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第 10 号 - Cisco insight

第 10 号 - 特集記事 - 2

シスコの提供するテクノロジーの解説や製品、
ソリューションの最新情報をお届けします。

シスコ CFOが語るシスコのデジタル戦略
変革によって拡大する日本企業の可能性

 

*本コンテンツは、2018 年 12 月、日経ビジネスオンライン Special に掲載されたものを転用いたしました。

 

スピード感ある変革が今後の企業成長の重要なカギに

堅調に株価が上昇する一方で、マクロ経済の側面では不安定要因も見受けられる世界経済。以前に比べてますますグローバルな競争にさらされるようになった日本企業の経営者にとっても、世界経済が今後どのように推移するのかは、大きな関心事といえます。

 

シスコシステムズ合同会社
エグゼクティブバイスプレジデント 兼 最高財務責任者
ケリー・クラマー

これについてシスコ米国本社で、最高財務責任者(CFO)を務めるケリー・クラマーは次のように述べました。

「マクロ経済は少なくともこの 6 ヵ月間、堅調に推移しています。各国の GDP はもちろんですが、多国籍企業の業績や求人も拡大傾向にあります。その一方で、為替の動向や金利上昇、新興国におけるリスクが上昇していることも確かです。ファンダメンタルは依然として強固であるものの、不確実性が増していることは事実でしょう」

シスコは全世界に 7 万 5000 人を超える従業員を擁し、2018 年に 493 億ドルの売り上げを上げているグローバル企業。クラマーは 2015 年にその CFO となり、財務戦略と M&A を統括している人物です。

それでは、この状況を乗り越えていくには、企業経営者は何を意識する必要があるのか。クラマーは「変革に向けたスピードが重要」だと指摘します。

クラマーが語る「変革」とは、デジタル技術を活用した「デジタルトランスフォーメーション(DX)」のことです。これは、クラウドや IoT、 AI、ロボティクスなどの最先端技術を積極的に取り入れながら、新たなサービスの提供やビジネス モデルの変革を進めていくことを指します。例えば最近の製造業では、モノを作って売るだけでなく、それを有効活用するためのサービス提供にも積極的に乗り出しています。また製品の売り切りではなく、利用量に応じて課金する「サブスクリプション モデル」を採用するケースもあります。このような新しい取り組みが、業種、業態にかかわらず求められていくのだと語っています。

「最近では働き方改革へのニーズが高まっていますが、DX によってこのような要求にも対応しやすくなります。ただし、その実現には、業務プロセスの見直しやシステムのシンプル化、自動化も不可欠になります」

 

ハードウェア企業からソフトウェア企業へと変貌するシスコ

 

DX への取り組みは世界的な流れではあるものの、その進展具合は国や地域によって異なっています。「日本はちょうど中間の進展段階にあるが、最終的にはすべての地域で DX が進み、この差はなくなっていくはずでしょう」とクラマーは指摘する。そしてこの潮流を、シスコでは、世界レベルで支援しています。

「当社はこれまで 30 年にわたって、インターネットを使ってあらゆるものをつないでいく、という取り組みを進めてきました。その結果、DX を支える幅広いポートフォリオを提供できるようになっています」とクラマーは振り返ります。

中でも特に注目したいのが、セキュリティ分野でのポートフォリオです。DX を現実のものにしていくには、安全、安心に利用できる環境の確立が欠かせないからです。

「セキュリティの領域には様々なニーズがあり、数多くの製品やサービスが市場に投入されています。しかしそれらの多くはポイント ソリューションであり、セキュリティ全体をカバーできるものではありません。これに対して当社では、End-to-End でセキュリティ全体を網羅できるポートフォリオを用意しています。どこか 1 ヵ所でも脆弱性が残っていればセキュリティ上の脅威を防ぐことはできませんが、シスコならあらゆる脅威に対し、ネットワーク全体を守ることができるわけです。これはネットワークを熟知しているシスコならではの優位性だと言えるでしょう」

さらに注目すべきは、そうした技術をソフトウェアで提供している点です。シスコでは、これまで 30 年間にわたって培ってきたハードウェアベースのビジネスを、ソフトウェアベースへと転換。ソフトウェアであれば、自律化、自動化や新しい脅威への対処についてもアップデートが容易になります。

 

製品とサービス ポートフォリオの拡充に向け多方面の投資を継続

 

これに加えてシスコは、マルチクラウド環境(複数のクラウドや社内システムが混在した IT システムの状態のこと)に関しても、積極的な取り組みを進めています。DX を推進する企業では、このようなマルチクラウド環境を積極的に活用するケースが増えています。シスコの技術を活用することで、セキュリティ ポリシーをデータやアプリケーションそのものに設定できるようになり、どこにデータやアプリケーションが存在していても、一貫性のあるポリシーが適用可能になります。

このようなポートフォリオを実現するために、シスコでは、多方面に渡って継続的な投資を行っています。

 

「まず研究開発に関しては、年間 60 億ドルを投資し、着実かつ継続的に成果を出せるようにしています。幸いなことに当社は、これまでのビジネス成果により、潤沢なキャッシュフローがあります。これを研究開発に再投資できることは、当社の大きな強みになっています」とクラマーは説明します。

その一方で M&A にも積極的に取り組んでいます。その対象は大企業だけではなく、優れた技術をもつ中小企業まで含まれています。また投資対象領域も、DX にかかわるすべての領域をカバー。必要なテクノロジーを見極め、それを適切な形で取り込んでいくことで、ポートフォリオを充実させ続けています。

こうした投資戦略に加えて、シスコの文化自体も大きな強みだと語りました。

「特にチャック・ロビンスが CEO として着任して以降は、多様性に重きを置いて活動しております。経営陣だけ見ても、CFO である私はもちろん、人事部のトップ、グローバルセールスやマーケティングサービスのトップ、最近まで日本のトップとして活躍し、今はアジア太平洋地域を統括する鈴木 みゆきも女性です」

このように多様性に富んだ社員が、気持ちよく働きやすい環境を提供していることが、優れた製品、サービス、新しいアイデアやイノベーションにつながっていくのだと語りました。

 

日本を重視した施策を今後も継続的に展開

 

これに加え、他社との積極的なコラボレーションも、重要な戦略の 1 つだという。その一例が米アップル社とのグローバルな提携です。シスコとアップルは 2015 年 8 月に戦略的な提携を発表、シスコが提供する高速ローミングや業務アプリケーション優先制御といった機能を iOS で使えるようにすることで、ビデオや音声通話のユーザー体験を向上させています。iOS 11 以降ではさらに、セキュリティの強化や利用状況可視化にも取り組んでおり、アップルのエンジニアと踏み込んだ開発を推進。またクラウドに関してはグーグル社との提携を発表しており、IT サービス展開の柔軟性やスピードをさらに向上できる「コンテナ技術」に関する取り組みを共同で進めています。

 

シスコは成長の機会があるすべての地域でビジネスを展開しており、当然ながらそこには中国やインドも含まれています。しかし、シスコにとって日本は重要な市場なのだと語りました。

「特に日本は節目である 2020 年に向けて、DX への取り組みが大きく進展することになるでしょう。そしてこれは当社にとっても大きなチャンスです。もちろん 2020 年以降も、日本を重視する方針は変わりません」とクラマーは語りました。働き方に関するイノベーションは継続的に進み、それが観光ビジネスやスマートシティ、エンターテイメントなどの分野でも、大きな可能性をもたらすことになると考えているからです。

「私自身、シスコの CFO であるとともに、日本におけるエグゼクティブ スポンサーとしても活動を行っています。日本企業の皆様には、ぜひシスコを戦略的なパートナーとしてご活用いただき、これからも世界経済をけん引する存在であり続けてほしいと思っています」と最後にクラマーは語ってインタビューを締めくくりました。