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TechNet、米国政府にブロードバンドの普及を目指した総合的な政策の立案を呼びかけ

シスコ CEO と TechNet議長が、ブロードバンドの文化的、経済的利点を説明

2003 年 7 月 24 日

ブロードバンド通信の発展促進を目的とする業界コンソーシアム、 TechNet が、2003年7月24日にサンフランシスコの Moscone Center で行われた、全米州議会議員連盟(National Conference of State Legislatures)の年次総会で、パネル ディスカッションを主催しました。 全米から100 名以上の州議会議員が出席した今回のパネル ディスカッションでは、「米国におけるブロードバンド」というテーマのもと、ブロードバンドの普及と需要に影響をおよぼす州政策の検証が行われました。 パネリストととしては、TechNet の CEO である Rick White 氏、シスコシステムズの技術ポリシー担当ディレクターのJeff Campbell、DynamicCity のMoscone Center の取締役副社長の Joel Sybrowsky 氏、Michigan Broadband Development Authority の COO であるRobert Filka 氏らが参加しました。司会進行は、サウスダコタ州の州議会議員である、Mac McCracken 氏が務めました。このイベントは、各州のブロードバンド政策と活動を評価、ランク付けした、TechNet の総合レポートのリリースが発端となっています。レポートでは、「State Broadband Index」も掲載され、ブロードバンドの普及に公共政策がどの程度貢献したかという視点から、トップ25の州のランクが発表されています。

先日、Rick White氏とシスコのCEOである ジョン チェンバーズ に対して、News@Ciscoでは、ブロードバンドの文化的および経済的利点と、低価格のインターネット アクセスを広く普及させるために州政府が担う重要な役割について訊ねました。

昨年、TechNet、シスコと他の業界リーダーたちが、2010年までにブロードバンドを全国規模で普及させるためのステップを記したレポートを発表しました。米国では、予定通り進捗しているのでしょうか?

Rick White: 昨年TechNetが設定した、長期の目標と目先の目標は、現状ではどちらも努力が必要ですが、達成は可能であると考えています。充分なリソースを投入すれば、ケーブルとDSLの普及に関しては、目先の目標の達成は可能です。長期の目標でも、現状のファイバおよびイーサネット技術、それにブロードバンドに対する国からの強力な支援といった事柄に関しては、達成することができます。

米国は、ブロードバンドの普及を着々と進めています。2002 年 12 月現在では、連邦通信委員会(FCC: Federal Communications Commission)の報告によると、高速回線の数は1999 年12 月の時点より 280 万本増えて1,990万本となっており、3 年間で 622 パーセント増加しています。ブロードバンド浸透度(1 人当たりの回線数)は、今回1パーセントから7パーセントに増えています。2000 年以降、我々は、情報格差を埋めるための努力を続けており、米国全体を郵便番号で分類したところ、ブロードバンド アクセスができない地域は 25 パーセントから12パーセントに減少しました。

新たなブロードバンド投資に対しては、回線卸売り料の支払い義務を緩和するという、先日の連邦通信委員会の決定にも、我々は力づけられています。2003 年 3 月に FCC が行った、この新政策の発表を受けて、大手通信企業のいくつかは、ブロードバンド ネットワークへの投資増額計画を発表しました。

我々の信念には変りはなく、大切なことは、野心的な目標を設定して、連邦と州の両方のレベルでの政策環境を整え、最終的には、類を見ないほどエキサイティングなブロードバンドのアプリケーションやサービスを実現する高速ブロードバンド ネットワークへの投資を促進することなのです。

国規模でのブロードバンド政策の立案は、現時点ではどの程度進捗しているのでしょう?

Rick White:国規模でのブロードバンド戦略の構築という点では、合衆国は、他の先進工業国に遅れをとったままです。国家戦略と野心的なブロードバンド普及目標が緊急の課題であるという、我々の考えには変りがありません。

もっとも、進歩の兆しもあります。ブッシュ政権は、ブロードバンド普及を優先課題にしました。NTIA(電気通信情報局)、商務省、FCC は、ブロードバンドの普及に影響を与える政策を実施するために、リーダーシップを発揮しています。大統領科学技術諮問委員会(PCAST: President's Commission on Science and Technology)も、影響力のある提案を行っています。

また、議会メンバーが党派を越えてリーダーシップを発揮してくれているのも、とても喜ばしく思っています。高速ネットワークだけでなく、その普及を促進する具体的な政策立案も重要であるということは、広く認識されています。

昨年、シスコは、最大の政策目標は州レベルでブロードバンドの導入を増やすことである、と指摘し、政策立案者たちの教育が、目標を達成するためには不可欠であるとしていましたが、進捗状況はいかがでしょう? そして、シスコの課題は今も変っていないのでしょうか?

ジョン チェンバーズ:ブロードバンドの普及は世界的に進んでおり、今後も続くでしょうから、シスコにとっては重要な課題であることに変りはありません。我々は、この課題がデジタル時代が全盛を迎えるようにするためのパズルの、いちばん重要なピースだと考えています。州の政策立案者たちと共に仕事をし、ブロードバンドが経済および生産性に及ぼす潜在能力を理解してもらうことは、米国全体にこの重要な技術を普及させるために、きわめて重要な役割をはたしています。先進的な考えを持つ、多くの公選のリーダーや州の監督機関は、インターネットを介しての先進的な通信技術の価値を認識しており、ブロードバンドが速やかに普及されるように積極的に活動をしてくれています。

現在の予算状況では、多くの州政府では新しいプロジェクトに多くのお金をかけることはできません。一方で、我々は、どうすればブロードバンドの普及が加速するかを、今後も州のリーダーたちに知らせてゆかなければなりません。なぜなら、予算が割かれるようになったときや規制が緩和されたときには、彼らがコミュニティーや州に影響力を発揮して、ブロードバンドの普及が促進されるようになるからです。州政府が主にすべきことは、必ずしもインフラストラクチャに直接投資することではなく、むしろ法的な妨げを除いたり、ブロードバンド インフラストラクチャに重点を置いた政策を策定したりすることなのです。このためのステップとしては、光回線や他の高速通信回線の敷設認可を迅速化すること、州レベルでのブロードバンド戦略の策定、民間部門の投資を増やすための政策立案、普及の遅れたコミュニティーで高速アクセスを普及させるためのインセンティブなどが考えられます。

ブロードバンドの導入を促進するために業界リーダーにできることで、シスコから他の業界リーダーに対してアドバイスはありますか?

ジョン チェンバーズ:シスコは、世界中の公選役職者や監督機関にブロードバンドの重要さを伝えるためにあらゆる努力を払っていますが、業界のリーダーが我々のメッセージをさらに肯定すれば、州政府もユビキタスなブロードバンドの接続性を促進するために必要な対策を一層進めることができるのではないでしょうか。ほとんどの企業が理解しているように、安価で、高速のアクセスは、ビジネスでは大きな利点となります。さらに、州のリーダーたちが企業や産業の自分の州への誘致を望む場合には、すでにブロードバンドが広く普及している他の州に対して比べて不利な立場にはなりたくはないでしょう。

業界が、自社の社員の生産性を向上させながらブロードバンドを普及させる方法としては、社員がブロードバンドに加入するのを助成するということもありえるでしょう。シスコでは、社員が家庭でブロードバンドを利用するときには助成金を支払っています。当社では、これを双方に有利な提案だと考えています。というのも、社員が1か月に1時間でも家庭で仕事を追加でするようになれば、ブロードバンドの接続費の元がとれる、という発想が根本にあるからです。当社の社員は、こちらが想定した以上に家庭で仕事をしているということもわかりました。また最近では、社員は、家庭で修理作業員を待っているときや病気の子供の世話をするときにも、生産的になれるのです。業界の他社がこのモデルを導入するようになれば、ブロードバンドの普及も自然に進み、企業の生産性も向上するでしょう。

ブロードバンドの普及と経済のリーダーシップは、どの程度関係があるのでしょう?

Rick White:State Broadband Indexで述べられていますように、最近の研究で、ブロードバンドと経済のリーダーシップの関係はさらに緊密になっていることが明らかになっています。ミシガン州経済開発公社の概算によれば、過去10年で、州内総生産は4,400億ドル増加し、500,000 の雇用機会が新たに創出されました。また、カリフォルニアの Corporation for Education Network Initiatives に提出された別の研究では、過去 10 年間、ブロードバンドの普及が進んだために、州内総生産が 3,760 億ドル増加し、200 万の雇用機会が創出されたと推定しています。国全体では、ブロードバンド ネットワークは120 万の雇用機会を新たに創出すると推定されています。

さらに、韓国の最近の経済状況が、良い見本になるでしょう。同国は、経済危機に見舞われながらも国全体でブロードバンドに大規模な投資を行い、見事な結果を出したからです。最近の New York Times の記事によれば、現在では韓国のIT部門は同国経済の約13パーセントを担うまでになっているそうです。

ジョン チェンバーズ:ブロードバンドの普及のために国がリーダーシップを発揮するようになれば、経済におけるリーダーシップや生産性の向上に直接結びつけることができるのです。アメリカ大陸や他の地域の国々が、素晴らしいハイウェイ システムや、信頼できる電話網など、人々が日々の仕事をこなすための強固なインフラストラクチャによって恩恵を得ているように、米国も強固なブロードバンド インフラストラクチャから恩恵を得るようになるのです。ブロードバンドは高速で、インターネットに常時接続できるだけではなく、お客様にとっては製品とサービスをデリバリーするメカニズムであり、社員にとっては生産性を高めるツールなのです。ブロードバンドにより、インターネットを介して、ビデオ会議や通信教育、テレメディスン、遠隔共同作業、オンデマンド映画など多くの素晴らしいアプリケーションを機能させることができます。これらのアプリケーションは、生産性の向上には不可欠なものです。ブロードバンドネットワークのこのような利点を享受できるのは、過去 10 年間では、大企業や中規模の企業だけに限られていましたが、これからはあらゆる企業やお客様がネットワークが提供する経済的、社会的利点を等しく共有できるにようにならなければなりません。

今年度のレポートを参考に、州ぐるみでもっとも革新的なブロードバンド プロジェクトに取り組んでいる例を挙げていただけますでしょうか?

Rick White:ミシガンのブロードバンド プロジェクトが、群を抜いて大胆な州政策と言えるでしょう。これまでの計画をすべて取り消すことから始めて、地方や普及の遅れている地域にブロードバンドを普及させるために Broadband Authority を設立し、認可を簡素化する一連の施策により普及の促進をはかろうとし、税の優遇政策も採用しているのですから。

とはいえ、State Broadband Index の特長は、国中の素晴らしいブロードバンド プロジェクトを掲載しているところにあります。それぞれの州が、あらゆる市民がブロードバンドで恩恵を受けるのだと、立証しているのです。たとえば、アクセス費用を安くしてほしいという要望を集めて、地方や普及の遅れている地域にまでネットワークを拡大させる原動力にしている州がいくつかあります。オハイオ ブロードバンド リンクでは、ビジネス上の要望を集めて、民間部門からの新たな投資を促進しようとしています。この場合、州の費用は管理費だけになります。

アイオワ州などでは、州全体にわたるネットワークの構築を推奨していて、州内各所にある政府施設での音声、動画、インターネット接続を目指していました。その結果、K-12(幼稚園から12 年生までのこと)の生徒向けの遠隔地での学習プログラムや高度教育センターなどの革新的なアプリケーションにより、住民たちはこれまで経験したことのないリソースやバーチャル ツアーへのアクセスが可能になりました。

地元では、カリフォルニアはブロードバンド ネットワークの構築だけでなく、次世代アプリケーションの開発も率先して積極的に進めており、ブロードバンド需要の刺激と教育などの重要なサービスの向上を目指しています。シスコも参画している、Corporation for Education Network Initiatives in California (CENIC)では、カリフォルニア州の 600 万人の K-12 の生徒と先生に次世代のインターネット リソースを提供するために、州の高性能ネットワークを 58 の郡すべてに拡張させています。

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