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この章では、Cisco Aironet CB21AG および PI21AG クライアント アダプタについて説明し、無線ネットワークにおけるこれらのアダプタの役割について示します。
Cisco Aironet IEEE 802.11a/b/g ワイヤレス LAN クライアント アダプタ(CB21AG および PI21AG)は、無線ネットワーク インフラストラクチャおよび有線ネットワーク インフラストラクチャにおいて、固定、ポータブル、およびモバイルのデバイス間の無線データ通信を可能にする無線モジュールです。クライアント アダプタは、「プラグアンドプレイ」(PnP)テクノロジー対応のデバイスと完全な互換性を持ちます。
クライアント アダプタの主な機能は、無線インフラストラクチャを介して、有線 LAN に接続された他のクライアントまたはアクセス ポイントと通信することによってデータ パケットを転送することです。これらのアダプタは、イーサネット ケーブルではなく無線で有線 LAN に接続することを除けば、標準のネットワーク製品と同様に動作します。無線ネットワークの特別な機能は必要ありません。ネットワーク上で動作する既存のアプリケーションは、すべてこのアダプタで動作します。
このマニュアルでは、 表1-1 に示す 2 つのクライアント アダプタについて説明します。
このマニュアルでは、全体を通して次の用語が使用されています。
• クライアント アダプタ:両方のタイプのアダプタを指します。
• CardBus PC カードまたは PCI カード:特定のアダプタを指します。
• ワークステーション(または、ステーション):クライアント アダプタが搭載されたコンピューティング デバイスを指します。
• インフラストラクチャ デバイス:アクセス ポイント、ブリッジ、ベース ステーションなど、クライアント アダプタを有線 LAN に接続するデバイスを指します。このマニュアルでは、インフラストラクチャ デバイス全般を「アクセス ポイント」という用語で表現しています。
クライアント アダプタの 3 つの主なハードウェア コンポーネントは、無線、無線アンテナ、および 2 つの LED です。
クライアント アダプタには、IEEE 802.11a および 802.11b/g の両方に準拠したデュアル帯域無線が含まれています。無線では、2.4GHz の Industrial Scientific Medical(ISM; 産業科学医療)バンドでは、クライアント アプリケーションに対してDirect-Sequence Spread Spectrum(DSSS; ダイレクトシーケンス スペクトラム拡散方式)テクノロジーおよびOrthogonal Frequency Division Multiplexing(OFDM; 直交周波数分割多重方式)テクノロジーが使用され、5GHz の Unlicensed National Information Infrastructure(UNII)周波数帯では、OFDM テクノロジーが使用されます。クライアント アダプタをアドホック モードで動作させると、他の IEEE 802.11a または IEEE 802.11b/g 準拠のクライアント デバイスとの組み合わせで使用できます。また、インフラストラクチャ モードで動作させると、Cisco Aironet のアクセス ポイント、および他の IEEE 802.11a または IEEE 802.11b/g 準拠のインフラストラクチャ デバイスとの組み合わせで使用できます。
使用するクライアント アダプタに応じて次のタイプのアンテナが使用されます。
• CardBus PC カードは、一体型の固定接続された 0dBi ゲイン、デュアル帯域 2.4/5GHz ダイバーシティ アンテナを備えています。ダイバーシティ アンテナ システムの利点は、カバレッジが向上することです。このシステムでは、2 つのアンテナ ポートのサンプリングや切り替えが PC カードで可能になり、データ パケットの受信に最適なポートを選択できます。その結果、妨害が存在する条件下でも、Radio Frequency(RF; 無線周波数)接続を維持できる可能性が高くなります。アンテナは、カードを CardBus スロットに差し込んだときスロットの外に突き出しているカード部分に組み込まれています。
• PCI カードは、2m のケーブルを固定接続した 1dBi ゲイン、デュアル帯域 2.4/5GHz アンテナを備えています。アンテナにはアンテナ ベースが付属しており、壁に取り付けたり、デスクやその他の水平面に直立させることができます。
クライアント アダプタには、点灯または点滅によってアダプタのステータスやエラー メッセージを伝える LED が 2 つ付いています。LED コードの詳細は、 トラブルシューティングを参照してください。
クライアント アダプタの 2 つの主なソフトウェア コンポーネントは、ドライバとクライアント ユーティリティです。これらのコンポーネントは、Cisco.com からダウンロード可能な Install Wizard ファイルを実行すると一緒にインストールされます。このファイルは、CB21AG および PI21AG クライアント アダプタがあるときのみ、Windows 2000 または Windows XP 上で実行できます。
(注) クライアント アダプタのインストールでは、Install Wizard を使用してこれらのソフトウェア コンポーネントをインストールする手順を説明しています。
ドライバは、コンピュータのオペレーティング システムとクライアント アダプタ間のインターフェイスを提供します。これにより、オペレーティング システムおよびオペレーティング システムで実行されるアプリケーションと、クライアント アダプタとの通信が実現します。ドライバは、アダプタを使用する前にインストールしておく必要があります。
クライアント アダプタでは、Aironet Desktop Utility(ADU)および Aironet System Tray Utility(ASTU)という 2 つのクライアント ユーティリティを使用できます。これらのユーティリティは、クライアント アダプタの無線で交信することで、設定を調整したり情報を表示したりするオプションのアプリケーションです。
ADU を使用すると、クライアント アダプタの構成プロファイルの作成、ユーザレベルの診断を実行できます。ADU にはさまざまな機能があるので、このマニュアルではそれぞれの機能に分けて説明しています。
Windows のシステム トレイのアイコンをクリックしてアクセスする ASTU は、ADU で使用できる機能の一部をまとめたものです。具体的には、使用しているクライアント アダプタのステータス情報の表示、および基本的な作業の実行が可能です。 Aironet System Tray Utility(ASTU)の使用方法では ASTU の使用に関する詳細な情報と手順を示しています。
(注) Windows XP が稼動するコンピュータを使用している場合は、ADU の代わりに Microsoft Wireless Configuration Manager(または他のサードパーティ ツール)を介してクライアント アダプタを設定できます。詳細は、 を参照してください。ただし、ADU を使用してクライアント アダプタを設定することをお勧めします。
クライアント アダプタは、さまざまなネットワーク構成で使用できます。一部の構成では、アクセス ポイントがネットワーク接続を提供したり、無線通信範囲を広げるリピータとして機能したりします。最大通信範囲は、無線ネットワークの構成に基づきます。
この項では、最も一般的な次の 2 つのネットワーク構成について説明し、図に示します。
• アドホック 無線 ローカル エリア ネットワーク(LAN)
• ワークステーションで有線 LAN にアクセスする無線インフラストラクチャ
クライアント アダプタを使用した、さらに複雑なネットワークの構成例については、該当するアクセスポイントのマニュアルを参照してください。
(注) クライアント アダプタのネットワーク タイプの設定方法については、 を参照してください。
アドホック(またはピアツーピア)無線 LAN(図1-1 を参照)は、最もシンプルな無線 LAN 構成です。アドホック ネットワーク構成による無線 LAN では、クライアント アダプタを装備したすべてのデバイスを結合して、相互に直接通信することができます。アクセス ポイントなどのインフラストラクチャ デバイスの使用は要求されません。
LAN 上に複数のアクセス ポイントを配置すると、マイクロセルラ ネットワークを構築できます。図1-2 は、複数のアクセス ポイントを介してワークステーションで有線 LAN にアクセスするマイクロセルラ ネットワークを示しています。
この構成は、ポータブルやモバイル ステーションで有用です。これらのワークステーションがマイクロセル ドメイン間を移動中の場合でも、有線ネットワークに直接接続できるからです。このプロセスは透過的に行われ、ファイル サーバやホストへの接続は中断なしに維持されます。モバイル ステーションのアクセス ポイントへの接続は、この接続が可能である限り維持されます。ただし、データ パケット転送の再試行が必要になったり、ビーコンが欠落した場合、ステーションでは自動的に別のアクセス ポイントが検索され、それにアソシエートされます。このプロセスを「シームレス ローミング」といいます。
図1-2 ワークステーションで有線 LAN にアクセスする無線インフラストラクチャ