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この章では、マルチシェルフ システムの一部である Cisco CRS-1 キャリア ルーティング システム マルチシェルフ システムと Cisco CRS-1 ファブリック カード シャーシについて説明します。この章の内容は次のとおりです。
Cisco CRS-1 キャリア ルーティング システムは、サービス プロバイダーのアクセスポイント(POP)で使用されているほとんどの現行の装置に取って代わることができます。Cisco CRS-1 ルーティング システムは、スケーラブルな 3 ステージの分散型スイッチ ファブリックと、各種ラインカード(パケット)インターフェイスを中心に構築されています。これらのパケット インターフェイスは、Modular Services Card(MSC; モジュラ サービス カード)および対応する Physical Layer Interface Module(PLIM; 物理レイヤ インターフェイス モジュール)に配置されています。MSC と PLIM は、スイッチ ファブリック経由で効率的に相互接続されています。
Cisco CRS-1 ルーティング システムは、次のような複数の構成で使用できます。
• Cisco CRS-1 マルチシェルフ システムは基本的に、1 つのファブリック カード シャーシと 2 つのラインカード シャーシで構成されます。マルチシェルフ システムは、最大 2.4 テラビット/秒(TBps)のルーティング能力を実現します。今後、マルチシェルフ システムでは、ルーティング能力を向上させるためにファブリック カード シャーシとラインカード シャーシが追加でサポートされる予定です。
• Cisco CRS-1 のスタンドアロン システムは、ルーティング性能が 1.2 TBps で、最大 16 の MSC をサポートするフルサイズの 16 スロット ラインカード カスタム シャーシで構成されます。
マルチシェルフ システムは、最大 2.4 TBps のルーティング能力を実現します。マルチシェルフ システムは、次に示す 2 種類のシャーシと 1 つのシステム管理スイッチで構成されます。
• 1 つのファブリック カード シャーシ:ステージ 2 の 3 ステージ Benes スイッチ ファブリックを収容します。
• 2 つ以上のラインカード シャーシ:MSC およびPLIM(ユーザ インターフェイス ケーブルを接続)を収容します。マルチシェルフ システムでは、ラインカード シャーシはステージ 1 とステージ 3 のスイッチ ファブリックも収容します。
• Cisco Catalyst 6509 スイッチ(Cat6509):マルチシェルフ システム向け制御イーサネット ネットワークを提供します。冗長性を確保するには、2 台の Cat6509 スイッチが必要です。
(注) 最新リリースのマルチシェルフ システムには、22 ポート Shelf Controller Gigabit Ethernet(SCGE; シェルフ コントローラ ギガビット イーサネット)カードが搭載されています。このカードは、統合スイッチ機能が組み込まれており、ファブリック カード シャーシに取り付けられています。2 ポート SCGE カードの代わりにこのカードを使用すると、外付けの Cisco Catalyst スイッチは不要となります。
マルチシェルフ システムでは、スイッチ ファブリックは 2 種類のスイッチ ファブリック カード(S13 と S2)で構成され、ラインカード シャーシ(LCC)とファブリック カード シャーシ(FCC)の両方の間で分散されます。
• ステージ 1 のスイッチングは、入力 LCC で実行されます。
• ステージ 2 のスイッチングは、FCC で実行されます。
• ステージ 3 のスイッチングは、出力 LCC で実行されます。
図1-1 に、基本的なマルチシェルフ システムを示します。
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Cisco Catalyst 6509 スイッチ 1 |
1.ファブリック カード シャーシに 22 ポート SCGE カードが搭載されている場合、Cisco Catalyst スイッチは不要です。 |
ここでは、ファブリック カード シャーシの主要コンポーネントについて説明します。主に Field-Replaceable Unit(FRU; 現地で交換可能なユニット)とされるコンポーネントについて説明しますが、FRU でないコンポーネントについても詳細情報が役立つと思われる場合は、説明します。
• 8 つの S2 スイッチ ファブリック カード。これらのカードでは、マルチシェルフ システム用のステージ 2 の 3 ステージ Benes スイッチ ファブリックがサポートされます。ラインカード シャーシの S13 スイッチ ファブリック カードは、ステージ 1 とステージ 3 のスイッチ ファブリックを提供します。さらに大規模な構成の場合(今後導入予定)、シャーシは最大 24 のファブリック カードをサポートできます。
• スイッチ ファブリックは、MSC と PLIM のペアからユーザ データを受信してスイッチングを行い、適切な出力 MSC/PLIM ペアにデータを送ります。
• Optical interconnect module(OIM; 光インターフェイス モジュール)とケーブル。各 S2 ファブリック カードを OIM の片側に接続し、マルチシェルフ システムの光アレイ ケーブルをその OIM のもう一方の側にプラグインします。光アレイ ケーブルは、ファブリックとラインカード シャーシ間を結び、S2 ファブリック カードと S13 ファブリック カードを相互接続します。
• 2 つの 2 ポート SCGE カード。これらのカードは、シャーシ内のスイッチ ファブリック カードを制御します。また、シャーシ ファンも制御してその回転速度を変更し、周囲の条件に合わせてエアーフローを調整します。一度にアクティブにできるシェルフ コントローラ カードは、1 つだけです。一方のカードは、スタンバイ シェルフ コントローラとして機能します。このカードは、アクティブなカードで障害が発生した場合に、バックアップとして機能します。
または
• 2 つの 22 ポート SCGE カード。これらのカードは、シャーシ内のスイッチ ファブリック カードを制御します。また、シャーシ ファンも制御してその回転速度を変更し、周囲の条件に合わせてエアーフローを調整します。一度にアクティブにできるシェルフ コントローラ カードは、1 つだけです。一方のカードは、スタンバイ シェルフ コントローラとして機能します。このカードは、アクティブなカードで障害が発生した場合に、バックアップとして機能します。22 ポート SCGE カードには、統合スイッチ機能が組み込まれています。このカードを使用すると、2 ポート SCGE カードと外付けの Cisco Catalyst スイッチは不要となります。
• シャーシに 8800 W(8.8 KW)の冗長 DC 出力電力を供給する電源システム。AC 電源システムは、2 つの AC 電源シェルフで構成されます。各電源シェルフには 3 つの AC 入力用整流器が付属しています。一方、DC 電源システムは、2 つの DC 電源シェルフで構成されます。各電源シェルフには 2 つの DC Power Entry Module(PEM: パワー エントリ モジュール)が付属しています。各電源シェルフから整流器または PEM に入力電力が供給され、整流器または PEM からシャーシに、処理された電力が供給されます。
• 2 つのアラーム モジュール。アラーム モジュールは、外部アラーム システム接続を提供します。アラーム モジュールは、AC または DC 電源シェルフに搭載されています。
• シャーシのバックプレーン。バックプレーンにより、シャーシのコンポーネントに電源が供給され、コンポーネント同士が接続されます。スイッチ ファブリック カードとシェルフ コントローラ カードは、バックプレーンにプラグインされます。バックプレーンはお客様が現地交換することはできません。
• 上下のファン トレイ。ファン トレイには、シャーシへの吸気と排気を行うファンが格納されています。着脱式エアー フィルタも下部ファン トレイの上に取り付けられています。
スイッチ ファブリック カードは、ファブリック カード シャーシの前面にあります。OIM は、シャーシの背面にあります。光アレイ ケーブル(スイッチ ファブリック カードを接続)は、OIM にプラグインします。
図1-2と図1-3は、ファブリック カード シャーシの前面図と背面図を示しています。
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Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシの構成を次に示します。
• 最大 16 の MSC カード(ラインカードとも呼ぶ)と 16 の PLIM。MSC と PLIM は、シャーシのミッドプレーンを介してペアを組みます。MSC は、ユーザ データのレイヤ 3 ルーティングの転送エンジンとして動作し、PLIM はユーザ データへの物理インターフェイスおよびコネクタとして機能します。
MSC は 1 種類しかありませんが、インターフェイス速度とテクノロジーの異なる数種類の PLIM と対応付けることができます。
• シャーシ ミッドプレーン。このミッドプレーンは、MSC を対応する PLIM に接続し、これによって、対応する PLIM に接続されたケーブルを外さなくても、シャーシから MSC を取り外せます。ミッドプレーンは、配電、MSC とスイッチ ファブリックとの接続、およびコントロール プレーンの相互接続を行います。ミッドプレーンは現場交換可能ではありません。
• 2 つの Route Processor(RP; ルート プロセッサ)カード。RP は、ラインカード シャーシ システム コントローラとしてルート処理を行うことにより、システムの能力を高めます。一度にアクティブにできる RP は 1 つだけです。一方の RP は、スタンバイ RP として機能します。この RP は、アクティブな RP で障害が発生した場合に、バックアップとして機能します。
また、RP はシステム アラームを監視し、システム ファンを制御します。前面パネルの LED はアクティブなアラーム状態を示します。
• (任意)1 つ以上の Distributed Route Processor card(DRP; 分散ルート プロセッサ カード)。各カードが PLIM に対応します。DRP と DRP PLIM はそれぞれシステム内で、補足的なルート プロセッサ(RP)として機能し、Cisco CRS-1 ルータに補足的なルート処理能力を提供します。プロセッサ集中型のタスク(BGP スピーカや ISIS など)を RP から DRP にオフロードすることによって、システム パフォーマンスを向上させることができます。
• 8 つのスイッチ ファブリック カード。これらのファブリック カードは、システムに対して 3 ステージの Benes スイッチ ファブリックを提供します。スイッチ ファブリックは、MSC と PLIM のペアからユーザ データを受信してスイッチングを行い、適切な出力 MSC/PLIM ペアにデータを送ります。
–ラインカード シャーシをスタンドアロン システム(単一シェルフ)として使用した場合、3 ステージ Benes スイッチ ファブリックの 3 つのステージすべてを提供する S123 ファブリック カードを格納します。
–ラインカード シャーシをマルチシェルフ システムの一部として使用する場合、スイッチ ファブリックのステージ 1 とステージ 3 を提供する S13 ファブリック カードを格納します。ファブリック カード シャーシの S2 ファブリック カードは、ステージ 2 のファブリックを提供し、光アレー ケーブルによってファブリック カードを相互接続します。
• 2 つのファン コントローラ カード。これらのカードは、シャーシ ファンを制御してその回転速度を変更し、周囲の条件に合わせてエアーフローを調整します。
• 2 台の AC 電源シェルフ(各電源シェルフには 3 つの AC 整流器が付属)または 2 台の DC 電源シェルフ(各電源シェルフには 3 つの DC PEM が付属)。電源シェルフおよび AC 整流器または DC PEM は、システムに 13.2 KW の冗長電源を供給します。
• 2 つのアラーム モジュール。アラーム モジュールは、外部アラーム システム接続を提供します。アラーム モジュールは、AC または DC 電源シェルフに搭載されています。
• 上下のファン トレイ。ファン トレイには、シャーシへの吸気と排気を行うファンが格納されています。着脱式エアー フィルタは下部ファン トレイの上に取り付けられています。