IGMP の明示的なトラッキング

このモジュールでは、インターネット グループ管理プロトコル(IGMP)のホスト、グループ、およびチャンネルの明示的なトラッキングについて説明します。

IGMP の明示的なトラッキングの制約事項

次の制約事項がこの機能に適用されます。

  • ネットワーク上に IGMP バージョン 1 または IGMP バージョン 2 のみがサポートされている 1 つまたは複数のホストがある場合、ホストが加入しているマルチキャスト グループに対する脱退遅延は、ホストの IGMP バージョンの脱退遅延に戻されます。これは、IGMP バージョン 2 では約 3 秒間で、IGMP バージョン 1 では最大 180 秒間(3 分間)です。この条件は、これらのレガシー ホストが実際に何らかの時点で実際に加入しているマルチキャスト グループのみに影響します。さらに、IGMPv3 ホストが送信したこれらのマルチキャスト グループのメンバーシップ レポートは、IGMP バージョン 1 やバージョン 2 のメンバーシップ レポートに戻り、これらのホスト メンバーシップの明示的なトラッキングが無効になる場合があります。

  • IGMP バージョン 3 Lite(IGMP v3lite)または URL ランデブー ディレクトリ(URD)のチャネル メンバーシップ レポートの明示的なトラッキングはサポートされていません。そのため、IGMPv3 Lite または URD を使用したホストにトラフィックを送信するマルチキャスト グループの脱退遅延は、ホスト上で設定されている IGMP のバージョンの脱退遅延によって決定されます(IGMPv3 の場合、明示的トラッキングが設定されていないときの脱退遅延は通常、3 秒です)。

IGMP の明示的トラッキングについて

IGMP の明示的なトラッキング

インターネット グループ管理プロトコル(IGMP)は、隣接するマルチキャスト デバイスにマルチキャスト グループ メンバーシップを報告するために IP ホストによって使用されます。IGMP の明示的トラッキング機能は、特定のマルチアクセス ネットワーク内のすべてのマルチキャスト ホストのメンバーシップをマルチキャスト デバイスで明示的に追跡できるようにします。IGMP の明示的なトラッキングはグローバルに有効にしたり、レイヤ 3 インターフェイスで有効にすることができます。

ホスト、グループ、およびチャネルの明示的トラッキングでは、特定のグループまたはチャネルに参加している各個別ホストをデバイスが追跡できるようにします。この機能の主なメリットは、IGMP の脱退遅延を最小にし、チャネル変更を高速化し、診断機能を向上させることです。

最小脱退遅延

IGMP でのホスト、グループ、およびチャネルの明示的トラッキングの主なメリットは、ホストがマルチキャスト グループまたはチャネルを脱退するときに脱退遅延を最小にできることです。ホストの脱退とデバイスのトラフィック転送の停止との間の時間を IGMP 脱退遅延と呼びます。IGMP バージョン 3(IGMPv3)と明示的なトラッキングで設定したデバイスは、デバイスからのトラフィックの受信を要求する最後のホストがトラフィックの受信をそれ以上必要としていないことを示している場合、トラフィックの転送を即時に停止できます。したがって、脱退遅延はマルチアクセス ネットワークのパケット伝送遅延とデバイスでの処理時間によってのみバウンドされます。

IGMP バージョン 2 では、ホストからの IGMP 脱退メッセージをデバイスで受信するときに、そのデバイスでは、まず、IGMP グループ固有クエリを送信して、同じマルチアクセス ネットワーク上にある他のホストで、依然、トラフィックの受信が要求されているかどうかを認識する必要があります。特定の時間(デフォルト値は約 3 秒)経過後にクエリに応答するホストがない場合、デバイスはトラフィックの転送を停止します。IGMP バージョン 1 と 2 では、ネットワーク内の別のホストによって同じレポートがすでに送信されている場合、IGMP メンバーシップ レポートが抑制されるため、このクエリ プロセスが必要です。そのため、トラフィックの受信を要求しているホストがマルチアクセス ネットワーク上にいくつあるかをデバイスが正確に把握するのは不可能です。

高速チャネル変更

マルチキャスト デバイスとホスト間で帯域幅が制約されるネットワークでは(xDSL 導入環境の場合など)、デバイスとホスト間の帯域幅は一般に N のマルチキャスト ストリームを並行して受信するよう維持するには十分です。これらの導入環境では、通常は各ホストが 1 つのマルチキャスト ストリームにのみ参加し、許容されるホストの全体数は N に限定されます。これらの環境での効果的な脱退遅延が受信アプリケーションのチャネル変更時間を定義します。つまり、1 つの単一ホストでは、前のストリームの転送が停止するまでは、新しいマルチキャスト ストリームを受信できません。アプリケーションが脱退遅延よりも速くチャネルを変更しようとすると、そのアプリケーションはアクセス ネットワークの帯域幅に過負荷をかけ、すべてのホストのトラフィック フローを一時的に低下させることになります。IGMP でのホスト、グループ、およびチャネルの明示的トラッキングでは、脱退遅延を最小化できるため、高速チャネル変更機能が可能になります。

診断機能の向上

IGMP でのホスト、グループ、およびチャネルの明示的トラッキングでは、ネットワーク管理者が他のマルチキャスト グループまたはチャネルに参加しているマルチキャスト ホストを簡単に特定できます。

IGMP の明示的トラッキングの設定方法

明示的なトラッキングのグローバルな有効化

明示的なトラッキングをグローバルおよびレイヤ 3 インターフェイスで有効にできます。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:

Device> enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:

Device# configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

ip igmp snooping vlan vlan-idexplicit-tracking

例:

Device(config)# ip igmp snooping vlan 1 explicit-tracking

IGMP の明示的なホスト トラッキングを有効にします。

ステップ 4

exit

例:

Device(config)# exit

グローバル コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。

レイヤ 3 インターフェイス上での明示的なトラッキングの有効化

明示的なトラッキングをグローバルおよびレイヤ 3 インターフェイスで有効にできます。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:

Device> enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:

Device# configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

interface type number

例:

Device(config)# interface vlan 77

インターフェイスを設定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 4

ip address ip-address mask

例:

Device(config-if)# ip address 10.1.1.1 255.255.255.254

インターフェイスに対するプライマリ IP アドレスまたはセカンダリ IP アドレスを設定します。

ステップ 5

ip pim sparse-mode

例:

Device(config-if)# ip pim sparse-mode

Protocol Independent Multicast(PIM)スパース モードをインターフェイス上で有効にします。

ステップ 6

ip igmp version 3

例:

Device(config-if)# ip igmp version 3

デバイス上で Internet Group Management Protocol(IGMP)バージョン 3(IGMPv3)を有効にします。

ステップ 7

ip igmp explicit-tracking

例:

Device(config-if)# ip igmp explicit-tracking

IGMP の明示的なホスト トラッキングを有効にします。

ステップ 8

exit

例:

Device(config)# exit

グローバル コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。

IGMP の明示的トラッキングの設定例

例:明示的なトラッキングの有効化

次に、IGMP の明示的トラッキングをグローバルに有効にする基本設定の例を示します。


Device# configure terminal 
Device(config)# ip multicast routing
Device(config)# ip igmp snooping vlan 1 explicit-tracking
Device(config)# end

次に、IGMP の明示的トラッキングをレイヤ 3 インターフェイス上で有効にする基本設定の例を示します。


Device# configure terminal 
Device(config)# interface vlan 77
Device(config-if)# ip address 10.1.1.1 255.255.255.254
Device(config-if)# ip pim sparse-mode
Device(config-if)# ip igmp version 3
Device(config-if)# ip igmp explicit-tracking
Device(config-if)# end

IGMP の明示的なトラッキングの確認

手順


ステップ 1

enable

例:

Device> enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

show ip igmp snooping vlan vlan-ID

例:

Device# show ip igmp snooping vlan 77
Catalyst VLAN のスヌーピング情報を表示します。

Device# show  ip igmp  snooping vlan  77

Global IGMP Snooping configuration:
-------------------------------------------
IGMP snooping                : Enabled
IGMPv3 snooping              : Enabled
Report suppression           : Enabled
TCN solicit query            : Disabled
TCN flood query count        : 2
Robustness variable          : 2
Last member query count      : 2
Last member query interval   : 1000

Vlan 77:
--------
IGMP snooping                       : Enabled
IGMPv2 immediate leave              : Disabled
Explicit host tracking              : Enabled
Multicast router learning mode      : pim-dvmrp
CGMP interoperability mode          : IGMP_ONLY
Robustness variable                 : 2
Last member query count             : 2
Last member query interval          : 1000
Device#

ステップ 3

show ip igmp groups interface-type interface-number

例:

Device# show ip igmp groups GigabitEthernet 1/0/24
デバイスに直接接続されていて、IGMP を介して学習するマルチキャスト グループを表示します。
show ip igmp groups GigabitEthernet 1/0/24

IGMP Connected Group Membership
Group Address    Interface                Uptime    Expires   Last Reporter   Group Accounted
203.0.113.245    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.244    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.247    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.246    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.241    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.240    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.243    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.242    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.253    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.252    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.221    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.254    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.249    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.248    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.251    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.250    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.228    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.229    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.230    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.231    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2      
203.0.113.224    GigabitEthernet1/0/24    00:00:35  stopped   10.34.34.2   

ステップ 4

show ip igmp membership tracked

例:

Device# show ip igmp membership tracked

有効にした明示的なトラッキング機能を使用してマルチキャスト グループを表示します。


Device# show ip igmp  membership tracked

Flags: A  - aggregate, T - tracked
       L  - Local, S - static, V - virtual, R - Reported through v3 
       I - v3lite, U - Urd, M - SSM (S,G) channel 
       1,2,3 - The version of IGMP, the group is in
Channel/Group-Flags: 
       / - Filtering entry (Exclude mode (S,G), Include mode (G))
Reporter:
       <mac-or-ip-address> - last reporter if group is not explicitly tracked
       <n>/<m>      - <n> reporter in include mode, <m> reporter in exclude

 Channel/Group                  Reporter        Uptime   Exp.  Flags  Interface 
 *,203.0.113.10                  1/0             00:20:46 stop  3AT    Gi1/0/24
 192.168.0.2,203.0.113.10        10.34.34.2      00:20:46 02:59 T      Gi1/0/24
 *,203.0.113.11                  1/0             00:20:46 stop  3AT    Gi1/0/24
 192.168.0.2,203.0.113.11        10.34.34.2      00:20:46 02:59 T      Gi1/0/24
 *,203.0.113.14                  1/0             00:20:46 stop  3AT    Gi1/0/24
 192.168.0.2,203.0.113.14        10.34.34.2      00:20:46 02:59 T      Gi1/0/24
 *,203.0.113.15                  1/0             00:20:46 stop  3AT    Gi1/0/24
 192.168.0.2,203.0.113.15        10.34.34.2      00:20:46 02:59 T      Gi1/0/24
 *,203.0.113.12                  1/0             00:20:46 stop  3AT    Gi1/0/24
 192.168.0.2,203.0.113.12        10.34.34.2      00:20:46 02:59 T      Gi1/0/24
 *,203.0.113.13                  1/0             00:20:46 stop  3AT    Gi1/0/24
 192.168.0.2,203.0.113.13        10.34.34.2      00:20:46 02:59 T      Gi1/0/24
 *,203.0.113.19                  1/0             00:20:46 stop  3AT    Gi1/0/24
 192.168.0.2,203.0.113.19        10.34.34.2      00:20:46 02:59 T      Gi1/0/24
 *,203.0.113.18                  1/0             00:20:46 stop  3AT    Gi1/0/24
 192.168.0.2,203.0.113.18        10.34.34.2      00:20:46 02:59 T      Gi1/0/24
 *,203.0.113.17                  1/0             00:20:46 stop  3AT    Gi1/0/24
 192.168.0.2,203.0.113.17        10.34.34.2      00:20:46 02:59 T      Gi1/0/24
 *,203.0.113.16                  1/0             00:20:46 stop  3AT    Gi1/0/24
 192.168.0.2,203.0.113.16        10.34.34.2      00:20:46 02:59 T      Gi1/0/24
 *,203.0.113.40                  0/1             00:20:48 02:16 3LAT   Gi1/0/24
 *,209.165.201.1                 10.34.34.1      00:20:48 02:16 3LT    Gi1/0/24
Device#

ステップ 5

show ip igmp snooping vlan vlan-ID

例:

Device# show ip igmp snooping vlan 77

VLAN 上の IGMP スヌーピング設定を表示します。


Device# show  ip igmp  snooping vlan  77

Global IGMP Snooping configuration:
-------------------------------------------
IGMP snooping                : Enabled
IGMPv3 snooping              : Enabled
Report suppression           : Enabled
TCN solicit query            : Disabled
TCN flood query count        : 2
Robustness variable          : 2
Last member query count      : 2
Last member query interval   : 1000

Vlan 77:
--------
IGMP snooping                       : Enabled
IGMPv2 immediate leave              : Disabled
Explicit host tracking              : Enabled
Multicast router learning mode      : pim-dvmrp
CGMP interoperability mode          : IGMP_ONLY
Robustness variable                 : 2
Last member query count             : 2
Last member query interval          : 1000
Device#


IGMP の明示的追跡に関するその他の関連情報

関連資料

関連項目 マニュアル タイトル

この章で使用するコマンドの完全な構文および使用方法の詳細。

の「IP マルチキャスト ルーティングのコマンド」の項を参照してください。Command Reference (Catalyst 9300 Series Switches)

IGMP の明示的トラッキングの機能履歴

次の表に、このモジュールで説明する機能のリリースおよび関連情報を示します。

これらの機能は、特に明記されていない限り、導入されたリリース以降のすべてのリリースで使用できます。

リリース

機能

機能情報

Cisco IOS XE Everest 16.6.1

IGMP の明示的なトラッキング

IGMP の明示的なトラッキング機能を使用すると、特定のマルチアクセスネットワーク内のすべてのマルチキャストホストのメンバーシップをマルチキャストデバイスで明示的に追跡できます。

Cisco Feature Navigator を使用すると、プラットフォームおよびソフトウェアイメージのサポート情報を検索できます。Cisco Feature Navigator には、http://www.cisco.com/go/cfn [英語] からアクセスします。