この章では、サービス コントロールのハードウェア コンポーネントである Cisco SCE8000 10GBE プラットフォームの概要を説明します。
• 「サービス コントロール モジュール:SCE8000-SCM-E」
Service Control Engine(SCE; サービス コントロール エンジン)プラットフォームはシスコ サービス コントロール ソリューションのハードウェア コンポーネントであり、インターネットや IP トラフィックの観察、分析、および制御をサポートするように設計されています(図 2-1)。
表 2-1 に、Cisco SCE8000 プラットフォーム モデル情報の概要を示します。
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Cisco SCE8000 10GBE は、10 GBE(GBE; ギガビット イーサネット)リンク サービス スループットを持つ透過的な要素です。このデバイスは、ネットワーク内のトラフィック全体が通過する場所にインライン方式で設置したり、SPAN ポートまたは光スプリッタを介してトラフィックの複製を受信する場所に受信専用モードで設置することができます。
Cisco SCE8000 は、次のネットワーク挿入モデルをサポートします。
• Multi-Gigabit Service Control Platform(MGSCP)構成
Cisco SCE8000 プラットフォームは、次のモジュールを収容する 4 スロットのシャーシです。
• サービス コントロール モジュール(SCE8000-SCM-E)× 1 または 2:各モジュールは専用の高速パス チップセット、トラフィック プロセッサ、およびコントロール プロセッサを備えています。
• SPA Interface Processor(SIP; SPA インターフェイス プロセッサ)カード(SCE8000-SIP)× 1:このカードは最大 4 つの SPA 10 GBE インターフェイス モジュールを搭載できます。
• オプションの光バイパス モジュール× 1:最大 2 つの光バイパス モジュールを搭載できるパネルを収容します。
また、Cisco SCE8000 シャーシには 1+1 構成の 2 つの電源装置、およびファン トレイ モジュールがあります。
Cisco SCE8000 には、スロット 1 およびスロット 2(上部 2 つのスロット)に SCE8000-SCM が 1 つまたは 2 つあります。サービス コントロール モジュールには、図 2-2 と、 表 2-2 および 表 2-3 に示すポートおよび LED があります。
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RJ-45 コネクタ付きの RS-232 ケーブル(Cisco SCE8000 キットに付属)を使用するローカル端末(コンソール) |
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SIP および SPA は、Cisco ルータにおけるモジュール性、柔軟性、および密度を高めたネットワーク接続を実現する、キャリア カードおよびポート アダプタ アーキテクチャです。ここでは、SIP および SPA について説明し、使用する際の注意事項を示します。
• 「SIP」
• 「SPA」
• 「光モジュール」
• 「XFP 接続」
Cisco SCE8000 シャーシがサポートする SIP モジュールは SCE8000-SIP です。SIP の一般的な特性は次のとおりです。
• SIP はラインカードのようにシャーシ スロットに装着するキャリア カードです。キャリア カード自体にはネットワーク接続機能がありません。
• SIP には 1 つまたは複数のサブスロット(ベイ)があり、このサブスロットは SPA を 1 つまたは複数装着するために使用します。SPA にはネットワーク接続用のインターフェイス ポートがあります。
• 通常動作時は、ルータ内の SIP の各サブスロットに SPA をすべて装着するか、または空いているサブスロットにブランク フィラー プレート(SPA-BLANK=)を取り付ける必要があります。
Cisco SCE8000-SIP のサブスロットの番号は「0」から始まり、スロットは横向きに配置されています。
図 2-3 に、Cisco SCE8000-SIP のサブスロットの番号を示します。
Cisco SCE8000-SIP では、次のように SPA を装着するためのサブスロットを 4 つサポートしています。
Cisco SCE8000-SIP でサポートされる SPA は、1 ポート 10 ギガビット イーサネット SPA(SPA-1X10GE-L-V2)です。SPA の特性は次のとおりです。
• SPA は、互換性のある SIP キャリア カードのサブスロットに装着するモジュール形式のポート アダプタです。ネットワーク接続を提供するとともにインターフェイスのポート密度が向上します。Cisco SCE8000-SIP は最大 4 つの SPA を収容できます。
インターフェイスはサブスクライバまたはネットワークのペアで接続されるので、SPA は 2 つまたは 4 つを装着する必要があります。
• サポートされる SPA はシングルハイトの SPA で、SIP サブスロットの 1 つに装着します(図 2-4)。
• 各 SPA は 10 GBE ポートを 1 つ装備しています。サブスクライバまたはネットワーク トラフィックのインターフェイスに使用します。これらのインターフェイスは、Cisco Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)を使用して個別に設定できます。
• 通常動作時は、SIP の各サブスロットにブランク フィラー プレートまたは SPA を装着して、冷気の流れを維持する必要があります。使用できるブランク フィラー プレートはシングルハイト形状のものだけです。
インターフェイスはサブスクライバ/ネットワークのペアで接続されるので、SCE8000-SIP はすべてのベイが装着された構成か、下側 2 つのベイがブランク フィラー プレートで覆われた構成になっている必要があります。
SPA は、ネットワーク接続を行うための 10 GBE Small Form-Factor Pluggable(XFP)光トランシーバを実装しています。XFP モジュールは、前面パネルに装着され、ネットワーク接続機能を備えたトランシーバ装置です。
(注) このマニュアルにサポート対象として記載されている XFP モジュールのみを使用することを推奨します。サポート対象外または認定されていない XFP モジュールを使用すると、信頼性または動作に悪影響を与えるおそれがあります。
図 2-5 に、10 GBE Small Form-Factor Pluggable(XFP)光トランシーバを示します。
図 2-5 10 GBE Small Form-factor Pluggable トランシーバ(XFP)
1 ポート 10 ギガビット イーサネット SPA のインターフェイス コネクタは、XFP を 1 つサポートする光ファイバ レシーバです。
Cisco SCE8000 プラットフォーム上で、1 ポート 10 ギガビット イーサネット SPA とともに使用するのに適した光モジュールは、次のとおりです。
表 2-4 に、XFP ポートのケーブル接続仕様を示します。
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認定されている XFP には、Clock and Data Recovery(CDR)集積回路が組み込まれた光トランスミッタ/レシーバ ペアが含まれています。各 XFP は、シングルモード光ファイバ上で 10.3125 Gbps の高速シリアル リンクを提供します。
送信側では、10 Gbps シリアル データの回復と時間再調整を行った後、データをレーザー ドライバに渡します。レーザー ドライバはレーザーにバイアスをかけて変調し、LC コネクタを通してファイバ上にデータを送信します。レシーバ側では、10 Gbps 光データ ストリームをフォト検出器の伝送インピーダンス増幅器から受け取り、回復と時間再調整を行った後、出力ドライバに渡します。
表 2-5 に SCE8000 のステータス LED の説明を示します。
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• Cisco SCE8000 シャーシのスロット 3 に取り付けられます。
• シングル幅、シングルハイトの 1 ポート 10 GBE SPA インターフェイス モジュールを最高 4 個までホストします(図 2-6)。
Cisco SCE8000 では、SPA インターフェイス モジュールを次のどちらかの方法で構成する必要があります。
• 1 ポート 10 GBE SPA ×2(上段の 2 つのサブスロットに)、または、
これにより、インターフェイスに 1 つまたは 2 つの完全なトラフィック リンクが提供されます。 表 2-6 および 表 2-7 に SPA ポートと LED の説明を示します。
図 2-6 1 ポート 10 GBE SPA インターフェイス モジュール
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CLI 指定:interface TenGigabitEthernet 3/0/0、3/1/0/、3/2/0、3/3/0 |
• 詳細については、「回線ポートとネットワークの接続」を参照してください。 |
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STATUS LED は、次のような SPA モジュールの動作ステータスを示します |
Cisco SCE8000 プラットフォームの光バイパス モジュールを使用すると、どのような場合でもサービス プロバイダーの 10 GBE リンクが保持されます。電源障害時にはバイパスが自動的にアクティブになります。また、Cisco SCE8000 ソフトウェアからバイパスをアクティブにすることもできます。
Cisco SCE8000 プラットフォームには内部的に電気バイパス機能が含まれていますが、次のシナリオに対応できるように光バイパス モジュールを使用することを推奨します。
• プラットフォームのリブート時(SW リロード):外部バイパス モジュールを使用しない場合、リンクが強制的にダウン(カットオフ機能)する期間が 5 秒(最大)あります。
• 電源障害時:Cisco SCE8000 には 2 つの電源装置が搭載されています。電源障害は、両方とも故障した場合に発生します。
Cisco SCE8000 プラットフォームを交換する必要がある場合は、バイパス モジュールをネットワークから切断せずに SCE8000 シャーシから取り外して、新しい SCE プラットフォームに取り付けることができます。完全な故障や Cisco SCE8000 プラットフォームの交換の場合でも、トラフィック リンクは維持されます。「リンクのトラフィックが中断しない光バイパス モジュールの交換」を参照してください。
光バイパス モジュールは、10-GBE リンク内に Bump-In-The-Wire(BITW)方式で接続します。Cisco SCE8000 プラットフォームに次の 2 種類の方法で接続します。
• 10 GBE 光接続(データリンク トラフィック用):光バイパス モジュールから 10 GBE SPA の片側のポートを結ぶ 10 GBE 接続
• コントロール接続:SCE8000-SCM の RJ-11 外部バイパス コネクタへの接続。これにより、Cisco SCE8000 プラットフォームに障害が発生した場合に光バイパスがアクティブになります。
光バイパス モジュールは次のように機能します(図 2-7)。
• 通常の状態では、光バイパス モジュールは Cisco SCE8000 を通じてトラフィックを流します。
• 障害の状態では、光バイパス モジュールは障害のトラフィック リンクに接続しているインターフェイスをショートカットします。これにより SCE8000 GBE プラットフォームはバイパスされて、すべてのトラフィックは光バイパス モジュールを通じて流れます。
2 種類の光バイパス モジュールが、異なるタイプの光ファイバをサポートします。
• OPB-SCE8K-SM:シングルモード光ファイバをサポートし、シングルモード光ファイバを搭載する SCE8000 に使用します。
• OPB-SCE8K-MM:マルチモード光ファイバをサポートし、マルチモード光ファイバを搭載する SCE8000 に使用します。
光バイパス モジュールは、内部的に Cisco SCE8000 シャーシのスロット 4 に搭載することも、外部的にラックの取り付けパネルに搭載することもできます(図 2-8)。
内部に搭載する場合は最大 2 つの光バイパス モジュールを取り付けることが可能で、2 つのリンクのインライン挿入をサポートします。
外部の取り付けパネル(OPB-SCE8K-EXT-PNL)を使用する場合は、最大 4 つの光バイパス モジュールを取り付けることが可能です。1 つの SCE8000 プラットフォームが 2 つのリンクをカットする場合、1 つのパネルで 2 つの SCE8000 プラットフォームに対応できます。また、1 つのプラットフォームが 1 つのリンクをカットする場合、最大 4 つの SCE8000 プラットフォームに対応できます。
表 2-8 に、光バイパス モジュールのポート接続を示します。 表 2-9 に、光バイパス モジュール LED を示します。
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詳細については、「10 GBE 回線インターフェイス ポートのケーブル接続:外部光バイパス モジュールの使用」を参照してください。 |
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STATUS LED は、次のような光バイパス モジュールの動作ステータスを示します。 • • |
システム ファン アセンブリはシャーシ内部にあり、取り付けられているモジュールに冷気を供給します(図 2-9)。
内部の温度はファン アセンブリ上のセンサーとシステム内部のセンサーでモニタリングされています。温度が既定のしきい値を超えると、環境モニタ機能が警告メッセージを表示します。ファン アセンブリ内のファンの 1 つが故障すると、FAN STATUS LED がレッドになります。ファン アセンブリを交換するには、「ファン アセンブリの取り外しおよび取り付け」を参照してください。
Cisco SCE8000 プラットフォームは AC または DC 入力の冗長電源装置をサポートしています。Cisco SCE8000 プラットフォームに使用できる電源装置は、次のとおりです。
• 2700 W AC 入力(PWR-2700-AC/4):(図 2-10)外部電源コードを使用して AC 電源装置に直接接続します。
• 2700 W DC 入力(PWR-2700-DC/4):(図 2-11)入力電源の接続には、シャーシ背面の外部端子ブロックを使用します。
AC 入力電源装置と DC 入力電源装置は、冗長構成をサポートしています。一方の電源装置から電力が失われると、冗長電源機能により、もう一方の電源装置から全電力が供給されます。
電源装置が 2 つ搭載されている場合、各電源装置はシステムに必要な電力の約半分を供給します。一方の電源装置が故障すると、もう一方の電源装置が速やかに全電力を供給して、中断なしにシステム運転が維持されます。この 2 番めの電源装置によりロード シェアリングと耐障害性が自動的に有効になり、ソフトウェア設定は不要です。
Cisco SCE8000 プラットフォーム輸送コンテナの内容を確認するには、Cisco SCE8000 コンポーネント リストを使用します。
ヒント Cisco SCE8000 を開梱する際、輸送用コンテナを廃棄しないでください。輸送用カートンは平らにし、すのこ板と一緒に保管してください。将来、Cisco SCE8000 を移動または輸送するときに、このコンテナが必要になる場合があります。
表 2-10 に、SCE8000 システムのコンポーネントを示します。
(注) Cisco SCE8000 のマニュアルすべてが、各システムの発送時に同梱されるわけではありません。必要なマニュアルをご指定の上、発注してください。発注したマニュアルが届かなかった場合は、24 時間以内にマニュアルを発送します。マニュアルは、購入した代理店に発注してください。
設置作業に役立つように、次の Cisco SCE8000 インストレーション チェックリストをコピーして、実行された動作を記録してください( 表 2-11 )。それぞれの作業または確認を行った日付を記録します。チェックリストへの記入が終わったら、Cisco SCE8000 プラットフォームに関する他の記録とともに、サイト ログに保管しておいてください。
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必須パスワード、IP アドレス、装置名など、初期設定に必要な情報の入手(「初期設定パラメータ」を参照してください)。 |
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