波長可変分散補償ユニット
この章では、Cisco ONS 15454 Dense Wavelength Division Multiplexing(DWDM; 高密度波長分割多重)ネットワークで使用される Tunable Dispersion Compensating Unit(T-DCU; 波長可変分散補償ユニット)について説明します。装着およびカードのターンアップ手順については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Procedure Guide 』を参照してください。カードの安全性と適合性に関する情報については、マニュアル『 Cisco Optical Transport Products Safety and Compliance Information 』を参照してください。
(注) 特に指定のない限り、「ONS 15454」は、ANSI と ETSI 両方のシェルフ アセンブリを指します。
T-DCU ユニットは、伝送ファイバの Chromatic Dispersion(CD; 波長分散)を補償します。T-DCU は、CD を補償するさまざまな波長可変セットを備えた 2 枚のラインカードです。
この章の内容は、次のとおりです。
• 「カードの概要」
• 「クラス 1M レーザーの安全性ラベル」
• 「TDC-CC および TDC-FC カード」
• 「光パフォーマンスのモニタリング」
6.2 クラス 1M レーザーの安全性ラベル
ここでは、一部のカードに貼付されている安全性ラベルの重要性について説明します。カードの前面プレートのラベルには、レーザー放射レベルに関する警告が明記されています。これらのカードで作業する前に、すべての警告ラベルを理解する必要があります。
6.2.1 クラス 1M レーザー製品カード
TDC-CC カードと TDC-FC カードはクラス 1M レーザーに接続できます。これらのカードで使用されているラベルについては、次の各項で説明します。
クラス 1M レーザーは、高発散ビームまたは広径ビームを放出する製品です。したがって、レーザー光線全体のほんの一部分しか眼に入りません。ただし、拡大鏡を使用してビームを見ると、これらのレーザー製品で眼を損傷するおそれがあります。
6.2.1.1 危険度 1M ラベル
図 6-1 に、危険度 1M ラベルを示します。
図 6-1 危険度ラベル
この危険度ラベルは、IEC60825-1 Ed.1.2 に従って算出されたクラス 1 限度のレーザー放射に、ユーザがさらされる危険性があることを警告するものです。
6.2.1.2 レーザー光源コネクタ ラベル
図 6-2 に、レーザー光源コネクタ ラベルを示します。
図 6-2 レーザー光源コネクタ ラベル
このラベルは、ラベルが貼られた光コネクタにレーザー光源が存在することを示します。
6.2.1.3 FDA ステートメント ラベル
図 6-3 に、FDA ステートメント ラベルを示します。
図 6-3 FDA ステートメント ラベル
このラベルは、FDA の標準に準拠していること、および危険度の分類が IEC60825-1 Am.2 または Ed.1.2 に従っていることを示します。
6.3 TDC-CC および TDC-FC カード
TDC-CC カードは、0 ~ -1650 ps/nm の範囲で 16 の CD 値を提供します。C バンド スペクトルでの粒度は 110 ps/nm です。
TDC-FC カードは、0 ~ -675 ps/nm の範囲で 16 の CD 値を提供します。C バンド スペクトルでの粒度は 45 ps/nm です。
TDC-CC カードと TDC-FC カードを 表 6-2 に示す CD 値に設定できます。CTC を使用して補償値を設定する方法については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Procedure Guide 』を参照してください。
表 6-2 TDC-CC と TDC-FC の波長可変 CD 値
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0 |
0 |
0 |
1 |
-110 |
-45 |
2 |
-220 |
-90 |
3 |
-330 |
-135 |
4 |
-440 |
-180 |
5 |
-550 |
-225 |
6 |
-660 |
-270 |
7 |
-770 |
-315 |
8 |
-880 |
-360 |
9 |
-990 |
-405 |
10 |
-1100 |
-450 |
11 |
-1210 |
-495 |
12 |
-1320 |
-540 |
13 |
-1430 |
-585 |
14 |
-1540 |
-630 |
15 |
-1650 |
-675 |
6.3.1 主な機能
TDC-CC カードと TDC-FC カードの機能は次のとおりです。
• 前面プレートに 3 つの LED を備えたシングル スロット カード。
• 前面プレートに 2 つの LC-PC-II 光コネクタ。
• スロット 1 ~ 6 および 12 ~ 17 で動作します。
• 光スペクトルの C バンド(1529 ~ 1562.5 nm の波長)にわたって動作します。
• 波長分散補償に最大 16 のプロビジョニング可能 CD 値を提供します。
• OPT-PRE、OPT-AMP-C、OPT-RAMP-C、および OPT-RAMP-CE 増幅器、40-SMR-1 カードおよび 40-SMR-2 カードに接続できます。
• 選択可能しきい値のパフォーマンス モニタリングとアラーム処理をサポートします。
• CTC、SNMP、または TL1 を使用してモニタリングおよびプロビジョニングを行えます。
6.3.2 TDC-CC および TDC-FC の前面プレート図
図 6-4 に、TDC-CC と TDC-FC の前面プレート図を示します。TDC-CC カードと TDC-FC カードは、任意のユーザ インターフェイス スロットで着脱できます。そのシェルフで動作する他のサービス カードへの影響はありません。TDC-CC カードと TDC-FC カードの装着については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Procedure Guide 』の「NTP-G30 Install the DWDM Cards」を参照してください。
図 6-4 TDC-CC および TDC-FC の前面プレート
(注) 低密度 T-DCU は、T-DCU カードの前面プレートの TDC-CC というカード ラベルで、高密度 T-DCU は TDC-FC というラベルで識別されます。
6.3.3 光ポートの機能
T-DCU ユニットには、DC-RX(入力)ポートと DC-TX(出力)ポートがあります。光信号は DC-RX ポートに入り、波長分散の補償後、DC-TX ポートから送信されます。
6.3.4 TDC-CC および TDC-FC のブロック図
TDC-CC カードと TDC-FC カードには、2x2 バイパス スイッチ(図 6-5)から接続する分散補償ファイバのスプールが 4 つ(D1、D2、D3、D4)付属した光モジュールが埋め込まれています。各バイパス スイッチでは、対応する分散補償ファイバ スプールを光パスの DC-RX(入力ポート)から DC-TX(出力ポート)に接続できます。スイッチの設定により、要求された CD 値が選択され、フェッチされた 16 の波長分散補償値に基づいて 4 つのスプールが組み合わされます。入出力ポートのモニタには、それぞれフォトダイオード PD1 と PD2 が使用されます。
図 6-5 TDC-CC および TDC-FC のブロック図
6.3.5 ランプ テスト
TDC-CC カードと TDC-FC カードは、ONS 15454 の前面パネルまたは CTC から起動されるランプ テスト機能をサポートし、すべての LED が機能していることを確認できます。
6.3.6 TDC-CC と TDC-FC のカードレベル インジケータ
表 6-3 に、TDC-CC カードと TDC-FC カードのカードレベル LED を示します。
表 6-3 TDC-CC と TDC-FC のカードレベル インジケータ
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レッドの FAIL LED |
レッドの FAIL LED は、カードのプロセッサの準備ができていないことを示します。この LED はリセット中に点灯し、ブート プロセス中に点滅します。レッドの FAIL LED が消えない場合は、カードを交換してください。 |
ACT/STBY LED グリーン(アクティブ) オレンジ(スタンバイ) |
ACT/STBY LED がグリーンの場合は、カードが稼動状態(片方または両方のポートがアクティブ)で、トラフィックの伝送準備ができています。ACT/STBY LED がオレンジの場合は、カードが稼動状態であり、スタンバイ(保護)モードになっていることを示します。 |
オレンジの SF LED |
オレンジの SF LED は、カードの 1 つまたは複数のポートで LOS や LOF などの信号障害または信号状態が発生していることを示します。このオレンジの SF LED は、送信ファイバと受信ファイバが正しく接続されていない場合にも点灯します。ファイバが正しく接続されリンクが稼動している場合は点灯しません。 |
6.4 光パフォーマンスのモニタリング
TDC-CC カードと TDC-FC カードは、ファイバの光入力電力と光出力電力をモニタします。2 つのフォトダイオード PD1 と PD2 を使用して、入力(DC-RX)ポートから出力(DC-TX)ポートへの挿入損失をモニタします。TDC-CC カードと TDC-FC カードは、そのカードのモニタ対象のポートまたはチャネルそれぞれの電力の最小値、平均値、最大値の統計情報を報告します。TDC-CC カードおよび TDC-FC カードの光パワー統計値の表示方法については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Procedure Guide 』を参照してください。パフォーマンス データは、15 分および 24 時間間隔で記録されます。
(注) CTC、SNMP、および TL1 インターフェイスを使用してカードの Performance Monitoring(PM; パフォーマンス モニタリング)データを表示できます。
(注) PM データは、ラップアラウンド ベースで 32×15 分および 2×24 時間間隔で保存されます。