オンデマンド帯域幅(BWoD)

オンデマンド帯域幅(BWoD)は、セグメント ルーティング ポリシー(SR ポリシー)の SR-PCE と組み合わせて帯域幅認識パス計算要素(PCE)を提供します。BWoD ポリシーは、PCC によって開始(PCE 委任)または PCE によって開始されたポリシーにできます。BWoD は、SR ポリシーを介してソフト帯域幅保証サービスを提供するように設計されています。BWoD はネットワークの状態をモニターし、BWoD パスを再最適化して、インターフェイス上の合計 BWoD トラフィックが設定されたしきい値の割合を超えないようにします。

BWoD はインターフェイスの総使用率を追跡しないため、BWoD トラフィックと非 BWoD トラフィックの合計がインターフェイス容量を超えた場合でも、インターフェイスが輻輳する可能性があります。さらに、BWoD では BWoD SR ポリシーに入るトラフィックの総量は強制されません。BWoD ポリシーでは、Equal Cost Multipath(ECMP; 等コストマルチパス)を通過する可能性があるトラフィックの均等なトラフィック分散が想定されます。ただし、特にフローが大きい場合は、実際の ECMP 分散が不均一になる可能性があります。


(注)  


ここで説明する機能は、特定のライセンスオプションでのみ使用できます。


ここでは、次の内容について説明します。

BWoD に関する特記事項

BWoD を使用する場合は、次の情報を考慮してください。

  • BWoD を使用するには、Advanced RTM ライセンスパッケージが必要です。

  • このリリースでは、ロールベース アクセス コントロール(RBAC)とタスクの権限が導入されました。BWoD ポリシーをプロビジョニングするには、デバイスアクセスグループと割り当てられたロールに基づいた、ヘッドエンドデバイスへの書き込みアクセス権が必要です。BWoD 管理ユーザーのみが BWoD 構成設定を変更できます。RBAC およびユーザーロールの詳細については、Cisco Crosswork Network Controller アドミニストレーション ガイド [英語] を参照してください。

  • 要求された帯域幅を保証するポリシーのパスを BWoD が検出できない場合、このオプションが有効になっていると、BWoD は「ベストエフォート」パスの検出を試みます。

  • BWoD は、予期しないエラーが発生した場合、ネットワークの中断を回避するために BWoD 自体を無効化します。

  • Optimization Engine の再起動またはトポロジサービスからのトポロジの再構築が原因で Optimization Engine モデルが使用できなくなると、BWoD は一時的に動作を停止します。この期間中の BWoD への要求は拒否されます。モデルが使用可能になり、BWoD が Optimization Engine から 2 つのトラフィック更新を受信すると、BWoD は通常の動作を再開します。

  • [ポリシー違反(Policy Violation)] 詳細フィールドが [厳格(Strict)] に設定されている場合、SR ポリシートラフィックのオプションは [要求された最大測定値(Max Measured Requested)] に設定する必要があります。

  • 高可用性セットアップでのスイッチオーバー後、最後のクラスタデータ同期後に作成された BWoD ポリシーは管理できなくなり、孤立した TE ポリシーと見なされます。Crosswork は、孤立した TE ポリシーを検出するとアラームを表示します([管理(Administration)] > [アラーム(Alarms)])。API を使用して、孤立したポリシーをクリアして管理可能できるようにできます。詳細については、DevNet の API ドキュメントを参照してください。

PCC によって開始された BWoD SR-TE のポリシー

有効にすると、BWoD は Crosswork で設定されているすべての SR-PCE プロバイダーに自動的に接続します。SR-PCE BWoD REST API に永続的に接続され、帯域幅が制約された SR-TE ポリシーの PCE として登録されます。

次の図に、BWoD の PCC によって開始されたワークフローを示します。

図 1. PCC によって開始された BWoD SR-TE のポリシー
PCC によって開始された BWoD SR-TE のポリシー
引き出し線番号 説明

1

BWoDポリシーは、CLIを介してPCCで設定されます。次に例を示します。
segment-routing
 traffic-eng
  policy bwod
   bandwidth 900
   color 100 end-point ipv4 1.1.1.2
   candidate-paths
    preference 100
     dynamic
      pcep
      !
      metric
       type te
      !
     !
     constraints
      affinity
       exclude-any
        name RED
       !
      !
     !
    !
   !

2

帯域幅ステートメントが PCE 委任 SR ポリシーに追加され、BWoD ポリシーが作成されます。コミットされると、PCC はパスの計算を SR-PCE に委任します。

3、4

SR-PCE は、帯域幅の制約を満たすパスを計算しようとする BWoD にポリシーを委任します。

5、6

帯域幅準拠のパスが見つかった場合、セグメントリストが SR-PCE に返され、PCEP を介して PCC に転送され、PCC によってインスタンス化されます。BWoD がポリシーの BW 準拠パスを計算できない場合か、または BWoD が既存の BWoD ポリシーに BW 準拠パスを持たないように強制する場合は、BWoD によってベストエフォートパスが計算され、違反が最小限に抑えられます。また、これが発生したことで、BWoD が COE イベント UI にイベントを発行し、現在ベストエフォートパスになっている BWoD ポリシーを示します。

7

BWoD SR-TE ポリシーがインスタンス化されます。

インテントベースの帯域幅の要件を維持するための SR-TE ポリシーのプロビジョニングの例

この例では、次のことを示します。
  • オンデマンド帯域幅(BWoD)を有効にして設定する方法

  • BWoD ポリシーの作成方法

  • BWoD によるパスの計算方法

  • ポリシー違反オプションが Loose または Strict に設定されている場合に、BWoD が新しいポリシーを計算する方法。

具体的には、使用率を 80% に維持しながら、同じヘッドエンド(L1-NCS5501.cisco.sjc20.com)とエンドポイント(L5-8201-1-crosswork.cisco.com)を使用して、帯域幅要件が 700 Mbps と 1000 Mbps の 3 つの BWoD ポリシーが作成されます。この例では、すべてのインターフェイスのキャパシティが 1 Gbps です。

図 2. 初期 BWoD トポロジの例

初期 BWoD トポロジ

手順


ステップ 1

BWoD を有効にして設定します。

  1. メインメニューから、[トラフィック エンジニアリング(Traffic Engineering)] > [オンデマンド帯域幅(Bandwidth on Demand)] > [設定(Configuration)] の順に選択します。

  2. [有効化(Enable)] スイッチを [はい(True)] に切り替え、[リンク使用率(Link utilization)] フィールドに 80 と入力し、[詳細設定(Advance)] > [ポリシー違反(Policy Violations)] が [緩やか(Loose)] に設定されていることを確認します。他のオプションの説明を表示するには、[情報(Info)] アイコン の上にマウスを重ねます。

  3. [変更を確定(Commit changes)] をクリックします。

ステップ 2

最初の PCE 開始 BWoD SR-TE ポリシーを作成します。

  1. メインメニューから [トラフィック エンジニアリング(Traffic Engineering)] > [SR-TE] タブの順に選択し、[+作成(+Create)] をクリックします。

  2. 必要なポリシーの詳細を入力します。この例では、次の値を使用してポリシーを作成します。

    • ヘッドエンド:L1-NCS5501.cisco.sjc20.com

    • エンドポイント:L5-8201-1-crosswork.cisco.com

    • 色:70000

    例:

    図 3. ポリシーの詳細


  3. [ポリシーパス(Policy path)] 領域で、[オンデマンド帯域幅(Bandwidth on demand)] をクリックし、必要なポリシーパスの詳細を入力します。この例では、次の値を使用します。

    • パス名:bwod-70000

    • 最適化の目標:内部ゲートウェイプロトコル(IGP)メトリック

    • 帯域幅:7000 Mbps

    例:

    図 4. ポリシーパスの詳細

    ポリシーの詳細
  4. [プレビュー(Preview)] をクリックします。BWoD では、別の BWoD ポリシーによって予約されている現在のインターフェイス使用率のみが考慮されます。それ以外の場合、BWoD は計算でインターフェイスのキャパシティのみを考慮します。この例では、すべてのインターフェイスのキャパシティが 1 Gbps です。既存の BWoD ポリシーがないため、BWoD はすべてのノードのキャパシティを考慮し、最短ルートを選択します。

    例:

    図 5. 最初の BWoD ポリシー(bwod-70000)

    bwod-70000 ポリシーのプレビュー
  5. 提案された BWoD SR-TE ポリシーの展開に問題がなければ、[プロビジョニング(Provision)] をクリックします。

ステップ 3

新しい BWoD SR-TE ポリシーが作成されたことを確認します。

  1. メインメニューから、[トラフィック エンジニアリング(Traffic Engineering)] > [SR-TE] を選択します。

  2. 新しい BWoD SR-TE ポリシーを選択し、SR ポリシーの詳細を表示します([表示(View)] をクリックして選択します)。

ステップ 4

2 番目の BWoD ポリシーを作成します。この例では、次の値を使用します。

  • ヘッドエンド:L1-NCS5501.cisco.sjc20.com

  • エンドポイント:L5-8201-1-crosswork.cisco.com

  • 色:70001

  • パス名:bwod-70001

  • 最適化の目標:内部ゲートウェイプロトコル(IGP)メトリック

  • 帯域幅:700 Mbps

BWoD は、既存の BWoD ポリシー(bwod-70000)とその帯域幅要件をインターフェイス キャパシティの計算で考慮します。したがって、bwod-70001 ポリシー用の新しいパスが作成されます。
図 6. 新しい bwod-70001 ポリシー

新しい bwod-70001 ポリシー

ステップ 5

3 番目の BWoD ポリシーを作成します。この例では、次の値を使用します。

  • ヘッドエンド:L1-NCS5501.cisco.sjc20.com

  • エンドポイント:L5-8201-1-crosswork.cisco.com

  • 色:70002

  • パス名:bwod-70002

  • 最適化の目標:内部ゲートウェイプロトコル(IGP)メトリック

  • 帯域幅:1000 Mbps

BWoD では以前のすべての BWoD ポリシー要件が考慮され、BWoD ポリシー違反オプションが緩やか(Loose)に設定されているため、BWoD は bwod-70002 ポリシーのベストエフォートパスを作成します。新しいポリシーをプロビジョニングすると、次のメッセージが表示されます。
図 7. ベストエフォートメッセージ

ベストエフォートメッセージ

bwod-7000 および bwod-70001 の既存のパスは、新しい bwod-70002 ポリシーに対応するために移動されることに注意してください。

例:

図 8. Loose オプションを使用した BWoD ポリシー

bwod-70002 ポリシー

ステップ 6

BWoD ポリシー違反オプションを、厳格(Strict)に変更します([トラフィックエンジニアリング(Traffic Engineering)] > [オンデマンド帯域幅(Bandwidth on Demand)] > [設定(Configuration)] > [詳細設定(Advanced)]の順に選択)。

ステップ 7

4 番目の BWoD ポリシーを作成します。この例では、次の値を使用します。

  • ヘッドエンド:L1-NCS5501.cisco.sjc20.com

  • エンドポイント:L5-8201-1-crosswork.cisco.com

  • 色:70003

  • パス名:bwod-70003

  • 最適化の目標:内部ゲートウェイプロトコル(IGP)メトリック

  • 帯域幅:1000 Mbps

BWoD ポリシー違反オプションが厳格(Strict)に設定されているため、BWoD は既存の BWoD ポリシーを上書きできず、追加の 1000 Mbps ポリシーを要求すると、「ソリューションが見つかりません(No solution found)」というメッセージが表示されます。
図 9. ソリューションが見つかりません

ソリューションが見つかりません

オンデマンド帯域幅の設定

オンデマンド帯域幅(BWoD)を使用するには、主に次の 2 つの手順があります。

  1. BWoD オプションを有効にし、設定します。

  2. BWoD SR ポリシーを作成します。BWoD が有効になっている限り、複数の BWoD SR ポリシーを作成できます。

手順


ステップ 1

メインメニューから、[トラフィック エンジニアリング(Traffic Engineering)] > [オンデマンド帯域幅(Bandwidth on Demand)] > [設定(Configuration)] の順に選択します。

ステップ 2

[有効化(Enable)] スイッチを [True] に切り替えます。

ステップ 3

追加のオプションを設定します。各フィールドの説明を表示するには、[情報(Info)] アイコン の上にマウスポインタを合わせます。

ステップ 4

[変更のコミット(Commit changes)] をクリックして、設定を保存します。

ステップ 5

BWoD SR ポリシーを作成するには、[トラフィックエンジニアリング(Traffic Engineering)] > [トラフィックエンジニアリング(Traffic Engineering)] を選択します。

ステップ 6

[SRポリシー(SR Policy)] テーブルで、[作成(Create)] > [PCEによって開始(PCE Init)] を選択します。

ステップ 7

必要な SR ポリシーの詳細を入力する以外に、[オンデマンド帯域幅(Bandwidth on demand)] オプションをクリックし、必要な帯域幅を入力します。

ステップ 8

該当する場合は、[SIDアルゴリズム(SID Algorithm)] フィールドにフレキシブルアルゴリズムの制約を入力します。値はデバイスで定義されているフレキシブルアルゴリズムに対応し、128 ~ 255 の範囲が Cisco IOS XR によって適用されます。Cisco Crosswork は、この SID を持つパスを見つけようとします。SID の制約のあるパスが見つからない場合、プロビジョニングされたポリシーは、条件が満たされるまで運用停止状態のままになります。

ステップ 9

[プレビュー(Preview)] をクリックして、提案された SR ポリシーを表示します。

ステップ 10

[プロビジョニング(Provision)] をクリックして、SR ポリシーをコミットします。


BWoD のトラブルシューティング

次に、BWoD の最も一般的ないくつかのエラー状態と問題を解決する可能性のある修正処置を示します。

表 1. エラー

エラーイベントメッセージ

考えられる原因と推奨される修正処置

OptimaModelError

Optimization Engine を通じて BWoD で使用されるネットワークモデルが破損しているか、または BWoD を適切にサポートするために必要なキーデータが欠落しています。考えられる原因には、Optimization Engine とトポロジサービス間のネットワーク検出の問題または同期の問題などがあります。Optimization Engine ポッドを再起動してモデルの再構築を試してください。

このエラーは、展開された後にポリシーを検出してモデルに追加するために必要な時間が、BWoD に設定された [展開のタイムアウト(Deployment Timeout)] オプションを超えた場合にも発生する可能性があります。デフォルトは 30 秒で、小規模から中規模のネットワークの場合はこれで十分です。ただし、大規模なネットワークではそれ以上の時間が必要になる場合があります。

NATSTimedOutError

SR-PCE による帯域幅ポリシーの展開が BWoD に設定された [展開のタイムアウト(Deployment Timeout)] オプションを超えている。[展開のタイムアウト(Deployment Timeout)] オプションの値を引き上げて、大規模なネットワークでの展開にさらに時間をかけるようにします。

トレースバックまたはログファイルで見つかったその他のエラー

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