2004年12月16日
シスコシステムズ社がこのほど東京に設置を決めた研究開発センター(以下R&Dセンター)は、次世代インターネット技術開発における一つの節目ともいえるものです。
このR&Dセンターは2005年上期のオープンが予定されています。今後5年間で1,200万USドルの初期投資が行われ、国際的に関心が高まっているIPv6・マルチキャスト・モバイルワイヤレスなどの技術分野に重点を置いたR&D活動を展開することになっています。
シスコは今後、従来から進めてきたセキュリティ技術の強化や新たな種類のQoS(サービス品質)テクノロジー開発などを継続するかたわら、各種企業ネットワーク製品(ルータ、レイヤ3 LANスイッチ)の技術力強化に力を入れていく計画です。
シスコがR&Dセンターの設置場所に東京を選定するにあたっては、世界最先端のネットワーク インフラ構築を支援する政府主導の「e-Japan」計画が成果を上げていることが決め手となりました。
光ファイバー・ケーブルテレビ網・DSLといった高速通信網の企業や一般家庭への普及を背景に、情報ネットワークの役割と、大容量の動画・音声データを活用したサービスの種類は拡大を続けています。
東京R&Dセンターは、当面10名ほどの技術者を採用して研究開発活動を開始し、他地域には見られないめざましい市場動向を生かした新製品をルーティングやソフトウェアの分野で生み出す原動力となる予定です。
News@Ciscoは、同センター設置計画の詳細について、シスコシステムズ社上級副社長兼ルーティングテクノロジーグループのジェネラルマネージャ、マイク・ボルピにインタビューしました。
マイク・ボルピ:日本はおそらく世界で最も高度なブロードバンド市場でしょう。日本の通信サービス事業者のネットワークは米国の5倍のデータ量を転送することが可能です。開発した製品が日本市場で通用するのであれば、その製品は、世界中の市場で耐えうるだけの力量を証明されたようなものです。
日本にR&Dセンターを設置することは、数字の上でも理にかなっているわけですが、それだけでなく、「優れた人材や市場機会が存在する場所に研究開発リソースを分配する」というというシスコの企業戦略にも合致しているのです。
マイク・ボルピ:もちろんです。シスコが今年初めに発表した業界トップクラスのキャリア ルーティング システムである「CRS-1」は、日本の通信サービス業界の意見を直接取り入れて開発されました。すでに、ソフトバンクBBなどの通信サービス事業者、超高速学術 情報ネットワーク(SuperSINET)などの研究用ネットワークが、いち早くCRS-1を導入しています。
マイク・ボルピ:とんでもない。シスコは日本の有力大学数校とさまざまな共同研究を行っています。また、最近発表した富士通との戦略提携の一環として、シスコが開発したIOS XRをベースにした共同開発プロジェクトも予定されています。
マイク・ボルピ:インターネット アクセスの分野では、日本の動向が世界各国における将来の方向性を示唆しているといえます。今後、インターネットを活用した新たなビジネスモデルが日本から数多く誕生することは間違いないでしょう。
日本におけるブロードバンド通信サービスの普及率は現在国内全世帯の35%と推定されており、データ通信のトラフィックもこの2年間で約10倍に急増しています。一方、世界のほとんどの地域では、ブロードバンド市場が依然として未発達で、現在も一般家庭の多くがダイヤルアップ方式でインターネットにアクセスしています。
日本は、「コンセプト検証用市場」といってもいいかもしれません。サービス事業者にとって、従来型の通話サービスからの収入が横ばいか下降傾向にある中で、ブロードバンド テクノロジーによって新しく高度なメディアサービスの提供が可能になり、従来に替わる収益源が生まれつつあることを、日本における通信市場の動向は浮き彫りにしているのです。