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目次
この章の内容は、次のとおりです。
PTP は、ネットワーク全体にわたって分散したノードのための時刻同期プロトコルです。 そのハードウェアのタイムスタンプ機能は、ネットワーク タイム プロトコル(NTP)などの他の時刻同期プロトコルより高い精度を実現します。
PTP システムは、PTP デバイスと非 PTP デバイスの組み合わせで構成できます。 PTP デバイスには、オーディナリ クロック、境界クロック、およびトランスペアレント クロックが含まれます。 非 PTP デバイスには、通常のネットワーク スイッチ、ルータ、その他のインフラストラクチャ デバイスが含まれます。
PTP は、システム内のリアルタイム PTP クロックが互いに同期する方法を指定する分散プロトコルです。 これらのクロックはマスタースレーブの同期階層に構成され、その階層の一番上には、システム全体の基準時刻を決定するクロックであるグランドマスター クロックが含まれています。 同期は、タイミング情報を使用してメンバと PTP タイミング メッセージを交換し、階層内のマスターの時刻に合わせて各クロックを調整することによって実現されます。 PTP は、PTP ドメインと呼ばれる論理スコープ内で動作します。
次のクロックは、共通の PTP デバイスです。
エンド ホストと同様に 1 つの物理ポートに基づいてネットワークと通信します。 オーディナリ クロックは、グランドマスター クロックとして動作できます。
通常、各ポートがオーディナリ クロックのポートのように動作する複数の物理ポートです。 ただし、各ポートはローカル クロックを共有し、クロック データ セットはすべてのポートに共通です。 各ポートは、境界クロックのその他すべてのポートを通じて、使用可能な最適なクロックに基づいて、個々の状態がマスターか(接続されている他のポートを同期する)またはスレーブか(ダウン ストリーム ポートに同期する)を決定します。 同期とマスター/スレーブ階層の確立に関するメッセージは、境界クロックのプロトコル エンジンで終端され、転送されません。
通常のスイッチやルータのようにすべての PTP メッセージを転送しますが、スイッチ内でのパケットの滞留時間(パケットがトランスペアレント クロックを通過するのに要する時間)および場合によってはパケットの入力ポートのリンク遅延を測定します。 トランスペアレント クロックはグランドマスター クロックに同期する必要がないので、ポートには状態はありません。
次の 2 種類のトランスペアレント クロックがあります。
PTP メッセージの滞留時間を測定し、PTP メッセージまたは関連付けられたフォローアップ メッセージの修正フィールドの時間を収集します。
PTP メッセージの滞留時間を測定し、各ポートと、リンクを共有する別のノードに同様に装備されたポートとの間のリンク遅延を計算します。 パケットの場合、この着信リンクの遅延は PTP メッセージまたは関連付けられたフォローアップ メッセージの修正フィールドの滞留時間に追加されます。
(注) |
PTP は境界クロック モードだけで動作します。 シスコでは、スイッチに接続された同期化を必要とするクロックが含まれたサーバを使用したグランドマスター クロック(GMC)のアップストリームの配置を推奨します。 エンドツーエンド トランスペアレント クロック モードおよびピアツーピア トランスペアレント クロック モードはサポートされません。 |
PTP プロセスは、マスター/スレーブ階層の確立およびクロックの同期の 2 段階で構成されます。
PTP ドメイン内では、オーディナリ クロックまたは境界クロックの各ポートは次のプロセスに従ってその状態を決定します。
マスター/スレーブ階層が確立されると、クロックは次のように同期されます。
PTP では、ステートフル リスタートはサポートされていません。
PTP にはライセンスは不要です。 ライセンス パッケージに含まれていない機能はすべて Cisco NX-OS システム イメージにバンドルされており、追加費用は一切発生しません。 Cisco NX-OS ライセンス方式の詳細については、『Cisco NX-OS Licensing Guide』を参照してください。
次の表に、PTP パラメータのデフォルト設定を示します。
パラメータ | デフォルト |
---|---|
PTP |
ディセーブル |
PTP ドメイン |
0 |
クロックをアドバタイズするときの priority 1 の値 |
255 |
クロックをアドバタイズするときの priority 2 の値 |
255 |
PTP アナウンス間隔 |
1 ログ秒 |
PTP 同期間隔 |
--2 ログ秒 |
PTP アナウンス タイムアウト |
3 つのアナウンス間隔 |
PTP 最小遅延要求間隔 |
0 ログ秒 |
PTP VLAN |
1 |
次に、デバイスで PTP をグローバルに設定し、PTP 通信の送信元 IP アドレスを指定して、クロックのプリファレンス レベルを設定する例を示します。
switch# configure terminal switch(config)# feature ptp switch(config)# ptp source 10.10.10.1 switch(config)# ptp priority1 1 switch(config)# ptp priority2 1 switch(config)# show ptp brief PTP port status ----------------------- Port State ------- -------------- switch(config)# show ptp clock PTP Device Type: Boundary clock Clock Identity : 0:22:55:ff:ff:79:a4:c1 Clock Domain: 0 Number of PTP ports: 0 Priority1 : 1 Priority2 : 1 Clock Quality: Class : 248 Accuracy : 254 Offset (log variance) : 65535 Offset From Master : 0 Mean Path Delay : 0 Steps removed : 0 Local clock time:Sun Jul 3 14:13:24 2011 switch(config)#
PTP をグローバルにイネーブルにしても、デフォルトでは、サポートされているすべてのインターフェイスでイネーブルにはなりません。 PTP インターフェイスを個別にイネーブルにする必要があります。
スイッチでグローバルに PTP をイネーブルにし、PTP 通信の送信元 IP アドレスを設定したことを確認します。
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 | switch# configure terminal | グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 | switch(config) # interface ethernet slot/port | PTP をイネーブルにするインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 | switch(config-if) # [no] feature ptp | インターフェイスで PTP をイネーブルまたはディセーブルにします。 |
ステップ 4 | switch(config-if) # [no] ptp announce {interval log seconds | timeout count} | (任意) インターフェイス上の PTP アナウンス メッセージ間の間隔またはタイムアウトがインターフェイスで発生する前の PTP 間隔の数を設定します。 PTP アナウンスの間隔の範囲は 0 ~ 4 秒であり、間隔のタイムアウトの範囲は 2 ~ 10 です。 |
ステップ 5 | switch(config-if) # [no] ptp delay request minimum interval log seconds | (任意) ポートがマスター ステートの場合に PTP 遅延要求メッセージ間で許可される最小間隔を設定します。 範囲は -1 ~ 6 秒です。 |
ステップ 6 | switch(config-if) # [no] ptp sync interval log seconds | (任意) インターフェイス上の PTP 同期メッセージ間の間隔を設定します。 PTP アナウンスの間隔の範囲は -6 ~ 1 秒です。 |
ステップ 7 | switch(config-if) # [no] ptp vlan vlan-id | (任意) PTP をイネーブルにするインターフェイスの VLAN を指定します。 インターフェイス上の 1 つの VLAN でのみ PTP をイネーブルにできます。 有効な範囲は 1 ~ 4094 です。 |
ステップ 8 | switch(config-if) # show ptp brief | (任意) PTP のステータスを表示します。 |
ステップ 9 | switch(config-if) # show ptp port interface interface slot/port | (任意) PTP ポートのステータスを表示します。 |
ステップ 10 | switch(config-if)# copy running-config startup-config | (任意) リブートおよびリスタート時に実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーして、変更を永続的に保存します。 |
次に、インターフェイスで PTP を設定し、アナウンス、遅延要求、および同期メッセージの間隔を設定する例を示します。
switch# configure terminal switch(config)# interface ethernet 2/1 switch(config-if)# ptp switch(config-if)# ptp announce interval 3 switch(config-if)# ptp announce timeout 2 switch(config-if)# ptp delay-request minimum interval 4 switch(config-if)# ptp sync interval -1 switch(config-if)# show ptp brief PTP port status ----------------------- Port State ------- -------------- Eth2/1 Master switch(config-if)# show ptp port interface ethernet 2/1 PTP Port Dataset: Eth2/1 Port identity: clock identity: 0:22:55:ff:ff:79:a4:c1 Port identity: port number: 1028 PTP version: 2 Port state: Master Delay request interval(log mean): 4 Announce receipt time out: 2 Peer mean path delay: 0 Announce interval(log mean): 3 Sync interval(log mean): -1 Delay Mechanism: End to End Peer delay request interval(log mean): 0 switch(config-if)#
設定を確認するには、次のいずれかのコマンドを使用します。
コマンド | 目的 |
---|---|
show ptp brief | PTP のステータスを表示します。 |
show ptp clock | ローカル クロックのプロパティ(クロック ID を含む)を表示します。 |
show ptp clocks foreign-masters-record | PTP プロセスが認識している外部マスターの状態を表示します。 この出力には外部マスターごとに、クロック ID、基本的なクロック プロパティ、およびそのクロックがグランドマスターとして使用されているかどうかが表示されます。 |
show ptp corrections | 最後の数個の PTP 修正を表示します。 |
show ptp parent | PTP の親のプロパティを表示します。 |
show ptp port interface ethernet slot/port | スイッチ上の PTP ポートのステータスを表示します。 |