日本版 ニュースリリース

NICTとURCF、皆既日食 4K 超高精細全天映像の伝送に成功


NICTとURCF、皆既日食4K超高精細全天映像の伝送に成功

現地の様子を極めて高い臨場感で再現、皆既日食の神秘的な光景が遠く離れた場所でも体感可能に

2009年7月22日、独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)と超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF)は、「7.22皆既日食超高精細全天映像ライブ伝送上映一般公開実験【神秘の皆既日食 from 奄美】」を、大阪・ABCホールにて実施しました。この実験は、奄美大島で魚眼レンズ付きの4K高精細カメラによって撮影された全天映像を、国内最大級の学術研究用ネットワーク「SINET」やNICTが運営する研究開発用ネットワーク「JGN2plus」などを介して大阪・朝日放送に伝送し、ABCホールに設置された超臨場感デジタルプラネタリウムで上映するというものでした。4Kとはハイビジョンの4倍の情報量を持つ映像であり、このような高精細全天映像のライブ配信は、世界でも初めての試みでした。なお、この映像はABCホールの他、けいはんなプラザや大阪市立科学館、つくばエキスポセンター、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)などにも配信されました。

実験に先立ち、NICT 理事の松島雄一氏、総務省 近畿総合通信局長の稲田修一氏、朝日放送 代表取締役社長の渡辺克信氏が挨拶を行いました。NICT けいはんな研究所の南圭次氏とNAIST 情報科学研究科の油谷暁氏が、実験の概要を紹介しました。さらに和歌山大学で研究支援員を務める荻原文恵氏が日食のメカニズムを解説し、その後、撮影現場で指揮を執る和歌山大学の尾久土正己教授による現地レポートを交えながら、奄美大島における皆既日食の様子が、リアルタイムで全天上映されました。

この日の奄美大島はあいにく曇りがちの天候で、残念ながらダイヤモンドリングをはっきりと見ることはできませんでした。しかし、皆既日食が始まると西の空から闇が迫り、その後南の空に夕焼けのような輝きを残しながら空全体が暗くなり、次第に西から明るくなっていく様子をはっきりと体感することができました。「現地で皆既日食を観測していると、あたかも宇宙の中にいるような、いわば神の視点を味わうことができます。これまでの映像ではリアルなイメージがなかなか伝わりませんでしたが、今回の超高精細な全天映像により、これまで表現できなかったことが表現できたと思っています」と尾久土教授は述べました。

この実験のキーワードは大きく5つあると、NAISTの油谷氏は説明します。「世界初」「全天映像」「4K超高精細」「多地点からのライブ中継」「産学官の連携」です。実は今回の実験では、奄美大島からの4K全天映像のほか、武漢(中国)、上海、硫黄島からも皆既日食の映像が伝送されました。これらの映像はすべて大阪・朝日放送に集約され、そこからABCホールやけいはんなプラザ、大阪市立科学館、つくばエキスポセンター、NAISTなどへと配信されています。

奄美大島は曇りがちの天候でしたが、硫黄島ではダイヤモンドリングがはっきりと観察できました。このように、多地点からの映像がリアルタイムで伝送されたことも、今回の実験の重要なポイントでした。

そして、ここで中核的な役割を果たしたのが、JGN2plusと朝日放送に設置されたCisco CRS-1です。4K映像を非圧縮で伝送するには、6.5Gbpsの高速ルーティングが必要となります。また今回は4K映像の他に、ハイビジョン(2K)による平面映像の伝送なども行われたため、さらに広い帯域が必要となりました。JGN2plusと朝日放送の間のトラフィック量は25Gbpsに達していましたが、Cisco CRS-1はこのデータ伝送をリアルタイムで、問題なく処理できることを実証しました。

朝日放送からABCホール以外への映像配信では、Catalyst 3560E/3750Eが活用されました。この製品は複数の物理スイッチをひとつの論理ユニットとして構成できるため、柔軟に帯域幅を拡張できます。けいはんなプラザでは4K全天映像のライブ上映、NAISTでは4K全天映像と2K映像が同時に上映されましたが、これらのデータ伝送も問題なく行われました。

さらに今回の実験では、Cisco Unified IP Phone 7985Gも重要な役割を果たしています。実験の司令塔の役割を果たす「ウォールーム」、ABCホールの副調整室、奄美大島の撮影現場にこのビデオフォンを設置し、これらをIPネットワークで接続することで、音声と映像によるきめ細かいコミュニケーションが可能になりました。またABCホールロビーにもIP Phone 7985Gが設置され、尾久土教授のプレスインタビューも行われました。

ライブ伝送実験は午前中に、成功裏のうちに幕を閉じました。引き続きこの日の午後には、収録された4K全天映像の上映も行われ、一般公募によって選ばれた約100名の人々が、ABCホールで皆既日食の空を体感することができました。この映像を見た人々は「空の変化が美しかった」「まるで現場にいるようだった」とコメントしていました。

その一方で尾久土教授は、今後さらなる臨場感を追求したいと語っています。「今回行ったのは4K全天映像の伝送でしたが、肉眼の分解能の限界まで追求するには10K映像が必要です。またダイナミックレンジも拡大できれば、さらに臨場感が出てくるはずです。今後は映像や音だけではなく、現場の温度や風までも再現し、五感で感じられるようにしたいですね」

この実験の成功は、超高精細映像の伝送がもたらす新たな可能性の一端を、具体的な形で私たちに示したといえます。このような技術を活用すれば、皆既日食だけではなく、オーロラなどの様々な自然現象や世界各地の世界遺産なども、現地に行くことなく体感できるようになるでしょう。また臨場感の高い映像伝送は、遠隔地とのコミュニケーションのあり方も、根本から変える可能性があります。ネットワークの進歩は私たちの体験に、大きな変革をもたらしつつあるのです。

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