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フロリダ ホスピタル、ワイヤレス化を推し進める

モバイル接続で、医師と看護師がより患者の身近に

2004年4月12日

チャールズ ウォルトナー、News@Cisco

フロリダ ホスピタルは、シスコのワイヤレス技術を導入して、より患者に身近な診療を実現しました。

アドベンティスト ヘルス システムを運営母体とするフロリダ ホスピタルは、17の病院と14の救急センターからなり、患者数が年間100万人を超える、国内最大の総合病院ネットワークです。「U.S.-News & World Report」誌が選ぶ「America's Best Hospitals」でも、最近5年連続でランクインしています。

フロリダ ホスピタルは、2001年にワイヤレス ネットワークの拡張を決定しました。それまで長年にわたり、医師や看護師は患者情報の記録や確認に、院内の旧式のコンピュータ ネットワークを使っていました。このシステムでは、病床などで測定する患者の体温や血圧といった数値や投与した薬剤をまず手書きで記録し、それらを病室から遠く離れたナース ステーションなどのコンピュータ端末で改めて入力する必要がありました。こうした方法には、入力し直す際にタイプミスが起こったり、入力が後回しになってすぐにアクセスできなかったりという問題が本質的についてまわりました。しかも、治療の経過を分析しながらその後の治療方針を決めるには、多くの場合、医師や看護師が病床で直接これらの情報を確認することが必要でした。

フロリダ ホスピタルのネットワーク サービス マネージャ、ギル スタージス氏は、次のように述べています。「治療経過の分析を、各病室でもできるようにする必要がありました。医師や看護師が直接治療に当たりながら、その患者さんに関する情報をすばやく正確に入力でき、今後の治療方針の決定に必要なすべての情報が一目でわかる仕組みが必要だったのです」

最新のITを活用した診療システムを、より患者の身近で活用できるようにするため、フロリダ ホスピタルでは、シーメンス メディカル ソリューションズのモバイル診療作業カートとアプリケーションを導入したいと考えました。これは、特別仕様のアジャスタブルな台車にIBMのノートPCを搭載したモバイル コンピューティング ステーションで、ノートPC特有の電源管理の問題に対応するため、電源コンセントやコードも備えています。このモバイル コンピューティング ステーションで運用されるシーメンスのアプリケーションは、「点滴記録」、「生命活動値」(血圧、心拍数、体温など)、「X線および検査結果」という3つの患者情報を扱います。

ただし、このモバイル カートを運用するにあたっては、まずワイヤレス ネットワークの構築が必要でした。フロリダ ホスピタルでは、1997年から、看護師のノートPCに患者のカルテ情報を伝送できる独自開発のワイヤレス システムを使用していましたが、4年の間にそのシステムが時代遅れのものとなり、進歩が著しいワイヤレス分野の標準から取り残されていました。そこで、最新のワイヤレス ネットワーキング機器を徹底的に比較検討した結果、Cisco Structured Wireless Aware Network (SWAN)の主要コンポーネントであるAironetワイヤレス ネットワーキング製品シリーズが選定されました。

システムの導入は、2003年第1四半期から18ヶ月かけて行われ、7つの病院に400のアクセスポイントが整備されました。スタージス氏によると、その作業をもっと短期間で完了することも可能でしたが、フロリダ ホスピタルの場合は、予算の関係で段階的な実施になったということです。

フロリダ ホスピタルでは、有線ネットワークに使用するルータやスイッチの大部分がシスコ製ということもあって、ワイヤレス アクセスポイントにシスコの製品が選ばれたのは当然のことでした。しかし、シスコのAironetワイヤレス ネットワーク シリーズには、その既存ネットワークとの相性だけにとどまらない多くのメリットがありました。

ワイヤレス ネットワークを整備するうえで、病院という環境はとりわけ厄介なものになりやすい、とスタージス氏は述べています。たとえばX線室は、壁面が鉛で覆われているため、ワイヤレス信号が全く透過できません。また、ワイヤレス信号は、院内に設置された各種有線の医療診断およびモニタリング装置から発生する雑多な電磁波の影響にも対応できるものでなければなりません。

しかし、Cisco SWANの主要コンポーネントの一つ、Cisco Wireless LAN Solutions Engine(WLSE)を利用して、スタージス氏は、導入されるワイヤレスLANをシステムレベルで包括的に見渡しながら、作業を適切に進めることができました。とりわけ、WLSEには電磁波の影響を診断する特殊なツールが組み込まれており、干渉の問題を解決して、7つの病院をもれなくカバーするネットワークの構築を容易にしました。

スタージス氏によれば、400のアクセスポイントすべてに標準の設定を行う作業も、WLSEを使うことで自動化され、管理作業が大幅に合理化されたということです。

フロリダ ホスピタルをはじめ、守秘性が要求される医療情報を扱う機関にとって、ネットワーク セキュリティはとくに重要な問題です。加えて、1996年の「医療保険の携行性と責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act: HIPAA)」に代表される最近の法規制で、病院には、プライバシー保護とセキュリティ強化のための具体的なルールが定められました。スタージス氏は、Cisco Lightweight Extensible Authentication Protocol (LEAP)を利用して、ネットワークに対するさまざまな不正行為の影響を少なくしています。フロリダ ホスピタルでは、ワイヤレスLANのセキュリティをさらに高めるため、未承認のアクセスポイントを検知する高度な機能を含むCisco WLSEバージョン2.5を近く導入する予定です。

Cisco Aironetワイヤレス システムがもたらしたメリットは、これだけではありません。病院では、電気のスパークが、治療に使われる酸素などの気体や薬物に引火する危険があるため、電力関連設備の設置や管理が厳しく規制されています。スタージス氏は、400にものぼるワイヤレス アクセスポイントすべてに新しい電源コンセントを設置すれば、実際の作業や規制をクリアする手続に膨大な手間がかかり、ワイヤレス ネットワークの構築は大幅に遅れていたはずだと述べています。幸い、シスコが開発した特殊な技術によって、イーサネット ケーブルを利用した送電が実現したため、送電網を追加する必要性や、それに伴う規制上の懸念が一掃されました。

病院にワイヤレス ネットワークを構築するにあたっては、さまざまな実践上の課題がありますが、最大の難関は、技術の問題ではなく人の問題だった、とスタージス氏は指摘します。看護師、医師をはじめ、患者情報の記録や閲覧を行うスタッフは、それまでのやり方が身についてしまっており、最新のアプローチになかなか馴染むことができませんでした。

それでも、便利な機能があることで、ワイヤレス コンピューティングが徐々に受け入れられてきている、とスタージス氏は言います。

「スタッフの間で、ワイヤレス コンピューティングの輪が広がりつつあります。近ごろは、廊下やナース ステーションでモバイル カートをあまり見かけなくなりました。これはいいことです。できるだけ患者さんの身近で活用するという原則が生かされている証拠なのですから」

しかしあらゆるメリットの中でも、Ciscoワイヤレス ネットワークを導入した最も大きな成果は、Cisco Aironet製品が高い信頼性を実現したことだ、とスタージス氏は述べています。

「一般の企業と違い、私たちの病院は24時間年中無休でネットワークに頼っています。お客様をお待たせすることは許されないのです」

チャールズ ウォルトナー:カリフォルニア州オークランド在住のフリー ジャーナリスト

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