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遠隔機能で医療の向上を促進する Remote Presence™ ロボット

医療ロボットを使うことで、医師がその場に駆けつけることなく「速攻」で患者を診察

2006 年 3 月 22 日

ジェニー・カーレス(Jenny Carless、News@Cisco)

百聞は一見にしかずとはよく言われることですが、この言葉がもっとも当てはまるのは医療の現場かもしれません。

このたび InTouch Technologies 社の Remote Presence™ 技術によって、リモート コントロールのモバイル ロボットを使い、医師が別の場所にいながらにして、あたかもその場にいるかのように動いたり、見たり、聞いたり、話したりすることができるようになりました。これによって、一貫した高品質の医療をより効果的に、より多くの患者とスタッフに届けられるようになります。また、高齢化が進むいっぽうで医療専門家の数は減少傾向にあるという、深刻な社会問題に対処することが可能になります。

この技術は、ロボットと制御ステーションの両方に備え付けられた、カメラ、コンピュータ画面、およびマイクを使って患者と医師が面談する仕組みになっており、医師はあたかも患者と同じ部屋にいるかのように、疾病箇所をチェックし、モニタリング機器を観察することができます。

デトロイト メディカル センターとウェイン州立医科大学の場合

デトロイト メディカル センター(DMC)とウェイン州立医科大学では 10 体のロボットを所有しており、この新技術の現在までの導入例としては最大規模となります。6 つの系列病院を展開する DMC では、2005 年春に InTouch Technology RP-6™ ロボットの使用を開始しました。

デトロイト レシービング ホスピタルの泌尿器科医長であり、DMC におけるロボット医療を推進している医師の 1 人でもあるリチャード・サントゥッチ(Richard Santucci)氏はこう説明します。「当センターでは複数の病院をカバーする必要があるため、ロボットはたいへん役に立っています。たとえば DMC の出産期ユニットの場合、建物自体は都心に位置するのですが、1 時間ほど行ったところにある病院で診療を行うことが可能です。母体と新生児に異常が見受けられれば、ただちに都心に移送できるようになっています」

DMC では、緊急治療室の患者の診療や、2 つの病院をまたいでの診断、集中治療室(ICU)の 1 日あたりの巡回数の増回、および火傷患者治療の充実化などにロボットを利用しています。

「ロボットを介して診療を行うことは、誰かに電話で病状を説明してもらうのとは比べものにならないくらい大きなメリットがあります」とサントゥッチ医師は話します。「モニターの監視も、フローシート(患者のデータがひと目で分かるようにまとめられている)の確認もすべて自分で行うことができるのですから」

火傷患者の場合、毎日包帯を交換する必要があります。これは多くの時間と痛みを伴う処置であり、また傷をあまり長い間外気にさらすことは避けなければなりません。外科医がちょうどその時間に傷を診ることができるよう包帯交換のタイミングを計るのは容易ではありませんが、今ではロボットを介して、医師がどこにいようと、包帯が外されると同時に診察を行うことが可能になりました。

ショーニー ミッション メディカル センターの場合

カンザス州にあるショーニー ミッション メディカル センター(SMMC)の医師もまた、医療の向上にロボットを役立てています。病床数 200 のSMMC では 4 体のロボットを所有しており、DMC と同じように病院内のあらゆる場所でこれらを活用しています。

ロボットを使うことによって、医師が自宅やほかの拠点から患者を診療する「テレラウンド」医療が促進されます。また、集中治療医は ICU 患者の病状監視にロボットを役立てています。

ロボットは、研修や指導の場でも活躍しています。たとえば、SMMC の Surgix(軽度浸潤性疾患専門外科)部長であるジョセフ・ペテリン(Joseph Petelin)医師は、医療技術を研修医や医学生に教えるためのフェローシップ プログラムを実施していますが、ロボットを使うことで、必要に応じてどこからでも外科手術の指導を行うことが可能になっています。

ペテリン医師はこう話します。「外科医の私のもとへは、ER(緊急治療室)や患者の応対にあたっている看護士から電話がかかってくることが多いのですが、ロボットを導入する前までは、電話の相手が患者の容態を説明し、それをもとに頭の中で具体的なイメージを作り上げていました。しかし、今では自ら(遠隔で)病室まで行き、診察することができます」

ロボットを稼動させるための技術はいたってシンプルです。「802.11 ワイヤレスさえあればいいのです。ロボットを動かすために、わざわざ高価なテレビ会議スイートを揃えたりする必要はありません」とペテリン医師は説明します。

InTouch Technologies 社のインフォメーション テクノロジ & テクニカル サービス担当シニア ディレクタのグレッグ・ブラリア(Greg Brallier)氏によると、ロボットはシスコシステムズの 802.11 a/b/g ワイヤレス カード付きで出荷されるということです。「ほとんどの病院でシスコのアクセス ポイントが使われていることから、カードを付けることにしました。それ以外の病院でも、シスコのカードは他社のアクセス ポイントとの互換性を備えているので問題はいっさいありません」とブラリア氏は説明します。

画期的な医療

「患者さんたちはロボットをたいへん気に入ってくれていますが、理由の一端はそのハイテク性にある気がします。ロボットと聞くと非人間的だと思われるかもしれません。しかし患者さんたちの反応はまったく逆で、皆さん、ロボットが入ってくるのを見て喜んでくれます」とペテリン医師は言います。

また、サントゥッチ医師も「多くの患者さんがロボットにまったく警戒心を抱いていないように見えます。最初見たときは目を丸くして驚くのですが、すぐに慣れてしまうようです」と語っています。

「さらに大きなスケールで見ると、Remote Presence ロボットは世界の医療のあり方を根本から変える可能性を秘めています」と InTouch Technologies 社の CEO兼会長であるユールン・ワン(Yulun Wang)博士は言います。

「もともとすべてのシステムは、医者が患者のすぐそばで医療を提供するという前提のもと開発されてきました。しかし、そういった地理的制約を取り払うことができれば、病院システムのあり方を根本から変え、より効率的な医療を実現することも可能なのです」

またワン博士はこうも指摘します。「アメリカ、そして世界には大きな医療格差が存在しています。医療の専門家が(地域インフラが整備された)様々な場所から診察を行えるようにさえなれば、世界のあらゆる地域で最良の医療を受けることが可能になるのです。長い目で見れば、これが実現する可能性は大いにあると思います」

ジェニー・カーレス: カリフォルニア州サンタクルーズ在住のフリーランス ジャーナリスト

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