呼処理およびコール アドミッション制御の概要
この章では、特に IPv6 に適用される呼処理およびコール アドミッション制御について説明します。
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この章では、特に IPv6 に適用される呼処理およびコール アドミッション制御について説明します。
ここでは、IPv6 設定情報とともに、IPv6 の呼処理操作に対するいくつかの変更点について説明します。Cisco Unified Communications Manager(Unified CM)を使用したスケーラブルで復元性のある呼処理システムの設計については、http://www.cisco.com/go/ucsrnd で入手できる『Cisco Collaboration System Solution Reference Network Design (SRND)』を参照してください。
IPv6 の呼処理を有効にするには、最初に次の手順に従って Cisco Unified Communications Manager(Unified CM)クラスタ全体で IPv6 を有効にする必要があります。
サーバ オペレーティング システム(OS)のコマンド ライン インターフェイス(CLI)または Cisco Unified Operating System Administration のグラフィカル ユーザ インターフェイス(GUI)を使用して、Unified CM クラスタ内の各サーバで IPv6 を設定します。
Cisco Unified CM Administration で IPv6 を設定します。
ステップ 1 |
set network ipv6 service enable コマンド使用して IPv6 を有効にします。 |
ステップ 2 |
set network ipv6 static_address <addr> <mask> コマンドを使用して、サーバのスタティック IPv6 アドレスを設定します。DHCPv6 クライアントもサポートされていますが、そのクライアントを使用することは推奨しません。 |
ステップ 3 |
プラットフォームの IPv6 アドレス設定を表示するには、show network ipv6 settings コマンドを使用します。このコマンドの出力例は次のとおりです。
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アドレスを設定するには、 を選択します。次の図は、Cisco Unified Operating System Administration GUI を使用して、サーバ プラットフォームの IPv6 アドレスを設定する方法を示しています。 |
サーバ プラットフォームの IPv6 アドレスを設定した後、Cisco Unified CM Administration を使用して Unified CM サーバごとに IPv6 アドレスを定義します。 フィールドに IPv6 アドレスを入力します。この IPv6 アドレスを使用して、IP Phone は TFTP サーバからダウンロードした設定ファイルから、この Unified CM の IPv6 アドレスを取得できます。
を選択し、[IPv6名(IPv6 Name)]Unified CM Administration で [エンタープライズパラメータ(Enterprise Parameters)] ページの [IPv6] および [電話のIPv6(IPv6 for Phones)] を使用して、次のクラスタ全体の IPv6 設定を Unified CM サーバごとに設定できます。
[IPv6の有効化(Enable IPv6)]([はい(True)] に設定)
[メディア用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Media)]([IPv6] に設定)
[シグナリング用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Signaling)]([IPv6] に設定)
[電話の自動設定を許可(Allow Auto-Configuration for Phones)]([オン(On)] に設定)
IPv6 を有効にするには、このパラメータを [はい(True)] に設定します。デフォルト設定は [いいえ(False)] です。
このパラメータには 2 つの設定オプションがあります。
IPv4(デフォルト)
IPv6([IPv6] に設定)
このクラスタ全体の [メディア用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Media)] は、デバイスレベルの IP アドレッシング モードとは異なり、次の 2 つの目的で使用されます。
クラスタ全体の [メディア用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Media)] は、2 つのデュアルスタック デバイス間でコールが行われたときに、メディア用に使用する IP アドレッシング バージョンを選択するために使用されます。
クラスタ全体の [メディア用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Media)] は、2 つのデバイス間でサポートされている IP アドレッシング バージョンが一致しない場合にも使用されます。IPv6 専用デバイスが IPv4 専用デバイスにコールする場合、メディア パスに MTP を挿入して IPv4 と IPv6 を変換する必要があります。通常は、両方のデバイスのメディア リソース グループ(MRG)に、デバイスで利用できる MTP メディア リソースが含まれています。クラスタ全体の [メディア用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Media)] により、コールの IPv4 と IPv6 の変換に使用されるデバイスの MTP が決まります。
MTP リソースの割り当てについては、メディア リソースと保留音の概要で詳しく説明しています。
クラスタ全体の [シグナリング用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Signaling)] は、[シグナリング用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Signaling)] が [システムデフォルトの使用(Use System Default)] に設定されているデバイスによって使用されます。クラスタ全体の [シグナリング用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Signaling)] には 2 つの設定オプションがあります。
IPv4(デフォルト)
IPv6([IPv6] に設定)
[電話の自動設定を許可(Allow Auto-Configuration for Phones)] のクラスタ全体の設定は、[電話の自動設定を許可(Allow Auto-Configuration for Phones)] パラメータが [デフォルト(Default)] に設定されている電話によって使用されます。[電話の自動設定を許可(Allow Auto-Configuration for Phones)] には 2 つの設定があります。
[オン(On)](デフォルト)
[オフ(Off)]
すべての標準の Unified CM ハードウェア プラットフォームで IPv6 をサポートできます。Unified CM クラスタでは、必要となる規模、パフォーマンス、および冗長性に応じて、さまざまなタイプのサーバが使用されます。利用するサーバの範囲は、冗長性のないシングル プロセッサのサーバから、冗長性の高いマルチプロセッサ ユニットにまで及びます。Unified CM クラスタで使用できる一般的なタイプのサーバと主な特徴については、http://www.cisco.com/go/ucsrnd で入手できる『Cisco Collaboration System Solution Reference Network Design (SRND)』を参照してください。
Unified CM を使用したネットワーク耐障害性に対応する NIC チーミングは、デュアル イーサネット ネットワーク インターフェイス カード(NIC)を備えた Hewlett-Packard および IBM サーバ プラットフォームの IPv6 でサポートされています。この機能は、サーバを 2 枚の NIC、つまり 2 本のケーブルでイーサネットに接続できるようにするものです。NIC チーミングは、障害の発生したポートから正常なポートに作業負荷を転送することによって、ネットワークのダウンタイムを防止します。NIC チーミングは、ロード バランシングまたはインターフェイス速度向上用には使用できません。
クラスタ内通信の主なタイプは、データベース レプリケーションと Intra-Cluster Communication Signaling(ICCS)の 2 つです。どちらも IPv4 専用をサポートしています。
Unified CM システムにおいて、IP Phone などのエンドポイントは、TFTP プロセスを利用して設定ファイル、ソフトウェア イメージ、およびその他のエンドポイント固有の情報を取得します。Cisco TFTP サービスは、1 台以上の Unified CM サーバで実行できるファイル サービス システムです。このサービスは、設定ファイルを構築し、ファームウェア ファイル、リンガー ファイル、デバイス コンフィギュレーション ファイルなどをエンドポイントに提供します。
IPv6 が Unified CM クラスタで有効な場合、TFTP サーバは設定済みのサーバ アドレスから IPv6 サーバ アドレスを継承します。これにより、TFTP サーバは IPv6 シグナリングを使用してデバイスにファイルを提供できます。
Computer Telephony Integration(CTI)は、IPv4 アドレスと IPv6 アドレスをサポートできる JTAPI および TAPI インターフェイスを介して IP アドレス情報を提供します。IPv6 をサポートするには、IPv6 をサポートしている JTAPI/TAPI クライアント インターフェイス バージョンをアプリケーションで使用する必要があります。
Unified CM の Administrative XML(AXL)Simple Object Access Protocol(SOAP)インターフェイスは IPv6 対応です。AXL/SOAP インターフェイスは IPv4 アドレスを使用して通信しますが、アプリケーション プロトコル データ ユニット(PDU)に埋め込まれた IPv6 アドレスを受信および認識できます。
Unified CM の簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)には次が含まれています。
SNMPv6 MIB サポート。
v6 専用ホストからの SNMP 要求を受け入れる機能。
v6 専用の SNMP 通知先を設定する機能。
SNMP V1/V2C/V3 プロトコルの IPv6 サポート。
IPv6 アドレスは、IPv4 アドレスよりも多くの Unified CM サーバ メモリを必要とします。したがって、IPv6 デバイスを多く含む Unified CM 導入では、Busy Hour Call Completion(BHCC)キャパシティが IPv4 専用の導入よりも約 3 ~ 5% 少なくなります。
Cisco Unified Communications Manager Express(Unified CME)は IPv4 専用をサポートしています。Unified CM とともに Unified CME を導入する場合、インターフェイスは IPv4 専用です。http://www.cisco.com/go/ucsrnd で入手できる『Cisco Collaboration System Solution Reference Network Design (SRND)』の設計ガイダンスに従ってください。
IPv6 対応の Unified CM は、単一サイト展開、分散型呼処理を使用するマルチサイト WAN 展開、および集中呼処理を使用するマルチサイト展開をサポートしています。同じクラスタのリモート サイト間または Unified CM クラスタ間で WAN を介してコールが発信される場合は、コール アドミッション制御が必要です。
Unified CM を使用したコラボレーション IPv6 導入では、同じクラスタ内のリモート サイト間およびクラスタ間トランク上のコールに対してのみロケーションベースのトポロジ非対応コール アドミッション制御がサポートされます。トポロジ非対応コール アドミッション制御を行うには、ハブアンドスポーク型の WAN、またはマルチプロトコル ラベル スイッチング(MPLS)バーチャル プライベート ネットワーク(VPN)の場合はスポークレス ハブが必要です。このトポロジでは、Unified CM のロケーション設定メカニズムによって提供されるコール アドミッション制御が適切に機能して、WAN 内の 2 つのサイト間で使用可能な帯域幅をトラッキングします。トポロジ非対応コール アドミッション制御の一般的なガイダンスについては、http://www.cisco.com/go/ucsrnd で入手できる『Cisco Collaboration System Solution Reference Network Design (SRND)』を参照してください。
クラスタ内またはクラスタ間で、トポロジ対応の Resource Reservation Protocol(RSVP)をコール アドミッション制御技術として使用することはできません。IPv6 対応の Unified CM クラスタの場合は次のとおりです。
ロケーションベースのコール アドミッション制御は、同じ Unified CM クラスタによって制御されるサイト間で使用する必要があります。
Unified CM SIP トランクは、ロケーションベースのコール アドミッション制御のみをサポートします(IPv4 および/または IPv6)。
Unified CM MGCP トランクは、ロケーションベースのコール アドミッション制御のみをサポートします(IPv4 専用)。
Unified CM H.323 トランクは、ロケーションベースのコール アドミッション制御とゲートキーパー制御のコール アドミッションをサポートします(IPv4 専用)。
IPv6 トラフィックの場合、Unified CM は表 1に示された値をロケーションベースのコール アドミッション制御アルゴリズムで使用します。
Unified CM はロケーションベースのトポロジ非対応コール アドミッション制御(コール カウント)もサポートしています。標準の Unified CM ロケーションベース コール アドミッション制御よりも単純なコール カウントでは、使用されるコーデックまたは実際の帯域幅に関係なく、音声およびビデオ コールごとに固定の帯域幅値を使用します。
コール カウントの場合、特定の場所で利用可能な帯域幅の量を計算する際に、レイヤ 3 の音声およびビデオ帯域幅用に次のデフォルト値が使用されます。
音声コール = 102 kbps
ビデオ コール = 500 kbps
コール カウントでは簡易形式のコール アドミッション制御を利用できますが、WAN で音声およびビデオ用に予約された帯域幅が効率的に使用されないという欠点もあります。
Unified CM Administration でコール カウントを有効にするには、[コールカウントCACの有効化(Call Counting CAC Enabled)] のデフォルト設定は [いいえ(False)] です。コール カウントの音声およびビデオ帯域幅の値を設定できます。
を選択します。Cisco Business Edition は IPv4 専用をサポートしています。