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行政機関が世界最高のサービス提供に照準を定める中東において、電子政府(e-government)が浸透

2003 年 12 月 1 日

ジェイソン デイン、News@Cisco

中東の乾いた大地は、広範な電子政府イニシアティブを育む肥沃な土壌であることが明らかになりつつあります。こうしたイニシアティブの中には、すでに行政サービスの世界最先端に位置しているものもあります。

ドバイ首長国などの行政機関は、現在のペースでいくとわずか 1 年のうちに、自動化された公共サービス システムの浸透や利用しやすさという面で、現時点で電子政府をリードしているカナダや米国、英国などに追いつくことが確実視されています。

シスコ® の中東担当事業部長であるガジ アタラーによると、この地域では過去 2 ~ 3 年の間に電子政府が軌道に乗るようになりました。「最初に電子政府に着手したのは、ドバイ、エジプト、ヨルダンの各政府でした」

「電子政府が世界的に注目され始めた頃、中東地域の政府は、これを自らの組織と、サービスを提供する住民の双方にテクノロジーの利点を提供できる手段だと考えました」

この地域で試験的に採用された最初の電子政府アプリケーションは、各政府によってさまざまでした。ドバイでは、政府は入国管理システムと警察のシステムをネットワーク化するという目的に向けて行動を開始し、ヨルダンは、市の業務処理を向上させるために電子システムを活用しました。

またエジプトでは、医療サービスや関税事務に対して、テクノロジーが導入されました。

こうした初期のテスト ケースに続き、すぐに地域全体にわたって大規模な展開が始まりました。次のような要因により、中東は電子政府プロジェクトの推進に理想的であることが判明しています。

  • 中東の行政機関は、同地域内の他国の経験から非常に影響を受けやすく、初期の成功例にすぐに倣おうとする傾向があります。
  • 中東地域の行政機関には、既存のテクノロジー インフラストラクチャがほとんど存在しないため、さまざまなテクノロジーを飛び越え、一挙に最新の IP ネットワークへと移行することが比較的容易です。
  • 中東の国民は若い世代が多く、一般的に人口の 50~60% が 18 歳未満となっています。つまり、新しいテクノロジーに物怖じすることなく、サービスに対しても高い期待を抱いています。
  • 中東のさまざまな国では、電子政府システムを通じて、従来の政府の官僚組織を容易に効率化できます。これまでの官僚組織は、外国からの投資や国内交易の双方にとって、障壁となっていました。

現在では、この地域のほぼすべての政府が、ある程度ネットワーク化した公共サービスを提供しており、カタール首長国などいくつかの国では、サービスのほぼすべてにオンラインでアクセスできるようになっています。 サウジアラビアの財務省の電子取引(e-transaction)や、数多くの市役所/警察システムなどのように、アプリケーションの大半は、世界中の電子政府の機構に見られるものと同じです。ただし、他の地域では決して見られない導入例も、多々存在します。

その最たるものは、おそらくサウジアラビアのメッカ巡礼省でしょう。毎年、回教歴 12 月 の 10 日間に、イスラム教徒が一生に一度のメッカ巡礼を行ないますが、同省はこの時期に同国を訪れる 200~300 万人の巡礼者や、他の時期にメッカを訪れる数多くの信心深い巡礼者に関する事務を監督しています。

メッカ巡礼省は、シスコや他の企業、および関係機関と協力して、2,500 万米ドルを電子政府プロジェクトに費やし、巡礼者がビザの取得からホテルの予約まで、すべてをオンラインで実施できるようにしています。このサービスをさらに向上させるために、約 1 億米ドルの追加投資も計画されています。

インフラストラクチャに関しては、中東の電子政府プロジェクトでは、ルータからスイッチセキュリティ システムストレージ エリア ネットワークワイヤレス LAN、あるいは IP テレフォニーに至るまで、シスコの製品群のほぼすべてが活用されています。

しかしシスコは、電子政府への移行をサポートするテクノロジーを提供しているだけではありません。数々のイニシアティブは、知識の伝達を促し、拡大する政府ネットワークの管理に必要なスキルが蓄積されています。

特に注目すべき例は、ヨルダンにおいて女性のネットワーク エンジニアの数を増やそうという計画です。ヨルダンでは現在、情報/通信技術の労働人口の 27% が女性となっています。

2002 年に、ヨルダンのラーニア アル アブドッラー王妃の支援のもとで開始されたこのプロジェクトは、シスコと UNIFEM(国連婦人開発基金)との共同事業であり、ヨルダンの教育省とも提携しています。

このプロジェクトには、シスコ ネットワーキング アカデミー® の方式が 10 個取り入れられています。シスコ ネットワーキング アカデミーでは、ネットワーク エンジニアの世界標準である CCNA® 認定の取得を目指してトレーニングが行なわれており、生徒の 60% 以上を女性が占めています。

このようなプロジェクトを通じて得られたスキルは、中東地域の行政機関が引き続き電子政府を維持していくなかで、計り知れないほど貴重なものとなることは疑いようもありません。アタラーは、「私たちはすでに、世界最高レベルの優れたアプリケーションの実例を、いくつか挙げることができます」と述べています。

「この地域は、アプリケーション全般のアベイラビリティのレベルでは依然として劣っていますが、今後 2 年間のうちに、サービスのプロビジョニングが大幅に向上し、ドバイ、ヨルダン、カタールなどが全世界の電子政府をリードするようになるものと考えています」

ジェーソン デイン:スペインのバルセロナを拠点に活動するフリーライター

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