少しぐらい経歴に傷がついたとしても昇進できるのだということを優秀な社員に分かってもらい、リスクを取るよう促すことは極めて重要です。ほとんどの人はイノベーティブなことに取り組みたいと考えています。私たちに必要なのはただ、そのための道を用意してやることです。

創業から 30 年が過ぎた今、シスコが直面しているイノベーションの課題は何ですか?

チャーリー・ジャンカルロ : シスコにとって、そしておそらくはほかの多くの業界にとっても、今後起こる大きな変化の 1 つとして、製品の提供よりもエンドユーザ エクスペリエンスの提供が重要視されてくるであろうと考えています。これはユーザが消費者であれ企業であれ同様に当てはまることです。つまり、スイッチやルーターを提供し、ネットワークを構築すればいい時代は終わりを告げることになります。製品の機能よりも経験の質が重要視されるようになることでしょう。これは単にテクノロジーに関してだけでなく、会社全体について言えることです。マーケティングの方法、販売の方法、そしてそれらの環境をサポートする方法と、シスコ全体にイノベーションが浸透していっているのです。

2 つ目の課題は、大規模な新製品ラインの構築です。これはどの会社も抱えている課題です。なぜなら人はパターン マッチャーであり、ほかのものとの比較を常に行っています。そして、人々が見ているイノベーションのほとんどは小さなイノベーションなのです。優れた製品はすでに作られており、よって、皆が考えているのはさらに優れた製品をどうやって作るかということです。しかし、それは単に既存の製品にどう改善を施すかということにすぎません。居心地のいい領域から抜け出して、未知のテクノロジーに挑戦することは、どの企業にとっても容易ではありません。チームに十分なスキルが備わっていない場合もあるでしょうし、社内で使われているプロセスと異なる新しい販売とサポートのテクニックも必要です。その分野に関する下地が何もない状態というわけです。一般的に言って、マネージャたちにステップアップを促し、人々の目をそういった新しい事柄に向けさせることは、一度作ったものを改善するように求めるだけよりもずっと難しいものです。

イノベーションに向けた取り組みを強化する活動の一環として、シスコでは最近、新しい製品とビジネスの創出を目的とした、社内メンバーからなるグループを組成しました。このグループは、シスコ全体の製品開発戦略にどのように適合していますか?

チャーリー・ジャンカルロ : 新しい組織の名称は「エマージング マーケット テクノロジー グループ」といい、シスコのイノベーションに向けた取り組みを支える非常に重要な役目を果たしています。既存の製品グループのマネージャは、それぞれの既存製品のイノベーションに向けた取り組みに集中しています。それが彼らの務めです。しかし、1 企業の立場としては、現在の主要市場以外の分野にも進出したいものです。そのためにはどうすればいいのでしょう? そこで私たちは、エマージング マーケット テクノロジー グループを立ち上げることにしたのです。このグループがターゲットとしているのは、サービス プロバイダー テクノロジーに関するイノベーションを起こすことではありません。シスコにはサービス プロバイダー テクノロジー グループがすでに存在します。また私たちは、このグループに対してイーサネット スイッチング テクノロジー分野でのイノベーションを期待しているわけでもありません。それはスイッチング ビジネスユニットの役目です。エマージング マーケット テクノロジー グループは、既存のビジネスユニットが持っているものとまったく違う新製品を開発するために組織されました。このグループの活動を示す格好の例として、最近発売されたばかりの Cisco TelePresence 製品があげられます。既存のビジネスユニットが、まったく新しいコミュニケーションの方法を生み出すために、時間やリソースあるいは発想を用いるということはまずありません。そういったイノベーティブなテクノロジーを開発するには、ターゲットを絞ったゼロからの取り組みが必要であり、そのためにエマージング マーケット テクノロジー グループが結成されたのです。リーダーのマーティン・デ・ビア(Marthin De Beer)にも話したことですが、私は毎年決まった数の新製品を開発してほしいとこのグループに望んでいるわけではありません。実際、1 つも新製品がない年があってもいっこうに構わないのです。私は新しい大きな市場機会を探しており、考察が十分になされ、60 パーセントの成功率があると思われる案に対しては、ビジネスプランを立てるつもりです。起業家精神を持つシスコの社員――シスコが買収した新興企業に触発されてそうなった者が多くいます――が本領を発揮できる分野だと思います。

ルーティング、スイッチング、ワイヤレス、Unified Communications といったシスコの既存製品ラインにおけるイノベーションの鍵を握るものは何ですか?

チャーリー・ジャンカルロ : 分かっていることは、イノベーションを優先させるには予算の中にイノベーションの枠を設け、マネージャ達にも同じようにさせる必要があるということです。希望するすべてのことを実行できる十分な予算があると感じているマネージャなどいません。予算の何パーセントかをマイルストーン達成のために取っておくというケースも多いようです。多くの場合、予算は十分な余裕を持って設定されますが、それも縮小される傾向にあります。私の考え方はむしろこれとは逆です。資金の 100 パーセントを使ってできる仕事ならば、おそらく 95 パーセントの資金でもできるはずです。何のための予算であれ、そのうちの何パーセントか(5~10 パーセント程度)を、重要な新分野の開拓につながるであろうと思われる新しい何かに投資するべきです。その予算を捻出できる効率的な組織作りをし、5 パーセントの余裕分を新しい事柄に投資できるようにする必要があります。最終的に優先順位を決めるのは予算なのです。

イノベーションはシスコ製品の一生においてどのような役割を担っていますか?

チャーリー・ジャンカルロ : イノベーションは開発フェーズだけに留まるものではありません。テクノロジーの成熟に伴い、組織およびそのテクノロジー自体も最適化のフェーズへと移行していきます。そして必然的に、どこかの時点で、テクノロジーとそれをサポートする組織は共に衰退期に入り、何か別のものにリソースを投資する必要が出てきます。このことは、シスコのような企業ではイノベーションの管理がとりわけ重要であることを意味しています。同じチームもしくは同じ集まりの中にいたとしても、製品や市場のライフサイクル全体を通して、全員が常に同じようにやる気や才能を持っているわけではありません。開発フェーズにおいて才能を発揮し、強い関心を持つ人もいます。しかし一方で、既存製品を最適化することが好きな人もいるのです。こういった人たちは、コスト削減のイノベーションや製造のイノベーションなど、最適化が行われる分野で仕事をすることを好みます。必要なのは、両方のタイプのイノベーターを十分にサポートすることです。どちらもシスコの長期的な成功のために大切な人材です。

シスコは、買収によって成長を加速させ、新しい技術を社内に取り込むことで知られています。シスコがイノベーションへの取り組みを強化するうえで、買収はどのような役目を果たしますか?

チャーリー・ジャンカルロ : シスコではこれまでと同様の買収戦略を取っていくつもりです。ほとんどの場合、私たちが買収するのはごく小さな企業であり、芽生えたばかりの植物のようにこれらの企業のことを見ています。ちょうど、園芸家がトマトの苗を買ってくるようなものです。新しい市場に参入したければ、買収を通して小さなチームを獲得することで、大きなモメンタムを得ることができます。しかし、それを成長させることができるか否かは、私たち次第なのです。一方、種から植物を育てることは、どちらかと言うと、新技術を開発することやゼロから新しいビジネスを立ち上げることに似ています。こちらはエマージング マーケット テクノロジー グループとテクノロジー センターの仕事です。しかし、苗と種のどちらから育てるのであれ、植物がたわわな実をつけるかどうかは結局、園芸家の腕しだいです。下手な園芸家は、種も苗も同じようにすぐに駄目にしてしまうでしょう。スイッチング ビジネスに参入したとき、シスコはいくつかの小規模なチームを買収し、スタート当初の 100 倍にまで事業を成長させました。これは、ほかの多くの買収についても当てはまることです。これらのグループはシスコの庇護のもと、成長しています。大切なのは、その市場で成功するための最適な方法が何なのかを見極めることです。

* Cisco、Cisco Systems、Cisco Systemsのロゴは、米国ならびに諸外国における Cisco Systems, Inc. および関連会社の登録商標です。本文書に記載しているその他の商標の所有権は、所有企業各社にあります。
**当資料は、米国で発表されたニュースリリースの抄訳です。米国で発表されたニュースリリースの内容は以下のWebサイトをご参照ください。
<http://newsroom.cisco.com/dlls/2006/ts_103106.html >

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