ワールドニュース

米国 ニュースリリース


21世紀の医療におけるネットワーキング技術の役割

2006年7月19日

医療業界がいま変わりつつあります。そして、そのことを一番よく知っているのがエド マークス氏でしょう。University Hospitals Health Systemの最高情報責任者(CIO)であるマークス氏は、医療機関としては最大規模にあたるコミュニケーション技術の変革を行なっています。オハイオ州北部有数の医療機関であるUniversity Hospitalsは、25,000人の医師やスタッフが働く150ヵ所の拠点で300万人以上の患者に医療を提供しているほか、Case Western Reserve Universityの付属機関として、オハイオ州最大の生物医学研究所の運営も行っています。

21世紀に向けて医療業界をリードしていくために、University Hospitalsはシスコに助力を求めました。そして、両者が一丸となって、音声・データ・映像など、ほぼあらゆる通信形式に対応可能なIPベースのマルチメディア ネットワーク(有線・無線両方に対応)の構築を進めています。これが実現すれば、新世紀に質の高い医療を提供するために必要とされるさまざまな情報やリソースをはるかに管理しやすくなります。

News@Ciscoでは、University Hospitalsの変革を行なう中でテクノロジーが果たす役割について、マークス氏に話を伺いました。以下に、News@Ciscoのポッドキャストから、マークス氏のインタビューの抜粋を一部編集してご紹介します(インタビューの全容は、http://newsroom.cisco.com/dlls/podcasts/audio_feeds.html#MP3_071906にて、ポッドキャストでご視聴いただけます)。

University Hospitalsが通信ネットワークのインフラに着目し、投資しようと考えたきっかけは何ですか。

エド マークス:私たちが自らに課したのは、21世紀における当院のあり方についてプランを立てるということでした。ほとんどの医療機関がそうであるように、20世紀における当院の現状はひどいものだったのです。そこで私たちは、将来がどのようなものになるのか、また医療業界が今後どのように発展していくのかを徹底的に分析しました。なぜなら、私たちがターゲットとしていたのは、必ずしも「いまこのとき」ではなく、これから向かおうとしている「未来」だったからです。

そこで、私たちは将来の状況を思い浮かべ、現状と将来あるべき姿とのギャップを分析した上で、これからとるべき道について検討に検討を重ねました。私たちは、顧客である患者に何度もインタビューをし、さまざまな団体やコンサルティング会社と協力して研究を重ね、戦略的パートナーやベンダーの多くと話をして、21世紀の医療のあり方についてプランを練り上げたのです。

21世紀の医療は、過去の医療とどのように異なるのですか。

エド マークス:これまで、医療は病院主導や、時として医師主導のもとに行なわれてきました。しかし、将来の医療では、患者が中心となり、患者の満足度を高めることが求められます。そしてその多くは、病院の中ではなく、患者の家庭内で行なわれるようになるでしょう。「患者主導の医療」というのがまず主軸にあって、これは「医療の質」と切っても切れない関係にあります。当院では、あらゆる基準において、最高の医療を提供しているとの自負があります。ですが、次の段階にレベルアップするために、医療の質とテクノロジーを融合させることで、21世紀に求められる水準まで医療の質を高めたいと考えたのです。

通信システムを再構築するのはなぜですか。従来のシステムでは、最高の医療を提供するのに限界があったということでしょうか。

エド マークス:例えば診療記録ということでいえば、従来のシステムは、聖書に出てくる石版と同じようなものであったといえると思います。確かにデータの多くは自動化されていましたが、さまざまなコンピュータ システムが混在していたため、もう一度聖書にたとえるならば、それらの情報はほとんどバベルの塔のような状態でした。そこで、現在私たちが取り組んでいるのは、そうしたすべての情報を統合して、医師や臨床医など、権限を持つものが必要なデータをいつでもどこでも見られるようにするということです。私たちは、そうしたシステムを作り上げることによって、患者により良い医療を提供することができるようになると信じており、それが私たちの最終的な目標でもあります。また、このようなシステムは、しかるべきときに、しかるべき情報を手に入れるだけでなく、しかるべきときに、しかるべきスタッフを見つけるのにも利用できます。例えば、院内のどこにいても、患者が看護師に連絡をとったり、看護師が直ちに医師に連絡をとって、両者がリモートで対話することも可能となるのです。

最新の通信ネットワーク技術によって、医療のあり方がどのように変化しているのか、具体的な例を挙げていただけますか。

エド マークス:現在、院内の業務の多くは、依然として手作業で行なわれています。例えば、いまだに紙のカルテが使われているのが現状です。そして、そのカルテがなかなか見つからないことが多いのです。全国的に見て、医師がカルテを見つけられずに、カルテなしで患者を診ている時間は、診療時間の30パーセントにも上ります。専門のスタッフか誰かにカルテを探しに行かせるのも面倒な話です。それに、何よりも、患者にとって貴重な時間が失われることになります。

コンバージドIP通信ネットワークを利用して、臨床医が手のひらサイズのタブレット コンピュータを使って、診療記録にワイヤレスにアクセスできるようにするというのが、私たちのビジョンです。そうすれば、カルテを探す必要はなく、デジタル機器を使って検索し、修正を加えるだけで済みます。この機能を実現することによって、カルテを探すといった事務的な作業に煩わされずに済むようになるだけでなく、患者を正しく診察するために必要な情報を医師が確実に手に入れられるようになります。推定では、このような電子カルテを導入することにより、当院の看護師は、カルテやその他の情報を探し回るかわりに、一勤務あたり最大25パーセントも多くの時間を患者に割くことができるようになります。

最新のコンバージドIPネットワークによって、いかにより良い医療を提供できるようになるのか、もうひとつ簡単な例を挙げるとすれば、それはナース コールです。古いやり方では、看護師が必要になると、患者がベッド脇のチェーンを引っ張ってナース ステーションのベルを鳴らしていました。これは、40年も前から長年使われている方法です。この場合看護師は、患者に返事をするために、いちいち病室まで足を運ばなければなりません。しかし患者は、看護師はどこにいたとしても返事ができたのではないかと、ごく当たり前の疑問を抱くかもしれません。ところが、当院のコンバージ ネットワークを使えば、将来、患者は、たとえ看護師がどこにいようとも、電子機器を使って看護師を呼び、話をすることができるようになります。これによって、看護師は何度も病室に足を運ばなくて済むようになるだけでなく、何よりも、患者に対して迅速な対応ができるようになります。

医療業界をはじめとして、さまざまな組織や機関が、通信技術やコンピュータ テクノロジーに投資するには多額の費用がかかる上に、十分な投資効果が得られないのではないかと考えています。テクノロジーへの投資を確実に成功させるための秘訣は何ですか。

エド マークス:私たちが経営の上層部とともに考え出した原則のひとつが、古いワイン袋に新しいワインを注ぎ込まないというものです。そのため、どんなITプロジェクトでも、画期的な新しいテクノロジーを古いパターンやプロセスの上に単に積み重ねるだけのことはしないように努めています。より質の高い医療を提供するためには、パターンやプロセスを変更した上で、新しいテクノロジーと融合させるよう肝に銘じているのです。ですから、この数年間で私たちがやってきたことも、これ以外にはありません。また、説明責任を果たすため、私たちは1年ごとにプロジェクトの見直しを行なっています。医師や臨床医、経営者をはじめとする本プロジェクトの発起人が、当院のCEOと私が議長を務める運営委員会に再び集まり、テクノロジーへの投資の結果、どのような変革が起こったかを話し合うことになっています。発起人は、テクノロジーの導入と併せてプロセスの変更も行なったこと、そのふたつの努力が実って、新しくより良いやり方が生まれたことを示さなければなりません。そして、これらのプロジェクトについての最終的な問いは、患者により良い医療を提供できるようになったか、ということでしょう。プロジェクトによってこの目標が達成できたことを発起人が示すことができなければ、そこで私たちは何が間違っていたのかを徹底して検討することになります。

▲Return to Top

お問い合わせ