この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
この章の内容は、次のとおりです。
ポリシングとは、トラフィックの特定のクラスについて、そのデータ レートをモニタすることです。データ レートがユーザ設定値を超えると、ただちにパケットのマーキングまたはドロップが発生します。ポリシングではトラフィックがバッファリングされないため、伝搬遅延への影響はありません。トラフィックがデータ レートを超えた場合に、パケットをドロップするかパケット内の Quality of Service(QoS)フィールドをマーキングするかを、ユーザがシステムに指示します。シングルレート、デュアルレート、およびカラー対応のポリサーを定義できます。
シングルレート ポリサーは、トラフィックの認定情報レート(CIR)をモニタします。デュアルレート ポリサーは、トラフィックの CIR と最大情報レート(PIR)の両方をモニタします。また、システムは、関連するバースト サイズもモニタします。指定したデータ レート パラメータに応じて、適合(グリーン)、超過(イエロー)、違反(レッド)の 3 つのカラー、つまり条件が、パケットごとにポリサーによって決定されます。
各条件について設定できるアクションは 1 つだけです。たとえば、最大 200 ミリ秒のバーストで、256,000 bps のデータ レートに適合するように、クラス内のトラフィックをポリシングするとします。この場合、システムは、このレートの範囲内のトラフィックに対して適合アクションを適用し、このレートを超えるトラフィックに対して違反アクションを適用します。
カラー対応ポリサーは、トラフィックが以前にカラーによってすでにマーキングされているものと見なします。次に、このタイプのポリサーが実行するアクションの中で、その情報が使用されます。ポリシーの詳細については、RFC 2697、RFC 2698、および RFC4115 を参照してください。
次の表に、定義されたデータ レートに応じてポリサーによるアクションがトリガーされる状態を示します。
Condition |
色 |
説明 |
ポリサー アクション1 |
---|---|---|---|
conform |
グリーン |
パケットのトラフィック データ レートは、定義された範囲内です。 |
ポリサーは、これらのパケットをそのまま送信するか、ヘッダー内の値(DSCP、precedence、またはサービス クラス(CoS))を変更してからこれらのパケットを送信します。 |
exceed |
イエロー |
パケットのトラフィック データ レートは、定義された範囲を超えています。 |
ポリサーは、これらのパケットを廃棄するか、マークダウンします。 |
violate |
レッド |
パケットのトラフィック データ レートは、定義された範囲に違反しています。 |
ポリサーは、これらのパケットを廃棄するか、マークダウンします。 |
各モジュールではポリシングが独立して実行されます。このことは、ポート チャネル インターフェイスの場合など、複数のモジュールにわたって分散しているトラフィックに適用されるポリサーに影響を与える可能性があります。
QoS ポリシー マップをインターフェイスまたはポート プロファイルに付加することにより、その QoS ポリシー マップ内のポリシング命令を入力または出力パケットに適用できます。入力または出力を選択するには、service-policy コマンドで input または output キーワードのいずれかを指定します。service-policy コマンドの使用例については、入力ポリシーと出力ポリシーの作成を参照してください。
(注) |
1 レート 3 カラーのポリシングを設定する場合は、pir と cir に同じ値を指定します。 |
引数 |
説明 |
||
---|---|---|---|
cir | Committed Information Rate(cir)、つまり望ましい帯域幅を、ビット レート、またはリンク レートの割合として指定します。cir の値は必須ですが、引数そのものは省略可能です。値の範囲は 1 ~ 80000000000 です。数値的に意味のあるポリシング値の範囲は 250 Kbps ~ 80 Gbps です。 |
||
percent | レートを、インターフェイス レートの割合として指定します。値の範囲は 1 ~ 100% です。 |
||
bc | cir を超過できる量を、ビット レート、または cir での時間として指定します。デフォルトは、設定されたレートで 200 ミリ秒のトラフィックです。デフォルトのデータ レートの単位はバイトであり、ギガビット/秒(Gbps)のレートはこのパラメータではサポートされていません。 |
||
pir | Peak Information Rate(pir)を、PIR ビット レート、またはリンク レートの割合として指定します。デフォルトはありません。値の範囲は 1 ~ 80000000000 です。数値的に意味のあるポリシング値の範囲は 250 Kbps ~ 80 Gbps です。割合値の範囲は 1 ~ 100% です。 |
||
be |
|
||
conform | トラフィックのデータ レートが制限内に収まっている場合に実行される単一のアクション。基本的なアクションは、transmit(送信)、または表に示すいずれかの set コマンドです。デフォルトは transmit です。 |
||
exceed | トラフィックのデータ レートが指定範囲を超えた場合に実行される単一のアクション。基本的なアクションは、廃棄またはマークダウンです。デフォルトは廃棄です。 |
||
violate | トラフィックのデータ レートが設定済みのレート値に違反した場合に実行される単一のアクション。基本的なアクションは、廃棄またはマークダウンです。デフォルトは廃棄です。 |
police コマンドの引数はすべて省略可能ですが、cir の値は必ず指定する必要があります。次の表で、cir はその値を示しており、必ずしもキーワードそのものを示しているわけではありません。これらの引数の組み合わせと、その結果得られるポリサーのタイプおよびアクションを示します。
police の引数の有無 |
ポリサーのタイプ |
ポリサーのアクション |
||
---|---|---|---|---|
cir(ただし pir、be、または violate はなし) |
1 レート、2 カラー |
≤ cir ならば conform、それ以外は violate |
||
cir および pir |
1 レート、3 カラー |
≤ cir の場合は conform、≤ pir の場合は exceed、それ以外の場合は violate
|
||
cir および pir |
2 レート、3 カラー |
≤ cir ならば conform、≤ pir ならば exceed、それ以外は violate |
パケットがパラメータを超過した場合またはパラメータに違反した場合は、次の表に示すアクションを実行できます。
アクション |
説明 |
---|---|
drop |
パケットをドロップします。このアクションは、パケットがパラメータを超過した場合またはパラメータに違反した場合にのみ使用できます。 |
set dscp dscp table {cir-markdown-map | pir-markdown-map} |
テーブル マップから指定したフィールドを設定して、パケットを送信します。システム定義、つまりデフォルトのテーブル マップの詳細については、QoS マーキング ポリシーの設定を参照してください。このアクションは、パケットがパラメータを超過した場合(cir-markdown-map を使用)またはパラメータに違反した場合(pir-markdown-map を使用)にだけ使用できます。 |
アクション |
説明 |
---|---|
transmit |
パケットを送信します。このアクションは、パケットがパラメータに適合している場合にだけ使用できます。 |
set-prec-transmit |
IP precedence フィールドを指定した値に設定して、パケットを送信します。このアクションは、パケットがパラメータに適合している場合にだけ使用できます。 |
set-dscp-transmit |
DSCP フィールドを指定した値に設定して、パケットを送信します。このアクションは、パケットがパラメータに適合している場合にだけ使用できます。 |
set-cos-transmit |
CoS フィールドを指定した値に設定して、パケットを送信します。このアクションは、パケットがパラメータに適合している場合にだけ使用できます。 |
set-qos-transmit |
QoS グループ内部ラベルを指定した値に設定して、パケットを送信します。このアクションは、入力ポリシーでだけ使用でき、パケットがパラメータに適合している場合にだけ使用できます。 |
set-discard-class-transmit |
廃棄クラス内部ラベルを指定した値に設定して、パケットを送信します。このアクションは、入力ポリシーでだけ使用でき、パケットがパラメータに適合している場合にだけ使用できます。 |
ポリサーは、指定したパラメータに対して超過または違反となっているパケットだけをドロップまたはマークダウンできます。パケットのマークダウンの詳細については、QoS マーキング ポリシーの設定を参照してください。
police コマンドでは、次の表に示すデータ レートが使用されます。
レート |
説明 |
---|---|
bps |
ビット/秒(デフォルト) |
kbps |
1000 ビット/秒 |
mbps |
1,000,000 ビット/秒 |
gbps |
1,000,000,000 ビット/秒 |
police コマンドでは、次の表のバースト サイズが使用されます。
速度 |
説明 |
---|---|
bytes |
バイト |
kbytes |
1000 バイト |
mbytes |
1,000,000 バイト |
ms |
ミリ秒 |
us |
マイクロ秒 |
マークダウン ポリシングとは、ポリシングされたデータ レートに対してトラフィックが超過または違反している場合にパケット内の QoS フィールドを設定することです。set コマンドを使用して、マークダウン ポリシングを設定できます。
(注) |
1 レート 3 カラーのポリシングを設定する場合は、pir と cir に同じ値を指定する必要があります。 |
コマンドまたはアクション | 目的 | |||
---|---|---|---|---|
ステップ 1 | switch# configure terminal | グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
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ステップ 2 | switch(config)# policy-map [type qos] [match-first] policy-map-name | 指定したポリシー マップに対してポリシー マップ QoS コンフィギュレーション モードを開始し、実行コンフィギュレーションでそのマップ名を設定します。 policy-map-name 引数は、大文字と小文字が区別される一意のアルファベット文字列で、最大 40 文字まで設定できます。ハイフン(-)およびアンダースコア(_)文字を含めることができます。マップ名はクラスマップおよびポリシーマップ全体で一意である必要があります。たとえば、HR_Map という同じ名前をクラスマップとポリシーマップに設定することはできません。 |
||
ステップ 3 | switch(config-pmap-qos)# class [type qos] {class_map_name |class-default} | class-map-name への参照を作成し、指定したクラス マップに対してポリシーマップ クラス QoS コンフィギュレーション モードを開始します。デフォルトでは、このクラスはポリシー マップの最後に追加されます。変更は、実行コンフィギュレーションに保存されます。 ポリシー マップ内のクラスと現在一致していないトラフィックをすべて選択するには、class-default キーワードを使用します。 class_map_name 引数は、一意のアルファベット文字列であり、大文字と小文字が区別され、最大 40 文字まで設定できます。ハイフン(-)およびアンダースコア(_)文字を含めることができます。マップ名はクラスマップおよびポリシーマップ全体で一意である必要があります。たとえば、HR_Map という同じ名前をクラスマップとポリシーマップに設定することはできません。 |
||
ステップ 4 | switch(config-pamp-c-qos)# police [cir] {committed-rate [data-rate] | percent cir-link-percent} [bccommitted-burst-rate [link-speed]][pir] {peak-rate [data-rate] | percentcir-link-percent} [bepeak-burst-rate [link-speed]] [conform {transmit | set-prec-transmit | set-dscp-transmit | set-cos-transmit | set-qos-transmit | set-discard-class-transmit} [exceed {drop | set dscp dscp table {cir-markdown-map}} [violate {drop | set dscp dscp table {pir-markdown-map}}] | cir をビット数で、またはリンク レートの割合としてポリシングします。データ レートが ≤ cir ならば、conform アクションが実行されます。be および pir を指定しない場合は、他のすべてのトラフィックで violate アクションが実行されます。be または violate を指定した場合は、データ レートが ≤ pir ならば exceed アクションが実行されます。アクションについては、ポリシングについてを参照してください。データ レートとリンク速度についてはpolice コマンドのデータ レート およびpolice コマンドのバースト サイズ を参照してください。
|
||
ステップ 5 | switch(config-pamp-c-qos)# show policy-map [type qos] [policy-map-name] | (任意) 設定済みのすべてのポリシー マップ、または選択した QoS タイプのポリシー マップについて情報を表示します。 |
||
ステップ 6 | switch# show table-map [table-map-name] | (任意) QoS テーブル マップの情報を表示します。 |
||
ステップ 7 | switch(config-pamp-c-qos)# copy running-config startup-config | (任意) 設定済みのすべてのポリシー マップ、または選択した QoS タイプのポリシー マップについて情報を表示します。 |
次の例では、データ レートが 256000 bps で 200 ミリ秒以内のトラフィックを送信する 1 レート 2 カラーのポリサーを設定する方法、およびデータ レートが違反している場合にテーブル マップの pir-markdown-map を使用して DSCP をマーキングする方法を示します。
switch# configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. switch(config)# policy-map pol1 switch(config-pmap-qos)# class class-default switch(config-pmap-c-qos)# police cir 256000 bps conform transmit violate set dscp dscp table pir-markdown-map switch(config-pmap-c-qos)# show policy-map pol1 Type qos policy-maps ==================== policy-map type qos pol1 class class-default police cir 256000 bps bc 200 ms conform transmit violate set dscp dscp table pir-markdown-map switch(config-pmap-c-qos)# show table-map pir-markdown-map Table-map pir-markdown-map default copy from 10,12 to 14 from 18,20 to 22 from 26,28 to 30 from 34,36 to 38 switch(config-pmap-c-qos)#
設定を確認するには、次のコマンドを使用します。
コマンド |
説明 |
---|---|
show policy-map |
ポリシー マップおよびポリシングについての情報を表示します。 |
次の例では、データ レートが 300 kbps 以内の場合に CoS を 4 に設定する 2 レート 3 カラーのポリサーを示します。また、データ レートが 750 kbps 以内の場合にシステム定義の cir-markdown-map テーブル マップを使用して DSCP をマーク ダウンする方法、およびデータ レートが 750 kbps を超える場合にシステム定義の pir-markdown-map テーブル マップを使用して DSCP をマーク ダウンする方法も示します。
switch(config)# policy-map ty qos 2rate3clr switch(config-pmap-qos)# class class1 switch(config-pmap-c-qos)# police cir 300 kbps pir 750 kbps conform set-cos-transmit 4 exceed set dscp dscp table cir-markdown-map violate set dscp dscp table pir-markdown-map switch(config-pmap-c-qos)# show policy-map 2rate3clr Type qos policy-maps ==================== policy-map type qos 2rate3clr class class1 police cir 300 kbps bc 200 ms pir 750 kbps be 200 ms conform set-cos-transmit 4 exceed set dscp dscp table cir-markdown-map violate set dscp dscp table pir-mar kdown-map
次の例では、データ レートが 600 kbps で 200 ミリ秒以内のトラフィックを送信し、それ以外の場合はパケットをドロップするシングルレート 2 カラーのポリサーを示します。
switch(config)# policy-map ty qos 1rate2clr switch(config-pmap-qos)# class class2 switch(config-pmap-c-qos)# police cir 600 kbps conform transmit violate drop switch(config-pmap-c-qos)# show policy-map 1rate2clr Type qos policy-maps ==================== policy-map type qos 1rate2clr class class2 police cir 600 kbps bc 200 ms conform transmit violate drop switch(config-pmap-c-qos)#
次の例に、4,000,000 ビット/秒でトラフィックをポリシングし、200 KB の標準または設定バーストおよび 400 KB の超過バーストを許可するシングルレート 3 カラーのポリサーを設定する方法を示します。ポリサーはポリシング レートに適合するトラフィックを送信します。バースト サイズを超えるトラフィックに対しては、システム定義の cir-markdown-map テーブル マップを使用して DSCP をマーク ダウンし、ポリシング レートに違反するトラフィックはドロップします。
switch(config)# policy-map 1rate3clr switch(config-pmap-qos)# class class1 switch(config-pmap-c-qos)# police cir 4 mbps bc 200 kbytes pir 4 mbps be 400 kbytes conform transmit exceed set dscp dscp table cir-markdown-map violate drop switch(config-pmap-c-qos)# show policy-map 1rate3clr Type qos policy-maps ==================== policy-map type qos 1rate3clr class class1 police cir 4 mbps bc 200 kbytes pir 4 mbps be 400 kbytes conform transmit exceed set dscp dscp table cir-markdown-map violate drop
ここでは、QoS ポリシングのリリース履歴を示します。
機能名 |
リリース |
機能情報 |
---|---|---|
QoS ポリシング |
5.2(1)SM1(5.1) |
この機能が導入されました |