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シスコ、ネットワークベースのファイアウォールにより、Swisscom⁄Bluewinの新たな付加価値サービスの創出に寄与

2004年8月30日

ジェイソン デイン、News@Cisco

景気の下降局面にあるときに、現状の帯域幅での採算性を維持しながら、カスタマーにメリットをもたらし、収益を増大させる付加価値サービスを創出するには、どうすればいいのでしょうか。

これは、今日ほとんどすべてのサービス プロバイダが直面している共通の問題です。というのも、競争の激化により、サービス プロバイダの基本的な製品である音声とデータの価値が、下落傾向にあるからです。

シスコシステムズ®では、付加価値サービスの開発が多くの事業者にとって重要な課題であるという認識を以前より持っており、シスコの社長兼CEO(最高経営責任者)のジョン チェンバーズは、昨年、この問題を、シスコのサービス プロバイダ向け戦略の主な柱である、と指摘していました。

このような問題に対しては、多くの場合、付加価値サービスをサポートする技術プラットフォームを開発することが戦略的な対策になる、と認識されています。

たとえば、最近発表された「Cisco IOS MPLS 帯域幅保証レイヤ 2 サービス」では、データ サービスにおける帯域幅を保証する「ベストエフォート」型の基本的なサービスだけではなく、高めの料金設定をする代わりにサービス レベル契約での保証を行うこともできるようになっています。

もっとも、この戦略には、サービス プロバイダと直接的な協力関係を結び、まったく新しい収益生成方法を作り出すという、シスコ独自の手法も含まれています。数か月前、スイスの通信企業Swisscomが全額出資をしているインターネット サービス プロバイダのBluewin AGにおいて、このような手法が実際にとられました。

1996年設立のBluewinは、スイスでナンバーワンのインターネット プロバイダで、市場において49パーセントのシェアを占めています。実勢でおよそ94万人のアクセス カスタマーを獲得しており、2003年末での月間ページ閲覧数は1億2,000万ページとなっています。

個人やSOHOが主なカスタマーとなっている同社では、ダイヤルアップやADSL(非対称デジタル加入者線)でのインターネット アクセスや、それに関連するe-メールなどのサービス以外にも、企業向けWebホスティング サービスなどの付加価値サービスをいくつか開発しています。

昨年、Bluewin AGは、マーケットで類を見ないユニークなサービスに着目しました。それは、家庭にいる個人ユーザ向けの中央管理型ファイアウォールです。

このアイデアの元になったのは、消費者問題を扱うスイスのテレビ番組でISPサービスのセキュリティが採り上げられたことと、コンピュータに詳しくないため自分でファイアウォールの設置ができない、あるいは設置する意志がないユーザが、Bluewinのカスタマー ベースで一定の比率を占めているという事実でした。

ファイアウォールは、ITセキュリティの基礎となるものであり、シスコの「自己防御型ネットワーク」というビジョン、つまり、ユーザとのやりとりを必要とせず、自動的にユーザをプロテクトするというビジョンでも、不可欠な要素となっています。

個人向けの基本的なソフトウエア製品は、インターネットからダウンロードして、個人ユーザの家庭のコンピュータにインストールできるようになっています。

また、ユーザがDSLルータを持っている場合には、スイッチを入れるだけで作動する、インストール済みのソフトウエア ファイアウォールも利用できます。それでもファイアウォールの導入ができない場合は、ホーム ネットワークに接続するだけで良い、独立型のハードウエア ファイアウォールも用意されています。

ただし、上記のいずれを選んでも、ユーザは指定のプロセスを適切に行わなければならず、技術面で知識が不足しているブロードバンド ユーザのなかには、それを厄介に感じる人がいるかもしれません。

いちばんの解決策は、ファイアウォールをISPのネットワーク内に設置して、サービス プロバイダがインストールの煩わしさを肩代わりし、ユーザが、セキュリティ装置の設定について間違っていないかどうか悩まなくてもよいようにすることです。

中央管理型のファイアウォールを個人のカスタマーに提供するというアイデアは、サービス プロバイダにとって画期的なものでした。

しかし、シスコと連携することで、このアイデアは簡単に実現するようになりました。Bluewinは、ネットワークのエッジでコンテンツを集約するために配備しているCisco 7301シリーズ ルータに搭載された、Cisco IOSファイアウォール ソフトウエアの柔軟性を活用したのです。

シスコとBluewinの共同プロジェクトでは、シスコ技術の新しい一面を開発したものもあります。それが、個人契約でブロードバンド ネットワークへの接続を行っているすべての個人ユーザが利用できる、ステートフルな個人向けファイアウォール サービスの開発でした。

この統合型のセキュリティ システムは、従来のソフトウエア ファイアウォールに比べて設置がより簡単になり、柔軟性と安全性もはるかに向上しました。

Bluewinは、このサービスを2003年12月より契約者向けに開始しました。料金は、6.9スイスフラン(およそ5.50ドル、あるいは4.40ユーロ)となっています。

このサービスへの反応は、ネット サーフィンが安心してできるならセキュリティにお金を支払ってもいいと考えているカスタマーは数多くいるはずだという、Bluewinの予想を裏付けるものとなりました。

2004年3月上旬の時点で、このサービスを契約しているカスタマーの数は1万3,000名にのぼりました。その数は、1年間の予想契約者数をすでに上回り、さらに毎週800人のペースで増加し続け、人口の少ないスイスで驚異的な普及率を記録しました。

サインインする際、カスタマーは、オンラインで利用するサービスのタイプに応じて、事前に用意された3つのファイアウォールの形態から1つを選ぶことができます。さらに、ファイアウォール サービスの実装自体も、ユーザとBluewinにとって簡便なものとなっています。

ステートフルな個人向けファイアウォールは、Bluewinにとって、他社との差別化を図るための有力な要素となっています。ケーブル ブロードバンド事業者では、このようなサービスを契約者に提供できないからです。

まさにこのサービスこそが、サービス プロバイダ コミュニティにとって将来の活力源となる、とシスコが信じる付加価値製品なのです。だからこそ、シスコは、これまでと同じように今後も、積極的な取り組みを続けたいと考えています。

ジェイソン デイン:スペイン バルセロナ在住のフリー ジャーナリスト

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