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Continua Health Allianceの取り組みにより遠隔医療がより身近に

IT企業、医療プロバイダー、医療機器メーカーにより組織されたコンソーシアムが、リモート モニタリング デバイスと通信ネットワークの相互接続性の向上を促進

良質の医療を家庭に届けるために、大手テクノロジー企業と医療プロバイダーが結束

「Continua Health Alliance」は、医療の向上を目的に今年6月に結成されたコンソーシアムです。リモート モニタリング デバイスをはじめとする在宅ケアおよびモバイルケア用の医療機器間の相互接続性を強化し、その技術を医療プロバイダーの通信情報ネットワークに統合するためのガイドラインを制定すると同時に、これらの技術の標準化を進め、保険業界に対しサポートを呼びかけていく予定です。

Continua Health Allianceでは、主に予防的医療とフィットネス、慢性疾患の管理、高齢者ケアの3つの在宅遠隔医療分野にフォーカスした活動を行います。相互接続性が強化されることで、患者と医師の双方がモニタリングや院外ケア用の新型医療機器を容易に利用できるようになると期待されています。「ホーム ネットワークやワイヤレス ネットワークを介して利用できる医療機器は増加傾向にありますが、機器同士の通信性は確保されていないのが現状です。Continua Health Allianceでは、医師と患者がこれらの技術を容易に利用できるよう改善を働きかけると同時に、家庭用のみならず、職場をはじめ、人々が集うあらゆる環境に向けた新サービスを策定していく予定です」とシスコ インターネット ビジネス ソリューション グループのディレクタであるニック・オーガスティノス (Nick Augustinos) は述べています。

オーガスティノスによると、現在Continua Health Allianceの参加企業は23社以上にのぼるということです。Intel Corp.、Motorola Inc.、シスコシステムズ、Royal Philips Electronics N.V.、Samsung Corp.、Kaiser Permanente、Medtronic Inc.、Welch-Allyn Inc.といった各分野を代表する大手企業が名を連ねています。

統合型のテクニカル ガイドラインを制定することによって、様々な市場が刺激され、在宅医療機器のコスト削減やイノベーションの促進につながるとメンバー各社では見ています。Kaiser Permanente社のプリンシパル エンタープライズ アーキテクトのマイク・ロブキン (Mike Robkin) 氏によると、Continua Health Allianceは、医療機器の「グリーンフィールド (未開拓)」課題を解決すべく取り組みを行っているということです。これまでデバイス メーカーやITテクノロジー企業によって、数々の病院ベースのシステム標準が制定されてきましたが、在宅医療のための標準化ならびにネットワーク型の医療機器や情報システムの体系化については手付かずの状態です。

しかし、ここにきて多くの大手企業や新興企業が、同分野に注目しはじめています。「かつてなかった新しい市場と医療カテゴリーが今まさに作られようとしています。今こそ、革新的な新製品の使用が占有権によって制限されることのないオープンな通信の実現に向け、第一歩を踏み出し、基盤となるメカニズムを構築する絶好の機会です」とロブキン氏は言います。

Continua Health Allianceでは、リモート医療機器同士の通信、およびリモート医療機器と家電 (ホーム ネットワーキング製品、テレビ、デスクトップPC、PDAなど) や医療プロバイダー システムとの通信を支援するガイドラインの制定に向けて、IP 技術を採用する予定です。また、相互接続性に関するガイドラインと標準に準拠しているか否かを検証するための認証プロセスの作成も計画されており、認定製品にはContinua Health Allianceのスタンプが押されることになりそうです。なおガイドラインは、Bluetooth、USB、Wi-Fi、ZigBeeなどの既存の通信標準に基づき策定され、1年半後に発表される予定になっています。

「Continua Health Allianceの目標は新技術を開発することではなく、すべてのデバイスとネットワークが連携して動くよう、業界をまとめることです。デバイス メーカー各社は、在宅遠隔医療という新興市場に対して独自の対応を取ってきましたが、そこから相互接続性の問題が生まれました。Continua Health Allianceでは、今後、この問題の解決に率先して取り組んでいきたいと考えています」と医療機器メーカーの世界大手であるMedtronic社のグローバル ストラテジー&エマージング テクノロジー部門担当副社長、ウィリアム・マッキーオン (William McKeon) 氏は述べています。

マッキーオン氏によると、家庭用のブロードバンド インターネット回線やデータ対応のセルラー ネットワークなどのネットワーク技術の進歩と、コンシューマグレードの遠隔医療モニタリング デバイスの急増という2つの要因が重なったことが、Continua Health Allianceの設立につながったということです。

在宅遠隔医療は、ベビーブーム世代の高齢化に伴う高齢患者の増加に対応するための有効な手段として期待されています。しかし、Continua Health Allianceのプログラムは、乳幼児やスポーツ選手から、慢性病患者、回復期の患者にいたるまで、万人に向けた遠隔医療機器を対象に考案されたものです。

リモート モニタリング機能を使うことで、医療プロバイダーがより柔軟に患者の健康状態をチェックできるばかりでなく、幾度もの来院による患者・病院双方の手間や支出を防ぐことが可能になります。「在宅遠隔医療によって、より手軽な医療が実現する」とマッキーオン氏は主張します。たとえば、慢性の心臓疾患を抱えた患者が退院する場合、医師は様々な在宅医療機器を使って異変の有無を監視することができ、モニターを通じて長期間の観察を続けるなかで、薬の量を調整したり、患者を診察したりといったことも可能です。

マッキーオン氏は、Continua Health AllianceのコンセプトをApple Computer社のiTunesミュージック サービスの開発になぞらえて説明します。「Apple Computerが構築したかったのはエンドデバイスではなく、インターネットを通して音楽の購入や視聴を行うためのフル プロセスです。これは、便利な医療支援を誰もが手軽に使えるようにするために、統合技術のエコシステムを構築しようとしている私たちのアプローチとよく似ています」とマッキーオン氏は言います。

Continua Health Allianceはまた、これらの技術利用に向けた保険制度を充実させる方法についても検討していく予定です。ロブキン氏は、「これは医療提供に向けたまったく新しいモデルです。よって、保険業界にも、患者と医療プロバイダーに補償を提供するための新たなモデル開発が求められることになるでしょう」と話します。

ロブキン氏によると、Kaiser Permanente社と同社に所属する多くの医師が、これらのデバイスの臨床試験を行い、有効性を確かめたいと望んでいるということです。「試験を実施して患者にとってよい結果が得られれば、ぜひ採用したいと考えています」とロブキン氏は言います。

Continua Health Allianceは多くの課題を抱えているものの、その取り組みが新たな医療提供の道を切り開くための重要な役目を担っていることは確かである、というのがマッキーオン氏の考えです。「この計画が成功すれば、医療システムの負荷が軽減されることになるでしょう」とマッキーオン氏は言います。

チャールズ・ウォルトナー: 米カリフォルニア州オークランドを拠点に活動するフリー ジャーナリスト

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