2017.1  第 6 号 特集記事-1

高橋 慎介

「Cisco Start」第 4 回記者発表会レポート
~エントリーモデルの提供で普及が拡大
新たに 3 つの戦略を発表し、より身近なブランドへ~

2015 年 9 月に発表されてからすでに 1 年半が経過した「 Cisco Start 」。シスコはこのブランドによって、中小企業を積極的に支援し続けてきました。 3 月 28 日には第4回となる記者発表会も実施。これまでの成果と、日本市場向けの3つの新戦略が発表されています。ここではその概要を紹介します。

記者発表会の会場では前回に引き続き、シスコシステムズ合同会社 専務執行役員 パートナー事業統括の高橋 慎介が登壇。まずこれまでのビジネス状況に関する説明が行われました。

新たな市場を開拓した Cisco Start 、販売パートナーの数も半年で 2 倍以上に

高橋 慎介
シスコシステムズ合同会社
専務執行役員 パートナー事業統括
高橋 慎介

「多くのお客様が持たれていた『シスコはいい製品だが高い』というイメージを払拭するために Cisco Start を市場投入しましたが、このブランドは着実に成長を続けています」と高橋。前回の記者発表会で紹介された新製品も順調な立ち上がりを見せ、売上ポートフォリオに占めるエントリーモデルの割合は 16 %、低価格モデルを投入した Cisco Catalyst の比率も7%から12%に上昇していると説明します。「 Cisco Start はエントリーモデルの提供によって中小企業のマーケットを開拓しましたが、シスコがハイエンドからローエンドまで提供できるようになったことで、大企業のブランチオフィス等にも導入されるようになりました。その結果日本でシスコのスイッチ製品は 2 桁成長となり、ポートフォリオ全体では昨年度の売り上げを半年で達成、通年では前年比 3 倍になると考えています」。

Cisco Start 新製品の順調な立ち上がり

販売パートナー数も着実に伸びています。 2015 年 10 月にはわずか 60 社だったパートナー数は、前回の発表会が行われた 2016 年 9 月には 1757 社へと急増。その半年後となる 2017 年 3 月には、その 2 倍以上の 4100 社にまで増加しているのです。

Cisco Start 販売パートナー実績数

販売パートナーからの評価も高く、アンケート調査によれば 80% が高評価、 20% が「どちらとも言えない」という回答。アンケートに記載されたコメントも「他のメーカーより格安感がある」「コストパフォーマンスが非常にすばらしい」「エンドユーザー様のニーズに近い製品」など好意的なものが多かく、ネガティブな評価は殆どなかったと言います。「 4100 社のうち 700 ~ 800 社は、単に Cisco Start を取り扱うというにとどまらず、シスコ製品をメイン商材にしてくださっています」。

Cisco Start 販売パートナーからの評価

このような販売パートナーの取り組みをさらに後押しするため、シスコでは様々な支援策を展開。その 1 つとして挙げられたのが、 2016 年 9 月からスタートした「業種別ソリューション展開」です。そしてその第一弾として提供されているのが「 Cisco Start 文教セレクション」だと高橋は説明します。
「これは、 2020 年に向け小中学校で Wi-Fi 環境を整備していこうという動きに合わせて提供を開始したもので、安定感抜群のスピードと接続性、電波干渉を自動で解決する運用性、 1 台のアクセスポイントで 2 台分のエリアをカバー可能、広い空間や端末急増にも対応可能など、シスコならではの特長を備えています。価格は 5 年保証付きで 49,300 円(市場想定価格)。すでに全国 62 の教育委員会や小中学校が採用しており、現在も多くの談が進んでいます。プロモーションのために他社の企業向け製品と比較した動画も制作。これは 100 台の端末に動画コンテンツを同時配信するという設定で、他社製品がアクセスすらできない状況なのに対し、シスコ製品はストレスなく再生できることを示しています」。

Cisco Start 業種別ソリューション展開

また 2017 年 2 月には販売パートナー向けのポータルサイトも開設。Cisco Start シリーズの販売促進資料を全て掲載する他、欲しい資料を見つけ出すための簡単検索、オンラインセミナーやトレーニング情報も提供しています。

Cisco Start 販売パートナー向けポータルサイト開設

それでは今後の Cisco Start は、どのように展開していく計画なのでしょうか。「大きく3つの新戦略があります」と高橋。第 1 が「ブランドの強化」、第 2 が「新製品の追加」、第 3 が「シンプル購入」だと語ります。

Cisco Start シリーズ製品ラインナップ

コーポレートでブランドロゴを一新、製品ラインアップもさらに拡充

第1の「ブランドの強化」に関しては、まず新たなブランドロゴを発表。Cisco Start をより身近に感じてもらえるよう、ブランドコンセプトである「シンプル(簡単)」、「スマート(高機能)」、「セキュア(安全)」を、丸みを帯びた 3 つの柱で表現。色合いも柔らかなものになっています。

Cisco Start ブランドロゴが新しくなりました

以前のロゴは日本で制作されたものですが、新しいロゴはシスコ本社デザイン。日本発のブランドが世界に認められた形となりました。 Cisco Start はすでにアジア各国でも展開を開始しており、中小企業向け製品のブランドとして、日本以外でも定着しつつあります。 また Cisco Start のプロモーションビデオも制作。これは Cisco Start が企業や学校などで使われているシーンを想定したものであり、この春から交通広告などのサイネージ広告として展開していく計画です。これに加え、新聞広告による露出も予定されています。知名度をさらに上げていくことで、よりお客様から選ばれるブランドの確立が目指されています。

次に、第 2 の「新製品の追加」に関しては、 2 つのハードウェア製品、 2 つのクラウドサービス、そして 1 つのパッケージ製品の投入が発表されました。
新規ハードウェア製品の 1 つが「 Cisco Aironet 1815 シリーズ」です。これは多くの大企業のネットワークを支えてきた Cisco Aironet シリーズを 4 万円台から購入可能にしたものであり、 IEEE 802.11ac wave 2 対応のハイパフォーマンスとコントローラ機能を、コンパクトな筐体に収めた高性能アクセスポイントです。

新製品の追加 New Cisco Start ワイヤレス

今回提供されるのは、 15 センチ角で厚さ 3 センチのスタンダードモデル、有線ポートも備えたテレワークモデル、ホテルや旅館に最適な壁掛け型モデル、広範囲のエリアをカバーできる高出力モデルの 4 モデル。今後も中小企業の利用目的に合わせ、ラインアップを順次拡充していく計画です。内蔵コントローラは日本語化された「 Cisco Mobility Express(CME)」で簡単に設定でき、推奨設定値の自動適用も可能。最大 25 台のアクセスポイントを集中管理できます。

新製品の追加 New Cisco Start ワイヤレス

もう 1 つのハードウェア製品は「 Cisco UCS Cシリーズ」であり、これはデータセンター仕様の本格的なラックマウント型サーバが、 25 万円台(市場想定価格)で購入できるというものです。最新の CPU とハードウェア規格に対応し、高い信頼性と処理能力を実現しており、日本語対応の管理ツールで運用管理もシンプル。拡張スロットやメモリスロットなど、拡張性も十分に確保されており、 40G イーサネットにも対応可能です。「これは販売パートナーからの強い要望によって投入が決まったものであり、シスコとしても中小企業にも負担の少ない価格設定を目指しました(高橋)。

新製品の追加 New Cisco Start サーバー

これらの2種類のハードウェア製品の投入によって、エンタープライズのパフォーマンスを、 Cisco Start でもご活用いただけるようになったのです。

クラウドに対応したセキュリティやテレビ会議もラインアップ、購入方法はよりシンプルに

クラウドサービスで Cisco Start に追加されたのは、「 Cisco Umbrella 」と「 Cisco Spark 」です。

新製品の追加 Ciscoのクラウドサービスの進化

「企業のクラウド利用率は前年比 153% で増加しており、企業の情報インフラに対してインターネット経由でアクセスするのは当たり前の光景になっています」と高橋。従来のセキュリティは、ファイアウォール等によってネットワークの境界を設け、その内側の安全性を確保するという考え方で実施されてきましたが、クラウド時代にはこの境界線が曖昧になり、企業トラフィックの多くがファイアウォールの境界線外でやり取りされるようになっていると語ります。そのため境界型セキュリティだけでは、安全性を確保することは困難なのです。

これからのセキュリティクラウドの普及で境界線が曖昧に

このような課題を解決するためにシスコが提供しているのが、 Cisco Umbrella です。このサービスは、アクセス先の安全性をDNSの名前解決の段階で自動的に識別し、接続の確立やダウンロード等が行われる前にブロックします。導入方法は端末に「 Cisco Umbrella Roaming 」を導入するだけ。これであらゆる場所、あらゆるアクセス手段に対応したデバイス保護を実現できます。また 1 日あたり 120TB 、 130 億のURL情報を分析しており、「これだけの規模で脅威情報の分析を行っている企業は他にはありません」と高橋は述べます。

Cisco Start 最速かつシンプルなセキュリティ

この説明の後、 Cisco Umbrella のデモも行われました。社外からインターネットに接続する際にも、 VPN 接続有無をクライアントが認識し、 VPN 接続が無い場合は Cisco Umbrella が、危険性の高いサイトへのアクセスを確実にブロックすることを実証しました。 Web ブラウザで危険性の高いサイトへのアクセスが行われると、「危険性が高いためアクセスが遮断されました」といったメッセージと、あらかじめ設定された IT 部門の担当者名や電話番号が表示されます。標的型攻撃のメールに記載されたリンクをクリックした場合でも、同様にブロックが行われます。クライアントだけではなく、サーバを保護することも可能です。 Cisco Umbrella の傘の下にいれば、ユーザーが全く判断を行うことなく危険性を回避できるのです。
「中小企業では境界セキュリティとして IPS (不正侵入検知/防御)が導入されることが多くなっていますが、これと併用することでさらにセキュリティを強化できます。手軽に導入できるため、中小企業に最適なソリューションだと言えます」(高橋)。

一方の Cisco Spark は、クラウドベースのコラボレーションサービスです。 Web ブラウザでアクセスすることで仮想的な会議室を自由に開設でき、会議室に入ったメンバーはメッセージの送受信やファイルの共有、音声通話、ビデオ通話、画面共有等が行えるようになります。またテレビ会議のゲートウェイとしても活用可能であり、中小企業の働き方改革を強力に支援することが可能です。
Cisco Start ではこのポテンシャルを最大限に引き出すため、 Cisco TelePresence ( Cisco SX シリーズ、DX シリーズ)とバンドルした「中小企業働き方改革パッケージ」も提供。社外からも参加できるテレビ会議を、シンプルな形で実現できるようにしています。 TelePresence のハードウェア端末を含む月当たりの料金は 10,800 円から(市場想定価格)。これで 25 台の端末からの同時アクセスと、 200 人分のユーザー ID の利用が可能になります。

Cisco Start 中小企業働き方改革パッケージ

会場ではこの働き方改革パッケージのデモも実施。Cisco SX シリーズの電源を入れ、16桁のアクティベーションコードを入力するだけで、Cisco Spark と連携したテレビ会議が開始できることが示されました。

高橋は最後に、第3の新戦略である「シンプル購入」について説明。「中小企業働き方改革パッケージ」のようにハードウェアとクラウド契約を一本化した「簡単手続き」、申込み翌日に回答、契約が行われる「迅速契約」、中小企業向けリースサービスによる「初期投資の軽減」が紹介されました。

Cisco Start シンプル購入 中小企業向けリースサービス

「例えば Start スイッチ SG110D-08-JP であれば、市場想定価格で月々わずか 400 円でリース可能です」と高橋。 25 名規模のオフィスパッケージも、月々 5,600 円だと言います。

Cisco Start シンプル購入 中小企業向けリースサービス

Cisco Start はこのようにラインアップが大きく拡充され、契約やコスト面でも身近になりました。これからも中小企業のIT活用促進に、大きな貢献を果たしていくことになるでしょう。

なお Cisco Start に関する詳細は、以下のURLをご参照ください。
http://www.cisco.com/c/m/ja_jp/solutions/cisco-start/index.html