DMP グローバル設定の構成
この項では、次のトピックについて取り上げます。
■ デジタル メディア プレーヤーのタイム プロトコルと同期
■ デジタル メディア プレーヤーで NTP と PTP を設定する方法
デジタル メディア プレーヤーのネットワーク時刻源
DMP は、グローバル DMP 設定で 2 つの異なるネットワーク時刻源をサポートしています。
■Network Time Protocol(NTP):これがデフォルトです。
■高精度時間プロトコル(PTP):ビデオ ウォール同期機能および DMP 間同期に必要です。
NTP および PTP の設定は、すべての デジタル メディア プレーヤーに対してグローバルにプロビジョニングされます。Cisco Vision Dynamic Signage Director サーバはすべてのメディア プレーヤーのデフォルト NTP ソースとしてプロビジョニングされます。
注: PTP が設定されている場合は、DMP の PTP マスターのみが NTP を使用してクロックを取得します。
DMP デバイス間でビデオ再生の最も正確な同期を実現するには、対象のメディア プレーヤーの時刻がほぼ同じである必要があります。NTP ではこのレベルの時刻同期および精度が提供されないため、PTP も必要です。
PTP マスターおよびメンバー
DMP は PTP マスターまたは PTP メンバーとして機能できます(メンバーはマスターから時刻を取得します)。同様に、PTP マスターは NTP サーバから時刻を取得します。
デフォルトでは、すべての DMP デバイスが有効なマスター候補に指定されています。
DMP 間コンテンツ同期
デジタル メディア プレーヤーの DMP 間コンテンツ同期機能は、ディスプレイに表示されるプレイリスト アイテムのコンテンツ レンダリングを同期します。
この同期には、アイテムからその次のアイテムへの移行(静止イメージの移行を含む)、ローカル ビデオ コンテンツのより正確な再生と描画などが含まれます。ローカル ビデオの場合、この機能はビデオ リボン ボードとビデオ ウォールを実装するための基盤となります。この機能を使用するには、ディスプレイごとに 1 台のメディア プレーヤーを接続する必要があります。
注: ウィジェット、外部 URL、マルチキャスト ビデオ チューニングの同期は、この機能の対象外です。
Network Time Protocol(NTP)の使用によって改善されたコンテンツ同期は、Cisco Vision Director リリース 3.2 で初めて導入されました。
Cisco Vision Director リリース 4.0 以降では、強化されたコンテンツ同期方式が DMP のみを対象にサポートされています。これにより、高精度時間プロトコル(PTP)を使用してプレイリスト アイテムの移行がかなり正確に同期されます。
ゾーンベース ビデオ ウォール同期
ゾーンベース ビデオ ウォール同期とは、ビデオ ウォールに参加している DMP デバイスで使用できる代替の同期形式です。この形式では DMP 固有のメカニズムが使用されるため、一連のメディア プレーヤーはマルチキャストを介して常にリーダー デバイスとコンテンツを同期できます。
この同期形式の主な利点は、ビデオ ウォールのリーダーではない DMP デバイスがリブートした場合に、ビデオ ウォールの他のデバイスが現在再生しているコンテンツ アイテムを「追従」して再生することです。
ゾーンベース ビデオ ウォール同期を使用していない(通常の DMP 間同期を使用している)ビデオ ウォール内の 1 台の DMP デバイスがリブートすると、トレードオフとして、リブートしたデバイスはビデオ ウォール内の残りのデバイスと、プレイリストの次のコンテンツ アイテムで同期されます。プレイリスト内にアイテムが 1 つ含まれている場合は、再生時に同期されます。
一般的なガイドラインとして、15 分を超えるビデオ コンテンツを再生する専用ビデオ ウォールには、ゾーンベース ビデオ ウォール同期を使用します。すべてのビデオ ウォールにこの同期形式を使用できますが、同期の利点がわかりやすいのは、より長いビデオ ウォール コンテンツを再生する場合です。
PTP を使用したビデオの DMP 間同期の使用例
PTP は、Cisco Vision Dynamic Signage Director ネットワークの次の使用例で特に役立ちます。
■イベントのプライマリおよびセカンダリ リージョンを表示するダイナミック メニュー ボード(DMB)のビデオ バックグラウンドを使用する。
■独占的な機会の提供。
■チームがゴールを決めたときに、ライブ イベントを表示している全画面ビデオをオーバーレイして、luma キー機能を使用したセカンダリ ビデオを画面に表示する。
■ビデオベースの広告。
■リージョン 2 または 3(または L-wraps)の広告をビデオ コンテンツにする。L-wraps の場合は、ライブ マルチキャスト ビデオが表示されるように luma キーを使用する。
デジタル メディア プレーヤーでの PTP の制約事項
Series 2 and Series 3 メディア プレーヤーで PTP を設定する前に、次の制約事項を考慮してください。
■デフォルトで PTP メッセージは VLAN を通過しません。PTP マスター候補を VLAN ごとに識別して管理ダッシュボードで設定する必要があります。
■システムは、管理ダッシュボードで設定可能な高精度時間プロトコル(PTP)存続可能時間(TTL)設定をサポートします。PTP TTL は、PTP マスターの選出で通過できる VLAN の数を指定します。デフォルト値の 1(推奨)は、各 VLAN で独自の PTP マスターが選出されることを意味します。
注: 複数の VLAN がある場合に簡単に設定を行えるように、システムは PTP マスター候補の対象としてすべての Series 2 and Series 3 デバイスを表示するようにデフォルト設定されています。これによって設定はシンプル化されますが、デバイスが各ネットワークでマスター デバイスを調停する際の所要時間は、各ネットワーク内の対象デバイスの数によって異なる点に注意してください。
■ Series 2 and Series 3 メディア プレーヤーでビデオを再生する際のコンテンツ同期には、PTP を使用する DMP 全体の正確な時刻が利用されます。DMP でビデオを再生中にいずれかのデバイスがリブートすると、リブートしたユニットはビデオを最初から再生し直します。他のプレーヤーと同期されるのは、再生リストが次にレンダリングされるときのみです。
■ Series 2 and Series 3 デバイス が、同期機能が強化されたビデオ ウォールのゾーンベース コンテンツ同期に参加している場合、リブートしたユニットはビデオ ウォールのデバイス リーダーで現在再生されているアイテムと同期されます。詳細については、『 Cisco Vision Dynamic Signage Director Operations Guide 』の「Working with Video Walls」を参照してください。
デジタル メディア プレーヤーでの NTP と PTP に関するガイドライン
シリーズ 2 およびシリーズ 3 メディア プレーヤーで NTP と PTP を設定する前に、次のガイドラインを考慮してください。
■Cisco Vision Dynamic Signage Director の新規インストールの場合、PTP がシリーズ 2 およびシリーズ 3 メディア プレーヤーのデフォルト時刻源となり、選出された PTP マスターのデフォルト時刻源は NTP です。
NTP のガイドライン
■PTP マスター(VLAN ごと)に指定されたシリーズ 2 およびシリーズ 3 メディア プレーヤーは、それぞれの時刻源として NTP を使用します。ネットワーク内の他のデバイスは、選出された PTP マスターの PTP 基準クロックを使用して動作します。
■PTP を無効にすると(非推奨)、すべてのシリーズ 2 およびシリーズ 3 デバイスが NTP を使用してローカル クロックを設定します。
注: 同期ビデオ再生の場合、シリーズ 2 およびシリーズ 3 デバイスは NTP のみに依存できません。PTP も使用する必要があります。
■ホスト タイム サーバとのデフォルト NTP 同期間隔は 1 時間ですが、設定可能です。
■Cisco Vision Dynamic Signage Director で NTP ソースを設定する必要があります。デフォルトで、Cisco Vision Dynamic Signage Director サーバはシリーズ 2 およびシリーズ 3 の NTP ホストとして設定されます。
PTP のガイドライン
■PTP バージョン 2 はシリーズ 2 およびシリーズ 3 メディア プレーヤーでのみサポートされ、設定すると Cisco Vision Dynamic Signage Director ネットワーク内のすべてのデバイスにグローバルに適用されます。
■PTP 設定には、PTP ドメインと一連のマスター候補が含まれます。
–[PTP domain]:デフォルトは 0 です。
このドメインがネットワーク内で使用される他のどの PTP ドメイン(およびマルチキャスト アドレッシング)とも競合しないことを確認し、必要に応じて変更します。詳細については、「[Global DMP Settings]:PTP プロパティの値」の表を参照してください。
–[PTP master candidates]:デフォルトは * です。
これは、ネットワーク内のすべてのシリーズ 2 およびシリーズ 3 デバイスがマスター候補の対象であり、それぞれのサブネットのマスターを指定する調停が実行されることを指定します。
■デフォルトの PTP マスター候補設定を変更する場合は、VLAN ごとに IP アドレスをセミコロンで区切って 1 台以上のシリーズ 2 およびシリーズ 3 デバイスをマスター候補として設定する必要があります。
ネットワークあたり 2 つ以上のマスター候補が推奨されます。
■ネットワークに社内 PTP マスターがある場合は、[PTP master candidates] プロパティの値を空白のままにします。ただし、この設定がサポートされるのは複数のサブネットが使用されていない場合のみです。
デジタル メディア プレーヤーでの PTP および NTP 設定の変更
デフォルトで NTP サービスと PTP サービスは、シリーズ 2 およびシリーズ 3 メディア プレーヤーで自動的に有効化および設定されます。このタスクは、表 2および表 3で説明されているデフォルト設定を変更する必要がある場合に使用します。
表 2 [Global DMP Settings]:PTP プロパティの値
プロパティ (レジストリ キー) |
説明 |
値 |
(Globaldmpsetting.common.init.ptp.domain)
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PTP 通信のマルチキャスト アドレスを定義する PTP ネットワークのドメイン番号。
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IEEE 1588 PTP の有効な値は次のとおりです。
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(Globaldmpsetting.common.init.ptp.master.host)
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マスター候補選択の対象となるSV-4K and DMP-2K デバイス。
|
■ * :(デフォルト)。PTP マスター候補の対象としてネットワーク内のすべてのSV-4K and DMP-2K デバイスを指定するワイルドカード パターン。 ■サブネットごとにセミコロンで区切られた、SV-4K and DMP-2K デバイスの IPv4 アドレス。 例:
10.0.0.3;10.0.0.4;192.168.0.5;192.168.0.6
■空白:Cisco Vision Dynamic Signage Director の外部にある PTP マスター ソースが使用されることを指定します。この設定は、複数のサブネットにデバイスがない場合にのみ有効です。 |
(Globaldmpsetting.common.init.ptp.ttl)
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PTP マスターの選出で通過できる VLAN の数。
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注: ビデオ ウォールごとの PTP マスターの選出を 1(デフォルト値)のままにすることをお勧めします。TTL を 2 以上に設定すると、ローカル ビデオ同期の低下が発生する可能性があります。
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注 :ドメインの設定を空白にすると、すべての DMP で PTP が無効になります。DMP は 時刻源として再び NTP を使用するようになります。
表 3 [Global DMP Settings]:NTP プロパティの値
プロパティ (レジストリ キー) |
説明 |
値 |
(Globaldmpsetting.common.deploy.ntpc.hostname)
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デフォルト:Cisco Vision Dynamic Signage Director サーバの IP アドレス。
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(Globaldmpsetting.common.deploy.ntpc.interval)
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設定された NTP ホストと時刻を同期するまでにシリーズ 2 およびシリーズ 3 が待機する秒数。
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(Globaldmpsetting.common.deploy.ntpc.timezone)
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すべてのシリーズ 2 およびシリーズ 3 DMP で標準的な NTP および PTP 設定を変更する手順は次のとおりです。
1. 管理者として Cisco Vision Dynamic Signage Director サーバにログインします。
2. [Tools] > [Management Dashboard] に移動します。
3. [Dynamic Signage Director Configuration] > [System Configuration] > [Global DMP Settings] > [Time Source] に移動します(図 1)。
図 1 シリーズ 2 およびシリーズ 3 の NTP と PTP のグローバル DMP 設定
4. (オプション)ネットワークの必要に応じて、グローバル PTP プロパティを変更します。表 2を参照してください。
5. (オプション)環境の必要に応じて、グローバル NTP プロパティを変更します。表 3を参照してください。
6. ディスク アイコンをクリックして変更内容を保存します。
7. シリーズ 2 およびシリーズ 3 デバイスをリブートします。
デジタル メディア プレーヤーに対する PTP 動作の確認
ここでは、PTP 設定だけでなく、シリーズ 2 およびシリーズ 3 デバイスに対する PTP 動作も合わせて確認する方法について説明します。
シリーズ 2 およびシリーズ 3 メディア プレーヤーに対する PTP 動作を確認する手順は次のとおりです。
1. ブラウザを開き、DMP の 1 つに移動します。
http:// sv4k-ip-address /ptp.html
2. 「offsetFromMaster」の値が 0.0 のユニットを探して、PTP マスターを特定します。
図 2では、PTP マスターが強調表示され、12 のメンバーで PTP が正常に動作しているネットワークが示されています。
図 2 正常な PTP クロック動作