12.8 自動電力制御
ONS 15454 の Automatic Power Control(APC; 自動電力制御)には、次の機能があります。
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チャネル数に意図的または意図的ではない変化があった場合でも、チャネルごとの電力を一定に保ちます。チャネルごとの電力を一定にすることで、光ネットワークの回復力が向上します。
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光ネットワークの低下(エージングの影響)を補正します。
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増幅器のセットポイントを自動計算することで、DWDM 光ネットワークのインストールとアップグレードを簡易化します。
(注) APC アルゴリズムは、OPT-BST、OPT-PRE、OPT-AMP-17-C、32DMX、40-DMX-C、40-DMX-CE、40-SMR1-C、40-SMR2-C、OPT-BST-L、OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、および 32DMX-L カードの光パラメータを管理します。
増幅ソフトウェアでは、チャネル数に変化があっても、制御ゲイン ループと高速過渡抑制を使用してチャネル電力を一定に保ちます。増幅器では、計算されたゲイン セットポイントに従い、比例的に入力電力の変化と出力電力の変化をモニタします。シェルフ コントローラ ソフトウェアは、ファイバの低下に対して調整するために制御出力電力ループをエミュレートします。この機能を実行するために、TCC2/TCC2P/TCC3/TNC/TSC は、シグナリング プロトコルによって提供されるチャネルの分布と、ユーザがプロビジョニングできるチャネル電力ごとの予想値を把握する必要があります。TCC2/TCC2P/TCC3/TNC/TSC カードは、実際の増幅器の出力電力と予想値の増幅器の出力電力を比較し、何らかの矛盾が発生した場合、セットポイントを変更します。
12.8.1 増幅器カード レベルの APC
固定ゲイン モードの場合、増幅器の出力電力の制御ループによって次の入力/出力電力の計算が実行されます。ここで G はゲインを示し、t は時間を示します。
Pout (t) = G * Pin (t) (mW)
Pout (t) = G + Pin (t) (dB)
電力が均等化された光システムでは、合計入力電力はチャネル数に比例します。増幅ソフトウェアは、入力信号で伝送されるチャネル数の変化による入力電力の変化を補正します。
増幅ソフトウェアは、伝送されるトラフィックに変化があると、t1 と t2 という 2 つの異なるインスタンスにおける読み取り入力電力の変化を識別します。次の式の m および n という文字は、2 つの異なるチャネル数を示します。Pin/ch はチャネルごとの入力電力を示します。
Pin (t1)= nPin/ch
Pin (t2) = mPin/ch
増幅ソフトウェアは、ほんの 1 ミリ秒の応答時間で、入力電力の変化を出力電力に適用します。これによって、チャネルのアップグレード時やファイバ カット時でも出力増幅器の各チャネルの電力を一定に保ちます。
チャネルごとの電力と作業モード(ゲインまたは電力)は、Automatic Node Setup(ANS)によって設定されます。プロビジョニングはサイドごとに実行されます。サイド i に面するプリアンプまたはブースタ増幅器は、ノード データベースにあるサイド i パラメータを使用してプロビジョニングされます(この i は A、B、C、D、E、F、G、または H です)。
増幅器は、チャネルごとの電力をはじめ、最初のチャネルがプロビジョニングされた後のゲイン セットポイントも自動的に計算します。増幅器の前にあるスパンの損失と同等になるように、増幅器のゲイン セットポイントが計算されます。ゲインの計算後は、増幅器によってセットポイントは変化しなくなります。増幅器のゲインは、プロビジョニングされたチャネル数がゼロに戻るたびに再計算されます。強制的にゲインを再計算する必要がある場合、チャネル数をゼロに変更します。
12.8.2 シェルフ コントローラ レイヤの APC
増幅器は、チャネル数の変化による入力電力の変化を制御するソフトウェアを介して管理されます。増幅ソフトウェアは、入力チャネル数が変化したときに、チャネルごとの電力を一定に保つように出力電力の合計を調整します。
ネットワーク特性の変化は、増幅器の入力電力に影響があります。入力電力の変化はスパン損失の変化を示すため、入力電力の変化を補正するには、元の計算済みゲインを変更する必要があります。結果として、図 12-23 に示すように、増幅器の起動時に確立したスパン損失に対するゲインは満たされなくなります。
図 12-23 増幅器のゲイン調整によるシステム低下の補正
図 12-23 では、ノード 1 およびノード 2 にはブースタ増幅器とプリアンプが装着されています。ノード 2(Pin2)のプリアンプで受け取る入力電力は、ノード 1 による合計電力、Pout1(n)(n はチャネル数)、および 2 ノード間のスパン減衰の影響(L)によって変わります。スパン損失は、ファイバとコンポーネントのエージング、または運用条件の変化によって変化します。ノード 2 への電力は次の式で決まります。
Pin2 = LPout1(n)
ノード 2(GPre-2)上のプリアンプのフェーズ ゲインは、スパン損失を補正するために、プロビジョニング時に設定されます。これによって、ノード 2 プリアンプの出力電力(Pout-Pre-2)は、次の式に示すように元の伝送電力と同じになります。
Pout-Pre-2 = L x GPre-2 x Pout1(n)
システムの低下時には、ノード 2 で受け取る電力は、スパン挿入損失の変化によって低下します(L から L' へ)。プリアンプ ゲイン制御の作業モードの結果、ノード 2 プリアンプの出力電力(Pout-Pre-2)も低下します。シェルフ コントローラ レイヤで APC の目標は、チャネル数の変化または他の要因によって、増幅器の出力を変更する必要があるかどうかを検出することのみです。チャネル数の変化以外の要因が発生した場合、次の式のように、APC はノード 2 プリアンプ(GPre-2')の新しいゲインをプロビジョニングし、新しいスパン損失を補正します。
GPre-2' = GPre-2 (L/ L') = GPre-2 + [Pout-Pre-2 -Exp(Pout-Pre-2)]
APC は、上記の関係を一般化し、作業増幅器のゲインまたは Variable Optical Attenuation(VOA)を調整することでシステム低下を補正し、フォトダイオードで読み取られる電力値と電力の予想値との違いを解消できます。電力の予想値は次の要素を使用して計算されます。
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プロビジョニングされるチャネルごとの電力値
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チャネルの分布(ノード内のエクスプレス、追加、およびドロップ チャネル数)
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ASE の推定値
チャネルの分布は、プロビジョニングされたチャネルと失敗したチャネルの合計によって決まります。プロビジョニングされた波長に関する情報は、回路の作成時に適用可能なノード上の APC に送信されます。失敗したチャネルに関する情報は、適用可能なノードのポートのアラームをモニタするシグナリング プロトコルを介して収集され、その情報はネットワーク内のその他すべてのノードに配信されます。
ASE の計算によって、フォトダイオードから報告される電力レベルからノイズが除去されます。各増幅器は自身のノイズは補正できますが、カスケード型増幅器は前のノードで生成された ASE は補正できません。チャネル数が減ると ASE の影響は増えます。そのため、ASE ビルドアップを補正するには、補正率を各増幅器で計算する必要があります。
APC は、複数のノード間で分散するネットワークレベルの機能です。APC ドメインは、ネットワーク レベルで同じインスタンスの APC で制御されるノード セットです。APC ドメインは、独立して制御できるネットワークの部分を光学的に識別します。光ネットワークは、次の特性を持つ複数ドメインに分割できます。
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各ドメインは 2 ノード サイドで終端されます。ドメインを終端するノード サイドは次のとおりです。
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端末ノード(任意のタイプ)
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ROADM ノード
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ハブ ノード
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Cross-Connect(XC; クロス接続)終端メッシュ ノード
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回線終端メッシュ ノード
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APC ドメインは Cisco Transport Controller(CTC)と Transaction Language One(TL1)の両方で示されます。
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CTC では、ドメインはネットワーク ビューに示され、スパン リストとして報告されます。各スパンは、次のようにノード/サイドのペアで指定されます。
APC ドメイン Node_1 サイド A、Node_4 サイド B
+ スパン 1:Node_1 サイド A、Node_2 サイド B
+ スパン 2:Node_2 サイド A、ノード_3 サイド B
+ スパン 3:Node_3 サイド A、ノード_4 サイド B
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APC ドメインは自動更新されません。更新には [Refresh] ボタンを使用します。
ドメイン内では、毎時、または新しい回路がプロビジョニングまたは削除されたときに、APC アルゴリズムによって APC の起動を担当するマスター ノードが決まります。マスター ノードが APC の起動をシグナリングするたびに、ネットワークのすべてのノードについてゲインと VOA セットポイントが評価されます。複数のノードで補正が必要な場合、常にマスター ノードを始点とする光パスに従って順番に実行されます。
APC によって電力レベルが補正されるのは、変化が +/- 0.5 dB というヒステリシスのしきい値を超える場合のみです。しきい値の範囲内の電力レベルの変動は、無視してもよい値としてスキップされます。APC は速度低下イベントに従うように設計されているため、3 dB を超える補正はスキップされます。これは、ネットワーク設計フェーズでプロビジョニングされる一般的なエージング マージンの合計です。最初のチャネルをプロビジョニングした後、または増幅器をはじめてアップ状態にした後は、APC は 3 dB ルールを適用しません。この場合、APC はすべての電力の違いを補正して、ノードをアップ状態にします。
大きな電力の変動を回避するために、APC は電力レベルを徐々に調整します。最大電力補正値は +/- 0.5 dB です。この値は、適切な電力レベルに達するまで複数回適用されます。たとえば、2 dB のゲインのずれは、4 つの手順で補正されます。4 つの各手順では、ネットワーク内の各ノードで APC の完全チェックが必要です。APC は毎時で最大 3 dB を補正できます。低下が長期間にわたって発生する場合、APC は、インストール時にプロビジョニングしたすべてのマージンを使用して補正します。
使用できるマージンがない場合、セットポイントが範囲を超えるため、調整できません。APC は、APC 失敗条件によって、CTC、Cisco Transport Manager(CTM)、および TL1 にイベントを通信します。セットポイントが許容範囲に戻ると、APC は APC 失敗条件をクリアします。
APC は手動でディセーブルにできます。また、次の場合、APC は自動的に無効になります。
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任意のドメイン ノード内の任意のカードから、Hardware Fail(HF)アラームが報告された場合。
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任意のドメイン ノードの任意のカードから、Mismatch Equipment Alarm(MEA)が報告された場合。
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任意のドメイン ノードの任意のカードから、Improper Removal(IMPROPRMVL)アラームが報告された場合。
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任意のドメイン ノードの任意の増幅器カードの出力ポートから、Gain Degrade(GAIN-HDEG)、Power Degrade(OPWR-HDEG)、および Power Fail(PWR-FAIL)アラームが報告された場合。
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任意のドメイン ノードの任意のカードから、VOA 低下または失敗アラームが報告された場合。
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任意のドメイン ノードの APC インスタンスの 1 つが到達不可能になったことをシグナリング プロトコルが検出した場合。
APC の状態(Enable/Disable)は、各ノードで特定され、CTC または TL1 インターフェイスで取得できます。APC をディセーブルにするイベントがネットワーク ノードの 1 つで発生した場合、その他すべてのノードで APC はディセーブルになり、APC の状態は DISABLE - INTERNAL に変わります。ディセーブル状態は問題が発生したノードでのみ発生するため、トラブルシューティングが簡単になります。
APC は、CTC、TL1、および Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)のポート レベルで、次のサービスに影響がないマイナー アラームを報告します。
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APC Out of Range:新しいセットポイントがパラメータの範囲を超えるため、APC は、ポートに割り当てるパラメータにそのセットポイントを指定できません。
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APC Correction Skipped:予想値と現在の値の差が +/- 3 dB のセキュリティの範囲を超えるため、APC は、ポートに割り当てる 1 つのパラメータに対する補正をスキップしました。
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APC Disabled:ユーザまたは内部処理によって、APC はディセーブルにされました。
エラー条件がクリアされると、シグナリング プロトコルによってネットワークの APC がイネーブルになり、APC DISABLE - INTERNAL 条件はクリアされます。チャネルのプロビジョニング後に、APC は ASE の影響を補正する必要があるため、APC 状態がディセーブルの間にプロビジョニングするすべての Optical Channel Network Connection(OCHNC)および Optical Channel Client Connection(OCHCC)回路は、APC がイネーブルになるまで、Out-of-Service および Autonomous、Automatic In-Service(OOS-AU、AINS)(ANSI)または Unlocked-disabled、automaticInService (ETSI) のサービス ステートが維持されます。OCHNC および OCHCC は、APC がイネーブルになった後にのみ、自動的に In-Service および Normal(IS-NR)(ANSI)または Unlocked-enabled(ETSI)サービス ステートに移行します。
12.8.3 APC の管理
APC ステータスは、ノード ビュー ステータス領域に表示される 4 つの APC 状態で示されます。
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Enabled:APC はイネーブルです。
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Disabled:ユーザが手動で APC をディセーブルにしました。
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Disable - Internal:内部的な原因で APC は自動的にディセーブルになりました。
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Not Applicable:ノードは Not DWDM にプロビジョニングされます。これは APC をサポートしません。
[Maintenance] > [DWDM] > [APC] タブで、APC 情報を表示し、APC を手動でイネーブルにできます。
注意 APC をディセーブルにすると、エージングの補正は適用されず、回路はアクティブ化できません。特定のメンテナンスまたはトラブルシューティング タスクのために必要な場合にのみ、APC をディセーブルしてください。タスクが完了次第、APC を必ずイネーブルにします。
この APC サブタブには次の情報を指定します。
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Position:APC 情報を表示するスロット番号、カード、ポート。
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Last Modification:APC パラメータのセットポイントが変更された最終日時。
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Parameter:最後に変更された APC パラメータ。
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Last Check:APC パラメータのセットポイントが確認された最終日時。
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Side:カードおよびポートの APC 情報が表示されるサイド。
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State:APC 状態。
メンテナンス手順(たとえば、ファイバ カットの修復時に適用する手順など)の誤用によって、APC Correction Skipped アラームが発生する可能性があります。APC Correction Skipped アラームによって、ネットワーク管理が大幅に制限されます(たとえば、新しい回路を IS に移行できません)。[Force APC Correction] ボタンをクリックすると、APC Correction Skipped アラームがクリアされ、通常の条件を復元できます。
[Force APC Correction] ボタンを誤用するとトラフィックが損失する可能性があるため、Cisco TAC の監督の下で使用する必要があります。
[Force APC Correction] ボタンは、次のカードの CTC の [Card View] > [Maintenance] > [APC] タブ ペインで使用できます。
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OPT-PRE
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OPT-BST-E
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OPT-BST
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OPT-AMP-C
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OPT-AMP-17C
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AD-xB
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AD-xC
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40-SMR1-C
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40-SMR2-C
この機能は TL1 インターフェイスでは使用できません。
12.10 スパン損失の確認
スパン損失は、[Maintenance] > [DWDM] > [WDM Span Check] タブから測定できます。CTC スパン チェックでは、遠端の OSC 電力と近端の OSC の電力を比較します。測定されたスパン損失がスパン損失の最大予想値よりも高い場合、[Span Loss Out of Range] 条件が発生します。また、測定されたスパン損失がスパン損失の最小予想値よりも低く、スパン損失の最小値と最大値の差が 1 dB よりも大きい場合にもこの条件が発生します。スパン損失の最小予想値と最大予想値は、そのネットワークの Cisco TransportPlanner によって計算され、CTC に読み込まれます。ただし、スパン損失の最小値と予想値は手動で変更できます。
CTC スパン損失を測定することで簡単にスパン損失を確認できます。また、ネットワークの変化が発生した場合に便利です(たとえば、装置を取り付けた後や破損したファイバを交換した後)。CTC スパン損失の測定精度は次のとおりです。
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測定したスパン損失が 0 ~ 25 dB の場合は +/- 1.5 dB
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測定したスパン損失が 25 ~ 38 dB の場合は +/- 2.5 dB
より精度が高い ONS 15454 スパン損失の測定には、Optical Time Domain Reflectometer(OTDR)を使用する必要があります。
(注) ソフトウェア リリース 9.0 以降、スパン損失の測定は OSC 信号ではなく C バンド チャネル(使用可能な場合)を使用して実行されます。ソフトウェア リリース 9.0 は、OSC ベースのみの旧リリースとは相互運用性がありません。そのため、隣接ノードが異なるソフトウェア リリースを実行している場合、スパン損失の測定をスパンで実行できません。たとえば、1 つめのノードがソフトウェア リリース 8.0 以前のリリースを実行し、2 つめのノードがソフトウェア リリース 9.0 以降のリリースを実行している場合です。
12.10.1 ラマン リンクでのスパン損失の測定
ラマン増幅がアクティブな場合のスパン損失の測定は、標準リンクよりも低い精度になります。これは、ラマン ノイズおよびラマン ゲインを使用する数式に基づいているためです。
ラマン リンク上のスパン損失は、次の状態で測定されます。
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ラマン リンクのセットアップ時には自動的に測定(ラマンの増幅なし)
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ファイバ カットの復元時には自動的に測定(ラマンの増幅なし)
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定期的または要求に応じて測定(ラマンの増幅あり)
CTC の [Maintenance] > [DWDM] > [WDM Span Check] タブでは、次の 3 つの値が報告されます。
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Current Span Measure with Raman:ラマン ポンプをオンにした場合のスパン損失の予想値。
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Wizard Span Measure with Raman Off:Raman のインストール時にラマン ポンプをオフにした場合のスパン損失。
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Last Span Measure with Raman:ファイバ カットの復元手順後のスパン損失。
測定は毎時に自動実行されます。
[Span Loss Out of Range] 条件は次の条件で発生します。
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スパン損失がスパン損失の最大予想値 + 精度よりも大きい場合
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スパン損失がスパン損失の最小予想値 - 精度よりも小さい場合
スパン損失の最小予想値と最大予想値は、そのネットワークの Cisco Transport Planner で計算され、CTC に読み込まれます。ただし、スパン損失の最小予想値と最大予想値は手動で変更できます。
(注) ウィザードを使用してラマンをインストールしているときは、範囲外の条件が発生しても Span Loss Out of Range アラームは発生しません。このような場合、ウィザードは失敗し、エラー メッセージが表示され、スパンは調整されません。
CTC スパン損失を測定することで簡単にスパン損失を確認できます。また、ネットワークの変化が発生した場合に便利です(たとえば、装置を取り付けた後や破損したファイバを交換した後)。CTC スパン損失の測定精度は次のとおりです。
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スパン損失の測定が 0 ~ 26 dB の場合は +/- 1.5 dB
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スパン損失の測定が 26 ~ 31 dB の場合は +/- 2.0 dB
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スパン損失の測定が 31 ~ 34 dB の場合は +/- 3.0 dB
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スパン損失の測定が 34 ~ 36 dB の場合は +/- 4.0 dB
12.11 ネットワークのオプティカル セーフティ
ネットワーク上でファイバの破損が発生した場合、Automatic Laser Shutdown(ALS; 自動レーザー遮断)によって、OPT-BST、OPT-BST-E、OPT-BST-L、OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、OPT-AMP-17-C、OPT-RAMP-C、OPT-RAMP-CE、40-SMR1-C、および 40-SMR2-C カードに含まれる OSCM および OSC-CSM OSC レーザー出力電力および光増幅器と、PSM カードの保護パス内にある TX VOA(回線保護構成の場合のみ)が自動的にシャットダウンします(代わりに、PSM アクティブ パスでは、回線保護構成で必須のブースタ増幅器または OSC-CSM カードによって実装されるオプティカル セーフティを使用します)。
CTC カード ビューの [Maintenance] > [ALS] タブには、OSCM、OSC-CSM、OPT-BST、OPT-BST-E、OPT-BST-L、OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、OPT-AMP-17-C、OPT-RAMP-C、OPT-RAMP-CE、40-SMR1-C、40-SMR2-C、および PSM(保護パス上で、回線保護構成の場合のみ)カード用に次の ALS 管理オプションがあります。
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Disable:ALS はオフです。トラフィック停止の Loss of Signal(LOS; 信号消失)が発生すると、OSC レーザー トランスミッタおよび光増幅器は自動的にシャットダウンします。
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Auto Restart:ALS はオンです。トラフィック停止(LOS)が発生すると、OSC レーザー トランスミッタおよび光増幅器は自動的にシャットダウンします。停止を引き起こした条件が解決すると、自動的に再起動します。OSCM、OSC-CSM、OPT-BST、OPT-BST-E、OPT-BST-L、OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、OPT-AMP-17-C、OPT-RAMP-C、OPT-RAMP-CE、40-SMR1-C、40-SMR2-C、および PSM(保護パス上で、回線保護構成の場合のみ)カードの場合、[Auto Restart] はデフォルトの ALS プロビジョニングです。
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Manual Restart:ALS はオンです。トラフィック停止(LOS)が発生すると、OSC レーザー トランスミッタおよび光増幅器は自動的にシャットダウンします。ただし、停止を引き起こした条件が解決した場合、レーザーを手動で再起動する必要があります。
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Manual Restart for Test:テストのために、OSC レーザー トランスミッタおよび光増幅器を手動で再起動します。
12.11.1 自動レーザー遮断
OPT-BST、OPT-BST-E、OPT-BST-L、OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、OPT-AMP-17-C、OPT-RAMP-C、OPT-RAMP-CE、40-SMR1-C、40-SMR2-C、PSM(保護パス上で、回線保護構成の場合のみ)、OSCM、OSC-CSM、および TNC カードで ALS がイネーブルの場合、システム障害が発生すると、ネットワークのセーフティ メカニズムが実行されます。また、ALS プロビジョニングがトランスポンダ(TXP)およびマックスポンダ(MXP)カードに提供されます。ただし、ネットワークが ALS 対応の OPT-BST、OPT-BST-E、OPT-BST-L、OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、OPT-AMP-17-C、OPT-RAMP-C、OPT-RAMP-CE、40-SMR1-C、40-SMR2-C、PSM(保護パス上で、回線保護構成の場合のみ)、OSCM、および OSC-CSM カードを使用する場合、TXP カードまたは MXP カードで ALS をイネーブルにする必要はありません。TXP および MXP カードでは ALS はデフォルトでディセーブルであり、ネットワークのオプティカル セーフティに影響はありません。
DWDM レイヤを介さずに TXP および MXP カードを相互に直接接続する場合、各カードで ALS をイネーブルにする必要があります。ファイバがカットされた場合は ALS プロトコルが有効になり、カード間で、ある程度のネットワーク ポイントツーポイント双方向トラフィック管理ができるようになります。
OPT-BST、OPT-BST-E、OPT-BST-L、OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、OPT-AMP-17-C、OPT-RAMP-C、OPT-RAMP-CE、40-SMR1-C、40-SMR2-C、PSM(保護パス上で、回線保護構成の場合のみ)、OSCM、および OSC-CSM カード(DWDM ネットワーク)で ALS をディセーブルにする場合、TXP および MXP カードで ALS をイネーブルにして、カード間のネットワークでファイバが破損したときにレーザー管理が可能になります。
12.11.2 自動電力低下
Automatic Power Reduction(APR; 自動電力低下)はソフトウェアによって制御され、ユーザ設定可能です。システム障害の発生後に増幅器を再起動する間は、Hazard Level 1 の電力制限を超えないように、増幅器(たとえば OPT-BST)はパルス モードで動作し、APR レベルがアクティブになります。この処理によって担当者の安全性が確保されます。
システム障害(たとえば、カット ファイバや装置の障害)が発生し、[ALS Auto Restart] がイネーブルの場合、増幅器のレーザー電力をシャットダウンし、システムの問題が修正された後に増幅器を自動的に再起動するというイベント シーケンスが開始されます。遠端で光ペイロードと OSC の損失が検出されるとすぐに、遠端の増幅器がシャットダウンします。次に、ペイロードの損失が検出されるため、近端の増幅器がシャットダウンし、遠端の増幅器のシャットダウンによって OSC がシャットダウンします。この時点で、近端は OSC レーザー トランスミッタを使用して遠端との通信確立を試行します。そのために、OSC は非常に低い電力で 2 秒のパルス(最大で 0 dBm)が送出され、遠端の OSC レーザー トランスミッタから応答で返される同様の 2 秒のパルスを待ちます。100 秒以内にに応答を受信しない場合、近端は再試行します。このプロセスは、近端が 2 秒の応答パルスを遠端から受信するまで続行します。2 秒の応答パルスは、システム障害が修正され、2 つの終端間でファイバが正常に接続されていることを示します。
OSC 通信の確立後は、近端の増幅器は、低減された電力レベルのパルス モードで動作するようにソフトウェアで構成されます。+8 dBm への自動的な電力の低減と共に 9 秒のレーザー パルスが送出されます(40-SMR1-C および 40-SMR2-C カードの場合、パルスは +8 dBm ですが、チャネルの電力セットポイント単位です)。このレベルによって、OSC 通信の確立が破損したファイバの修正を保証するとしても、担当者の安全性のために、Hazard Level 1 を超えないように確保されます。遠端の増幅器が 100 秒以内に 9 秒のパルスで応答する場合、両方の増幅器は低減された電力のパルス モードから通常の運用電力モードに変更されます。
TXP または MXP カード間の直接接続の場合、[ALS Auto Restart] がイネーブルになり、接続は DWDM レイヤを通過せず、同様のプロセスが実行されます。ただし、接続は増幅器または OSC カードを通過しないため、システム障害後、TXP または MXP カードはカード間に直接通信を確立しようとします。この処理は、前述した DWDM レイヤでの OSC 間のパルスと同様に、2 秒の再起動パルスを使用して行われます。パルス中に送出される電力は Hazard Level 1 を下回ります。
また、APR は PSM カード(保護パス上で、回線保護構成の場合のみ)でも実装されます。PSM 回線保護構成では、システム障害が作業パス(たとえば、カット ファイバや装置の障害)で発生すると、ALS および APR メカニズムがブースタ増幅器または OSC-CSM カードで実装されます。または、保護パスでシステム障害が発生し、PSM カードで [ALS Auto Restart] がイネーブルの場合、保護パスで TX VOA をシャットダウンし、システム障害が修正された後に自動的に再起動するというイベント シーケンスが開始されます。保護パスの再起動中は、保護パス上の TX VOA はパルス モードで動作し、電力を最大 +8 dBm までに制限します。これによって、保護 TX パス上で Hazard Level 1 の電力制限を超えないようにします。
ALS をディセーブルにすると、警告ステートメント 1056 が適用可能になります。
警告 未終端の光ファイバの末端またはコネクタから、目に見えないレーザー光が放射されている可能性があります。光学機器で直接見ないでください。ある種の光学機器(ルーペ、拡大鏡、顕微鏡など)を使用し、100 mm 以内の距離でレーザー出力を見ると、眼を傷めるおそれがあります。ステートメント 1056
(注) ALS をディセーブルにする必要がある場合、すべてのファイバが制限された場所にインストールされることを確認します。メンテナンスまたはインストール プロセスが完了したらすぐに ALS をイネーブルにします。
(注) ライン増幅器を自動的に起動する場合、片方向の端末ノード上にある ALS をディセーブルにします。
12.11.3 OPT-RAMP-C および OPT-RAMP-CE カード上のネットワークのオプティカル セーフティ
OPT-RAMP-C および OPT-RAMP-CE カード上のオプティカル セーフティは RAMAN-TX および COM-TX ポートで実装されます。RAMAN-TX は、ラマン ポンプに関連するセーフティ設定をレポートし、COM-TX ポートは、組み込みの EDFA に関連するセーフティ設定をレポートします。
12.11.3.1 ラマン ポンプ上の RAMAN-TX 設定
LINE-RX ポートで LOS アラームが検出されるとすぐに、ラマン ポンプは自動的にオフになります。LINE-RX ポートが IS-NR/unlocked-enabled に設定されるとすぐに、ラマン ポンプは APR 電力で自動的にオンになります(100 秒ごと、8 dBm のパルス電力で 9 秒間)。
(注) オプティカル セーフティは OPT-RAMP-C および OPT-RAMP-CE カードでディセーブルにできますが、OPT-RAMP-C または OPT-RAMP-CE カードに接続する場合の OSCM カードではディセーブルにできません。
信号電力が LINE-RX ポートにあるかどうかは定期的に確認されます。信号電力がある場合、次の状況になります。
•
パルスの期間が延長される。
•
レーザーがシャットダウンされると、ラマン ポンプは APR 電力でオンになる。
電力の検出が 10 秒を超えると、ラマン電力はセットポイントに移行します。Automatic Laser Restart(ALR)中は、セーフティがディセーブルです。受信ファイバで LOS が検出されると、レーザーは自動的にシャットダウンします。一般的なラマン ポンプでは、ラマン信号が検出される場合にのみオンにします。ただし、OSC-RX ポート上で 9 秒を超える期間 OSC 電力が検出された場合でも、ラマン ポンプをフルパワーにするように構成できます。
12.11.3.2 EDFA 上の COM-TX セーフティ設定
次の条件になると、EDFA は自動的にシャットダウンします。
•
ラマン ポンプがシャットダウンした場合。
•
LOS-P アラームが COM-RX ポートで検出された場合。
ラマン ポンプがシャットダウンしたために EDFA がシャットダウンした場合、ラマン ループを閉じるとすぐに EDFA レーザーが自動的にオンになり、EDFA が再起動します。
•
パルス期間:9 秒
•
パルス電力:8 dB(安全性の規制で予測される最大 APR 電力)
•
終了条件:APR パルスの終了時に DC-RX ポートで検出された電力を受信した場合。DC-RX 上で電力が検出された(結果として DCU が接続された)場合、EDFA はセットポイントに移行します。それ以外の場合、再起動時に出力電力として 9 dB が維持されます。
•
DC-RX ポート上で電力が検出されると、EDFA は電力のセットポイントに移行します。
LOS-P アラームのために EDFA がシャットダウンされた場合。COM-RX ポート上の LOS-P アラームがクリアされ、ラマン ループが閉じるとすぐに、EDFA レーザーが自動的にオンになり、EDFA は再起動します。
•
パルス期間:9 秒
•
パルス電力:8 dB(安全性の規制で予測される最大 APR 電力)
•
終了条件:APR パルスの終了時に LINE-RX ポートで検出された電力を受信した場合。
警告 すべての ONS 15454 ユーザは、IEC 60825-2 または ANSI Z136.1 に準拠するレーザーの安全性の問題について適切な教育を受ける必要があります。
12.11.4.1 シナリオ 1:OPT-BST/OPT-BST-E カードを使用するノードでのファイバ カット
図 12-25 に、OPT-BST/OPT-BST-E カードを使用するノードで、カード間にファイバ カットがある場合を示します。
図 12-25 OPT-BST/OPT-BST-E カードを使用するノード
ノード B の 2 つのフォトダイオードは、光ペイロードおよび OSC 信号の受信信号強度をモニタします。ファイバがカットされると、両方のフォトダイオードで LOS が検出されます。次に、AND 関数で全体の LOS 条件を示します。これによって、OPT-BST/OPT-BST-E トランスミッタ、OPT-PRE トランスミッタ、および OSCM レーザーがシャットダウンします。結果として、ノード A の光ペイロードと OSC の両方の LOS につながり、ノード A は OSCM、OPT-PRE トランスミッタ、および OPT-BST/OPT-BST-E トランスミッタ レーザーをオフにします。ファイバ カット後のイベント シーケンスは次のようになります(図 12-25 の丸付き数字を参照)。
1.
ファイバはカットされます。
2.
ノード B の電力モニタリング フォトダイオードは、OPT-BST/OPT-BST-E カード上の Loss of Incoming Payload(LOS-P)を検出します。『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
3.
OPT-BST/OPT-BST-E カードでは、同時に LOS-O および LOS-P が検出されることで、増幅器をシャットダウンするコマンドがトリガーされます。CTC は LOS アラーム(連続性の損失)を報告し、LOS-O および LOS-P は降格されます。『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
4.
OPT-BST/OPT-BST-E カードの増幅器は、1 秒以内にシャットダウンします。
5.
OSCM レーザーはシャットダウンします。
6.
受信の光パワーがなくなるため、OPT-PRE カードは自動的にシャットダウンします。
7.
ノード A の電力モニタリング フォトダイオードは OPT-BST/OPT-BST-E カード上の LOS-O を検出し、OSCM カードは SONET レイヤの LOS(OC3)を検出します。『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
8.
ノード A の電力モニタリング フォトダイオードは、OPT-BST/OPT-BST-E カード上の LOS-P を検出します。『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
9.
OPT-BST/OPT-BST-E では、同時に LOS-O および LOS-P が検出されることで、増幅器をシャットダウンするコマンドがトリガーされます。CTC は LOS アラーム(連続性の損失)を報告し、LOS-O および LOS-P は降格されます。『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
10.
OPT-BST/OPT-BST-E カードの増幅器は、1 秒以内にシャットダウンします。
11.
OSCM レーザーはシャットダウンします。
12.
受信の光パワーがなくなるため、ノード A の OPT-PRE カードは自動的にシャットダウンします。
ファイバが修復されると、ノード A の OPT-BST/OPT-BST-E トランスミッタまたはノード B の OPT-BST/OPT-BST-E トランスミッタで、自動または手動の再起動が必要です。シャットダウンされていたシステムは、再起動パルスを使用して再アクティブ化されます。パルスは、光パスが復元され、送信を開始できることをシグナリングするために使用されます。たとえば、遠端のノード B はパルスを受信すると、ノード B の OPT-BST/OPT-BST-E トランスミッタに対して、光信号の送信を開始するようにシグナリングします。ノード A の OPT-BST/OPT-BST-E レシーバはその信号を受信し、ノード A の OPT-BST/OPT-BST-E トランスミッタに対して送信を再開するようにシグナリングします。
(注) レーザーの再起動パルス中、APR はレーザー出力が Class 1 制限を超えないようにします。APR の詳細については、「自動電力低下」を参照してください。
12.11.4.2 シナリオ 2:OSC-CSM カードを使用するノードでのファイバ カット
図 12-26 に、OSC-CSM カードを使用するノードで、カード間にファイバ カットがある場合を示します。
図 12-26 OSC-CSM カードを使用するノード
ノード B の OSC-CSM カードにある 2 つのフォトダイオードは、受信した光ペイロードと OSC 信号の受信信号強度をモニタします。ファイバがカットされると、フォトダイオードの両方で LOS が検出されます。次に、AND 関数で全体の LOS 条件を示します。これによってノード B の OSC レーザーがシャットダウンし、光スイッチはトラフィックをブロックします。結果として、ノード A の光ペイロードと OSC の両方の LOS につながり、ノード A は OSC レーザーをオフにし、光スイッチは出力トラフィックをブロックします。ファイバ カット後のイベント シーケンスは次のようになります(図 12-26 の丸付き数字を参照)。
1.
ファイバはカットされます。
2.
ノード B の電力モニタリング フォトダイオードは、OSC-CSM カード上の LOS-P を検出します。『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
3.
OSC-CSM では、同時に LOS-O および LOS-P が検出されることで、光スイッチの位置の変更がトリガーされます。CTC は LOS アラーム(連続性の損失)を報告し、LOS-O および LOS-P は降格されます。『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
4.
光スイッチは出力トラフィックをブロックします。
5.
OSC レーザーはシャットダウンします。
6.
ノード A の電力モニタリング フォトダイオードは、OSC-CSM カード上の LOS-O を検出します。『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
7.
ノード A の電力モニタリング フォトダイオードは、OSC-CSM カード上の LOS-P を検出します。『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
8.
OSC-CSM では、同時に LOS-O および LOS-P が検出されることで、光スイッチの位置の変更がトリガーされます。CTC は LOS アラーム(連続性の損失)を報告し、LOS-O および LOS-P は降格されます。『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
9.
OSC レーザーはシャットダウンします。
10.
光スイッチは出力トラフィックをブロックします。
ファイバが修復されると、ノード A の OSC-CSM カード OSC またはノード B の OSC-CSM カード OSC で、自動または手動の再起動が必要です。シャットダウンされていたシステムは、再起動パルスを使用して再アクティブ化されます。パルスは、光パスが復元され、送信を開始できることを示します。たとえば、遠端のノード B がパルスを受信すると、ノード B の OSC に対して、光信号の送信を開始するようにシグナリングし、光スイッチには受信トラフィックを渡すようにシグナリングします。ノード A の OSC-CSM は信号を受信し、ノード A の OSC に対して送信を再開するように指示し、光スイッチには受信トラフィックを渡すように指示します。
12.11.4.3 シナリオ 3:OPT-BST-L カードを使用するノードでのファイバ カット
図 12-27 に、OPT-BST-L カードを使用するノードで、カード間にファイバ カットがある場合を示します。
図 12-27 OPT-BST-L カードを使用するノード
ノード B の 2 つのフォトダイオードは、光ペイロードおよび OSC 信号の受信信号強度をモニタします。ファイバがカットされると、両方のフォトダイオードで LOS が検出されます。次に、AND 関数で全体の LOS 条件を示します。これによって、OPT-BST-L トランスミッタと OSCM レーザーがシャットダウンします。結果として、ノード A の光ペイロードと OSC の両方の LOS につながり、ノード A は OSCM OSC トランスミッタおよび OPT-BST-L 増幅器をオフにします。ファイバ カット後のイベント シーケンスは次のようになります(図 12-27 の丸付き数字を参照)。
1.
ファイバはカットされます。
2.
ノード B の電力モニタリング フォトダイオードは、OPT-BST-L カード上の LOS-P を検出します。アラームの詳細については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
3.
OPT-BST-L カードでは、同時に LOS-O および LOS-P が検出されることで、増幅器をシャットダウンするコマンドがトリガーされます。CTC は LOS アラーム(連続性の損失)を報告し、LOS-O および LOS-P は降格されます。アラームの詳細については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
4.
OPT-BST-L カードの増幅器は、1 秒以内にシャットダウンします。
5.
OSCM レーザーはシャットダウンします。
6.
受信の光パワーがなくなるため、OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、または OPT-AMP-17-C カードは自動的にシャットダウンします。
7.
ノード A の電力モニタリング フォトダイオードは、OPT-BST-L カード上の LOS-O を検出し、OSCM カードは SONET レイヤの LOS(OC3)を検出します。アラームの詳細については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
8.
ノード A の電力モニタリング フォトダイオードは、OPT-BST-L カード上の LOS-P を検出します。アラームの詳細については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
9.
OPT-BST-L では、同時に LOS-O および LOS-P が検出されることで、増幅器をシャットダウンするコマンドがトリガーされます。CTC は LOS アラーム(連続性の損失)を報告し、LOS-O および LOS-P は降格されます。アラームの詳細については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
10.
OPT-BST-L カードの増幅器は、1 秒以内にシャットダウンします。
11.
OSCM レーザーはシャットダウンします。
12.
受信の光パワーの LOS によって、ノード A の OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、または OPT-AMP-17-C カードは自動的にシャットダウンします。
ファイバが修復されると、ノード A の OPT-BST-L トランスミッタまたはノード B の OPT-BST-L トランスミッタで、自動または手動の再起動が必要です。シャットダウンされていたシステムは、再起動パルスを使用して再アクティブ化されます。パルスは、光パスが復元され、送信を開始できることを示します。たとえば、遠端のノード B がパルスを受信すると、ノード B の OPT-BST-L トランスミッタに対して光信号の送信を開始するようにシグナリングします。ノード A の OPT-BST-L レシーバはその信号を受信し、ノード A の OPT-BST-L トランスミッタに対して送信を再開するようにシグナリングします。
(注) レーザーの再起動パルス中、APR はレーザー出力が Class 1 制限を超えないようにします。APR の詳細については、「自動電力低下」を参照してください。
12.11.4.4 シナリオ 4:OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、OPT-AMP-17-C(OPT-LINE モード)、40-SMR1-C、または 40-SMR2-C カードを使用するノードでのファイバ カット
図 12-28 に、OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、OPT-AMP-17-C(OPT-LINE モード)、40-SMR1-C、または 40-SMR2-C カードを使用するノードで、カード間にファイバ カットがある場合を示します。
(注) 総称的に OPT-AMP カードと書く場合は、OPT-AMP-L、OPT-AMP-17-C、OPT-AMP-C、40-SMR1-C、または 40-SMR2-C カードを指します。
図 12-28 OPT-AMP カードを使用するノード
ノード B の 2 つのフォトダイオードは、光ペイロードおよび OSC 信号の受信信号強度をモニタします。ファイバがカットされると、両方のフォトダイオードで LOS が検出されます。次に、AND 関数で全体の LOS 条件を示します。これによって、OPT-AMP カード増幅器のトランスミッタおよび OSCM カードの OSC レーザーがシャットダウンします。結果として、ノード A の光ペイロードと OSC の両方の LOS につながり、ノード A は OSCM カード OSC および OPT-AMP カード増幅器のレーザーをオフにします。ファイバ カット後のイベント シーケンスは次のようになります(図 12-28 の丸付き数字を参照)。
1.
ファイバはカットされます。
2.
ノード B の電力モニタリング フォトダイオードは、OPT-AMP カード上の LOS-P を検出します。アラームの詳細については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
3.
On OPT-AMP カードでは、同時に LOS-O および LOS-P が検出されることで、増幅器をシャットダウンするコマンドがトリガーされます。CTC は LOS アラーム(連続性の損失)を報告し、LOS-O および LOS-P は降格されます。アラームの詳細については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
4.
OPT-AMP カードの増幅器は 1 秒以内にシャットダウンします。
5.
OSCM カードのレーザーはシャットダウンします。
6.
ノード A の電力モニタリング フォトダイオードは、OPT-AMP カード上の LOS-O を検出し、OSCM カードは SONET レイヤの LOS(OC3)を検出します。アラームの詳細については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
7.
ノード A の電力モニタリング フォトダイオードは、OPT-AMP カード上の LOS-P を検出します。アラームの詳細については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
8.
On OPT-AMP カードでは、同時に LOS-O および LOS-P が検出されることで、増幅器をシャットダウンするコマンドがトリガーされます。CTC は LOS アラーム(連続性の損失)を報告し、LOS-O および LOS-P は降格されます。アラームの詳細については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
9.
OPT-AMP カードの増幅器は 1 秒以内にシャットダウンします。
10.
OSCM カードのレーザーはシャットダウンします。
ファイバが修復されると、ノード A の OPT-AMP カード トランスミッタまたはノード B の OPT-AMP カード トランスミッタで、自動または手動の再起動が必要です。シャットダウンされていたシステムは、再起動パルスを使用して再アクティブ化されます。パルスは、光パスが復元され、送信を開始できることを示します。たとえば、遠端のノード B はパルスを受信すると、Node B OPT-AMP カード トランスミッタに対して光信号の送信を開始するようにシグナリングします。ノード A の OPT-AMP カード レシーバはその信号を受信し、ノード A の OPT-AMP カード トランスミッタに対して送信を再開するようにシグナリングします。
(注) レーザーの再起動パルス中、APR はレーザー出力が Class 1 制限を超えないようにします。APR の詳細については、「自動電力低下」を参照してください。
12.11.4.5 シナリオ 5:DCN 拡張を使用するノードでのファイバ カット
図 12-29 に、OSC 接続がないノードでのファイバ カット シナリオを示します。このシナリオで OPT-BST カードと書く場合、OPT-LINE モードでプロビジョニングするときの OPT-BST、OPT-BST-L、OPT-BST-E、OPT-AMP-L、OPT-AMP-C、OPT-AMP-17-C、40-SMR1-C、および 40-SMR2-C カードを指します。
図 12-29 DCN 拡張によるファイバ カット
ノード B の 2 つのフォトダイオードは、光ペイロードの受信信号強度をモニタします。ファイバがカットされると、チャネル フォトダイオードで LOS が検出されますが、相手側では OSC がないため信号が検出されません。次に、AND 関数で全体の LOS 条件を示します。これによって、OPT-BST 増幅器トランスミッタがシャットダウンします。結果として、ノード A の光ペイロードの LOS につながり、ノード A は OPT-BST 増幅器のレーザーをオフにします。
ファイバ カット後のイベント シーケンスは次のようになります(図 12-29 の丸付き数字を参照)。
1.
ファイバはカットされます。
2.
ノード B の電力モニタリング フォトダイオードは、OPT-BST カード上の LOS を検出します。LOS のトラブルシューティング手順については、『Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide』を参照してください。
3.
OPT-BST カードでは、LOS が検出されることで、増幅器をシャットダウンするコマンドがトリガーされます。アラームのトラブルシューティング手順については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
4.
OPT-BST カードの増幅器は、1 秒以内にシャットダウンします。
5.
ノード A の電力モニタリング フォトダイオードは、OPT-BST カード上の LOS を検出します。アラームのトラブルシューティング手順については、『Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide』を参照してください。
6.
OPT-BST では、LOS が検出されることで、増幅器をシャットダウンするコマンドがトリガーされます。『 Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide 』を参照してください。
7.
OPT-BST カードの増幅器は、1 秒以内にシャットダウンします。
ファイバが修復されると、ノード A の OPT-BST トランスミッタおよびノード B の OPT-BST トランスミッタで、9 秒の再起動パルス時間による手動の再起動(MANUAL RESTART)が必要です。シャットダウンされていたシステムは、9 秒の再起動パルスを使用して再アクティブ化されます。パルスは、光パスが復元され、送信を開始できることを示します。
たとえば、遠端のノード B はパルスを受信すると、ノード B の OPT-BST トランスミッタに対して、光信号の送信を開始するようにシグナリングします。ノード A の OPT-BST レシーバはその信号を受信し、ノード A の OPT-BST トランスミッタに対して送信を再開するようにシグナリングします。
(注) レーザーの再起動パルス中、APR はレーザー出力が Class 1 制限を超えないようにします。APR の詳細については、「自動電力低下」を参照してください。
12.11.4.6 シナリオ 6:OPT-RAMP-C または OPT-RAMP-CE カードを使用するノードでのファイバ カット
図 12-30 に、OSC 接続がないノードでのファイバ カット シナリオを示します。このシナリオでは、OPT-RAMP-C または OPT-RAMP-CE カードは OPT-LINE モードでプロビジョニングされます。
図 12-30 OPT-RAMP-C または OPT-RAMP-CE カードを使用するノード
次のタイプのフォトダイオードは、光ペイロードの受信信号強度をモニタします。
•
OSC-RX フォトダイオード
•
LINE-RX C バンド フォトダイオード
•
Line-TX ラマン ポンプ フォトダイオード
•
COM-RX C バンド フォトダイオード
ファイバ カット後のイベント シーケンスは次のようになります(図 12-30 の丸付き数字を参照)。
1.
ノード B からノード A の方向でファイバはカットされます。
2.
ノード A では、RAMAN-RX ポートは OPT-RAMP-C または OPT-RAMP-CE カード上の LOS-R アラームを検出します。LOS-R のトラブルシューティング手順については、『Cisco ONS 15454 DWDM Troubleshooting Guide』を参照してください。
3.
OPT-RAMP-C または OPT-RAMP-CE カードでは、LOS-R アラームによって、ノード A 上のラマン ポンプをシャットダウンするコマンドがトリガーされます。
4.
ノード B では、RAMAN-RX ポートが LOS-R アラームを検出します。
5.
LOS-R アラームによって、ノード B 上のラマン ポンプをシャットダウンするコマンドがトリガーされます。
6.
同時に、ノード B の LINE-RX ポートで LOS アラームが検出されます。
7.
LOS アラームによって、組み込みの EDFA をシャットダウンするコマンドがトリガーされます。
8.
LINE-RX ポートは LOS アラームを検出し、ブースタ増幅器がシャットダウンします。
9.
ノード A では、LINE-RX ポートが LOS アラームを検出し、組み込みの EDFA、ブースタ増幅器の順でシャットダウンするコマンドがトリガーされます。
ファイバが復元されるとすぐにラマン ポンプ上で Automatic Laser Restart(ALR)が検出されます。これによって、両方のノードの両方のラマン ポンプは ON 状態になります。ラマン ポンプ上の電力が復元されると、組み込みの EDFA もオンになります。ノード A とノード B 両方のブースタ増幅器は、LINE-RX ポートでの電力を検出します。これによってブースタ増幅器が再起動します。APR サイクルが完了すると、すべてのレーザーはフルパワーに移行します。
(注) レーザーの再起動パルス中、APR はレーザー出力が Class 1 制限を超えないようにします。APR の詳細については、「自動電力低下」を参照してください。
12.12 ネットワーク レベルのゲイン:光増幅器のチルト管理
チャネルごとの光パワーの均等化を制御および調整する機能は、ONS 15454 DWDM メトロ コア ネットワーク アプリケーションの主要機能です。DWDM システム全体で光スペクトルの均等化を確保するために欠かせないパラメータは、Erbium-Doped Fiber Amplifier(EDFA; エルビウム添加光ファイバ増幅器)のゲインの平坦度です。
ゲイン チルトとゲイン リップルという 2 つのアイテムは、OPT-BST や OPT-PRE などの光増幅器カードの電力均等化の要素です。図 12-31 に、増幅器の出力電力スペクトルと、ゲイン チルトとゲイン リップルによる影響を示します。
図 12-31 増幅器の出力電力に与えるゲイン リップルとゲイン チルトの影響
ゲイン リップルおよびゲイン チルトは次のように定義されます。
•
ゲイン リップルはランダムであり、増幅器の光コンポーネントのスペクトル形状によって変わります。
•
ゲイン チルトは体系的であり、光増幅器のゲイン セットポイント(Gstp)によって変わります。この Gstp は内部増幅器設計に関連する数学関数 F(Gstp)です。
ゲイン チルトは、カード レベルで補正できる光スペクトルの非均等化にのみ寄与しています。増幅器内部の VOA はゲイン チルトの補正に使用できます。
Optical Spectrum Analyzer(OSA; 光スペクトル アナライザ)は、増幅器の出力電力スペクトルの取得に使用されます。OSA は、電力レベルの最大値と最小値のピーク間の差異を示し、ゲイン チルトとゲイン リップル両方の寄与を考慮に入れます。
(注) OSA を使用したピーク間電力の取得は、ゲイン チルトの測定には使用できません。これは、ゲイン リップル自体が実際の測定を構成しているためです。
12.12.1 カード レベルでのゲイン チルト制御
OPT-BST および OPT-PRE 増幅器カードは、内部光設計に基づいて、特定のゲイン値(Gdesign)の場合にのみ、平坦な出力(ゲイン チルト = 0 dB)になります(図 12-32 を参照)
図 12-32 平坦なゲイン(ゲイン チルト= 0 dB)
増幅器の作業ゲイン セットポイントが Gdesign と異なる場合、出力スペクトルはチルトの変動による悪影響を受け始めます。
スペクトル チルトの増加の絶対値を補正するために、OPT-BST および OPT-PRE カードは VOA の減衰を自動調整し、出力の平坦な電力プロファイルを維持します(図 12-33 を参照)。
図 12-33 ゲイン チルトに対する VOA 減衰の影響
VOA 減衰器の自動制御は、幅広い有効ゲイン セットポイント値について EDFA のゼロ チルト条件を(制限内で)保証します。
表 12-2 に、OPT-BST および OPT-PRE カードの平坦な出力ゲインの範囲制限と、特定のゲイン範囲で予想されるゲイン チルトおよびゲイン リップルの最大値(最悪の値)を示します。
表 12-2 平坦な出力ゲイン範囲の制限
|
|
|
|
OPT-BST |
G < 20 dB |
0.5 dB |
1.5 dB |
OPT-PRE |
G < 21 dB |
0.5 dB |
1.5 dB |
運用時のゲイン値が 表 12-2 に示す範囲外の場合、カード自体では直接補正できないため、EDFA はチルトの寄与を取り入れます。この条件は、増幅器カードのタイプによって異なる方法で管理されます。
•
設計上、OPT-BST--OPT-BST 増幅器はゼロ チルト範囲外で動作できません。Cisco TransportPlanner ネットワーク設計では、ゲインが 20 dB 以下の場合にのみ、OPT-BST 増幅器カードを使用します。
•
OPT-PRE--Cisco TransportPlanner では、運用時のゲイン値が 21 dB 以上でも、ネットワーク設計を許可します。この場合、DWDM システムがシステムレベルのチルト補正戦略を採用します。詳細な説明については、「システム レベルのゲイン チルト制御」を参照してください。
12.12.2 システム レベルのゲイン チルト制御
OPT-PRE カードのシステム レベルのゲイン チルトは、次の 2 つのメイン シナリオで実現できます。
•
ROADM ノードなし
•
ROADM ノードあり
12.12.2.1 ROADM ノードなしのシステム ゲイン チルト補正
特定の回線方向(サイド A からサイド B へ、またはサイド B からサイド A へ)の OPT-PRE カードが平坦な出力ゲイン範囲外(G > 21 dB)で動作している場合、ROADM ノードに接続していないスパンで、制御されていないチルトは補正されます。補正には、ダウンストリーム方向の 1 つまたは複数の増幅器で、同等な反対方向のチルトを設定します。関係するダウンストリームの増幅器数は、必要なチルト補正と、関係する増幅器のゲイン セットポイントの合計によって変わります。図 12-34 を参照してください。
図 12-34 ROADM ノードなしのシステム チルト補正
適切なチルト参照値は Cisco TransportPlanner によって計算され、ノードの起動プロセス中にインストール パラメータ リストに挿入されます(『 Cisco ONS 15454 DWDM Procedure Guide 』の「Turn Up a Node」の章を参照)。OPT-PRE および OPT-BST カードの両方について、プロビジョニング可能なゲイン チルト参照の範囲は -3 dB ~ +3 dB です。
ANS プロシージャ中に、OPT-BST または OPT-PRE カードのチルト値は TCC2/TCC2P/TCC3/TNC/TSC カードによってプロビジョニングされます(図 12-35 を参照)。プロビジョニングされたチルト参照値は、CTC OPT-PRE または OPT-BST カード ビュー([Provisioning] > [Opt. Ampli. Line] > [Parameters] > [Tilt Reference] タブ)で報告されます。
図 12-35 Cisco TransportPlanner のインストール パラメータ
12.12.2.2 ROADM ノードありのシステム ゲイン チルト補正
ROADM ノードがネットワーク内にある場合(図 12-36 を参照)、チャネルごとの動的ゲイン均等化を実行できます。ゲイン チルトおよびゲイン リップルは、次の技術を使用して完全に補正できます。
•
32WSS カード内にあるチャネルごとの VOA の実装
•
Cisco TransportPlanner で設計されている特定の電力セットポイントによる Power Control モードでの動作
図 12-36 ROADM ノードありのシステム チルト補正
12.13 光データ レートの導出
ここでは、光ネットワーキングで一般的に使用されるデータ レートの導出について説明します。
12.13.1 OC-192/STM-64 データ レート(9.95328 Gbps)
SONET OC-1 レートは 51.84 Mbps です。このレートは、標準の SONET フレームの結果です。標準の SONET フレームは、8 ビット バイトの 9 行、90 列(合計で 810 バイト)で構成されます。送信レートは、8,000 フレーム/秒(125 マイクロ秒/フレーム)です。この値から次のように 51.84 Mbps が算出されます。
(9) x (90 bytes/frame) x (8 bits/byte) x (8000 frames/sec) = 51.84 Mbps
OC-192 は 192 x 51.84 Mbps = 9953.28 Mbps = 9.95328 Gbps です
STM-64 は、SONET OC-192 データ レートと同等の SDH レートです。
12.13.2 10GE データ レート(10.3125 Gbps)
10.3125 Gbps は標準の 10 Gbps イーサネット LAN レートです。レートが 10.000 Gbps よりも高いのは、64 ビットから 66 ビットのデータ エンコーディングが理由です。結果は 10 Gbps x 66/64 = 10.3125 Gbps です。64 ビットから 66 ビットのエンコーディングの理由は、遠端でクロックとデータ リカバリ回路の適切な処理を確保するために、適切なデータ移行が行われるようにするためです。また、エンコーディングによって、DC のバランスがとられるデータ ストリームが保証されます。
12.13.3 10G FC データ レート(10.51875 Gbps)
ファイバ チャネル レートは、64 ビットから 66 ビットのエンコーディングと WAN Interconnect Sublayer(WIS)オーバーヘッド バイトを追加した、9.95328 Gbps の OC-192 レートに基づきます。
レートは基本の 9.95328 Gbps OC-192 レートから導出されます。まず、64 ビットから 66 ビットのエンコーディングが追加され、それによって 10.3125 Gbps レートになります(10 Gbps x 66/64 = 10.3125 Gbps)。さらに、WIS オーバーヘッドが追加されます。これは 10.3125 Gbps に 2% の追加です。結果として次のようになります。
10.3125 Gbps x .02 = 0.20625 Gbps
10.3125 Gbps + 0.20625 Gbps = 10.51875 Gbps
12.13.4 ITU-T G.709 光データ レート
光ネットワーキングのデータ レートを理解するには、ITU-T G.709 フレーム構造(図 12-37 を参照)を理解する必要があります。
図 12-37 ITU-T G.709 のフレーム構造
図 12-37 の各サブ行には 255 バイトが含まれます。16 は水平にインターリーブされます(16 x 255 = 4080)。ITU-T G.709 フレーム一式を構成するために、この処理は 4 回繰り返されます。
Reed Solomon(RS)(255,239)の指定は、Forward Error Correction(FEC; 前方誤り訂正)バイトを示します。16 FEC(つまりパリティ)バイトがあります。ITU-T G.709 プロトコルは 1 オーバーヘッド バイトと 238 データ バイトを使用して、16 パリティ バイトを計算して、255 バイト ブロック(RS(255,239)アルゴリズム)を構成します。情報のインターリーブには主に 2 つの利点があります。まず、各ストリームのエンコーディング レートは回線送信レートに相対して低下します。また、エラー バーストの影響が軽減されます。RS(255,239)アルゴリズムの内在的な補正強度とインターリーブを組み合わせることで、最大 128 の連続するエラー バイトの送信バーストを修正できるようになります。結果として、ITU-T G.709 の連続するバースト エラーの修正機能は、RS(255,239)アルゴリズム自体の容量の 16 倍強化されます。
ITU-T G.709 は Optical Transport Unit 2(OTU2)レートを 10.70923 Gbps と定義しています。ITU-T G.709 は次の 3 つの回線レートを定義しています。
1.
2,666,057.143 kbps:Optical Transport Unit 1(OTU1)
2.
10,709,225.316 kbps:Optical Transport Unit 2(OTU2)
3.
43,018,413.559 kbps:Optical Transport Unit 3(OTU3)
OTU2 レートは OC-192 よりも高くなります。これは、OTU2 はフレームでオーバーヘッドと FEC バイトを伝送する必要があるためです。OC-192 レートでペイロード情報を伝送するには、より高速にビットを送信する必要があります。
ITU-T G.709 フレームには 2 つのパートがあります。次の 2 点が SDH/SONET フレームと似ています。
1.
運用、管理、およびメンテナンス機能のオーバーヘッド領域
2.
顧客データのペイロード領域
さらに、ITU-T G.709 フレームには FEC バイトも含まれます。
12.13.4.1 OTU2 G.709 フレーム データ レートにパッケージ化された OC-192(10.70923 Gbps)
この場合、OC-192 フレームは OTU2 G.709 フレームで送信されます。これも FEC の利点になります。同じ時間でより多くのバイト(OC-192 + ITU-T G.709 オーバーヘッド + ITU-T G.709 FEC バイト)を送信するには、OC-192 データ レート(9.95328 Gbps)を増やす必要があります。OTU2 の送信では、255 バイト中の 237 バイトは OC-192 ペイロードです。つまり、結果のデータ レートは次のようになります。
9.95328 x 255/237 = 10.70923 Gbps
12.13.4.2 OTU2 G.709 フレーム データ レートにパッケージ化された 10GE(非標準の 11.0957 Gbps)
イーサネット データを OTU2 G.709 フレームにカプセル化することは非標準と見なされます。目標は、バースト エラーのパフォーマンスを改善するために、ITU-T G.709 カプセル化の利点を追加することです。ただし、オーバーヘッドと FEC バイトが増えるため、同じ時間でより多くのバイトを送信する必要があります。そのためにデータ レートを増やす必要があります。新しいデータ レートは次のとおりです。
10.3215 x 255/237 = 11.0957 Gbps
12.13.4.3 OTU2 G.709 フレーム データ レートにパッケージ化された 10G(非標準の 11.31764 Gbps)
OTU2 フレームにファイバ チャネルをカプセル化することは非標準と見なされます。OTU2 には FEC バイトが含まれるため、レートは 10.51875 レートよりも高くなります。標準のファイバ チャネル レートでペイロードが提供されるように、ビットはより高速なレートで実行する必要があります。レートは次のとおりです。
10.51875 x 255/237 = 11.31764 Gbps
12.14 偶数帯域管理
次のカードが導入されたため、同じネットワーク内で 72、80、104、または 112 の波長チャネルを伝送できるようになりました。
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40-WSS-CE(40 チャネル Wavelength Selective Switch、C バンド、偶数チャネル)
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40-DMX-CE(40 チャネル デマルチプレクサ、C バンド、偶数チャネル)
これらの新しいカードと、40-WSS-C および 40-DMX-C カード(40 の C バンド奇数チャネルを処理)、32WSS および 32DMX カード(32 の C バンド奇数チャネルを処理)と、32WSS-L および 32DMX-L(32 の L バンド奇数チャネルを処理)を使用することで、最大 112 チャネルの 80 の C バンド チャネル(40 の偶数および 40 の奇数チャネル)と 32 の L バンド奇数チャネルに対応できます。次のチャネル範囲の組み合わせが可能です。
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72 の C バンド チャネル。32WSS、32DMX、40-WSS-CE、および 40-DMX-CE カードを使用します。
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80 の C バンド チャネル。40-WSS-C、40-DMX-C、40-WSS-CE、および 40-DMX-CE カードを使用します。
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104 チャネル(32 の L バンド奇数チャネルと 72 の C バンド チャネル)。32 の L バンドの奇数チャネルに対応する 32WSS-L および 32DMX-L カードのセットと、72 の C バンド奇数および偶数チャネルに対応する 32WSS、32DMX、40-WSS-CE、および 40-DMX-CE カードのセットを使用します。
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112 チャネル(32 の L バンド奇数チャネルと 80 の C バンド偶数チャネル)。32 の L バンドの奇数チャネルに対応する 32WSS-L および 32DMX-L カードのセットと、80 の C バンド奇数および偶数チャネルに対応する 40-WSS-C、40-DMX-C、40-WSS-CE、および 40-DMX-CE カードのセットを使用します。
次のノード トポロジは、偶数チャネル管理または奇数および偶数チャネル管理に使用できます。
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端末ノード
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ハブ ノード
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ROADM ノード
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OSC 再生成と光回線の増幅器ノード
外部の ONS 15216-ID-50 モジュールは、奇数と偶数の C バンド チャネルを組み合わせるため、または個別に処理するために必要な、50 GHz/100GHz の光インターリーバ/デインターリーバです。このモジュールは、2 つの光データ ストリームを 1 つのより高密な空間のストリームに合成することで容量を増やしています。このモードをマルチプレクサ モードで使用して、2 つの 100-GHz 光信号ストリームを 1 つの 50-GHz ストリームに合成できます。また、デマルチプレクサ モードでは、50-GHz ストリームを 2 つの 100-GHz ストリームに分離できます。
ONS 15216-SC-CL モジュールは、C バンドの奇数/偶数チャネルと L バンド奇数チャネルの合成と分離を行うことができる、外部 C バンドおよび L バンド スプリッタ/コンバイナ モジュールです。
104 チャネルの C バンドと L バンド ROADM ノードの例を図 12-38に示します。72 の C バンド偶数チャネルと 32 の L バンド奇数チャネルがあります。次の手順で、図の左側から右側への信号フローについて説明します。右側から左側への信号フローは同じです。
1.
すべての C バンドおよび L バンド信号が ONS 15216-SC-CL に着信します。
2.
信号が ONS 15216-SC-CL から送出されると、72 の C バンド偶数および奇数チャネル信号はブロックの上位セットに送信され、32 の L バンド奇数チャネル信号はブロックの下位セットに送信されます。
3.
72 の C バンド偶数および奇数チャネル信号は、プリアンプを通過してから、ONS 15261-ID-50 および Wavelength Selective Switch(WSS)を通過します。ドロップされるチャネルのみがデマルチプレクサ(DMX)ブロックに送信されます。このようなブロックのセットとして、32 の奇数 C バンド チャネルのセットと、40 偶数 C バンド チャネルのセットの 2 つがあります。
4.
32 L バンド奇数チャネル信号は、プリアンプを通過してから、2 つの 32 チャネル波長選択スイッチ(32WSS-L)カードを通過します。ドロップされるチャネルのみが 32 チャネル デマルチプレクサ(32DMX-L)カードに送信されます。
5.
ブロックの上位セットでは、ONS 15261-ID-50 が 40 C バンド偶数チャネルから 32 の C バンド奇数チャネルをデインターリーブします。32 の C バンド奇数チャネルは、上位ブロックを介してルーティングされます(2 つの 32WSS カードと 1 つの 32DMX カード)。40 C バンド偶数チャネルは下位ブロックを介してルーティングされます(2 つの 40-WSS-CE カードと 1 つの 40-DMX-CE カード)。
6.
信号は 32WSS-L または 40-WSS-CE カードに着信すると、分割されます。信号の一部(ドロップされるチャネル)は、チャネルをドロップしてクライアント装置が使用できるように、32 DMX-L カードまたは 40-DMX-CE カードに送信されます。その他の信号は次の 32WSS-L カードまたは 40_DMX-CE カードに送信されます。次のカードでは、チャネルが通過またはブロックされる可能性があります。また、クライアント装置からのストリームにチャネルを追加できます。
7.
チャネルが最後の 32WSS-L カードまたは 40-WSS-CE カードから送出されると、C バンドの偶数および奇数チャネルは、ONS 15216-ID-50 モジュールによって 1 つのストリームにインターリーブされ、ブースタ増幅器を介して送信されます。次に ONS 15216-SC-CL モジュールに送信されます。このモジュールでは、ブロックの下位セットからの L バンド信号とまとめられ、光ファイバに送出されます。
図 12-38 104 チャネル C バンドと L バンド ROADM ノード
112 チャネルの C バンドと L バンド ROADM ノードの例を図 12-39に示します。図 12-38に示す 104 チャネル ROADM ノードと同様に動作しますが、奇数チャネルが 32 ではなく 40 あるという点が異なります。
図 12-39 112 チャネル C バンドと L バンド ROADM ノード