この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
この章は、次の項で構成されています。
仮想化により、同一の物理マシン上で隣り合いながら分離して実行する複数の仮想マシン(VM)を作成できます。
各仮想マシンは、仮想ハードウェア(メモリ、CPU、NIC)の独自のセットを持ち、その上でオペレーティング システムと十分に設定されたアプリケーションがロードされます。オペレーティング システムは、実際の物理ハードウェア コンポーネントに関係なく、一貫性があり正常なハードウェア一式を認識します。
仮想マシンでは、物理サーバ間でのプロビジョニングや移動を迅速に行うために、ハードウェアとソフトウェアの両方が単一のファイルにカプセル化されます。仮想マシンは 1 つの物理サーバから別のサーバへ数秒で移動することができ、メンテナンスのためのダウンタイムを必要とせず、途切れることのない作業負荷を集約します。
仮想ハードウェアは、多数のサーバ(それぞれのサーバは独立した仮想マシン内で実行する)を単一の物理サーバ上で実行できるようにします。バーチャライゼーションの利点は、コンピューティング リソースをより適切に使用でき、サーバ密度を高め、サーバの移行をスムーズに行えることです。
仮想サーバの実装は、1 つの物理サーバのゲストとして実行される 1 つまたは複数の VM で構成されます。ゲスト VM は、ハイパーバイザまたは仮想マシン マネージャ(VMM)と呼ばれるソフトウェア レイヤによってホストされ、管理されます。通常、ハイパーバイザは各 VM で仮想ネットワーク インターフェイスを示し、VM から他のローカル VM または外部ネットワークに繋がる別のインターフェイスへのトラフィックのレイヤ 2 スイッチングを実行します。
Cisco Virtual Machine ファブリック エクステンダ(VM-FEX)は、シスコの仮想インターフェイス カード(VIC)アダプタと連携し、ハイパーバイザによる VM トラフィックのソフトウェアベースのスイッチングをパイパスし、ファブリック インターコネクトでの外部ハードウェアベースのスイッチングを優先します。この方法により、サーバの CPU 負荷が軽減され、スイッチングが高速化され、豊富なネットワーク管理機能をローカルおよびリモートのトラフィックに適用できます。
VM-FEX は IEEE 802.1Qbh ポート エクステンダ アーキテクチャを VM に拡張するために、各 VM インターフェイスに仮想 Peripheral Component Interconnect Express(PCIe)デバイスとスイッチ上の仮想ポートを提供します。このソリューションにより、VM インターフェイス上で、正確なレート制限と QoS(Quality of Service)保証が可能になります。
Cisco VIC アダプタは、単一 OS の導入と VM ベースの導入の両方に対応するように設計された統合型ネットワーク アダプタ(CNA)です。VIC アダプタは、最大 128 個の仮想ネットワーク インターフェイス カード(vNIC)を含む、静的または動的な仮想化インターフェイスをサポートします。
VIC アダプタは、VM-FEXをサポートし、仮想マシン インターフェイスとの間の、トラフィックのハードウェアベースのスイッチング機能を提供します。
Single Root I/O Virtualization(SR-IOV)により、さまざまなゲスト オペレーティング システムを実行している複数の VM が、ホスト サーバ内の単一の PCIe ネットワーク アダプタを共有できるようになります。SR-IOV では、VM がネットワーク アダプタとの間で直接データを移動でき、ハイパーバイザをバイパスすることで、ネットワークのスループットが増加してサーバの CPU 負荷が低下します。最近の x86 サーバ プロセッサには、SR-IOV に必要なダイレクト メモリの転送やその他の操作を容易にする Intel VT x テクノロジーなど、チップセットの拡張機能が搭載されています。
SR-IOV 仕様では、次の 2 つのデバイス タイプが定義されています。
Physical Function(PF):基本的にスタティック vNIC です。PF は、SR-IOV 機能を含む完全な PCIe デバイスです。PF は、通常の PCIe デバイスとして検出、管理、設定されます。単一 PF は、一連の仮想関数(VF)の管理および設定を提供できます。
Virtual Function(VF):ダイナミック vNIC に似ています。VF は、データ移動に必要な最低限のリソースを提供する、完全または軽量の仮想 PCIe デバイスです。VF は直接的には管理されず、PF を介して配信および管理されます。1 つ以上の VF を 1 つの VM に割り当てることができます。
SR-IOV は、PCI 標準の開発および管理が公認されている業界組織である Peripheral Component Interconnect Special Interest Group(PCI-SIG)によって定義および管理されています。SR-IOV の詳細については、次の URL を参照してください。
SR-IOV をサポートするハイパーバイザには、KVM Linux と Microsoft Hyper-V が含まれています。
次のシスコ仮想インターフェイス カードは VM-FEX を使用する SR-IOV をサポートしています。
Cisco UCS Manager (UCSM)と Microsoft System Center Virtual Machine Manager (SCVMM)の統合により、Microsoft の仮想化プラットフォームへと Virtual Machine Fabric Extender (VM-FEX)テクノロジーが拡張されます。Microsoft SCVMM がネットワーク スタックのセットアップに使用するネットワーク オブジェクトは、このアーキテクチャを使用して Cisco UCSM で設定されます。Microsoft SCVMM は、Cisco UCSM によって作成されたネットワーク オブジェクトを使用し、VM をホストする Microsoft Hyper-V ホストにそれらを展開します。
Hyper-V はシングル ルート I/O 仮想化(SR-IOV)テクノロジーを使用して、仮想接続を展開します。VM のインターフェイスは仮想関数にマッピングされます。Cisco UCS リリース 2.1 では SR-IOV のサポートが追加され、Microsoft Hyper-V ホストへの VM-FEX の展開が可能になりましたが、VM ネットワークの管理が一元化されていませんでした。リリース 3.0 では Microsoft SCVMM との管理プレーンの統合がサポートされており、Hyper-V ホストの VM ネットワーク管理が一元化されました。この展開では、Cisco 仮想インターフェイス カード(VIC)アダプタで使用可能な SR-IOV テクノロジーを活用して、Cisco UCS ファブリック インターコネクト(FI)が VM へ対応可能になります。
図 1 に、Microsoft SCVMM アーキテクチャを使用した Cisco UCS VM-FEX を示します。
Cisco UCSM はサービス プロファイルを展開し、その展開の一部としてベア メタルをプロビジョニングします。Hyper-V ホストのサービス プロファイルのネットワーク設定を行う際に、管理者は SR-IOV のサポートが有効であることを確認する必要があります。ネットワーク管理者はネットワーク オブジェクト(VLAN や Cisco UCSM のポート プロファイルなど)を定義します。これらのオブジェクトは、ファブリック インターコネクト(FI)で Cisco NX-OS にプッシュされます。サーバ管理者は Microsoft SCVMM に Cisco UCS プロバイダー プラグインをインストールします。
Cisco UCS プロバイダー プラグインにより、Microsoft SCVMM は Cisco UCSM からネットワーク オブジェクトを取得し、それらのネイティブへの使用や、Hyper-V ホストへの展開が可能です。ホスト グループに追加されるホストは、Cisco UCSM がサービス プロファイルを使用して展開したサーバと同じサーバです。また、Microsoft SCVMM は Cisco UCSM で設定されているネットワーク構成をプルして Hyper-V ホストにプッシュします。Hyper-V ホストに論理スイッチを展開すると、ドライバ拡張がそのホストにプッシュされます。
Cisco UCS VM-FEX フォワーディング拡張は、Hyper-V ホスト上に配備されたドライバ拡張の一種です。これによって、ファブリック インターコネクト(FI)へのパケット転送と FI でのスイッチングが確実に行われます。FI は VM のすべての MAC アドレスを認識します。VM-FEX フォワーディング拡張ドライバは Microsoft SCVMM から構成を取得し、ホストで起動する仮想 NIC(vNIC)の仮想イーサネット インターフェイスをプロビジョニングするように Cisco NX-OS に指示します。
ダイナミック VM-FEX vEth リンクのプロビジョニングにより、Hyper-V ホストと Cisco NX-OS が接続されます。VM がオンライン状態になるか VM に電源が入ると、ネットワーク カードは Cisco VIC プロトコルを使用して VIC 接続を送信し、VM は FI に動的に接続します。
Microsoft Hyper-V は、x86-64 ハードウェア プラットフォームに対応した Windows Server 2012 以降のリリース向け仮想化パッケージです。Hyper-V は x86 ハードウェア仮想化拡張(たとえば、Intel VT-x)を使用して、ユーザスペース プロセスとして VM をホストするハイパーバイザを実装します。
VM-FEX for Hyper-V の使用では、ハイパーバイザは VM トラフィックのスイッチングを実行しません。ハイパーバイザは、装着されている VIC アダプタと連携して、インターフェイスの仮想化プログラムとして振る舞い、次の機能を実行します。
VM から VIC に向かうトラフィックについては、インターフェイス仮想化プログラムが送信元 vNIC を識別し、VIC がその vNIC によって生成された各パケットに明示的にタグ付けできるようにします。
VIC から受信したトラフィックについては、インターフェイス仮想化プログラムがパケットを指定して vNIC に渡します。
すべてのスイッチングは外部ファブリック インターコネクトによって実行されます。外部ファブリック インターコネクトは、物理ポート間だけでなく、VM の vNIC に対応する仮想インターフェイス(VIF)間でのスイッチングも行うことができます。
ネットワーク オブジェクトの詳細については、以下の Microsoft ネットワーク用語を参考にしてください。
論理スイッチは Microsoft のネイティブ分散仮想スイッチ(DVS)です。これは、仮想スイッチをインスタンス化するために使用できるテンプレートです。ネイティブ スイッチを定義して、それに拡張を加えることができます。これはスイッチの拡張と呼ばれます。
ファブリック ネットワークとは、ネットワーク セグメント(VLAN)が複数のサイトにまたがる論理ネットワークのことです。ファブリック ネットワークには 1 つ以上のネットワーク サイトを含めることができます。
ネットワーク サイトにはサイト固有のネットワーク セグメントが含まれます。これは、ファブリック ネットワーク定義(FND)とも呼ばれます。ネットワーク サイトには 1 つ以上のネットワーク セグメントを含めることができます。
ネットワーク セグメントは、VM ネットワーク定義(VMND)とも呼ばれます。VLAN と IP プールから構成されています。
VM ネットワークは、ネットワーク セグメントを参照します。これは、ネットワークのテナントがそれらの VM を接続できるネットワークとして、テナントによって使用されます。VM ネットワークはテナント側から見たネットワークです。
仮想ポートのプロファイルは、vNIC の Quality of Service(QoS)/Service Level Agreement(SLA)を定義するプロファイルです。
アップリンク ポート プロファイルには、物理ネットワーク インターフェイス カード(PNIC)で使用できるネットワーク セグメントのリストが含まれます。
ネットワーク オブジェクトの詳細については、『Configuring Logical Networking in VMM Overview』(http://technet.microsoft.com/en-us/library/jj721568.aspx)を参照してください。
Cisco UCS リリース 3.0 は、以下の Microsoft ソフトウェアをサポートしています。
Microsoft SCVMM 2012 SP1 リリースの詳細については、『Description of Update Rollup 4 for System Center 2012 Service Pack 1』(http://support.microsoft.com/kb/2879276/EN-US)を参照してください。
Microsoft SCVMM 2012 R2 リリースの詳細については、『Description of Update Rollup 1 for System Center 2012 R2』(http://support.microsoft.com/kb/2904734/en-us)を参照してください。