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カナダの都市がブロードバンドを全市にくまなく提供

2005 年 1 月 31 日

G. パトリック・ポーリング(G. Patrick Pawling、News@Cisco)

カナダ東部の都市を、厳しい冬の寒さにも負けないホットなスポットにするには、どうすればいいのでしょう?

Wi-Fi で覆ってあげればいいのです。

カナダ東部のニューブランズウィック州の州都である、人口 8 万人の都市、フレデリックトン(Fredericton)では、迅速かつ安い費用で、同市を世界でもトップクラスの「ネットワークな」自治体にしようという取り組みを進めています。同市が非営利の協同組合方式の通信会社を設立し、安価なブロードバンドを提供したのがこの取り組みの始まりで、同市のほぼ全域を近いうちに Wi-Fi ネットワークで網羅しようという計画が進行中です。

プロジェクトが立ち上がったのは、2 つのニーズがあったからでした。650 名の職員をもっと効率的に作業させたいという、フレデリックトン市の希望がその 1 つ。もう 1 つは、無料のワイヤレス ブロードバンド-つまり、Wi-Fi -を市全体に提供するのは比較的容易で、そうすれば産業の振興にもなるし、生活の質も向上される、と市当局が考えるようになったことでした。

「経済発展という点では、コミュニティ全体がブロードバンド アクセスを安価にできるようにしなければならないという認識がありました。そうすれば、企業が成長し、繁栄しますからね」と、フレデリックトン市の経済発展局で「チーム フレデリックトン」を率いるエグゼクティブ ディレクター、ダン・フィッツジェラルド(Don Fitzgerald)氏は話しています。

「Fred-eZone」の発足

「Fred-eZone」と名付けられたプロジェクトでは、シスコの 802.11g Wi-Fi ステーションが 110 の場所に設置され、現在ではすべての潜在的コンピュータ ユーザーのおよそ半数をカバーするようになっています。プロジェクトの第 2 フェーズはただいま進行中で、今度はおよそ 95 パーセントをカバーする予定です。

「シスコは、個々の機器をバラバラに提供するのではなく、ソリューションそのものを提供してくれました。出費に見合うだけの価値は充分にあったと感じています。ハードウェアを買えばそれでおしまい、というわけではありませんでしたからね。我々は技術だけでなく、その熱心な取り組みにおいてもシスコを信頼していました。シスコに任せておけば大丈夫だと信じていました」と話すのは、フレデリックトン市の情報通信技術部門マネージャーで、協同組合方式の企業である e-Novations ComNet 社の社長も務めるモーリス・ギャラント(Maurice Gallant)氏。

フレデリックトン市の Wi-Fi ネットワークは、すでに 1 年あまり稼働しています。公共の場において、市が提供する無料のブロードバンドにラップトップからアクセスしようとする企業や住民、訪問客の数は日ごとに増えています。教会の裏庭からブロードバンドに接続して、説教の執筆を行う牧師さんがいます。市長は、セントジョン川を巡航中のボートの上で市に送られた e-メールをチェック。ショッピングモール内のコーヒーショップでは、インターネットに接続して世界中の音楽を聴くことができます。旅行客はホテルの客室でラップトップを開いて市内の催しを確認。地域の 2 つの大学の学生は、どこで勉強していても、あるいはどこで遊んでいても、アルバイトしていても、大学からの連絡事項を確認することができます。また、市内で仕事をしている人々も、情報の共有をより簡単に行えるようになっています。

おそらく最も意義があるのは、市内の各所にいる知識労働者が、無料の Wi-Fi ネットワークと非営利の通信協同組合が提供する低料金のブロードバンドの両方を利用できるようになっていることでしょう。ブロードバンドの料金は、プロジェクトが開始された 2000 年以降 5 分の 1 に下がっています。その結果、雇用が維持されているだけでなく、新しい雇用も創出されています。

「フレデリックトンは、北米で最もスマートな市になることを目指しています。あらゆる人々が、何か最先端のことがこの市で起っている、と実感し始めています」と、ギャラント氏は言います。

優れたイノベーションの軌跡

フレデリックトン市の「Fred-eZone」は、先ごろ「2004 Canadian Information Productivity Award of Excellence for Innovation(優れたイノベーションに対する、2004 年度カナダ情報生産性大賞)」を受賞しました。もっとも、フレデリックトンが、ISO 9001:2000 の完全認証を受けている数少ないの都市の 1 つであることを考えれば、受賞そのものはさほど意外ではないかもしれません。

フィッツジェラルド氏とギャラント氏が話しているように、市議会のリーダーシップと支援がなければ、今回のプロジェクトは全く進展しなかったでしょう。しかし同時に、プロジェクトは困難と呼ぶほどのものにはなっていません。それはあまりにも安価に、そして円滑に進行したのです。

「インフラストラクチャは、今後もより高度になっていかなければなりません。100 年前のインフラストラクチャは、歩道と街路灯でした。現在は、企業の多くが知識集約型になっているため、さまざまな種類のインフラストラクチャが必要とされています。知的インフラストラクチャが将来の差別化要因となるのでしょうね」と、フィッツジェラルド氏は話しています。

Wi-Fi ネットワークの維持費用は安いもので、時折、機器が落雷でダメージを受けたときに、交換のための費用が必要となる程度です。Wi-Fi ネットワークより提供されるブロードバンドは、フレデリックトンの協同組合 ISP が使用していない余剰の帯域幅より提供されています。

未来への先駆けとなって

フレデリックトン市では、職員がより効率的に仕事ができるように、PDA の貸与も行っています。例えばPDA により、建築物検査官は図面のアップデートができます。また、パーキング メーターの読み取り担当者は記録の更新ができますし、防火検査員は記録保存ができるようになります。また、観光客にPDAを貸与して、マルチメディアな市内ツアーを提供する計画や、市内バスをネットワーク対応にし、GPS を利用して運行管理をするという計画もあります。さらに、現在は商用ネットワークを利用している警察車両も、Wi-Fi ネットワークでカバーされるようになるかもしれません。

「 “g” の付く規格を利用したネットワークがいつまでも最先端であり続けるわけにはいかないでしょう。したがって、どこかの時点でアップグレードを行うようになるでしょうし、ひょっとすれば接続性は重視されないようになるかもしれません。何らかの先端アプリケーションや技術に投資するようになるかもしれませんね」と、ギャラント氏は話しています。

フレデリックトン市の企業や住民、訪問客を-どの季節でも-暖かい気分にさせようというのは、なかなかのアイデアであると言えるでしょう。

パット・ポーリング:南ニュージャージー在住のフリーランス ライター。

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