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シスコ、国立教育研究ネットワークの世界的発展を支援


2005年6月2日

ジェイソン・デイン (Jason Deign、News@Cisco)

世界最速で最先端のネットワークはどこにあるのだろう、と問いかけたときに思い浮かぶのが、国立教育研究ネットワーク (NREN : National Research and Education Networks) です。

世界のほぼ全ての先進国には政府出資による NREN が存在し、自国の主な教育・研究機関同士および諸外国の機関との接続を担っています。これによって、物理学や天文学といった分野の主要な共同プロジェクトのデータのやりとりや、世界レベルでの e-ラーニングが可能になるのです。

NREN は、たとえば欧州原子核共同研究機構 (CERN) が開発した史上最強の物理粒子調査機器 (LHC) などのプロジェクトでは、中核に位置づけられています。

また、ビデオ ストリーミングや、テレビ会議、Voice over IP (VoIP) といった新しい専用アプリケーションも続々と追加されています。よって、NREN がネットワーク進化の頂点とされるケースが多いのも無理からぬことでしょう。シスコシステムズでは、NREN の発展をさらに推し進めるべく働きかけています。

シスコでは、教育研究ネットワークと常に緊密な協力体制を取ってきました。シスコは 1984年にスタンフォード大学の2人のコンピュータ科学者により設立されました。以来、同社の技術者たちは IP ベースのネットワーキング技術開発のリーダーであり続けています。

近代 NREN の初期バーションはインターネットの基礎構築に貢献し、また今も変わらずインターネット構造の重要な位置を占めています。しかし今日の研究ネットワークは、20年前のそれとは似ても似つかないものへと進化を遂げました。

NREN は複数の異なる組織に利用されていることから、ある意味サービス プロバイダーのようなものと言えなくもありません。

しかし両者の間には重要な違いがあります。中でも、情報の処理量、提供される先進サービスの種類、および必要な通信速度は、特にグリッド コンピューティングを使う新しい科学調査プロセスが出現して以来、大きく異なっています。

科学分野に関するタスクの中には、テラバイトはおろかぺタバイト単位のデータをスーパーコンピュータのクラスタ間でやり取りしなければならないものもあり、ネットワークはテレビ会議や電子メール、遠隔学習などのアプリケーションを処理しながら、同時に大量のデータ伝送に完璧に対応する必要があります。

あらゆる技術系大学が多くのハッカー予備軍たちの温床と化しているという事実が、NREN の継続稼動を困難にしています。大学のネットワークは彼らがハッキング行為を最初に試す場となる場合が多いのです。そこで、統合ネットワーク セキュリティが必要不可欠になってきます。

また NREN はさらに多くの機関まで接続の範囲を広げ、ブロードバンド接続や学校へのサービスなどを NREN で提供している国も多数存在します。

このような大規模な運用が行われていることをかんがみると、研究教育部門におけるハイエンド ルーティング プラットフォームの需要が極めて高いことにもうなずけます。

シスコは世界中の NREN を対象としたルーター プロビジョニングのマーケット リーダーです。Cisco 12000 シリーズおよび 7600 シリーズのルーターは、長きにわたり多くの研究教育ネットワークの設計者たちから支持されています。

Cisco CRS-1 Carrier Routing System の導入を最初に公表した3団体のうち、2団体は教育機関でした。日本の国立情報学研究所の研究ネットワーク「SuperSINET」と米国ピッツバーグの Supercomputing Center です。

Cisco 機器を使った NREN はほかにも多数存在します。ヨーロッパでは大多数の NREN および地域ネットワークでシスコ技術が採用されています。これらのネットワークには以下のようなものがあります。ドイツの DFN、イギリスの UKERNA、チェコ共和国の CESNET (光スイッチングもシスコが提供)、スウェーデンの SUNET、ギリシャの GRNET、ポルトガルの FCCN、ノルウェイの UNINNET、デンマークの UNI-C、アイルランドの HEAnet。

また、教育研究用の汎欧州ネットワークの企画、構築、運営を手がける DANTE では、中南米諸国の NREN をつなぐ ALICE プロジェクトの開発に Cisco 12000 ルーター 技術を採用しました。

NREN の難度の高い専門的な技術およびネットワーク サービスの要求に応えるためには、サポートに重点を置く必要があります。よってシスコでは、NREN Advanced Services サポート プログラムを開発しました。

NREN Advanced Services では、個々の NREN のネットワーク、プロシージャ、およびエンジニアについて理解し、IP バージョン 6 (IPv6) や、マルチキャスト、マルチプロトコル ラベル スイッチング (MPLS)、ボーダー ゲートウェイ プロトコル (BGP)、QoS、NetFlow、セキュリティ、IP および光プラットフォームといった NREN 技術に関する専門知識を備えた選りすぐりのエンジニアがサポートにあたります。

本サービスは超ハイクオリティのサポートを提供し、運営上の問題の解決や、新サービスの開発・展開を支援します。

NREN Advanced Services を直接、あるいは認定サードパーティを通して利用しているヨーロッパの NREN には以下のようなものがあります。ドイツの DFN、イギリスの UKERNA、チェコ共和国の CESNET、ベルギーの BELNET、ヨーロッパ全土を網羅する 6NET。

しかし多くの NREN にとってシスコは、単なるテクノロジー プロバイダー以上の存在です。これまで積み重ねてきた技術遺産を足がかりに、次世代の NREN を始動させ、後にサービス プロバイダーやエンタープライズ ネットワークに移管するための新しい技術、サービス、製品の開発に教育研究ネットワーク コミュニティと共同で取り組む、有力な協力者でもあります。

現在の取り組みにおいてシスコが大きな注目を寄せているのは、インターネット プロトコルの20年ぶりの本格的なアップグレード版となる IPv6――世界人口におけるインターネット ユーザの割合が20パーセントを越えることを阻んでいた技術的制限を払拭する、新しい IP です。

シスコでは「6NET」のまとめ役をすることで、IPv6 普及の主導的な役割を担っています。6NET は15の NREN と15の大学が共同で取り組む大規模な研究プロジェクトで、実際と同じ環境のもと IPv6 のテストを行い、ヨーロッパの国立教育研究ネットワークにいち早く新しい技術と機能を導入するために組織されました。

またシスコは、IPv6 展開に関する情報を広く発信し、IPv6 サービスの導入を加速させるためのプロジェクト「6DISS」でもけん引役を務めることとなり、6NET などで培った経験を基に取り組んでいます。

6NET は Cisco NREN Applied Network Services プログラムの一例です。

またシスコの Academic Research and Technology Initiatives (ARTI) チームでは、University Research Program (URP) を通じた長期の技術開発、および Cisco Applied Research and Development (CARD) プログラムにおける、より短期で製品重視型のイニシアティブをサポートしています。

これらのコラボレーションがシスコにもたらすメリットとしては、ネットワーキング 技術研究の最前線に留まり続けることで、CRS-1 などのように市場をリードし、最終的に他分野の需要創出につながるプラットフォームの開発が促進されることがあげられます。

一方 NREN 側のメリットは、シスコとの協業により、先進の製品およびサービスの提供が実現することでしょう。

「NREN は、各自の専門に関しては最先端を行っています」とシスコのヨーロッパ・中東・アフリカ地区 (EMEA) エジュケーション セールスを率いるマイク・マッキューン (Mike McKeown) は述べています。

「EMEA と協力しあうことで、メインストリームの一歩先を行く技術分野のサービス開拓について学ぶことができるのを実感します。また、NREN の厳しい要求に応え、別分野における将来的な要求に備えることが可能になります」

ジェイソン・デイン : スペイン バルセロナ在住のフリーランス ジャーナリスト

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