OSPF リンクステート アドバタイズメント スロットリング
OSPF リンクステート アドバタイズメント(LSA)スロットリング機能では、ネットワークが不安定になっているときに、OSPF のリンクステート アドバタイズメント(LSA)更新を抑制する、動的なメカニズムが得られます。さらに LSA のレート制限をミリ秒単位で設定することにより、OSPF コンバージェンス時間の短縮が可能になります。
OSPF LSA スロットリング機能の履歴
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12.0(25)S |
この機能が導入されました。 |
12.3(2)T |
この機能は、Cisco IOS Release 12.3(2)T に統合されました。 |
12.2(18)S |
この機能は、Cisco IOS Release 12.2(18)S に統合されました。 |
12.2(27)SBC |
この機能は、Cisco IOS Release 12.2(27)SBC に統合されました。 |
プラットフォームおよび Cisco IOS ソフトウェア イメージのサポート情報の検索
プラットフォームのサポートおよび Cisco IOS ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。 http://www.cisco.com/go/fn にある Cisco Feature Navigator にアクセスしてください。Cisco.com 上のアカウントが必要です。アカウントを持っていないか、ユーザ名またはパスワードが不明の場合は、ログイン ダイアログボックスの [Cancel] をクリックし、表示される指示に従ってください。
OSPF LSA スロットリングの前提条件
ご使用のネットワークで OSPF が設定されていることが前提になります。
OSPF LSA スロットリングについて
OSPF LSA スロットリングをイネーブルにするには、その前に次の概念について理解しておく必要があります。
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「OSPF LSA スロットリングの利点」
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「OSPF LSA スロットリングの動作」
OSPF LSA スロットリングの利点
OSPF LSA スロットリング機能が実装される以前は、LSA の生成が 5 秒間にレート制限されていました。LSA での変更をミリ秒単位では伝播できないため、OSPF ネットワークでミリ秒単位のコンバージェンスが不可能でした。
OSPF LSA スロットリング機能はデフォルトでイネーブルになっていて、OSPF コンバージェンス時間をより短く(ミリ秒単位に)できます。この機能はカスタマイズできます。1 つのコマンドが LSA の生成(送信)を制御し、もう 1 つのコマンドが受信間隔を制御します。この機能では、ネットワークが不安定になっている間、OSPF の LSA の更新頻度をダイナミックに制限することができます。
OSPF LSA スロットリングの動作
timers throttle lsa all コマンドが LSA の生成(送信)を制御します。最初の LSA は、OSPF トポロジが変更されるとすぐに必ず生成され、次の LSA の生成は最小開始間隔で制御されます。同じ LSA に対してこの後生成される LSA は、最大間隔に達するまでレート制限されます。「同じ LSA」とは、同じ LSA ID 番号、LSA タイプ、およびアドバタイズ ルータ ID を含む LSA インスタンスを意味します。
timers lsa arrival コマンドは、同じ LSA を受信する最小間隔を制御します。同じ LSA のインスタンスが、設定されている間隔が経過する前に到着した場合、その LSA はドロップされます。到着間隔は、 timers throttle lsa all コマンドのホールド時間間隔以内にすることを推奨します。
OSPF LSA スロットリングのカスタマイズ方法
ここでは、次の任意手順について説明します。
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「OSPF LSA スロットリングのカスタマイズ」(任意)
OSPF LSA スロットリングのカスタマイズ
このタスクでは、デフォルト値以外の値を設定する選択をした場合の OSPF LSA スロットリングのカスタマイズ方法を示します。
手順の概要
1.
enable
2.
configure terminal
3.
router ospf process-id
4.
timers throttle lsa all start-interval hold-interval max-interval
5.
timers lsa arrival milliseconds
6.
end
7.
show ip ospf timers rate-limit
8.
show ip ospf
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
router ospf process-id
Router(config)# router ospf 1 |
OSPF ルーティング プロセスを設定します。 |
ステップ 4 |
timers throttle lsa all start-interval hold-interval max-interval
Router(config-router)# timers throttle lsa all 100 10000 45000 |
(任意)LSA の生成に対するレート制限値(ミリ秒)を設定します。 • デフォルト値は次のとおりです。 – start-interval は 0 ミリ秒です – hold-interval は 5000 ミリ秒です – max-interval は 5000 ミリ秒です |
ステップ 5 |
timers lsa arrival milliseconds
Router(config-router)# timers lsa arrival 2000 |
(任意)同じ LSA を受信するインスタンス間の最小間隔(ミリ秒)を設定します。 • デフォルト値は 1000 ミリ秒です。 • LSA 到着タイマの milliseconds 値は、 timers throttle lsa all コマンドのネイバーの hold-interval 値以下にすることを推奨します。 |
ステップ 6 |
end
Router(config-router)# end |
ルータ コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 7 |
show ip ospf timers rate-limit
Router# show ip ospf timers rate-limit LSAID: 10.1.1.1 Type: 1 Adv Rtr: 172.16.2.2 Due in: 00:00:00.028 LSAID: 192.168.4.1 Type: 3 Adv Rtr: 172.17.2.2 Due in: 00:00:00.028 |
(任意)レート制限キューにある(生成中の)LSA のリストを表示します。 • この例ではキューに 2 つの LSA が入っています。各 LSA は LSA ID 番号、(LSA の)タイプ、アドバタイジング ルータ ID、および LSA が生成されるまでの時間を「時間:分:秒(ミリ秒)」で示したもので識別されます。 |
ステップ 8 |
show ip ospf
Router# show ip ospf
Routing Process "ospf 4" with ID 10.10.24.4
Supports only single TOS(TOS0) routes
Supports Link-local Signaling (LLS)
Initial SPF schedule delay 5000 msecs
Minimum hold time between two consecutive SPFs 10000 msecs
Maximum wait time between two consecutive SPFs 10000 msecs
Initial LSA throttle delay 100 msecs
Minimum hold time for LSA throttle 10000 msecs
Maximum wait time for LSA throttle 45000 msecs
Minimum LSA arrival 1000 msecs
LSA group pacing timer 240 secs
Interface flood pacing timer 33 msecs
Retransmission pacing timer 66 msecs
Number of external LSA 0. Checksum Sum 0x0
Number of opaque AS LSA 0. Checksum Sum 0x0
Number of DCbitless external and opaque AS LSA 0
Number of DoNotAge external and opaque AS LSA 0
Number of areas in this router is 1. 1 normal 0 stub 0 nssa
External flood list length 0
Number of interfaces in this area is 2
Area has no authentication
SPF algorithm last executed 04:28:18.396 ago
SPF algorithm executed 8 times
Number of LSA 4. Checksum Sum 0x23EB9
Number of opaque link LSA 0. Checksum Sum 0x0
Number of DCbitless LSA 0
Number of indication LSA 0
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(任意)OSPF に関する情報を表示します。 • この例で太字で示された出力行は、LSA スロットリングの値を示しています。 |
OSPF LSA スロットリングの設定例
ここでは、OSPF LSA スロットリングのカスタマイズ例について説明します。
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「OSPF LSA スロットリング:例」
OSPF LSA スロットリング:例
この例では、OSPF LSA スロットリングをカスタマイズして、開始間隔が 200 ミリ秒、ホールド間隔が 10,000 ミリ秒、最大間隔が 45,000 ミリ秒になるようにしています。同じ LSA を受信するインスタンス間の最小間隔は 2000 ミリ秒です。
timers throttle lsa all 200 10000 45000
network 10.10.4.0 0.0.0.255 area 24
network 10.10.24.0 0.0.0.255 area 24
その他の参考資料
ここでは、OSPF LSA スロットリングに関する参考資料を紹介します。
規格
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この機能によってサポートされる新しい規格または変更された規格はありません。またこの機能による既存規格のサポートに変更はありません。 |
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RFC
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この機能によってサポートされる新しい RFC または変更された RFC はありません。またこの機能による既存 RFC のサポートに変更はありません。 |
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シスコのテクニカル サポート
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