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シスコシステムズ、ITU-Tの標準開発に照準

世界有数の組織との関係強化により、サービスプロバイダのIP技術導入を促進

2003年8月27日
チャールズ・ウォルトナー、News@Cisco

シスコ、ITU-TにIPを提案

シスコシステムズ社(以下:シスコ、本社:米国カリフォルニア州サンノゼ、社長兼CEO:ジョン チェンバーズ)は、過去18ヶ月間にわたり、International Telecommunications Union - Telecommunications Sector(ITU-T;国際電気通信連合電気通信標準化部門)との関係を大幅に強化してきました。その結果として、ITU-Tとその他の標準化組織、とりわけInternet Engineering Task Force(IETF;米国技術特別調査委員会)やInstitute of Electrical & Electronic Engineers(IEEE;電機電子学会)との間に立ち、インターネットプロトコル技術に関する標準の一元化に力を尽くしています。こうしたシスコの取り組みの狙いはすべて、大手サービスプロバイダの要求をよりよく理解し、それらの事業を最大限に支援するネットワーク機器を作ることにあります。

IPネットワーキング技術やインターネットに携わってきたその経歴に加え、顧客企業を重視する姿勢もあり、シスコはIETFとは以前からきわめて緊密な関係を維持してきました。しかし、従来の電話会社が、IP通信を利用したパケットベースネットワークアーキテクチャへの移行を進めており、シスコもこの移行をサポートするための機器の開発をさらに充実させていることを考えると、シスコにとっても、その顧客企業にとっても、ITU-Tの重要性はますます高まってきています。

ITU-T:インターオペラビリティの確立を目指して

サービスプロバイダ各社は、異なるベンダーによって作られたテレコミュニケーション機器間のインターオペラビリティ(相互運用性)を保証してくれる、技術仕様およびプロトコルの定義策定の支援を求め、ITU-Tに熱い視線を注いでいます。こうした定義が策定されれば、世界各国のサービスプロバイダのネットワークで音声やデータのトラフィックを効率的に交換できるようになり、インターネットや長距離国際通話などのサービスが円滑化されるからです。

シスコは、ITU-Tと積極的にかかわっていくことで、テレコミュニケーション関係の大企業にとって最も重要な技術と標準を見抜く素晴らしい洞察力を得ており、こうして得た知識を利用して、ITU-Tやサービスプロバイダの要件に合わせた機器を開発するだけでなく、製品開発コストを削減し、同時にサービスプロバイダとのより強力なパートナーシップを、そしてより風通しのよい関係を築いています。
ITU-Tは国連傘下の組織であり、そのため、世界のテレコミュニケーション標準化組織の中で最も強い影響力を持つ組織のひとつでもあります。特に、AT&T、Sprint、MCI、ベライゾン(Verizon)、SBC、Bell South、Deutsche Telecom、British Telecom、そして日本のNTTなどのテレコミュニケーション関連企業は、ITU-Tが通信機器のインターオペラビリティを保証する標準を策定してくれることを期待しています。「ITU-Tとの連携がなければ、国際通信だけでなく、国内通信さえ大きく制限されることが考えられます。もしそれが不可能でなければの話ですが」と、シスコが2000年11月にITU-T内への関与を拡大するために組織した、CSA(carrier standards and architecture)グループの事業開発部マネージャ、ラジヴ・カプーア(Rajiv Kapoor)は述べています。

シスコがITU-Tとの関係において重視しているのは、メトロイーサネット、セキュリティ、ケーブル、ワイヤレス、MPLS(multi-protocol label switching)、IPのQoS(quality-of-service)、ビデオ、IPテレフォニーなど、自社のビジネスときわめて密接な関係がある技術についてです。昨年一年間は、広範な技術標準策定のために、ITU-Tに対して何十回にもわたる提案と出資を行ってきました。

ITU-TとIETFとの架け橋を築く

CSAの主要な業務のひとつは、シスコ内部の組織や専門家と連携し、IETFで標準化されたIPネットワークキング技術を数多く取得し、それらをITU-Tに提案することで、それを通してこの2つの組織の間に立って標準の調整を促すことにあります。特に目指しているのは、同一技術や関連技術について、ITU-TとIETFが互換性のある標準を発行させることで、それにより、ネットワークの統合促進、マルチベンダー機器のインターオペラビリティの向上、サービスプロバイダやネットワークオペレータにかかるコストの低減などの目標に向かって前進することになるとカプーアは説明しています。

CSAグループは、カプーアのチームを中心として、シスコ全体の多くの作業ユニットや技術チームから選り抜かれた技術関連の専門家との調整会議を2週間に1度行っており、最高技術責任者からの情報や、シスコの標準およびポリシー関連の組織からの指導なども考慮に入れられます。CSAは、この情報をもとに、ITU-Tと共同で開発中の標準に対する見解や対応策を練り上げると同時に、IPネットワーキングやシスコの製品にとって重要な技術に関するITU-Tの会合へのシスコからの代表派遣も行っています。現在多くのシスコ社員がITU-T内で影響力のあるポジションについており、業界トップともいえるシスコの技術者たちからの情報は、非常によく受け入れられているとカプーアは述べています。

さらに、「嬉しいことに、我々のアイディアは非常に高い割合で受け入れられています」と続けています。「昨年、社内全体の専門家たちが共同で開発した技術的貢献は190を越えます。これは、これまで回線交換による電話通信を重視してきたITU-Tに対し、我々がIPやその他のパケットネットワーキング技術について最高の識見をもたらすことができることを意味しており、そのことにたいへん満足しております」

迷宮の中で

グローバルネットワーキングの標準をめぐる入り組んだ迷宮の中でシスコの参画を調整することは、決して容易なことではありませんが、カプーアはこの難しい課題をこなすに足る経験を備えています。カプーアは、AT&Tベル研究所(AT&T Bell Laboratories)で15年以上にわたり勤務した経験があり、すでに広く普及しているフレームリレーデータ転送プロトコルの中心的な開発者のひとりでもあります。ベル研究所時代、カプーアはITU-Tと深い関わりがありました。フレームリレーやATMについて、その標準化プロセス全体を通じて指導にあたっていたのです。

4年前にカプーアがシスコに移ってきた際、革新的な通信機器を生み出してきたその歴史にもかかわらず、以前の職場と比べ、ITU-Tとのつながりがずっと細いものであることに驚きました。ベル研究所で長期にわたり活躍してきたカプーアは、キャリアの世界でも極めてよく知られており、自社の事業にとってのITU-Tの重要性を理解していました。そこで彼は、CSAグループ結成を提案し、シスコがIPデータネットワーキングに関する識見をITU-Tに持ち込むよう働きかけたのです。

ITU-Tでは、標準化の作業を4年ごとの研究期間に分けています。各技術分野の専門家チームは、その4年の期間が終了する前に解決策を提出しなくてはならない技術的な課題や問題などのリストを作ります。その後チームの『rappoteur』は調査を進め、それらの問題に対し個々に回答や提案を作成します。通常rappoteurは世に認められた専門家があたり、彼らは世界中の通信関連企業と徹底的に話をして、その問題に対する最善の対応策を確立したり、世界各国で情報収集のための会合や会議、ワークショップなどを実施したりします。彼らの提案は新しい技術標準に向けての提案となり、それはITU-Tの全加盟国が参加して決議をとるという民主的な承認審査方式を経ることとなります。ここで承認された提案が、各メーカーが製品開発を行う際の世界標準となるのです。

「ITU-Tがきわめて重要だというのは、このためです」とカプーアは述べています。「このようなプロセスにより、ITU-Tは世界中のサービスプロバイダの意向をきわめて正確に反映した技術標準の開発が可能となるのです。そしてこれこそが、シスコがITU-Tとかかわりを持つ最も重要な目的なのです」

チャールズ・ウォルターズ:ビジネスジャーナリスト。
問い合わせ先:cwaltner@pacbell.net.

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