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シスコのテクノロジーが学校教育を変える

2004年1月7日

ジェイソン デイン、News@Cisco

テクノロジーによって教育の新たな時代が幕を開けました。教師と生徒が遠く離れて授業を行い、試験が終了するとすぐに自動採点され、キーボードとコンピュータ画面が黒板のかわりとなる、そんな時代がやってきたのです。

このような変化の最たる例が、カタルーニャです。カタルーニャは、スペインの北東部に位置する自治州で、中高生238,000人と小学生332,000人が、来る情報化時代に向け、カタルーニャ教育省が実施する野心的なプロジェクトに参加しています。

カタルーニャ全体の教育水準の向上を目指す計画の一環として、すべての生徒がコンピュータを使用し、学年ごとに用意された教材にアクセスできる環境が整えられました。また、教師に対しては、指導法を強化するための新しいテクノロジーが導入されています。

1980年代に始まった、大学進学前の教育現場に通信資源やコンピューティング資源を導入しようとする動きに端を発したこのプロジェクトは、主に、XTECと呼ばれるインフラストラクチャ ネットワーク、Clicという名のアプリケーション、教師用・生徒用それぞれのインターネット ポータルという、4つの要素で成り立っています。

XTEC(Xarxa Telematica Educativa de Catalunya:カタルーニャ教育通信コンピューティング ネットワーク)は、WAN経由で地域ハブに接続された各校の学内LANで構成されています。

学内LANには、Cisco® 800および1700シリーズ ルータが使用されており、スペインの電話会社Telefonicaが提供する4Mbpsまたは2Mbpsのブロードバンドを経由して、Cisco Catalyst® 6509および6506スイッチを装備した中央ハブに接続されています。

そして、この中央ハブは、州の大学や研究センターに100Mbpsで接続しているCatalan Scientific Ringと呼ばれるネットワークに接続し、さらにそこから、BT社やColt Telecom社それぞれが提供する10Mbpsと100Mbpsの接続を通して外部の世界につながっています。

各学校には、規模に応じて2台から500台のコンピュータが設置されており、中高では生徒約8人に対して1台、小学校では約11人に対して1台が割り当てられています。カタルーニャ教育省では、州全体での平均が、2003年には9.5人に対して1台という割合だったのを、2004年には8人程度にまで減らす計画です。

そして、このようなテクノロジーに支えられているのが、2つのポータルサイト(教師用はwww.xtec.es、生徒用はwww.edu365.com)と、教師がマルチメディア教材を作成するのを支援するClicと呼ばれるWindowsベースのフリーウェア アプリケーションを要とした、極めて高度なオンライン教育システムです。

Clicは、ゲームやパズルなど、自由な再利用が可能な教育ツールを作成するためのアプリケーションとして、カタルーニャの教師の間で広く使用されており、ヨーロッパやアメリカの学校でも普及しはじめています。最近では、Javaをサポートしたバージョンが開発され、Webページから各ツールを直接実行できるようになりました。

Clicにより、これまで115,000種類以上のマルチメディア教材が誕生し、1,000以上のカリキュラム パッケージにグループ化されています。使用言語としては、主に、カタルーニャ語やスペインで話されているその他の言語(標準スペイン語であるカスティーリャ語、ガリシア語、バスク語)が用いられているほか、英語、フランス語、ポルトガル語も使用されています。

Clicで作成された教材には、教師用・生徒用の各ポータルからアクセスできるようになっていますが、これらのポータルサイトがサポートするのはそれだけではありません。

例えば、教師用のXTECポータルでは昨年、3,500万件の電子メールを処理し、9,500万ページに及ぶWebページを配信しました。これは1日あたり約45ギガバイトの情報量に相当します。さらに、XTECでは、2,000校のWebサイトと2,500人の教師の個人サイトをホストしています。

これらの最新技術は、今年の初めに3日間の予定で開催された、カタルーニャ教育省とシスコシステムズ社の主催による会議「Education and IT: the next ten years(教育とIT:これからの10年)」で紹介されました。

その中で、シスコのインターネット ビジネス ソリューション グループで教育ディレクターを務めるBill Fowlerは、ますます増え続ける教育現場のIT化について取り上げ、テクノロジーによって学校教育がいかに変わるかについてその一端を紹介しました。

教育にテクノロジーが取り入れられるのに時間がかかった理由はとてもシンプルであるとFowlerは述べています。「黒板、チョークは故障しないが、テクノロジーはそうではなかった」ということです。教師の皆さんに提供するテクノロジーは、常に稼動することが保障されていなければなりません」

しかし、テクノロジーもついにこの難問に立ち向かえるようになり、今では「教育とITは切り離しては考えられなくなった」とFowlerは述べています。Fowlerは、これまで教育に影響を与え、そして今後、ネットワーク機器のおかげでさらに多くの可能性を秘めているものとして、特に次の5つのキーワードを挙げています。

  • Google®世代:最近の生徒は、NapsterやInstant Messengerなどのアプリケーションに慣れています。これらのアプリケーションは、使い方が簡単で、価値がわかりやすく、そしてますます多くのアプリケーションが、どこからでもアクセスできるようになっています。教育ツールにもこのような要素が取り入れられる必要があります。
  • 教師:ITへのアクセスが必要なのは子供たちではなく教師であるとFowlerは述べています。教師のためのシステム環境を整備することで、いわゆる「真正面を向いた教育」、つまり黒板に書くために生徒に背を向けるのではなく、プロジェクターで授業を行うことで、生徒と視線を合わせた授業が可能になります。
  • 競争:成績の順位づけがますます重要視されるようになっている現在、Fowlerは、教師の負担を増やすことなく学業成績の評価方法を改善すること、すなわち、評価ツールをシステムに組み込むことを目標のひとつとしています。
  • 平等:「万人のための教育」という言葉が自明の理として受け入れられている今、それを実現するために、テクノロジーは空間と時間という障壁を乗り越えることによって大きな役割を果たすことができます。しかし、簡単なアクセスを実現するために、個人のセキュリティがおろそかになるようなことがあっては絶対にならないとFowlerは述べています。
  • 予算:「教育予算にはほとんどといっていほど余裕がなく、テクノロジー アプリケーションには、コストの抑制と持続性の高さが求められます。必要とする結果を得るための成功の秘訣は、ただ単に何か行動を起こすのではなく、行動の仕方を変えることです」

ジェイソン デイン:スペイン バルセロナ市を拠点に活動するフリーライター

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