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Q&A オム・ティックとビリー・ムーン

移動するルータ:モバイル・ネットワークの活性化


2002年10月28日

チャールズ・ウォルトナー、ニュース@シスコ

新しいテクノロジーを一から生み出すのは、決して楽な仕事ではない。ビリー・ムーンとオム・ティックに聞いてみる。

ムーンとティックは、業界初の移動体用高性能IPベース・ワイヤレス・ルータであるCisco 3200 Series Mobile Access Routerの開発の先頭に立ったシスコのエンジニアである。この画期的なテクノロジーを発明し、磨き上げるには、合わせて3年間にも及ぶ、両者とエンジニアリング・チームの共同の努力が必要であった。その期間、彼ら二人は無数の技術的挑戦に直面したが、その都度、独創的なソリューションとプロジェクトの可能性に対する確固たる信念によって問題を解決してきた。

シスコのTechnology Centerに勤務するムーンとそのスタッフは、プロトタイプを作成し、マーケットの可能性を調査することからプロジェクトを開始した。基本モデルを作成し、有望なマーケットを認識した段階で、SOHO & Mobile Access部門に属するTikuと彼のチームは、シスコの顧客の声に熱心に耳を傾け、顧客の具体的な要求に合わせてルータを精緻化した。この9月に、シスコは、3200 Series Mobile Access Routerの初の商用リリースを発表した。

News@Ciscoは、先日、 3200 Series Mobile Access Routerとモバイル・ルータの作成という挑戦的な取り組みについて、ムーンとティックにインタビューした。

3200 Series Mobile Access Routerの独自性とは何でしょうか?

ビリー・ムーン: 多くのワイヤレス・デバイスと違って、Cisco 3200 Series Mobile Access Routerは、タイプの異なるワイヤレス通信システム全体で動作することができます。たとえば、携帯電話のユーザーは、その携帯電話ネットワークで提供されている情報にしかアクセスできません。しかしながら、Mobile Access Routerは、携帯電話、WiFi、衛星などのさまざまなワイヤレス送信システムでワイヤレス接続を維持できます。そして、他のルータと同様に、各種デバイスの接続をホーム・ネットワークに合わせます。本質的に言うと、車両内でミニチュアLANを作成するということです。有線ネットワークに接続できるデバイス、特にノートブック・コンピュータ、PDA、テレメトリ装置、GPSレシーバなどのあらゆるタイプのデバイスがMobile Access Routerに接続できます。これらのデバイスは、ケーブルで結ばれたオフィスのコンピュータのようにLANを介してルータと通信するだけです。このようにして、これらのデバイスは相互に交信したり、共通のインターフェースで情報を共有できます。

乗り物を基点としたデータ・アクセスが必要な公共機関や軍隊などの組織を対象にしたモバイル・コンピューティング製品はマーケットに数多く存在しますが、Cisco 3200 Seriesは、他の製品とどういう点で異なるのですか?

オム・ティック: 他の製品はほとんどが独自仕様であったり、IP標準に基づくソリューションを提供しません。ここからは2つの問題が生じます。1つは、これらの製品を他のシステムやネットワークと相互運用することが不可能になります。もう1つは、ハードウェアとソフトウェアをすべて1から独自に設計する必要があり、また容易にアップグレードできないため、非常に高価になることです。これに対して、私たちは、3200 Series Mobile Access Routerを、シスコにすでに存在する豊富なテクノロジーと共に既存の業界標準に基づいて作成しています。

3200 Seriesは非常に小型ですが、すべての機能を統合しながら、どうやってこのルータを小さくしたのですか?

オム・ティック: これには、いくつかのポイントがあります。私たちは、業界標準のPC/104-Plusカード、高性能プロセッサ、そして高集積化されたコンポーネントを使用しました。PC/104-Plusカードのサイズは、3.5" x 3.8"(約8.9 x 9.6cm)です。この製品は、スペースと電力が重視される移動車両を対象に設計されているので、サイズを小さくすることが絶対に必要でした。このような小さなカードに多くの必要機能を盛り込むのは、決して楽な作業ではありませんが、チームの決意と創造性のおかげで、この目標を達成できました。

Cisco 3200ルータの開発にあたって、最も難しかったことは何ですか?

オム・ティック: この種の製品は、以前に一度も作られたことがありませんでした。シスコにも、業界にも、手本とすべき前例がありません。それで、軍隊、公共安全機関、自動車業界など、さまざまな分野から寄せられた仕様を深く検討して、ルータの作成方法を決定しなければなりませんでした。私のチームが対処しなければならなかった主要な難題と言えば、標準に従いながらバッテリー駆動の小型ルータを作成するということがありました。サイズと電力が制限されながら、このルータには、陸地、大気、海洋による車両移動時の環境変化に耐えながら、拡張性とスケーラビリティを備え、高性能であることも求められました。さらに、公共安全組織や軍隊の基幹アプリケーションで使用されるため、優れた信頼性と可用性も必要でした。

3200 Mobile Access Routerに一番関心を示しているのはどのような組織ですか?

ビリー・ムーン: このプロジェクトが3年以上前にスタートしたときに、このようなテクノロジーに最初に関心を示したのは自動車メーカーです。しかし、私たちの研究開発作業で、米軍も外国の軍隊も、野外でのさまざまな情報通信システムを制御するためにモバイル・ルータに非常に関心を示していることが分かりました。これで、モバイル・ルータのビジネス・ケースが実際にスタートしたのです。軍隊はフォーカスト・マーケットですが、重要であり、需要は大でした。

オム・ティック:このプロジェクトを私の部門で開始したとき、私たちは、もっぱら軍隊の顧客に着目していましたが、すぐに警察などの公共安全機関も強い関心を示しました。これらの機関にとって、3200 Series Mobile Access Routerが業務上不可欠な案件であることが分かったのです。公共安全機関は、通常、いくつもの独自ネットワークとポイント製品を使って、さまざまな情報を収集します。たとえば、警察官の場合は、車に3台から4台のデバイスを搭載し、デバイスごとに異なるネットワークに通信することもあります。3200 Seriesは、業界標準を使用する1台のデバイスにさまざまな製品を統合し、異なるネットワーク間でシームレスな接続を実現します。公共安全機関や軍隊の関係者は、移動車両の中で、1台の3200 Seriesルータを使ってデータ、音声、ビデオなどの情報にシームレスにアクセスできます。ここ数ヶ月間は、多くの航空会社や運送会社からも注目されています。航空会社の場合は、運航中の機内でインターネット・アクセスを乗客に提供したいのです。

チャールズ・ウォルトナーは、米カリフォルニア州オークランド在住のフリー・ライターです。

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ビリー・ムーンとオム・ティックがMobile Access Routers 3200について語る
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