ホワイトペーパーCDS インターネット ストリーミング:新世代 Video 2.0 サービスの活用はじめにビデオ ユーザは今、好みの選択やパーソナライズが可能なコミュニティベースのコンテンツを手軽に楽しみたいと考えています。また、時や場所、デバイスを選ばずに利用できる新しい「コネクテッド ライフ」サービスも求めています。厳しい競争下でサービス プロバイダーは、高度にパーソナライズされた差別化エクスペリエンスを顧客に提供すべく、絶えず進化し続けるニーズに応えなくてはなりません。 ビデオベースのエンターテイメントにおける新しいパラダイム シフト、すなわち Video 2.0 は、これまでのビジネス モデルから脱却し、コンテンツの創造と利用に関して斬新な方法を提供するものです。Video 2.0 は Web 2.0 構造を基礎とし、ビデオ サービスに双方向性とコミュニティをもたらします。また、高速のインターネット接続、高品質のインターネット コンテンツ、YouTube などの初期の Video 2.0 サービスの成功が、従来のビデオ サービスとインターネットの両方の特長をもった新しいサービスへの関心を高めています。たとえば、Comcast の Ziddio サービスは、自宅の PC から自作のコンテンツを送信できるもので、最も人気のあるビデオは引き続きビデオオンデマンド(VoD)を通じてセットトップ ボックスでも視聴できます。類似のものに Time Warner Cable の「Quick Clips」サービスがあります。これは CNBC、CNN、Weather Channel が提供するオンライン コンテンツがポスティングされるとすぐに自動的に取得し、加入者がセットトップ ボックスで視聴できるようにしたものです。 インターネット ビデオ サービスの人気は急速に高まっています。事実、2009 年までに米国の人口の半数以上がオンライン ビデオを視聴するとされています(出典:eMarketers)。ケーブル事業者は、既存のインターネット ストリーミング サービスを拡充して新しいサービスを実現するためには、時と場所、デバイスを選ばずに加入者の要求を満たす Video 2.0 サービスの提供を可能にする IP ベースの配信システムが必要であると認識しています。このシステムは異なる機能を持つ複数のデバイスをサポートするさまざまなストリーミング プロトコルを収容するだけでなく、ファイルのダウンロードも可能にするものでなければなりません。また、メディア サービスを拡充し高品質のユーザ エクスペリエンスを確保するには、コンテンツをユーザに近いところにプッシュする、すなわちネットワーク エッジに近づくように配信する必要があります。 現在、ケーブル事業者はサードパーティの CDN(コンテント デリバリ ネットワーク)プロバイダーを通じてデジタル コンテンツの管理をアウトソーシングするか、社内の専用のストリーミング システムを活用するのが通例となっています。これらの方法には、いずれも大きな欠点があります。デジタル資産管理のアウトソーシングには経費が毎月かかり、採用するサービスが増えればこの経費も増大します。専用のシステムの場合、特定のプレイヤーで稼動している間は問題ありませんが、すぐにスケーラビリティの壁に直面することになります。 より優れたソリューションの要件リッチ IP マルチメディア サービスを拡張し、新しい Video 2.0 サービスを提供するには、サービス プロバイダーは現行方式の重大な欠点を克服しなければなりません。配信システムでは以下の要件を満たす必要があります。
Cisco CDS の機能Cisco Content Delivery System(CDS)は、これまでのストリーミング ソリューションを超えるネットワークベースのアーキテクチャを搭載した統合型システムです。このシステムには、デジタル テレビジョンとセットトップ ボックス向けのコンテンツ配信に使用する TV ストリーミング アプリケーションと、PC や Wi-Fi と接続する携帯電話や PDA といった IP デバイスへのコンテンツ配信に使用するインターネット ストリーミング アプリケーションの両方が組み込まれています。 Cisco CDS はパーソナライズされたサービスをセットトップ ボックスと IP デバイスのそれぞれに配信できるため、サービス プロバイダーは、加入者にコネクテッド ライフ サービスを提供する「エクスペリエンス プロバイダー」になることができます。 TV ストリーミングとインターネット ストリーミング機能が緊密に統合されているため、Cisco CDS によってこれまで不可能とされた新しい機能の提供が可能になります。その 1 つが、デバイス間の「セッション シフティング」です。この機能では、たとえば、自宅でテレビ番組をポーズにし、家を出て電車に乗り、電車内でラップトップを使って自宅で見ていたテレビ番組の続きを再開するといったことが可能になります。これは多彩な機能のほんの一例にすぎません。 Cisco CDS のインターネット ストリーミング技術には、コンテンツ インジェスト、サービス ルーティング、コンテンツ配信の 3 大機能が組み込まれています。 コンテンツ インジェストコンテンツ インジェストは、インターネットからコンテンツを取り込んで Cisco Content Delivery System 全体のデバイスに配信するプロセスです。このシステムは標準のインターネット プロトコル(FTP、HTTP、HTTPS、CIFS など)を使用し、インターネット ソースからコンテンツを取得します。また、人気のあるコンテンツについては、それがリクエストされる前にインジェストする「プレインジェスト」、リアルタイムで取得する「動的インジェスト」の 2 つをサポートしています。このため Cisco CDS は、コンテンツの需要の変化に迅速に順応します。新たにユーザが作成したコンテンツが大きな反響を呼ぶと、このコンテンツは自動的にキャッシュされ、さらに多くのユーザに向けスケーラブルに配信できるようになります。 サービス ルーティングサービス ルーティングは、加入者のコンテンツのリクエストを傍受してエンドユーザのすぐ近くにあるストリーミング デバイスを使ってコンテンツが適切に配信されることを確認し、自動ヘルス チェックを通過させて、許容範囲内の負荷で動作させるプロセスです。サービス ルーティングでは、複数の標準の HTTP および RTSP リダイレクション方式をサポートしています。サービス ルーティングは Cisco CDS をスケーラブルかつ柔軟にし、信頼性と効率性を高めます。また、「場所にとらわれないサービス」を可能にし、加入者がネットワーク上のどこにいてもサービスを受けられるようにします。 コンテンツ配信エンドユーザへのビデオ配信は、最終的には加入者に対してコンテンツがストリーミングされるか、転送(ダウンロード)されることになります。加入者にストリーミングされるコンテンツのフォーマットには、クライアントとの互換性が最も高い Windows Media Technology、VC-1、QuickTime が使用されます。システムの他のデバイスでコンテンツが要求された場合は、そのコンテンツを高度なキャッシング プロトコルを使用して動的に取得します。人気の高いコンテンツは通常、キャッシュに保持されるため、最大効率を実現し、OpEx(運用コスト)が低減されます。 Cisco Content Delivery System のコンポーネントシスコ コンテント デリバリ アプリケーション(CDA)は、インターネット ストリーミングにアプリケーションレベルのインテリジェンスをもたらし、シスコ コンテント デリバリ エンジン(CDE)を使用したサービスを可能にします。Cisco CDE は、シスコ コンテント デリバリ システムの基盤となるキャリアクラスのアプリケーション ファミリーです。ネットワークで結ばれた Cisco CDE は相互に連携し、スケーラブルで柔軟なコンテンツ インジェストや、ストレージ、分散環境、パーソナライゼーション、ストリーミング機能を提供します。 図 1は Cisco CDS のコンポーネントを表したものです。 図 1 Cisco Content Delivery System のコンポーネント インターネット ストリーミングを行うコンテント デリバリ アプリケーション表 1 は、インターネット ストリーミング アプリケーション スイートにおける個々の Cisco CDA の一覧です。 表 1. Cisco コンテンツ配信アプリケーション
システム図図 2 はインターネット ストリーミング CDA を含む Cisco CDS のシステム構成図です。 図 2 コンテンツ配信アプリケーションによるシスコ コンテント デリバリ システム サービス機会通信事業者は、シスコ コンテント デリバリ アプリケーションを使用することで、以下のような次世代の各種付加価値ビデオ エンターテイメント サービスを導入することができます。 ユーザ自作のコンテンツ サービスCisco Internet Streamer アプリケーションを使えば、加入者が TV プロデューサになり、より多くの視聴者に自作のコンテンツを閲覧してもらえるサービスが可能となります。Cisco CDS の階層型設計により、コンテンツ利用者の増大に合わせて配布を拡張し、ユーザに適したタイプのデバイスにコンテンツを配信することができます。 IP デバイス向けのライブ TV ストリーミング サービスCisco CDS の統合性により、セットトップ ボックスに配信するためにインジェストされるライブ コンテンツは、Cisco Internet Streamer を通じてリダイレクトし、どのような IP およびストリーミング対応のデバイスでも閲覧可能な「ライブ TV」サービスを提供することができます。これにより、加入者は時や場所を選ばずにケーブルや IPTV サービスを楽しむことができるようになります。また、Cisco CDS は高品質の配信を実現する PacketCable (TM) MultiMedia など、各種の QoS メカニズムとの統合により QoS対応となっています。さらに、VC1 と MPEG4/AVC を使用して帯域幅消費を最小化することができます。 音楽ストリーミング サービスCisco Internet Streamer は、ライブまたはオンデマンドの音楽ストリーミング サービスを提供します。このサービスにより、加入者は IP デバイスやテレビから CD 品質、QoS 保証の音楽チャネルにアクセスができるようになります。 ファイルの配布Cisco Internet Streamer は、標準の FTP、HTTP、HTTPS プロトコルを使用してどのようなファイルまたはファイル タイプでも、極めて効率的かつスケーラブルに配布します。サービス プロバイダーはこの機能を使用し、サービス プロバイダー ネットワーク(QAM や DSLAMなど)内や、加入者の自宅(セットトップ ボックス ソフトウェアなど)にある装置のソフトウェアをアップデートすることができます。 Cisco CDS Internet Streaming の特長Cisco CDS Internet Streaming の特長は以下のとおりです。
まとめ消費者が新しい形態のコンテンツ配信を次々と体験するようになるにつれ、ビデオ エンターテイメント サービスへの期待はますます高くなっています。加入者が求める大量のコンテンツ ライブラリや高度にパーソナライズされたサービスを配信できる通信事業者は、ダイナミックなエンターテイメント サービス市場で揺るぎない地位を保ち続けながら、長期の、より収益性の高い関係を顧客と築いていくことができます。Cisco Content Delivery System は、あらゆる種類の次世代ビデオ コンテンツ オンデマンドやパーソナライズされたエンターテイメント、インターネット ストリーミング サービスを、インテリジェントかつ効率的に配信できる理想のプラットフォームです。 実証済みの Cisco IP ネットワーキングのインテリジェンスと独自のスケーラブルなアーキテクチャが組み込まれた Cisco CDS は、ストリーミングとファイルベースの転送の両方に対応する比類のないスケーラビリティと柔軟性を備えています。また、次世代の統合型 Video 2.0 アプリケーション向けの TV およびインターネット ストリーミングを提供する統合システムの一部として機能します。こうした利点を実感している世界の主要なサービス プロバイダーは、Cisco CDS を導入することにより、現在はハイバリュー エンターテイメント サービスを提供しつつ、必要に応じていつどこからでもパーソナライズされたコンテンツにアクセス可能な真の「コネクテッド ライフ」を加入者に提供できるようにスケールとサービスの拡充をはかる体制を整えています。 |
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