2005年 3月 25日~ 9月 25日の 185日間、「自然の叡智と豊かな交流」を掲げ、全地球的視野ですべての「生命」のサスティナブルな共生の追求を目指した「愛・地球博 (愛知万博) 」が開催されている。21世紀最初の万国博覧会となる愛知万博には 125カ国以上の国が参加している。なかでもアメリカ館は博覧会のテーマに呼応しながら、人類の進歩や自然と人類のつながりの重要性を独自の切り口で展開するショーや展示を実施し、多くの来場者から好評を博している。シスコシステムズはその運営をスポンサードするとともに、先進的な企画を支えるネットワークの提案や構築にも協力している。
今回の博覧会におけるアメリカ館のテーマは「フランクリン精神」だ。アメリカ建国の父の1人であるベンジャミン・フランクリンの眼差しを通して、自然の力と人類の進歩を見つめようというのが、そのコンセプトである。アメリカ館のデザイン、建設、運営を担ったアメリカ館の制作責任者として、パビリオンの企画から完成に至る軌道設定や作業計画、監督役を務めているパビリオンディレクターのベルナード・タレスコ (Bernard Taresco) 氏はこう語る。 「折から、2006年にはフランクリン生誕 300年を迎えます。彼は自然と技術の共生を訴え、常に時代を先見した眼差しで新しい価値を生み出してきたのです。私たちは、楽観主義を基本に、豊かなチャレンジ精神やイノベーションを実践してきたフランクリンをアメリカ精神の人格的な代表として設定。フランクリン自身がホストとなって、彼の時代から現在、そして未来へと来場者を誘うショーを展開したいと考えました」
ここでは、ショーや展示を中心とした来場者の体験性はもちろん、スタッフ間のコミュニケーション、そしてパビリオンのビジネスセンターとしての機能を果たす VIP スペース (The Franklin Room) など、複合的な要素が求められていた。音声、映像、照明、振動などを総動員し、人の五感全体に訴えるショーにはマルチサウンドやワイヤレスマイク、プラズマディスプレイなどを駆使した演出が施されている。またエリアごとの機能を満たしながら、パビリオン全体を貫く共通基盤として、IP フォンや Eメール、無線 IP フォンなどの機能が統合的に提供されているのである。
「シスコは館の運営を支援してくれるスポンサーであるとともに、電話機能やネットワーク、セキュリティなどあらゆる技術的要件をクリアしながら、館で働く 100人のスタッフのスムーズな動きを保証し、お客様のご満足を実現するために欠くことのできないパートナーなのです」とタレスコ氏は語る。 「このパビリオンは全体に鉄骨がふんだんに使われた構造物で、そのうえ周囲を小高い丘に囲まれた立地にあります。したがって、携帯電話の電波が通じにくく、スタッフ間の連絡が図れないという問題がありました。これに対して、シスコの無線 IP フォンが大きな戦力になったのです。相互連絡や呼び出しはもちろん、館内放送を司る PA (Public Address) システムとも連動。スタッフはいつでも、今いる場所で自分の無線 IP フォンから PA システムに入り、必要に応じて館内一斉放送を行ったり、あるいは任意のエリアごとにガイドやアナウンスを流したりすることができるのです」