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シスコ、石油・ガス業界のプロセス制御と企業システムの統合を IP で支援

2005年5月19日

ジェイソン・デイン (Jason Deign、News@Cisco)

IPは、はたして石油・ガス業界において新たな技術開発の波となりうるのか? これが、IP ベースの管理プラットフォームと非 IP のプロセス制御システムの統合が進んだ今、シスコシステムズとエネルギー分野のお客様が抱える疑問です。

従来の化学、 工学における処理工程の多くがそうであるように、石油・ガス業界でも、探査、生産、加工の段階において、機械的な調査、および管理に大きく依存しています。経営用の複合型のソフトウェア システムとは縁遠い世界だと言えるでしょう。

その理由は単純です。企業管理システムでは、怪しげなソフトウェア バグやウィルスの攻撃にも何とか耐えることができますが、かたやプロセス制御ネットワークでは、ポンプのオーバーヒートからバルブの損傷まで、あらゆる障害が致命的な影響をおよぼし、人の命を奪うことにさえなりかねません。

加えて、企業管理システムのセキュリティ機能は、プロセス制御用としては不適切な場合が多いのです。

例えば企業管理システムでは、ユーザーがパスワード認証に失敗すれば、当然のことながらシステムを使用することはできません。しかしプロセス制御の場合、アクセス拒否が危険な事態を招くことも考えられます。

このようなことから、常々エンジニアは、プロセス制御ネットワークに過度な複雑さを持たせることを拒む傾向にあります。プロセス状態の監視には、多くの場合、ハードウェア ベースのシンプルな方法が使われてきました。

こういった従来のやり方では、作業環境の安全性は保たれますが、その一方で、ビジネスおよびプロセス工学の観点から見るといくつかの問題が浮上してきます。

他業種の組織とくらべて、石油・ガス会社 (および、その他の化学・ 工業技術企業) は柔軟性と俊敏性に欠けるところがあり、運営データを企業管理システムに取り込むことが容易ではないため、環境を変えるには多くの時間を要します。

石油・ガス業界では、商品価値が数日、ときには数時間という短いスパンで大きく変動するため、この問題は業界内で深刻に受けとめられています。市況の変化に速やかに対応できないということは、チャンスをみすみす逃してしまいかねない、ということを意味しています。

しかし幸いなことに、状況は今まさに変わりつつあります。シスコでは、OSIsoftや WiredCityといった産業スペシャリストと協力し、自社の Intelligent Information Network (IIN) のコンセプトを石油・ガス分野の支援に活用できる方法を模索してきました。

その結果、安全性とセキュリティを保ったまま IP システムをプロセス制御機能に統合することが可能になるばかりでなく、柔軟性と俊敏性が向上し、大きな利益がもたらされるであろうとの展望が得られました。

各社共同で、企業データ ネットワークとプロセス制御ネットワーク (PCN) のいわば中間に位置する産業データ センター ソリューションの開発を実施しました。

こうして完成したソリューションは、やっかいなワームやウィルス、アプリケーション、デバイスから PCN を保護しつつ、PCN およびデバイス ネットワークからのデータの収集と、収集したデータの企業システム アプリケーションへの転送を同時に行い、効果的なビジネス決定を可能にします。

シスコの「将来の石油業界」コンセプトは、以下のような内容となっています。

  • 海底での光ネットワークの利用により、企業のデータ管理能力と、生産、および採取段階での探査に関する決定力を向上させ、耐震解析の有効性を最適化する。
  • 加工作業の監視および管理を行うためのリアルタイム インフラストラクチャを導入し、生産能力を向上させる。このプラットフォームは、ほとんどすべてのソースからプロセスを収集し、あらゆる送り先にほぼ例外なくデータを配信する。
  • 海洋データ センター アプリケーション――衛星通信と IP の統合により、単一ネットワーク上での音声、ビデオ、およびデータの伝送が実現。また使用帯域幅を最適化することで、ビジネス継続性が確保され、企業全域で情報やアプリケーションを安心して使用することができるようになる。
  • 簡潔なアプリケーション管理――QoS、信頼性、強固なセキュリティといった特徴が保たれつつも、担当エンジニアが現場を訪問する必要性がなくなり、本部のアプリケーションをリモートサイトで操作できるようになる。
  • 音声、ビデオ、データ、およびあらゆるアプリケーションに対応するセキュアな単一統合ネットワーク――新しいアプリケーションやデバイスの導入を容易に行うことができる、オープンで標準に基づいた IP。高効率化を実現する集中監視と集中制御。
  • ビデオ オン デマンド――全基地においてエンターテイメントやトレーニングを低料金で確実に提供し、油田・ガス田のスタッフは、インターネットを通じて家族の顔を見たり会話を楽しんだりもできる。これらのサービスが、衛星ビデオ放送のわずかな利用料金で実現。
  • 強固なセキュリティ――情報は必要とされているところへ届けられ、さまざまなデバイスを通してアクセスされる。リグ (石油掘削用の建物) や陸上のあらゆるポイントから設備の性能を監視することが可能。環境破壊の発生についても効率的に監視される。
  • 低額電話料金――北海のリグからの衛星電話の利用料金は月額 6000ドル以上。IP を使うことにより、格段に品質のいい音声通信が従来の衛星電話の数分の一のコストで実現する。

上記のビジョンの一部は、スペイン第二の電力会社である Iberdrolaなどですでに実用化されています。

Iberdrola 社では、シスコと OSIsoftが提供する産業データ センターを使い、プロセス制御と IT システムを関連づけることで、作業負荷を半減。システムの稼働時間は 99.5パーセントまで増加しました。

シスコシステムズのヨーロッパ、中東、およびアフリカ地区ビジネス デベロップメント マネージャーのスチュアート・ロビンソンは次のように述べています。「十分な試行を重ねた技術が活かされ、石油・ガス分野の企業に真の利益をもたらすアプリケーションです。」

「今や、石油・ガス業界が IP の恩恵を受けることを阻むものは何もありません」

ジェイソン・デイン : スペイン バルセロナ在住のフリーランス ジャーナリスト

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