この章では、Cisco SCE8000 シャーシを設置する方法について説明します。
警告 システムの設置、操作、または保守を行う前に、『Regulatory Compliance and Safety Information for the Cisco SCE8000 Platform』を参照してください。このマニュアルには、システムを扱う前に理解しておく必要がある安全に関する重要な情報が記載されています。
警告 この装置の設置、交換、または保守は、訓練を受けた相応の資格のある人が行ってください。
警告 シャーシの取り扱いや電源まわりの作業を行う前に、AC 装置の電源コードを抜いてください。DC 装置では回路ブレーカーの電源を切り離してください。
警告 いつでも装置の電源を切断できるように、プラグおよびソケットにすぐに手が届く状態にしておいてください。
警告 この装置は、出入りが制限された場所に設置されることを想定しています。出入りが制限された場所とは、特殊なツール、ロックおよびキー、または他のセキュリティ手段を使用しないと入室できない場所を意味します。
警告 バッテリが適正に交換されなかった場合、爆発の危険があります。バッテリはユーザが保守できる部品ではありません。
警告 光ファイバケーブルが接続されていない場合、ポートの開口部から目に見えないレーザー光が放射されている可能性があります。レーザー光にあたらないように、開口部をのぞきこまないでください。
警告 ブランクの前面プレートおよびカバー パネルには、3 つの重要な機能があります。シャーシ内の危険な電圧および電流による感電を防ぐこと、他の装置への EMI の影響を防ぐこと、およびシャーシ内の空気の流れを適切な状態に保つことです。必ずすべてのカード、前面プレート、前面カバー、および背面カバーをスロットに正しく取り付けた状態で、システムを運用してください。
• 「安全性」
警告 この装置は必ずアースを接続する必要があります。絶対にアース導体を破損させたり、アース線が正しく取り付けられていない装置を稼動させたりしないでください。アースが適切かどうかがはっきりしない場合には、電気検査機関または電気技術者に確認してください。
警告 インストレーション手順を読んでから、システムを電源に接続してください。
警告 この製品は、設置する建物に回路短絡(過電流)保護機構が備わっていることを前提に設計されています。一般および地域の電気規格に準拠するように設置する必要があります。
ここでは、Cisco SCE8000 シャーシの設置場所の所要電力について説明します。インストレーションの前に、設置場所の所要電力を確認するようにしてください。
• 「所要電力」
Electrostatic Discharge(ESD; 静電破壊)により、装置や電子回路が損傷を受けることがあります。静電破壊は電子部品の取り扱いが不適切な場合に発生し、故障または間欠的な障害をもたらします。ポート アダプタおよびブレードには、金属製フレームに固定されたプリント基板があります。Electromagnetic Interference(EMI; 電磁波干渉)シールドおよびコネクタは、フレームを構成する部品です。基板は金属フレームによって ESD から保護されていますが、取り扱いの際には、必ず静電気防止用リスト ストラップを着用してください。
• 静電気防止用リスト ストラップまたはアンクル ストラップを肌に密着させて着用してください。
• ストラップの装置側をシャーシの塗装されていない金属部分に固定します。
• コンポーネントを取り付けるときは、イジェクト レバーまたは非脱落型ネジを使用して、バックプレーンまたはミッドプレーンにバス コネクタを適切に装着してください。イジェクト レバーや非脱落型ネジは、基板の脱落を防ぐだけでなく、システムに適切なアースを提供し、バス コネクタを確実に装着させるために必要です。
• コンポーネントを取り外すときは、イジェクト レバーまたは非脱落型ネジを使用して、バックプレーンまたはミッドプレーンからバス コネクタを取り外してください。
• フレームを取り扱うときは、ハンドルまたは端の部分だけを持ち、プリント基板またはコネクタには手を触れないようにしてください。
• 取り外したコンポーネントは、基板側を上向きにして、静電気防止用シートに置くか、静電気防止容器に収めます。コンポーネントを返却する場合は、取り外し後、ただちに静電気防止容器に入れてください。
• プリント基板と衣服が接触しないように注意してください。リスト ストラップは身体の静電気からコンポーネントを保護するだけです。衣服の静電気が、静電破壊の原因になることがあります。
• 金属フレームからプリント基板を絶対に取り外さないでください。
表 4-1 および 表 4-2 の情報を参照して、ラック間の空間を十分に確保するようにしてください。すべての通気口を、埃や導電性の異物などがないように清潔に保ち、他の装置の排気口から離しておくようにしてください。
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警告 インストレーション手順を読んでから、システムを電源に接続してください。
Cisco SCE8000 をインストレーションする設置場所を準備する際は、次の要件に従ってください。
• 冗長電源構成では 2 つの完全に同じ電源装置を搭載し、片側の電源装置が故障したり、片側のラインの入力電源が故障した場合でも、シャーシへの電力供給が中断しないようになっています。
• 2 つの電源装置は、それぞれ個別の入力電源に接続します。同じ入力電源に接続した場合、システムは外部配線の誤りや回路ブレーカーの作動による全面的な電源障害の影響を受けやすくなります。
• 入力電源が停電することのないように、電源装置に供給する各回路の合計最大負荷が配線およびブレーカーの電流定格の範囲内にあることを確認します。
• システムによっては、Uninterruptible Power Supply(UPS; 無停電電源装置)を使用して、設置場所の電源障害から保護できます。鉄共振テクノロジーを使用する UPS タイプは使用しないでください。こうした UPS タイプは、バースティ データ トラフィック パターンのために消費電流に大きな変動を生じる、Cisco SCE8000 などのシステムで使用すると不安定になることがあります。
ここでは、Cisco SCE8000 AC 電源装置および DC 電源装置を設置場所の電源に接続する際の注意事項について説明します。
表 4-3 に、Cisco SCE 8000 の AC 電力仕様を示します。
• シャーシの各電源装置には、それぞれ専用の分岐回路を持たせるようにしてください。
• 分岐回路は、専用の 2 極回路ブレーカーで保護する必要があります。
北米以外では、電源装置の入力定格および地域または国の規定に適合するサイズの回路ブレーカーを使用してください。
• シャーシに差し込む AC 電源レセプタクルは、アース付きである必要があります。レセプタクルに接続するアース導体は、サービス機器の保護アース接地に接続する必要があります。
警告 絶対にアース導体を破損させたり、アース線が正しく取り付けられていない装置を稼動させたりしないでください。アースが適切かどうかがはっきりしない場合には、電気検査機関または電気技術者に確認してください。
警告 いつでも装置の電源を切断できるように、プラグおよびソケットにすぐに手が届く状態にしておいてください。
警告 この製品は、設置する建物に回路短絡(過電流)保護機構が備わっていることを前提に設計されています。一般および地域の電気規格に準拠するように設置する必要があります。
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表 4-4 に、2700 W AC 入力電源装置用の AC 入力電源コード オプション、仕様、およびシスコ製品番号を示します。 表 4-4 では、電源コードの図も参照できます。
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* PDU の電源コードは、PDU からスイッチに電力を供給するユーザ向けに設計されています。Cisco SCE8000 シャーシに接続されるコードの端には C19 コネクタが付いており、PDU に接続されるもう一端には C20 コネクタが付いています。
図 4-1 AC 電源コード プラグおよび電源カプラ(2700 W 電源装置向け)
• シャーシの各電源装置は、それぞれ専用の入力電源を持たせるようにしてください。入力電源は、UL 60950、CSA 60950、EN 60950、および IEC 60950 規格の Safety Extra-Low Voltage(SELV; 安全超低電圧)要件に準拠する必要があります。
• 各 DC 電源装置は、電流定格を超えない高出力動作を可能にするために、電源とのデュアル接続に対応しています。SCE8000 の場合、このデュアル入力の両方を DC 電源に接続する必要はありません。「1」側を接続するだけで十分です。
• 各分岐回路は、専用の 2 極回路ブレーカーで保護する必要があります。電源装置の入力定格および地域または国の規定に適合するサイズの回路ブレーカーを使用してください。
• 回路ブレーカーは切断装置として、容易に手が届く場所に設置します。
表 4-5 に、Cisco SCE 8000 の DC 電源仕様を示します。
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複数の DC 入力電源装置を使用する場合は、各 DC 入力を専用の 2 極回路ブレーカーまたはヒューズで保護する必要があります。 |
表 4-6 に、Cisco SCE8000 シャーシの設置前に実行するべき設置環境に関するアクティビティを示します。各アクティビティ項目が完了していると、インストレーションをスムーズに行えます。
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ここでは、Cisco SCE8000 プラットフォームをラックに取り付ける方法について説明します。初回インストレーションの場合は、次の手順を列記されている順序で実行してください。
• 「必要な工具」
(注) この章のインストレーション手順を開始する前に、「設置環境チェックリスト」を参照して設置環境のすべてのアクティビティが完了していることを確認してください。
ヒント 開梱した Cisco SCE8000 の輸送コンテナは廃棄しないようにしてください。輸送用カートンは平らにし、すのこ板と一緒に保管してください。これらのコンテナ類は、Cisco SCE8000 を後で移動したり輸送したりする際に必要になります。
• アクセサリ キットの内容を、「Cisco SCE8000 のコンポーネント」のアクセサリ リストおよび内容明細票と照合します。記載されているすべての機器を受領したことを確認します。次のものが含まれている必要があります。
– ハードウェアおよびソフトウェア マニュアル(発注した場合)
– ネットワーク インターフェイス ケーブル、トランシーバまたは特殊コネクタなど、発注したオプションの機材
• 各スロットのモジュールをチェックします。構成が内容明細票と一致すること、また指定したすべてのインターフェイスが含まれていることを確認します。
シャーシを取り付ける前に、装置ラックが次のガイドラインを満たしていることを確認します。
• ラックの幅は、前面の 2 つの取り付けストリップ間またはレール間で 17.75 インチ(45.09 cm)であること
• ラックの奥行きは、前面と背面の取り付けストリップ間で 19.25 インチ(48.9 cm)以上、32 インチ(81.3 cm)以下であること
• ラックには、シャーシを挿入するだけの十分な縦方向のクリアランスがあること。Cisco SCE8000 シャーシの高さは 8.7 インチ(22.09 cm)(5 RU)です。
ラックにキャスターが付いている場合は、キャスターをロックするか、またはラックをその他の方法で固定します。
(注) 過熱を避けるために、壁とシャーシ排気口の間に最低 6 インチ(15 cm)の空間と、2 つのシャーシ間に最低 12 インチ(30.5 cm)の水平離隔距離を確保することを推奨します。
インストレーション ハードウェアは、電源ストリップなど障害となるものが取り付けてあるラックでの使用には適していません。これらの障害物が妨げとなって Field-Replaceable Unit(FRU; 現場交換可能ユニット)にアクセスできないことがあります
警告 ラックに装置を取り付けたり、ラック内の装置のメンテナンス作業を行ったりする場合は、事故を防ぐため、装置が安定した状態で置かれていることを十分に確認してください。安全を確保するために、次の注意事項を守ってください。
>ラックに設置する装置が 1 台だけの場合は、ラックの一番下に取り付けます。
>ラックに複数の装置を設置する場合は、最も重い装置を一番下に設置して、下から順番に取り付けます。
>ラックにスタビライザが付属している場合は、ラックに装置を設置したり、ラック内の装置の保守を行う前に、スタビライザを取り付けてください。
シャーシは、シャーシの前部に取り付けブラケットが付けられて出荷されます。これらのブラケットは、シャーシの後部に取り付けることができます。
シャーシの後部にブラケットを取り付けるには、次の手順を実行します。
ステップ 1 両方のブラケットをシャーシに固定しているネジを取り外します(図 4-13)。
図 4-13 Cisco SCE8000 シャーシのブラケット
ステップ 2 ブラケットの 1 つをシャーシ側面にあてがい、ネジ穴を合わせます。
ステップ 3 ステップ 1 で取り外したネジを使用してブラケットをシャーシに固定します。
ステップ 4 もう 1 つのブラケットについて、ステップ 2 と 3 を繰り返します。
装置ラックに Cisco SCE8000 シャーシを取り付けるには、次の手順を実行します。
ステップ 1 ラック内のシャーシの位置を次のようにして決めます。
• シャーシの前部(前面パネル)をラックの手前側にする場合は、シャーシの後部を支柱の間に挿入します。
• シャーシの後部をラックの手前側にする場合は、シャーシの前部を支柱の間に入れます。
ステップ 2 ブラケット(およびオプションのケーブル ガイド)の取り付け穴と装置ラックの取り付け穴を合わせます。
ステップ 3 巻き尺と水準器を使用して、シャーシをラックに取り付ける位置を決め、そこに目印を付けます。ラックの両側の同じ高さに目印をします。このようにすれば、シャーシを傾かないようにして取り付けることができます(図 4-14)。
図 4-14 ラックへの Cisco SCE8000 の取り付け
ステップ 4 8 本のネジ(片側 4 本)(12-24 × 3/4 インチまたは 10-32 × 3/4 インチ)を、ブラケットの穴を通して装置ラックのネジ穴に締め付けて取り付けます。
ステップ 5 巻き尺と水準器を使用して、シャーシが傾かずに取り付けられていることを確認します。
外部バイパス モジュールの取り付けには、2 つの方法があります。
• シャーシ取り付けパネル:このパネルは SCE8000 シャーシのスロット 4 に搭載します。パネルには 2 つの光バイパス モジュールを収容することができ、単一の Cisco SCE8000 シャーシでサポートされる 2 つのトラフィック リンクに対応しています。
• 外部取り付けパネル:このパネルは、すべての 19 インチ ラックに取り付けることができます。パネルには最大 4 つの光バイパス モジュールを収容することができ、2 つの Cisco SCE8000 プラットフォームでサポートされる 4 つのトラフィック リンクに対応しています。
ステップ 1 外付けする場合は、外部取り付けパネルを 19 インチ ラックに取り付けます。4 本の 3/4 インチ ネジ(片側 2 本)を、取り付けパネルの穴を通してラック柱のネジ穴に締め付け、取り付けパネルを固定します。
内部取り付けの場合、SCE8000 シャーシにはシャーシ取り付けパネルがスロット 4 に搭載されて出荷されます。
ステップ 2 取り付けパネルのサブスロットに装填されているモジュール フィラー プレートを、2 本のネジを緩めて取り外します。
ステップ 3 サブスロットに光バイパス モジュールを慎重に差し込み(ガイド レールはありません)、モジュールの両側の非脱落型ネジを締めます(図 4-15)。
ここでは、Cisco SCE8000 にシステム アースを接続する方法について説明します。
(注) この装置を米国または欧州の Central Office(CO; セントラル オフィス)に設置する場合は、AC および DC 電源モデルのシステム アースをアース接地に接続する必要があります。
(注) DC 電源システムの場合、システム アースは電源装置のアースにもなっています。DC アースは、National Electric Code(NEC)のガイドラインに従ってアース接地に固定接続する必要があります。
シャーシ フレームには、アース ケーブルを接続するための M4 ネジ穴が 2 つあります。
システム電源を接続する前、または Cisco SCE8000 シャーシをオンにする前に、この手順を完了させる必要があります。
• M4(メトリック)六角ボルト(ロック ワッシャ付き)× 2
(注) アース ラグおよびロック ワッシャ付き M4 六角ボルトは、キット(69-0815-01)に入っています。
アース線は、使用する地域および国の取り付け要件に適合するサイズを使用します。米国でのインストレーションの場合、電源装置およびシステムに応じて 12 AWG 導体または、それ以上のサイズの線が必要です 。
• 圧着工具(アース ケーブルをラグ端子に圧着する際に、アース ラグの胴回りに対応できる大きさのものが必要)
ステップ 1 ワイヤ ストリッパを使用して、アース線の端の被覆を約 0.75 インチ(19 mm)はぎとります。
ステップ 2 アース線の被覆をはぎとった端をアース ラグの開口端に挿入します。
ステップ 3 メーカー推奨の圧着ツールを使って、アース線を安全にアース ラグに圧着します。
ステップ 4 シャーシのシステム アース パッドの場所を確認し、その粘着ラベルをはがします(図 4-16)。
ステップ 5 アース線のラグ端子をアース パッドにあてがい、金属面同士をしっかり接触させます。
ステップ 6 2 本の M4 ネジを使用してアース ラグをシャーシに固定します。アース ラグが他のハードウェアやラック機器の妨げにならないようにします。
ステップ 7 アース線のもう一方の端を設置場所の接地点に接続し、Cisco SCE8000 シャーシが適切にアースされるようにします。
SCE8000 シャーシには電源装置(AC または DC)が搭載されて出荷されます。電源モジュールを取り付ける必要が生じた場合は、「電源装置の取り外しと取り付け」を参照してください。