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シスコとVerizon社、新生「仮想ペンタゴン」に転送インフラストラクチャを提供

2006年7月27日


2001年9月11日を境に、米国国防省は、同省本庁舎、通称「ペンタゴン」の新しい業務継続計画(Continuity of Operations:COOP)を促進してきました。武力紛争の性質や社会全体の性質が変化したこと、テクノロジーが進化したことも、軍の指導部がペンタゴンのデータ・音声ネットワークの障害回復力について新たな目標を設定するにいたった動機のひとつではありましたが、9月11日の事件があってから、障害回復がますます重要視されるようになったのです。「仮想ペンタゴン」を構築し、ネットワーキングやIPをはじめ、テレビ会議、大容量ストレージ、データ伝送などの技術を用いることによって、業務継続のソリューションを配備し、最悪の事態が起こっても、軍の関係者が互いに協力し、連絡を取り合うことができるようにすることが新たな目標となりました。9月11日以前の危機管理対策も決して悪いものではありませんでしたが、国防省はそれらの対策では不十分であるとし、ペンタゴン再生計画の一環として、「Command Communications Survivability Program(指令通信存続計画:CCSP)」が誕生したのです。

「この計画は非常に広範囲におよぶものでした。9月11日の事件以後の世界がどのようなものであったかは周知のとおりです。通信インフラ全体の整備が極めて強引なスケジュールで推し進められようとしており、何より相手は国家の防衛指令の中枢でした。私たちの目標は、管理性、柔軟性、可用性に優れたソリューションを整備することであり、中でも、情報セキュリティが重要視されたのはいうまでもありません」と話すのは、政府の統合製品チーム プログラム マネージャ、ジョン・レーマン氏です。

9月11日以前のネットワークは、統合されていない独立したトランスポート層で構成されており、システムが十分に分散されていない箇所が単一障害点(Single Point of Failure:SPOF)となっていました。レーマン氏とCCSPチームは、管理性とトランスポートの存続性を実現する総合的なアプローチをとりたいと考えました。CCSP計画がうまくいけば、ペンタゴンと、ペンタゴンから離れた場所に設置されたバックアップサイトで構成される、ネットワークセントリックな環境を実現することが可能となり、たとえペンタゴン内のシステムが被害を受けても、通信やネットワークへの接続を継続することが可能となるはずでした。

CCSPチームはプロジェクトの入札募集を行い、予想どおり、多くの企業がこの大掛かりな事業の落札を競い合いました。プロジェクトの入札募集にあたって、国防省は非常にユニークなアプローチをとり、厳しい要求は一切提示しませんでした。より戦略的で「ベストプラクティス」な手法を選んだのです。

「私たちには、例えばセキュリティなど、達成したい具体的な目標があり、必要な要件を提示しました。ソリューション自体に規制は設けませんでした。私たちは、冗長性を確保するための最善で革新的なアプローチを求めており、9月11日の事件と同じような攻撃を受けた場合でも業務を継続できるよう、ペンタゴンから離れた場所にバックアップ サイトを設けました」とレーマン氏は語ります。入札は公開で行われ、多くの企業が参加しました。激戦の末、データ転送を支える基盤インフラ整備の入札で、プロジェクトの執行部が選んだのは、シスコのゴールド認定パートナーVerizon Federal社と提携関係にあったEDS社(本社:バージニア州アーリントン)でした。

「新たに導入するネットワーク機器にシスコのものを使いたいというのがそもそもの希望としてあったので、Verizon社がシスコの強力なパートナーであるということは大きなメリットでした。Verizon社は、シスコの機器を使うことで、省スペースでありながら、効率の良いソリューションを実現してくれたため、ラックスペースが食い潰されずにすみました」と、レーマン氏は話します。レーマン氏によれば、スペースの制約は決して小さな問題でありません。ネットワークの利用者は約25,000人におよぶため、スペースは非常に貴重であり、機器室にスペースを明け渡してもよいと考えるものなど誰一人としていなかったのです。

Verizon社とシスコは、1台のシェルフに複数のトランスポート技術を搭載できる、シスコの光プラットフォームをベースとしたソリューションを提案しました。新しいプラットフォームは、エンド ソリューションに必要とされる最適な機能セットとテクノロジーを持ちながら、同時に、将来のアップグレードに必要な手段も備えていました。今回の計画は、ネットワークを一から構築するのではなく、既存のネットワークからの移行であったため、「統合」がキーワードとなりました。

「私たちのとったアプローチは、ペンタゴンをひとつの都市として扱うというものでした。トランスポート テクノロジーの強固なリングを形成し、ペンタゴンのインフラストラクチャ内にあるさまざまなコミュニティを相互に接続しようというものです。このプロジェクトがいかに複雑で、大掛かりなものであったかを簡単にいい表すことはできません。ただひとついえることは、これが完成すれば、東海岸の主要都市をこのテクノロジーでサポートすることができるということです」と話すのは、Verizon社CCSP担当プログラム エグゼクティブのトム スプリンガー氏です。

この1,000万ドル規模のプロジェクトは2003年4月に着工され、2005年12月に完了しました。しかし、このような大規模で複雑な政府のプロジェクトに、障害や問題がなかったわけではありません。シスコのソリューションには、帯域幅を増加させ、従来のSONETベースのソリューションをはるかに上回る信頼性と障害回復力を提供する、次世代の高密度波長分割多重(DWDM)技術をはじめ、シスコが開発した新しいテクノロジーが含まれていました。また、CCSPプロジェクト全体の中でVerizon社が担当したのは、トランスポート テクノロジーの強固なリングを形成し、ペンタゴンとペンタゴン内のさまざまなコミュニティを相互に接続することでした。両社のチームは庁舎に出向き、80~90台の光DWDMノードを設置しましたが、その数はどんどん膨れ上がっていきました。

「新しいテクノロジーと従来のテクノロジーを統合することが、大きな課題となりました。ただ、シスコの光スイッチ製品のために用意された設計ツールのおかげで、再設計も順調に進み、ソリューションを移行することができました。その他にも、設計上、スペースや電力に制約があったこと、厳しい導入期限が設定されていた上に、その期限がほとんど何の前触れもなく大幅に変更されることがあったことも、チームにとっては難題でした」と、スプリンガー氏は振り返ります。

それについて、レーマン氏は次のように述べています。「9~12ヶ月の引渡し期限が、3~4ヶ月にされ、スケジュールの大幅な変更を余儀なくされるようなプレッシャーが両社に圧しかかっていました。すべてのリングを配備するための期間が半分に短縮されたのです」 「作業をしながら、まるで時速100マイルで走っている車のオイル交換をしようとしているような気がすることが度々ありました。あらかじめスケジュールやプランが決まっていて、すぐに導入にとりかかれるような通常のケースとは違っており、ユニークかつ要求の厳しい環境で、誰もがみなその環境に常に合わせていかなければなりませんでした。極秘のプロジェクトであったため、かなりのプレッシャーがありました」とスプリンガー氏は話します。

Verizon社とシスコは、ペンタゴンの施設内に試験ラボを建設し、企画段階で使用したり、実装前に、ソリューションの部分的な試験や検証を行ったりしました。ラボには、CCSP計画に直接かかわる他のベンダーや下請企業も参加し、最終的に、Verizon社はラボを使ってネットワーク全体を再現し、実装前にすべての動作確認を行いました。

CCSPのネットワーク計画が完了すれば、ペンタゴンは、2001年9月11日のテロ攻撃と同様の大事件にも耐えられるようなインフラストラクチャを手に入れることになる、とレーマン氏はいいます。

「ソリューションには、実績のあるテクノロジーが上手く組み合わせされています。Verizon社によって配備されたシスコのインフラストラクチャによって、計り知れない柔軟性がもたらされ、ペンタゴンをまるで仮想企業体のような形で展開していくことができるようになりました」とレーマン氏はいいます。

シスコのVerizon社担当ビジネス マネージャのクリス マリンは、今回のプロジェクトはユニークなものだったと語ります。「ひとついえることは、シスコには強力なパートナーが数多くいるということです。そして、もうひとついえるとすれば、シスコのパートナーには、この規模や範囲のソリューションを配備するだけの力があるということです。ジョン レーマンとトム スプリンガーのリーダーシップによって、プロジェクトに携わる誰もが使命感をもって臨むことができました。私たちはみな、自分の都合は二の次にして取り組んだのです。なぜなら、私たちは、国家の安全にとって重要かつユニークな使命の一端を担っていたのですから」

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