レイヤ 2 プロトコル トンネリングの機能概要
レイヤ 2 プロトコル トンネリングを使用すると、ネットワークを介してレイヤ 2 Protocol Data Unit(PDU; プロトコル データ ユニット)(CDP、STP、および VTP)をトンネリングできます。ここでは、次の用語を使用します。
• エッジ スイッチ ― カスタマー スイッチに接続され、サービス プロバイダー ネットワークの境界に配置されたスイッチ(図19-1 を参照)。
• レイヤ 2 プロトコル トンネル ポート ― 特定のトンネル化プロトコルをカプセル化したり、カプセル化を解除することができるエッジ スイッチのポート。レイヤ 2 プロトコル トンネル ポートは CLI(コマンドライン インターフェイス)コマンドを使用して設定します。
• トンネル化 PDU ― CDP、STP、または VTP PDU
レイヤ 2 プロトコル トンネリングがない場合、トンネル ポートは STP と VTP パケットを廃棄し、CDP パケットを処理します。この PDU の処理方法に応じて、カスタマー スイッチに異なるスパニングツリー ドメイン(異なるスパニングツリー ルート)が作成されます。たとえば、スイッチ1 の VLAN 用 STP(図19-1 を参照)は、スイッチ 4 およびスイッチ 5 に基づくコンバージェンス パラメータを考慮しないで、スイッチ 1、2、3 のスパニングツリー トポロジーを構築します。カスタマーに単一のスパニングツリー ドメインを提供するために、制御プロトコル PDU(CDP、STP、および VTP)に対して、BPDU をトンネル化する一般的な方式が作成されています。このプロセスは、Generic Bridge PDU Tunneling(GBPT)といいます。
図19-1 レイヤ 2 プロトコル トンネリング ネットワークの設定
GBPT は、入力エッジ スイッチ内で PDU をソフトウェアでカプセル化してから、ハードウェアでマルチキャストすることにより PDU トンネリングを拡張する方式です。サービス プロバイダー ネットワーク内のすべてのスイッチは、カプセル化されたこれらのフレームをデータ パケットとして処理し、もう一方の端に転送します。出力エッジ スイッチはカプセル化されたこれらの特殊フレームを待ち受けて、カプセル化を解除し、これらをトンネルの外へ転送します。
カプセル化では、PDU 内の宛先 MAC(メディア アクセス制御)アドレスも書き換えられます。入力エッジ スイッチは、レイヤ 2 トンネル ポート上で受信された PDU の宛先 MAC アドレスを、シスコシステムズ独自のマルチキャスト アドレス(01-00-0c-cd-cd-d0)で書き換えます。次に、PDU はレイヤ 2 トンネル ポートのネイティブ VLAN(仮想 LAN)にフラッディングされます。ポート上でレイヤ 2 プロトコル トンネリングをイネーブルにした場合、イネーブル化されたプロトコルの PDU は送信されません。ポート上でレイヤ 2 プロトコル トンネリングをディセーブルにした場合、ディセーブル化されたプロトコルは、そのポート上でレイヤ 2 プロトコル トンネリングがディセーブルになる前と同じように動作します。
レイヤ 2 プロトコル トンネリングのサポートの設定
(注) • 802.1Q トンネル ポートで受信されたカプセル化 PDU は、スイッチ上の同じ VLAN にある別のトンネル ポートから伝送されます。
• レイヤ 2 トンネリング ポートにジャンボ フレームのサポートを設定します。
–「ジャンボ フレームのサポートの設定」を参照してください。
–「ジャンボ フレームのサポートの設定」に記載されている、ジャンボ フレームをサポートしていないモジュールをメモしてください。
特定のポート上でレイヤ 2 プロトコル トンネリングを設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface type slot/port |
設定する LAN ポートを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# switchport |
LAN ポートをレイヤ 2 スイッチング用に設定します。 • LAN ポートをレイヤ 2 インターフェイスとして設定するには、キーワードを指定せずに switchport コマンドを 1 度入力する必要があります。そのあとで、キーワードとともにさらに switchport コマンドを入力してください。 • インターフェイスに対して switchport コマンドを一度も入力していない場合に限り、必須です。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# l2protocol-tunnel [ cdp | drop-threshold [ packets | shutdown-threshold [ packets ]| stp | vtp ] |
レイヤ 2 ポートを、指定されたプロトコルのレイヤ 2 プロトコル トンネル ポートとして設定します。 |
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel [ cdp | drop-threshold | shutdown-threshold | stp | vtp ] |
設定を消去します。 |
ステップ 4 |
Router(config)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 5 |
Router# show l2protocol-tunnel [ interface type 1 slot/port | summary ] |
設定を確認します。 |
レイヤ 2 ポートをレイヤ 2 プロトコル トンネル ポートとして設定する際、次の情報に注意してください。
• 任意で、ポートに drop-threshold を指定することもできます。1 ~ 4096 の drop-threshold 値は、特定のインターフェイス上で、特定のプロトコルに対し、1 秒間に処理されるパケット数を決定します。処理パケット数が drop-threshold 値を超えると、その特定のプロトコルの PDU は、1 秒間の残りの時間に廃棄されます。shutdown-threshold 値を指定しない場合、値は 0 です(shutdown-threshold はディセーブルです)。
• 任意で、ポートに shutdown-threshold を指定することもできます。1 ~ 4096 の shutdown-threshold 値は、特定のインターフェイス上で、特定のプロトコルに対し、1 秒間に処理されるパケット数を決定します。処理パケット数が shutdown-threshold 値を超えると、ポートは errdisable ステートになります。shutdown-threshold 値を指定しない場合、値は 0 です(shutdown-threshold はディセーブルです)。
(注) 次のコマンドの l2ptguard キーワードの詳細については、『Catalyst 6500 Series Switch Cisco IOS Command Reference』Release 12.2SX を参照してください。
• errdisable detect cause
• errdisable recovery cause
次に、CDP、STP、および VTP に対して、ポート 5/1 にレイヤ 2 プロトコル トンネリングおよびshutdown-thresholdを設定し、その設定を確認する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# interface fastethernet 5/1
Router(config-if)# switchport
Router(config-if)# l2protocol-tunnel shutdown-threshold cdp 10
Router(config-if)# l2protocol-tunnel shutdown-threshold stp 10
Router(config-if)# l2protocol-tunnel shutdown-threshold vtp 10
Router# show l2protocol-tunnel summary
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Fa5/1 cdp stp vtp 0/10 /10 /10 down trunk
次に、ポート 5/1 のカウンタ情報を表示する例を示します。
Router# show l2protocol-tunnel interface fastethernet 5/1
Port Protocol Threshold Counters
(cos/cdp/stp/vtp) (cdp/stp/vtp/decap)
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次に、ポート 5/1 のレイヤ 2 プロトコル トンネリング設定を消去する例を示します。
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel shutdown-threshold cdp 10
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel shutdown-threshold stp 10
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel shutdown-threshold vtp 10
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel cdp
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel stp
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel vtp
Router# show l2protocol-tunnel summary
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次に、レイヤ 2 プロトコル トンネリング ポートのカウンタを消去する例を示します。
Router# clear l2protocol-tunnel counters