デフォルトでは、グループのメンバーで受信されるデータは、RP でルーティングされた単一のデータ配信ツリーを経由して、送信側からグループに送られます。
図 3. 共有ツリーおよびソース ツリー(最短パスツリー). 次の図に、このタイプの共有配信ツリーを示します。送信側からのデータは、RP に配信され、その共有ツリーに加入しているグループ メンバに配布されます。
データ レートによって保証されている場合は、送信元でルーティングされるデータ配信ツリーを、共有ツリーのリーフ ルータ(ダウンストリーム接続がないルータ)で使用できます。このタイプの配信ツリーは、SPT または送信元ツリーと呼ばれます。デフォルトでは、ソフトウェアが送信元から最初のデータ パケットを受信すると、ソース ツリーにスイッチします。
共有ツリーから送信元ツリーへの移動プロセスは、次のとおりです。
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レシーバがグループに加入します。リーフ ルータ C は Join メッセージを RP に向けて送信します。
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RP はルータ C とのリンクを発信インターフェイス リストに格納します。
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送信元がデータを送信します。ルータ A はデータをカプセル化して登録メッセージに格納し、RP に送信します。
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RP はデータをルータ C に向けて共有ツリーの下方向に転送し、送信元に向けて Join メッセージを送信します。この時点で、データはルータ C に 2 回着信する可能性があります(カプセル化されたデータ、およびネイティブ状態のデータ)。
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データがネイティブ状態(カプセル化されていない状態)で着信すると、RP は登録停止メッセージをルータ A に送信します。
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デフォルトでは、最初のデータ パケット受信時に、ルータ C が Join メッセージを送信元に送信するよう要求します。
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ルータ C が(S, G)でデータを受信すると、ルータ C は共有ツリーの上位方向にある送信元に prune メッセージを送信します。
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RP が(S, G)の発信インターフェイスからルータ C へのリンクを削除します。RP は送信元に向けてプルーニング メッセージを送信します。
送信元および RP に join および prune メッセージが送信されます。これらのメッセージはホップ単位で送信され、送信元または RP へのパス上にある各 PIM デバイスで処理されます。register および register-stop メッセージは、ホップバイホップで送信されません。これらのメッセージは、送信元に直接接続されている指定ルータによって送信され、グループの RP によって受信されます。
グループへ送信する複数の送信元で、共有ツリーが使用されます。共有ツリー上に存在するように、PIM デバイスを設定できます。
最初のデータ パケットがラスト ホップ ルータに着信すると、共有ツリーからソース ツリーへと変更されます。この変更は、ip pim
spt-threshold グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して設定したしきい値によって異なります。
SPT には共有ツリーよりも多くのメモリが必要ですが、遅延が短縮されます。SPT の使用を延期することもできます。リーフ ルータを SPT にすぐ移動せず、トラフィックがしきい値に最初に到達したあとで移動するように指定できます。
PIM リーフ ルータが、指定グループの SPT に加入する時期を設定できます。送信元の送信速度が指定速度(キロビット/秒)以上の場合、マルチレイヤ スイッチは PIM Join メッセージを送信元に向けて送信し、送信元ツリー(SPT)を構築します。送信元からのトラフィック速度がしきい値を下回ると、リーフ ルータは共有ツリーに再び切り替わり、プルーニング メッセージを送信元に送信します。
SPT しきい値を適用するグループを指定するには、グループ リスト(標準アクセス リスト)を使用します。値 0 を指定する場合、またはグループ リストを使用しない場合、しきい値はすべてのグループに適用されます。