UDLD プロトコルの制約事項
- ギガビットイーサネット、10 ギガビットイーサネット、およびファスト イーサネット インターフェイスでのみサポートされます。
- 基本的な UDLD 機能のみサポートされます。
この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
単方向リンク検出プロトコルは、スパニングツリーのループなどの望ましくない状況が発生する前に単方向接続を検出してディセーブルにするレイヤ 2 プロトコルです。
シスコ独自の UDLD プロトコルにより、LAN ポートに接続された光ファイバまたは銅製(カテゴリ 5 ケーブルなど)イーサネットケーブルを使用して接続されたデバイスで、ケーブルの物理構成をモニターし、単方向リンクの存在を検出することができます。単方向リンクはスパニング ツリー トポロジ ループなど、さまざまな問題の原因となるため、単方向リンクが検出された場合、UDLD は影響を受けた LAN ポートをシャットダウンして、該当するユーザーにアラートを表示します。
UDLD は、レイヤ 1 プロトコルと協調してリンクの物理ステータスを検出するレイヤ 2 プロトコルです。レイヤ 1 では、物理的シグナリングおよび障害検出は、自動ネゴシエーションによって処理されます。UDLD は、ネイバー ID の検出、誤って接続された LAN ポートのシャットダウンなど、自動ネゴシエーションでは実行不可能な処理を実行します。自動ネゴシエーションと UDLD の両方をイネーブルにすると、レイヤ 1 と 2 の検出機能が連動し、物理的および論理的な単方向接続、および他のプロトコルの誤動作を防止します。
リンク上でローカルデバイスが送信したトラフィックはネイバーで受信されるが、ネイバーから送信されたトラフィックはローカルデバイスで受信されない場合に、単方向リンクが発生します。対になったファイバケーブルのうち一方の接続が切断された場合、自動ネゴシエーションがアクティブである限り、そのリンクはアップ状態が維持されなくなります。このようなシナリオでは、論理リンクは不定であり、UDLD は何の処理も行いません。レイヤ 1 で両方の光ファイバが正常に動作している場合は、レイヤ 2 で UDLD が、これらの光ファイルが正しく接続されているかどうか、および正しいネイバー間でトラフィックが双方向に流れているかを調べます。自動ネゴシエーションはレイヤ 1 で動作するため、このチェックは自動ネゴシエーションでは実行できません。
ルータは、UDLD がイネーブルの LAN ポートのネイバーデバイスに、UDLD パケットを定期的に送信します。このパケットが一定時間内にエコーバックされ、かつ特定の確認応答(エコー)がない場合には、そのリンクは単方向リンクとしてフラグ付けされ、LAN ポートがシャットダウンされます。単方向リンクが正しく識別されディセーブルされるようにするには、リンクの両端のデバイスで UDLD プロトコルがサポートされている必要があります。
UDLD は、インターフェイスの誤配線または誤動作によるイーサネット光ファイバおよび銅線インターフェイス上の単方向リンクを検出し、ディセーブルにします。
(注) |
UDLD は、不要なトラフィックの送信を避けるために、すべてのポートでデフォルトでディセーブルになっています。 |
光ファイバインターフェイスを設定するには、グローバルレベルで udld コマンドを有効にします。銅線インターフェイスの場合は、インターフェイスレベルで udld port コマンドを有効にします。
UDLD のメカニズムを下図に示します。
UDLD は、2 つの動作モードをサポートしています。通常(デフォルト)とアグレッシブです。通常モードの UDLD は、光ファイバ接続におけるインターフェイスの誤接続に起因する単一方向リンクを検出します。アグレッシブ モードの UDLD は、光ファイバ リンクやツイストペア リンク上の片方向トラフィックに起因する単一方向リンク、および光ファイバ リンク上のインターフェイスの誤接続に起因する単一方向リンクも検出できます。
通常モードの UDLD は、光ファイバ インターフェイスの光ファイバが誤接続されている場合に単方向リンクを検出しますが、レイヤ 1 メカニズムは、この誤接続を検出しません。インターフェイスが正しく接続されていてもトラフィックが片方向である場合は、単方向リンクを検出するはずのレイヤ 1 メカニズムがこの状況を検出できないため、UDLD は単方向リンクを検出できません。その場合、論理リンクは不明となり、UDLD はインターフェイスをディセーブルにしません。ペアの一方の光ファイバが切断されており、自動ネゴシエーションがアクティブであると、レイヤ 1 メカニズムはリンクの物理的な問題を検出しないため、リンクは稼働状態でなくなります。この場合、UDLD は何のアクションも行わず、論理リンクは不確定と見なされます。
UDLD アグレッシブモードは、そのモードをサポートするネットワーク デバイス間のポイントツーポイントのリンク上にのみ設定します。UDLD アグレッシブモードをイネーブルに設定した場合、UDLD ネイバー関係が確立されている双方向リンク上のポートは UDLD パケットの受信を停止します。UDLD はネイバーとの接続を再確立しようとします。再試行が 8 回失敗すると、ポートはディセーブルになります。
スパニング ツリー ループを防止するため、間隔がデフォルトの 15 秒である非アグレッシブな UDLD でも、(デフォルトのスパニング ツリー パラメータを使用して)ブロッキング ポートがフォワーディング ステートに移行する前に、単方向リンクをシャットダウンすることができます。
リンクの一方の側でポート(TX または RX)スタックを使用している場合。
リンクの一方の側がダウンしているが、もう一方の側がアップしたままの場合。
UDLD は、次の機能を実行します。
UDLD が設定されているアクティブなすべてのインターフェイスにプローブパケットを送信し、各デバイスにネイバーに関する情報を提供します。
ネイバーに関する情報を確認し、更新したネイバー情報をキャッシュテーブルに保持します。
UDLD パケットを送信する新しいネイバーを検出したり、ネイバーがキャッシュの再同期を要求したりすると、複数のエコーメッセージを送信します。
単方向の接続が検出されると、影響を受けるポートをシャットダウンして、ユーザーに通知します。UDLD プロトコルにより単方向リンクが正しく識別されその使用が禁止されるようにするためには、リンクの両端のデバイスで UDLD がサポートされている必要があります。
アグレッシブモードがイネーブルの場合、双方向リンク上のポートが UDLD パケットを受信しなくなると、ネイバーとの接続を再確立します。この再試行に 8 回失敗すると、ポートはディセーブル状態になります。
UDLD は 2 つのメカニズムを使用して動作します。
ネイバー データベース メンテナンス
UDLD は、すべてのアクティブ インターフェイスで Hello パケット(別名アドバタイズメントまたはプローブ)を定期的に送信して、他の UDLD 対応ネイバーについて学習し、各デバイスがネイバーに関しての最新情報を維持できるようにします。スイッチが hello メッセージを受信すると、エージング タイム(ホールド タイムまたは存続可能時間)が経過するまで、情報をキャッシュします。古いキャッシュ エントリの期限が切れる前に、スイッチが新しい hello メッセージを受信すると、古いエントリが新しいエントリで置き換えられます。UDLD の稼働中にインターフェイスをディセーブルにしたり、インターフェイスで UDLD をディセーブルにしたり、またはスイッチをリセットした場合はいつでも、設定変更によって影響を受けたインターフェイスの既存のキャッシュ エントリがすべて消去されます。UDLD は、ステータス変更の影響を受けるキャッシュの一部をフラッシュするよう、ネイバーに通知するメッセージを 1 つまたは複数送信します。このメッセージは、キャッシュを継続的に同期するためのものです。
イベントドリブン検出およびエコー
UDLD は検出メカニズムとしてエコーを利用します。UDLD デバイスが新しいネイバーを学習するか、または同期していないネイバーから再同期要求を受信すると、接続の UDLD デバイス側の検出ウィンドウを再起動して、エコー メッセージを返送します。この動作はすべての UDLD ネイバーに対して同様に行われるため、エコー送信側では返信エコーを受信するように待機します。検出ウィンドウが終了し、有効な応答メッセージが受信されなかった場合、リンクは、UDLD モードに応じてシャットダウンされることがあります。UDLD が通常モードにある場合、リンクは不確定と見なされ、シャットダウンされない場合があります。UDLD がアグレッシブ モードのときは、リンクは単一方向であると見なされ、インターフェイスはシャットダウンされます。通常モードにある UDLD が、アドバタイズまたは検出段階にあり、すべてのネイバーのキャッシュ エントリが期限切れになると、UDLD はリンク起動シーケンスを再起動し、未同期の可能性のあるネイバーとの再同期を行います。アグレッシブ モードをイネーブルにしていて、ポートのすべてのネイバーがアドバタイズまたは検出段階で期限切れになると、UDLD はリンク起動シーケンスを再起動し、未同期の可能性のあるネイバーとの再同期を行います。高速な一連のメッセージの送受信後に、リンク ステートが不確定のままの場合、UDLD はポートをシャットダウンします。
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
enable 例:
|
特権 EXEC モードを有効にします。
|
ステップ 2 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
udld {enable| aggressive} 例:
|
ルータで UDLD プロトコルをイネーブル化します。 |
ステップ 4 |
end 例:
|
ユーザ EXEC モードに戻ります。 |
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
interface interface-id 例:
|
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。指定できるインターフェイスは、物理ポートです。 |
ステップ 2 |
udld port [aggressive] 例:
|
特定のポート上で UDLD をイネーブルにします。aggressive キーワードを入力してアグレッシブモードをイネーブルにします。光ファイバ LAN ポートの場合、このコマンドはudld enable グローバル コンフィギュレーション コマンドによる設定を上書きします。 光ファイバ以外の LAN ポートで UDLD をディセーブルにするには、このコマンドの no 形式を使用します。 |
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
enable 例:
|
特権 EXEC モードを有効にします。
|
ステップ 2 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
interface interface-id 例:
|
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。指定できるインターフェイスは、物理ポートです。 |
ステップ 4 |
udld port [aggressive] 例:
|
特定のポート上で UDLD をイネーブルにします。aggressive キーワードを入力してアグレッシブモードをイネーブルにします。光ファイバ LAN ポートの場合、このコマンドはudld enable グローバル コンフィギュレーション コマンドによる設定を上書きします。 光ファイバ以外の LAN ポートで UDLD をディセーブルにするには、このコマンドの no 形式を使用します。 |
ステップ 5 |
end 例:
|
ユーザ EXEC モードに戻ります。 |
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
enable 例:
|
特権 EXEC モードを有効にします。
|
ステップ 2 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
udld message time interval 例:
|
UDLD プローブメッセージ間の時間を秒単位で設定します。有効な範囲は 7 ~ 90 秒です。デフォルトは 15 秒です。 |
ステップ 4 |
end 例:
|
ユーザ EXEC モードに戻ります。 |
UDLD リカバリが有効な場合、UDLD エラーによって無効になったポートのリセットの終了を試行します。デフォルトのリカバリタイマーは 300 秒です。
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
enable 例:
|
特権 EXEC モードを有効にします。
|
ステップ 2 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
udld recovery inteval 例:
|
ルータで UDLD リカバリをイネーブル化します。
|
ステップ 4 |
end 例:
|
ユーザ EXEC モードに戻ります。 |
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
enable 例:
|
特権 EXEC モードを有効にします。
|
ステップ 2 |
udld reset 例:
|
UDLD によってシャットダウンされたポートをリセットします。 |
ステップ 3 |
end 例:
|
ユーザ EXEC モードに戻ります。 |
以下に、ルータの UDLD の例を示します。
show running-config | i udld
udld enable
udld message time 7
udld recovery
udld recovery interval 30
ポートの UDLD プロトコルのステータスを表示するには、show udld コマンドを使用します。
Router# show udld
Interface Te0/0/0
---
Port enable administrative configuration setting: Follows device default
Port enable operational state: Enabled
Current bidirectional state: Bidirectional
Current operational state: Advertisement - Single neighbor detected
Message interval: 15
Time out interval: 5
Entry 1
---
Expiration time: 40
Cache Device index: 1
Current neighbor state: Bidirectional
Device ID: FOX1736P0JP
Port ID: Te0/1/0
Neighbor echo 1 device: FOX1709P3D0
Neighbor echo 1 port: Te0/0/0
Message interval: 15
Time out interval: 5
CDP Device name: RSP1B
Interface Gi0/2/0
---
Port enable administrative configuration setting: Follows device default
Port enable operational state: Enabled
Current bidirectional state: Bidirectional
Current operational state: Advertisement - Single neighbor detected
Message interval: 15
Time out interval: 5
Entry 1
---
Expiration time: 33
Cache Device index: 1
Current neighbor state: Bidirectional
Device ID: FOC1528V27K
Port ID: Gi0/2
Neighbor echo 1 device: FOX1709P3D0
Neighbor echo 1 port: Gi0/2/0
Message interval: 15
Time out interval: 5
CDP Device name: RSP1A
Interface Gi0/2/1
---
Port enable administrative configuration setting: Follows device default
Port enable operational state: Enabled
Current bidirectional state: Bidirectional
Current operational state: Advertisement - Single neighbor detected
Message interval: 15
Time out interval: 5
Entry 1
---
Expiration time: 33
Cache Device index: 1
Current neighbor state: Bidirectional
Device ID: FOC1639V1Z4
Port ID: Gi0/4
Neighbor echo 1 device: FOX1709P3D0
Neighbor echo 1 port: Gi0/2/1
Message interval: 15
Time out interval: 5
CDP Device name: RSP1A
Interface Gi0/2/2
---
Port enable administrative configuration setting: Follows device default
Port enable operational state: Enabled
Current bidirectional state: Unknown
Current operational state: Advertisement
Message interval: 15
Time out interval: 5
No neighbor cache information stored
Interface Gi0/2/3
---
Port enable administrative configuration setting: Follows device default
Port enable operational state: Enabled
Current bidirectional state: Unknown
Current operational state: Link down
Message interval: 15
Time out interval: 5
No neighbor cache information stored
Interface Gi0/2/4
---
Port enable administrative configuration setting: Follows device default
Port enable operational state: Disabled
Current bidirectional state: Unknown
Interface Gi0/2/5
---
Port enable administrative configuration setting: Disabled
Port enable operational state: Disabled
Current bidirectional state: Unknown
Interface Gi0/2/6
---
Port enable administrative configuration setting: Disabled
Port enable operational state: Disabled
Current bidirectional state: Unknown
.
.
.
Router# show udld tengigabitethernet 0/0/0
Interface Te0/0/0
---
Port enable administrative configuration setting: Follows device default
Port enable operational state: Enabled
Current bidirectional state: Bidirectional
Current operational state: Advertisement - Single neighbor detected
Message interval: 15
Time out interval: 5
Entry 1
---
Expiration time: 43
Cache Device index: 1
Current neighbor state: Bidirectional
Device ID: FOX1736P0JP
Port ID: Te0/1/0
Neighbor echo 1 device: FOX1709P3D0
Neighbor echo 1 port: Te0/0/0
Message interval: 15
Time out interval: 5
CDP Device name: RSP1B
Router# show running-config | i udld
udld enable
udld message time 15
udld recovery
udld recovery interval 30
Router# show udld neighbors
Port Device Name Device ID Port ID Neighbor State
------------ ------------- ------------ ------------ ----------------
Te0/0/0 FOX1736P0JP 1 Te0/1/0 Bidirectional
Gi0/2/0 FOC1528V27K 1 Gi0/2 Bidirectional
Gi0/2/1 FOC1639V1Z4 1 Gi0/4 Bidirectional