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ハワード・チャーニー上級副社長が語る、インターネットの「拡張」期


2003年1月14日

文:ジェニー・カーレス(ニュース@シスコ)

今月のCOMDEXスカンジナビアで行った「インターネットの輝かしき未来」と題された基調講演において、シスコの上級副社長ハワード・チャーニー氏は、今後インターネットがどのようにして最高の状態に至るかを話しました。チャーニー氏は社長室で仕事をこなす傍ら、大きなイベントで基調講演を行ったり、企業や政府、その他世界中の組織でインターネット戦略のアドバイザーを務めています。

ニュース@シスコではチャーニー氏にインタビューを行い、インターネットが世界中に広く普及したことの影響について、そしてインターネット革命によって長きにわたる経済拡大期がやって来ると氏が考える理由について、お聞きしました。

多くの評論家が「インターネット・バブル」は弾けたと考えているのに、どうしてインターネットに対して楽観的でいられるのでしょう?

ハワード・チャーニー: 私は歴史をおさらいしているだけなのです。主要な技術革命はすべて、私が「三つのB」と呼ぶ、予測可能なサイクルを辿ってきました。すなわち、ブーム(Boom)、バースト(Burst:破裂)、ビルド・アウト(Build-out:拡張)ですね。そして、インターネットも例外ではありません。

まず、「ブーム」がありました。高揚期で、起業家、投資家、先物買いの人々が製品に殺到しました。それから、「バースト」。厳しい経済状況のもとにある、現在のインターネットですね。最後、比較的短い「バースト」期間に続き、強烈な「ビルド・アウト」がやって来ます。

このようなサイクルを経験した技術革命としては、ほかにどのようなものがあるのですか?

ハワード・チャーニー: 電球、機関車、電話、テレビ、自動車、飛行機など、みんなそうですね。

自動車の場合をお話ししましょう。1886年、カール・ベンツが初めて自動車両の特許をとると、その後20年間で「ブーム」がすさまじい勢いでやって来ました。そして、1929年のあの10月、株式市場の暴落によって大恐慌時代が始まり、アメリカの自動車産業のブームも一気に終焉を迎えました。「バースト」期には小さな自動会社が数千も設立されましたが、アメリカではフォード、GM、クライスラーというビッグ3だけが生き残りました。

ただし、開発とイノベイションーたとえば、V-8エンジン、パワー・ステアリング、電気式の方向指示器、セーフティ・グラスーは継続して行われていたので、最終的には持続的な「ビルド・アウト」期を迎えることになりました。1950年代には、経済的な「ビルド・アウト」は確実になっていました。

つまり、「ブーム」、「バースト」、「ビルド・アウト」は、技術革新の自然な進化過程なのです。

インターネットは、確信していらっしゃるように現在の「バースト」期を生き残り、「ビルド・アウト」期に到達できるのでしょうか?

ハワード・チャーニー: インターネットは、すでに世界の多くの場所で日常生活に欠くことのできないものとなっており、日ごとに大きな流れとなっています。

グローバルなインターネット・コミュニティが成熟するにつれ、通信量は増大する傾向にあります。たとえば現在では、1日に80億通のeメールがやりとりされているわけです。モビリティへの欲求も同じことで、モバイル・インターネットのユーザ数は2007年には9億3,400万人にも達すると試算されています。

自動車の世界でイノベイションが「バースト」期にも継続されていたのと同じように、現在も技術を利用するために、類を見ないほど大規模な投資が行われています。バイオメトリックスやストレージ・エリア・ネットワーク、セキュリティ、e-ラーニングはいずれも大きな進化を経ています。

あなたはインターネットを「破壊的技術」と表現しています。その表現の意味と、そのように表現する理由をお聞かせ下さい。

ハワード・チャーニー: ハーバード・ビジネス・スクールのクレー・クリスチャンセンは、破壊的技術を既存のマーケットに突如割り込んでくる新製品と定義しています。

破壊的技術はまったく不意にシーンに登場し、周辺的な発明に強烈な脚光を浴びせて、主要マーケットの様相を一変させます。たとえば、相互接続ということがなければ、PCは現在のようにマーケットに広く浸透していなかったでしょうし、PCがなければ、インターネットも企業、コンシューマにとってさほど価値あるものにはなっていなかったでしょう。しかし、これら技術が結びつき、技術の周囲には一群の発明があったため、世界全体の通信はまったく新たな方向に向かうことになったのです。まさに、破壊的技術ですよね。

IPテレフォニの登場がインターネットにとってもっとも「破壊的なイベント」の一つであるとおっしゃっておられますが、このことについてもう少し詳しくお話しいただけますでしょうか?

ハワード・チャーニー: IPテレフォニは集約型マーケットに対するクラシックな対応であり、変更や新機能の追加は単純で、安価なものになっています。Voice-over-IPのコールは、民間あるいは公共のデータ・ネットワークを通るので、複数の場所に事業所を持つ企業は社内間通話のコストを削減することが可能になります。さらに、IPフォンは移動通信も実現します。従業員は、オフィス内の内線を外にまで延長させることができるのです。予想通り、IPテレフォニの市場規模は、2000年の70億ドルから2005年までには200億ドル近くにまで拡大すると予想されています。

IPテレフォニやインターネットが可能にする他の技術で注目すべき点は、インターネットと歩調を合わせた集約化が、生産性を向上させるための仕組みになっているいうことです。

たとえばインターネットのビルド・アウトへの投資という観点からあなたのお話を立証しようとすると、条件の一つとして、「ビジネスモデルが機能しなければならない」ということがあります。インターネット革命という流れで見た場合、ビジネスモデルとは生産性に基づくものである、と考えてよろしいのでしょうか?

ハワード・チャーニー: 技術革命には投資が必要です。そして、現在の投資家は数年ではなく、数か月か何回かの四半期のうちに見返りがあることを望んでいます。そのような状況でROI(投資収益率)を迅速に向上させる唯一の方策は、生産性を高めることです。

過去10年間、IPインフラストラクチャの導入やビジネス・プロセスの自動化、ビジネス・ツー・ビジネス・コマースにより、多くの企業がコスト削減と生産性の向上を行ってきました。たとえば、シスコは自社内でのインターネット・プロセスにより、2002会計年度には19億4,000万ドルを節約しましたし、ジェネラル・エレクトリックは2001年、事業のデジタル化で19億ドルを節約しました。このような方法で生産性を向上し、コストを削減することで、企業や政府は経済情勢が厳しいときであっても技術投資を、比較的自由に行えるようになるのです。

いま、我々はインターネット革命の技術を利用することで、企業や国家全体の生産性や繁栄が保たれる、新たな時期に移行しようとしているのです。歴史が繰り返すとすれば、過去の主要な技術革命でも見られた予測可能なサイクルの中に我々がいることがわかるでしょうし、経済成長が持続する時期がこれからやって来ることもわかるでしょう。

ジェニー・カーレスは、カリフォルニア州サンタクルーズを拠点とするフリーランス・ライター。

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