2016.11  第 4 号 特集記事-1

ジョン N. スチュアート

2017年度 シスコ事業戦略説明会レポート
テーマは“Innovation at Full Speed”~フルスピードで変革を!
日本市場により根ざした製品・ソリューションに今後も注力

2016年10月12日「2017年度 シスコ事業戦略説明会」が報道関係者向けに開催されました。シスコ代表執行役員社長 鈴木 みゆきをはじめ、3名の役員が登壇。2017年度のシスコジャパン事業戦略についての発表を行いました。

3つの重点戦略をさらに加速

鈴木 みゆき
シスコシステムズ合同会社
代表執行役員社長
鈴木 みゆき

2017年度から掲げるテーマは、“Innovation at Full Speed”~「フルスピードで変革を!」──。このテーマの下、昨年度来推進している「日本市場により根ざした事業展開」、「お客様のデジタルビジネス支援」、「統合ソリューションビジネス強化」をさらに加速させることが2017年度の重点戦略です。

cisco insight シスコ2017年度の重点戦略

「日本市場により根ざした事業展開」

「日本市場向け製品、ソリューションの開発・提供」を強化していきます。なかでも重点的に強化するのが中堅・中小企業向けのソリューションです。

cisco insight シスコ中堅中小企業向けソリューション

昨年度に立ち上げた中堅・中小企業向けの日本独自ブランド「Cisco Start」は、発表から1年が経過し、販売パートナー数が60社から約1800社へと29倍に拡大、SOHOルータ市場でのシェアも1年で9%から16%へと伸長しています。2017年度もCisco Startの拡販に注力し、2016年9月にはラッグシップスイッチ「Catalystシリーズ」をラインナップに追加しています。

また、クラウドサービス「Cisco Meraki」の強化も図ります。Merakiは、世界14万人が利用するクラウド管理ツールで、2016年末までにダッシュボード管理画面の日本語化を完了させ、今秋から来年にかけて拡販に力を注ぎます。

日本市場全体に向けてはセキュリティとコラボレーションの領域でクラウドポートフォリオを拡充するほか、業種別ソリューションについても、お客様のニーズをとらえながら、さまざまな業種へと広げていきます。

もう一つ、「日本市場により根ざした事業展開」において重視しているのが、「パートナーシップの拡大」です。その一環として、2016年にDNA(デジタル ネットワーク アーキテクチャー)分野で富士通と戦略提携を結びました。

cisco insight パートナーシップの拡大

豊富なベストプラクティスで日本経済の発展に貢献

「統合ソリューションビジネス強化」

単にハードを売る会社から、ハードとサービスを総合的に提供する会社、お客様のデジタル変革を支援する会社への転換を急ぎます。その一環として、利用期間や時間に応じて料金を支払うサブスクリプションモデルやソフトウェアをバンドルした製品の販売を強化し、独自のソリューションを提供していきます。

cisco insight お客様のデジタル化を支援

また、デジタル変革を加速するには、お客様が新たな価値を創出するためのアーキテクチャーやプラットフォームが必要です。なかでも重要なのが、新たな収益源を生み出すソフトウェアです。そのソフトウェアを含めて、業界をリードするテクノロジー、技術力、経験のすべてを備えた唯一のベンダーがシスコであり、その強みを活かし、お客様のデジタル変革を強力に支援していきます。

さらに、「統合ソリューションビジネスの強化」、あるいは「お客様のデジタル変革支援」では、業界ごとの細かなニーズに対応していくことも重点施策の一つです。

cisco insight お客様のデジタル化を支援

この方針によって、製造の領域では昨年度から目覚ましい実績を上げ始めています。
2016年1月にはファナックと提携、資産稼働率の最適化を目指し、工場全体にわたるクラウドマネージドサービスの提供を始動させました。この協業を通じて、すでに大手自動車メーカーの7,000台以上のロボットに不具合発生時間をゼロにする「ゼロダウンタイム」技術が実装され、世界最大級のIoT Smart Factoryの事例となっています。また、ヤマザキマザックとは、工作機械とIoT対応設備との通信環境のセキュリティを強化するネットワーク スイッチ「MAZAK SMARTBOX」を共同開発、横河ソリューションサービスとの間では石油精製業界向けソリューションにおける協業を開始しています。

2017年度も、この流れに拍車をかけるとともに、他業界のデジタル変革も推し進めます。
すでに教育分野に向けては、Cisco Startで文教向けソリューションのパッケージを発売しました。このパッケージによって、小中学校におけるワイヤレスネットワークの導入・運用負荷が大きく引き下げられています。

さらに、有線・無線問わず、あらゆる方法、あらゆる場所であらゆるデバイスをセキュアに接続できる「Security Everywhere」戦略も推進しています。このソリューションにより、ルータ、スイッチ、データセンターを含む広範なネットワークにセキュリティ機能を組み込み、攻撃を逃さず検知して修復にかかる時間を短縮することが可能になります。

今後も、ネットワーク、IoT、クラウド、そして日本企業との協業・連携を通じて、日本市場に根ざした製品・ソリューションを開発・提供し、お客様の生産性向上や人材活用の多様化、そしてデジタル変革のスピードアップを支援していきます。

シスコには、世界各国でのソリューション展開を通じて蓄積された豊富なベストプラクティスがあります。それをフルに活用し、日本向けにカスタマイズをかけながら、日本のお客様の成功と日本経済の再生に貢献していきたいと強く願っています。

cisco insight フルスピードで改革を

企業のデジタルビジネス支援

──重点戦略が向かう先:「IoTとデジタル化」、「クラウド」、「セキュリティ」、「次世代サービスプロバイダー

■IoT&デジタル化

──産業・都市のデジタル化に一層の拍車を

鈴木 和洋
シスコシステムズ合同会社
専務執行役員 戦略ソリューション・事業開発
兼 東京2020オリンピック・パラリンピック推進本部担当
鈴木 和洋

「IoTとデジタル化」では、製造業のIoT化(Connected Factory)とスマートシティ、およびスポーツ&エンターテインメント(Connected Society)に注力しています。

cisco insight IoTとデジタル化

「Connected Factory 」は、工場のロボットや制御装置・製造装置をネットワークにセキュアに接続し、それらの稼働状況を可視化したり、予兆保守などのサービスを提供したりする取り組みです。その先にはERP・SCMなどのエンタープライズアプリケーションとの連携があり、最終的には、MaaS(Machine as a service)の実現を目指しています。

このデジタル変革の領域ではすでにファナック、ヤマザキマザック、横河ソリューションサービスなどの企業と提携していますが、日本にはさらに多くの産業機器メーカーが存在します。今後は、そうしたメーカーとも提携関係を結び、国内製造業全体のデジタル化を推進していきます。

一方、スマートシティに関しては、2015年に京都府とのエコパートナーシップを結び、実証実験を行っています。スポーツ&エンターテインメントについては、特にスタジアム関連ソリューションに注力しています。最終的には、複数の自治体・施設が利用できる共通プラットフォーム「CDP(Connected Digital Platform)」の構築を目指しています。

■クラウド&セキュリティ

──クラウドサービスの提供を加速、多段の防御でクラウドセキュリティも強化

濱田 義之
シスコシステムズ合同会社
執行役員 最高技術責任者(CTO)
兼 イノベーションセンター担当
濱田 義之

シスコはいま「クラウド技術の提供」「クラウドで提供するサービス」という2つのテーマを掲げています。
今日、ハイブリッドクラウド環境の運用管理をいかに効率化するかが重要課題になっていますが、その解決に向けて、ハイブリッドクラウドのオーケストレーションや管理を実現する「次世代データセンターアーキテクチャー」を提供していきます。

cisco insight シスコ次世代データセンターアーキテクチャー

クラウドサービスに関しては、IoTクラウド「Cisco Jasper」やコラボレーション機能の「Cisco Webex」「Cisco Spark」、セキュリティ機能の「OpenDNS」「CloudLock」といったサービスを日本市場に投入していきます。OpenDNSは、名前解決の段階でセキュリティ対策を施すためのサービスで、2016年内にも国内提供を開始します。またCloudLockは、さまざまなクラウドサービス上のビジネスアプリを安全に利用するためのワークフローを組み込むための基盤です。2017年上半期に日本国内で提供する予定です。

今日のセキュリティ対策では、システムの出入口と内部ネットワークを多段で防御することが不可欠です。そうした防御のさらなる強化に向けて、今後も「可視化」「自動化」「遡及的」「インテリジェンス」「クラウドセキュリティ」をテーマにしながら、セキュリティ製品・サービスを拡充していきます。

■次世代サービスプロバイダー

──仮想化、自動化、アナリティクス、オープンで巨大トラフィックに対応

井上 雅雄
シスコシステムズ合同会社
副社長
NTTグループ事業統括
井上 雅雄

2016年9月、世界の年間IPトラフィックがゼタバイト時代に突入しました。この数字は今後4年で倍増し、2.3ゼタバイトに達すると予測されています。日本国内でも2020年までにトラフィックが3倍以上となり、デバイスと接続数が15億になると予測されています。こうした状況に対応すべくシスコが注力している1つが「仮想化」です。

cisco insight ネットワークアーキテクチャ

NFV(Network Functions Virtualization)やSD-WANなどの仮想化技術は、ネットワークのシンプル化とスケーラビリティを大幅に向上させるものです。この仮想化に対応する物理的プラットフォームとして独自開発のチップとマーチャントシリコンを提供していきます。また、運用の自動化にも力を注ぎます。増大を続けるトラフィックやM2M(Machine to Machine)接続、そしてクラウドサービスによるネットワークの複雑化に対応するには、運用の自動化を推し進める以外に方法はないと考えるからです。
加えて、各種アプライアンスが収集したデータから異常や問題点を検知し、機械学習を利用してアナリティクスの精度を高める取り組みも進めていきます。

そして、各レイヤーにおけるプログラマブルなオープン性を確保し、サードパーティーやディベロッパーとシスコの技術を統合した付加価値の高いソリューションを提供していきたいと考えています。