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テキサス州オースティン市、RPR 技術の採用により、自治体ネットワークの信頼性向上と帯域幅拡大を実現

2004 年 12 月 15 日

ジェニー カーレス(Jenny Carless)、News@Cisco

現在、地方自治体では、カスタマイズされた高帯域幅のアプリケーションやサービスを数多く提供するようになっています。IP による仮想プライベート ネットワーク(VPN)やセキュリティ、ストレージ、VoIP(Voice over IP)、コンテンツ配信、e-ラーニング、ビデオ会議などが一例ですが、そのためにはネットワークの高度化が必要です。

RPR(Resilient Packet Ring)は、とくにパケットベースの都市型ネットワークでの使用を想定して設計された、レイヤ 2 のリング技術です。IP(インターネット プロトコル)ルーティングによるインテリジェンスと拡張性、光リングによる帯域幅使用の効率性の両方が備わっているため、RPR は、都市部で広く採用されるようになっています。先ごろ IEEE(米国電気電子学会)で承認された802.17 RPR 標準により、地方自治体では、高帯域幅の音声/データ/動画アプリケーションに対応し、運用とサービス提供の簡素化も実現できる、拡張性の高い光伝送による都市型ネットワークの構築が可能になっています。

RPR は、多数のサイトを有する、テキサス州オースティン市のような都市での使用に適しています。RPR なら、帯域のバースト(たとえば、臨時にビデオ会議が開催された場合など)への対処が可能で、TDM(時分割多重)環境では困難であった柔軟性が実現されます。

人口 70 万人弱の都市であるオースティン市は、シスコシステムズが提供する IEEE 802.17 RPR 技術の導入を進めており、公安部門および公共サービス部門での活用を計画しています。

シスコは RPR 技術のリーダー企業であり、1999 年には、SRP(Spatial Reuse Protocol)をベースとして、DPT(Dynamic Packet Transport)技術を使用した初の RPR 製品を出荷しています。また、シスコは、802.17 標準をベースとした業界初の RPR 製品である「10720 RPR/DTP」アップリンク モジュール(「Cisco 10720」インターネット ルータ用)も開発しています。オースティン市ではこの製品を初期フィールド トライアルに試用しました。

オースティン市が RPR を採用したのは、信頼性と帯域幅の利用効率が向上するためである、と同市の通信/技術管理部門でプロジェクト マネージャーを務めるパトリック ジョーダン(Patrick Jordan)氏は言います。先ごろシスコ機器のテストが成功して以来、ジョーダン氏は、より信頼性の高いネットワークを介して飛躍的に向上したサービスをオースティン市民に提供できる日を楽しみにしています。

「上司たちには、ネットワークの信頼性を高める、つまり公共の安全を保つには、これが最善の方法であるとわからせたいと思ったのですが、見事にそれを示すことができました」と、ジョーダン氏は言います。

都市全域にわたるネットワーク

City of Austin Telecommunications Network(COATN、発音は「コットン」)は、全長 350 マイルのリング アーキテクチャで、その内部には市のすべての警察、救急医療施設、消防署、図書館、管理事務所などを含む、計 170 の施設が網羅されています。

ネットワーク刷新の方法を模索し始めていたオースティン市にとって、RPR の採用は当然の論理的帰結と言えるものでした。この技術は、オースティン市ですでに導入されていた FDDI(Fiber Distributed Data Interface)と同じように機能するため、同市の既存の運用方式に問題なく適合しました。その一方、RPR は2.5 ギガビット/秒 - オースティン市の従来のソリューションの 25 倍の速度 - の処理が可能になっており、しかも、保護された、自己修復型のリング アーキテクチャはそのまま実現されます。

オースティン市では、802.17 標準とシスコの技術の双方からも絶大な恩恵を受けています。

重要課題の 1 つであるサービス品質(QoS)は、RPR 規格に組み込まれている優先スキームによって一部実現されています。その上で、「ブロードバンドの非同期アプリケーションのみのサポートから、非同期と同期のサポートへと移行し、そこでカスタマー サービスの内容を適切なものに保ちたいと望むなら、WAN(ワイドエリア ネットワーク)での QoS 実装しか方法はありません」と、ジョーダン氏は説明しています。「そのような状況下で私にとって最高の方法は、『IOS(Cisco Internetworking Operating System)』に組み込まれている QoS 技術の実装でした」

オースティン市がシスコを選んだのは、数年間にわたりその技術提供に満足していたこと、また、RPR 技術のリーダー企業であるということが理由でした。シスコが提供する RPR 技術の初期フィールド トライアルでは、全長 40 マイルのリングにおいて、実際のトラフィックとテスト トラフィックの両方を使用してテストが行なわれ、機能が実証されました。

ジョーダン氏は、オースティン市のすべての実装の完了後、2 年間でノードの数はおよそ 100 に達すると見込んでいます。「現在、DPT 技術により 70 のノードを実装していますが、製品がリリースされた時点で RPR 技術によるアップグレードが実施されるでしょう」と、ジョーダン氏は話しています。

最重要課題となる信頼性

オースティン市の新しいネットワークでは、信頼性が飛躍的に向上するようになります。「市民に対しては、迅速で包括的な安全を提供する必要があるため、自治体は最重要課題として信頼性に取り組む義務があります。どのようなネットワーク刷新計画を立てたとしても、信頼性が実現されなければ、それは意味がないのです」

ジョーダン氏は、また、帯域幅を多く必要とするサービスが今後数多く提供できるようになることを期待しています。「本当に新しいステップとなるのは、PBX スイッチ間の IP トランキングが実現するときです。つまり、これらのスイッチを IP スイッチに変更しネットワークでより多くの帯域幅が使用できるようになれば、ビデオ会議のようなサービスが可能になります」

ジョーダン氏によれば、オースティン市独自のネットワークへの投資を行なったことにより、同市では年数百万ドルのコスト削減が可能になったそうです。

「実質的なコスト削減は、公共ネットワークのサポート費用の発生を解消できるかどうかにかかっている」というのが、ジョーダン氏の確信です。「もし 100 メガビットのルータ ポートを各ロケーションに配備していたら、地域電話会社の提供する WAN 上で同等の帯域幅を実現するには、年間で 1,000 万ドルの費用が必要になっていたでしょう。自前のネットワークを持てば、負担するのはインフラストラクチャの資本費用だけで、特定の場所により多くの帯域幅を配分する場合の追加費用は必要ありません」

オースティン市のような地方自治体では、今後、さまざまな電子政府関連のサービスを提供していくのに伴い、市のネットワークの帯域幅を増強する必要があります。

「放送並みの品質を持った、リアルタイムのテレビ会議の必要性が今後ますます高まってくるでしょう」と、ジョーダン氏は予想しています。「今後、サーバベースの動画の導入に合わせて、職員の研修時間を増やしたいですね」

「新しい RPR ネットワークに関しては、我々は、自前のインフラストラクチャで対応できるかどうかを気にかけることなく、各種ビジネス サービスの導入を決断していくという姿勢をとることになるでしょう。現在まだ現れていないが、今後この技術の寿命内に突然台頭してくるようなアプリケーションへの対応には、こうした態度がとりわけ大切なのです」と、ジョーダン氏は話していました。

ジェニー カーレス: カリフォルニア州サンタクルーズを拠点に活動するフリーランス ライター。

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