コンテンツ導入のための設定オブジェクトの概要
表 2では、Cisco Vision Dynamic Signage Director でコンテンツの導入に使用するさまざまな設定オブジェクトについて簡単に説明しています。
表 2 コンテンツ導入のための設定オブジェクトの概要
設定オブジェクト |
捉え方 |
目的 |
ゾーン/グループ/ロケーション |
コンテンツを表示する「場所」 |
コンテンツを表示する対象の DMP を決定します。 |
テンプレート |
コンテンツを表示する「方法」 |
DMP ディスプレイ上のコンテンツのレイアウトを決定します。 |
プレイリスト |
表示するコンテンツの「内容」 |
テンプレートのリージョンに表示するコンテンツ アイテムの順序を決定します。 |
スクリプト |
コンテンツを表示する「タイミング」 |
施設のどの領域にどのコンテンツを表示するかを決めるイベントの中でタイムラインを決定します。 |
ゾーン、グループ、ロケーション
静止画やアニメーション、広告動画の挿入といった形で、ターゲットを絞ってデジタル コンテンツを配信できます。コンテンツはイベント動画と一緒に配信したり、施設内のあらゆるディスプレイに個別またはグループ単位で表示したりできます。
数百台または数千台という TV を利用して、多様なビデオサイネージ、スポンサー コンテンツ、TV チャネル、およびメニューを表示したい場合は、設定を自動化して、エンドポイント ロケーションを管理する方法が必要です。
Cisco Vision Dynamic Signage Director では、ディスプレイのロケーションの特定や再生しているコンテンツの管理を簡単に実行できる、グループ/ゾーン/ロケーションの階層型アーキテクチャが定義されています。
ゾーン
「ゾーン」は通常、施設の物理的なエリアのことです。例として、コンコース、クラブ、チーム ストアなどがあります。グループとゾーンを使用して、1 つのアクションでいくつかの画面に属性を適用することができます。これにより、スタジアムのスポンサー エリアで広告の制御が容易になり、スポンサー ゾーンのすべての画面で同じブランド メッセージ、同じプレイリスト、同じビデオ コンテンツを表示できます。
グループとゾーンの関連付けは、イベント スクリプトをプッシュする前ならいつでも行うことができ、また複数のイベントに使用できます。
グループ
「グループ」は、すべてが同じテンプレートを使用して同じコンテンツを表示するデバイス(DMP/TV)の集まりを定義します。グループは、階層の第 2 レベルであり、ゾーンのサブセットです。グループには階層内の一連のロケーションが含まれています。
グループの使用を理解するために、試合放映とともにスポンサー広告を表示するコンコース エリアの TV について考えてみましょう。このコンテンツを表示するために個々の TV を設定するのではなく、それらをグループとして設定し、すべての TV を 1 つのアクションで変更するように設定できます。グループをゾーンに関連付けて、TV を配置するスタジアムのエリアを識別します。
ロケーション
ロケーションは、階層の最下位に位置しています。「ロケーション」は、TV と DMP が置かれる施設内の特定の場所を定義するグループのサブセットです。DMP の導入後、コンテンツを DMP にステージングできるように、DMP をロケーションにリンクして状態を「レディ」に変更する必要があります。
ロケーションにより、スタジアムの中で TV と DMP が物理的に配置されている場所を正確に追跡できます。たとえば、コンコース 100 レベルの化粧室にある TV が動作していないことが報告されたら、そのロケーション情報を参照して、TV をすぐに見つけて修理できます。
注: Cisco Catalyst スイッチの「シビック ロケーション」と Cisco Vision Dynamic Signage Director の DMP ロケーションを混同しないように注意してください。
図 1はネストされた階層の例です。エリアの記述とデバイス グループの使用に役立つ命名規則を使用しています。
図 1 ゾーン、グループ、ロケーションの例
図 1では、「Concourse」というゾーンが最上位にあり、「Concourse」ゾーンの一部である「100_con_game_wrap」というグループがあります。グループの名前で示されているとおり、これは施設のコンコース 100 において(画面テンプレートからの)ゲーム ラップ フォーマットを使用するすべての TV ディスプレイを対象にしています。「100_con_N_01」というロケーションは、TV-1 と DMP-1 が「North Concourse 100(北側の コンコース 100)」レベルにあることを示しています。
グループとゾーンのベスト プラクティス
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グループとゾーンの数が増えるほど、導入もより複雑になります。そのため入念な計画が必要です。
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運用の複雑さを軽減するため、一意の広告エリア、売店、出口方向を論理的なグループにまとめます。
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イベントの進行過程において、ゾーンに異なる画面テンプレートを使用することは可能ですが、使用する画面テンプレートが多くなるほど、導入と管理はより複雑になります。システムの管理を簡素化するには、所定のゾーンの画面テンプレート数を抑えてください。
ゾーンとグループに関するガイドラインの詳細については、『 Cisco Vision Dynamic Signage 運用ガイド、リリース 6.1』を参照してください。
テンプレート
テンプレートは、技術的にはデバイス階層の一部ではありません。しかし画面テンプレートは、グループとゾーンに割り当てられ、その中のディスプレイの形式を定義するため、グループ ゾーン階層の中で理解しておく必要がある重要な概念です。画面テンプレートは、特定の TV ディスプレイを複数のリージョンに分割し、ビデオ、サイネージ、広告をさまざまに配置して表示する方法を定義します。
注: 同じグループに属するすべてのデバイスは、同じテンプレートを表示します(図 2を参照)。
図 1は、「Lwrap」という画面テンプレートが、「100_con_grame_wrap」デバイス グループの一部であるロケーション「100_con_N_01」内の TV ディスプレイと関連付けられていることを示しています。この例は 1 つのロケーションのみを示していますが、グループ内に多数のロケーションがあれば、同じテンプレートがそれらすべての TV ディスプレイに適用されます。
図 2 ゾーン、グループ、およびロケーションと画面テンプレートとの関連付け
プレイリスト
コンテンツを表示するためには、コンテンツをプレイリストに配置する必要があります。「プレイリスト」とは、一緒にグループ化された一連のコンテンツ アイテム(静的なイメージ、ビデオ、ウィジェット、外部 URL)のことです。これらのコンテンツ アイテムは設定した時間、および設定した反復回数だけ、順番に(1 つずつ)表示されます。プレイリストは、「リージョン」という画面の特定の領域に表示されます。リージョンは画面テンプレートで定義します。
各プレイリストは他のプレイリストとは独立して動作します。また、複数のプレイリストを独立したリージョン内の、指定した任意のイベント スクリプト内で実行することができます。
プレイリストは、自身が格納されているコンテンツのタイプによって定義されます。コンテンツのタイプは、静的イメージのみ(非ビデオ)、またはビデオ/その他のコンテンツ タイプ(ビデオまたは混合メディア)のいずれかです。「ビデオまたは混合メディア」として設定されたプレイリストには、ビデオと静的イメージを両方含めることができるほか、その他のコンテンツ タイプを含めることもできます。
プレイリストが最も一般的に使用されるのは、プリセットされたローテーションに基づいて一連の広告が切り替わる画面テンプレート リージョンなどです。プレイリストにはティッカーや全画面メッセージといった、複数の他のコンテンツ タイプを含めることができます。
図 3に示すプレイリストの例では、画面テンプレートのリージョン 2 において、設定された時間だけそれぞれ表示される 5 つの静的イメージが含まれています。
図 3 静的イメージをテンプレートのリージョン 2 に表示するプレイリストの例
注: プレイリストはイベント スクリプトの一部になります。イベントの前に、[Tools] > [Control Panel] > [Control] 画面から、DMP にイベント スクリプトをステージングまたは事前ロードしてください。
スクリプト
イベント スクリプトとイベント ステートは、イベント中に開催場所の TV 画面にコンテンツを表示する「タイミング」を制御します。
イベントの前にイベント スクリプトとイベント ステートを作成すると、開催場所の画面ごとに特定の時間と場所で表示する内容を事前に設定することができます。イベントの前に、スクリプトをステージングして確認します。すべてが正しく表示されるように、必要な変更を加えます。
スケジュールしたイベントの時間にスクリプトを実行します。スクリプトは手動または自動で開始します。スクリプトの実行中に、Cisco Vision Dynamic Signage Director のさまざまな機能を使用して、イベントの過程全体を通じて表示される広告、コンテンツ、グラフィック、およびビデオをさらに細かく管理できます。
図 4は、イベントのさまざまなステージを経過するスクリプトの進行状況の例です。イベント ステート(ゲーム前(Pre-Game)、ゲーム中(In-Game)、ゲーム後(Post-Game))が変更されるたびに、TV ディスプレイに適用される画面のテンプレートとコンテンツが、グループまたはゾーン、およびその両方で変わります。
図 4 イベント スクリプトの進行状況の例
チャネル コンテンツの導入
この項では、次のトピックについて取り上げます。
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チャネル ソースの概要
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注:第 2 ビデオ リージョンのチャネル ソースでは、一般にオーディオは再生されません。
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ビデオのストリーミング方法
チャネル ソースの概要
表 3に、Cisco Vision Dynamic Signage Director リリース 6.1 のチャネルのソースとして使用できるコンテンツ タイプの一覧を示します。また、対象のコンテンツをチャネル ソースとして制御できる場所もまとめています。
表 3 チャネルのサポートの概要
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外部 URL:HLS、HTTP、または HTTPs
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ビデオ ストリーム:マルチキャスト(UDP、RTP)
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注:第 2 ビデオ リージョンのチャネル ソースでは、一般にオーディオは再生されません。
注:I-Frame に埋め込める外部 URL のみを使用してください。外部コンテンツで X-Frame-Options をテストする場合は、「外部 URL での X-Frame-Options の検出」を参照してください。
DMP で作成されるチャネル ソース
表 4は、Dynamic Signage Director リリース 6.1 において DMP で作成されるチャネル ソースの一覧です。
表 4 DMP で作成されたチャネル ソース
チャネル ソース タイプ |
音声/ビデオ |
DMP 間で同期 |
HDCP への準拠が必要 |
DMP を制御する場所 |
チャネル 0、ローカル ディスプレイ |
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ダッシュボード |
HDMI ストリーミング |
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ダッシュボード |
ディスプレイ ストリーミング |
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ダッシュボード |
ローカル HDMI-In から導入されるコンテンツ(HDMI-In パススルー)
注: ローカル HDMI-In コンテンツは、SV-4K および CV-UHD の DMP でのみサポートされます。
ローカル HDMI-In のサポートはリリース 6.0 で簡略化されており、ローカル HDMI-In ポートのエンコーディングはシステムでデフォルト チャネル(チャネル 0)として自動的に設定されています。そのため、HDCP 対応デバイスを SV-4K または CV-UHD の HDMI-In ポートに差し込むだけで、自動的に Cisco Vision Dynamic Signage Director のチャネル 0 でコンテンツが再生されます(図 5)。スクリプト、ユーザ制御 API、IP フォン、または赤外線リモコンから、チャネルへのチューニングができます。
ローカル HDMI-In チャネルは、SV-4K または CV-UHD デバイスで DMP の HDMI-In ポートを使用して 1 台の TV ディスプレイにローカル コンテンツを簡単に送信したい場合に使用します。HDMI-In パススルーの主な使用事例は、ソースの接続先である 1 台の TV に表示したいプレゼンテーションまたは外部ビデオ ソースを共有するためのものです。
図 5 1 台の TV ディスプレイへのローカル HDMI-In パススルー
DMP の HDMI-In ポート経由でコンテンツを再生しているときは、TV での他のストリーミング チャネルとほぼ同様に、コンテンツがチャネル 0 で「常にオン」になります。コンテンツの再生を停止するには、DMP に接続しているソース デバイスで再生を停止するか、または Cisco Vision Dynamic Signage Director の別のチャネルにチューニングします。スクリプトを使用してチャネルにチューニングしている場合は、状態を変更するか、スクリプトを停止します。
ローカル HDMI-In の複数の DMP へのストリーミング オプション
ローカル HDMI-In チャネルは、1 台の TV ディスプレイに 単一のコンテンツ ソースを表示することを目的としています。
ローカル HDMI-In コンテンツをシステムの複数の DMP に配信する場合は、表 5にまとめた 2 つのストリーミング方法のいずれかを使用してください。どちらのストリーミング方法でも、エンコードされたビデオを送信して他の DMP をチューニングできる DMP エンコード ビデオ ストリーム チャネルについて、設定が必要になります。ビデオのストリーミング方法も参照してください。
表 5 HDMI-In チャネル ソースのストリーミング オプション
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HDMI-In ストリーミング
(HDMI-In ソースのエンコーディングのみ)
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Yes |
■ ダッシュボード ■ IP フォン(統合ソフトウェアを使用) ■ 赤外線リモコン ■ スクリプト アクション ■ ユーザ コントロール API |
リリース 5.0 |
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Yes |
■ ダッシュボード 1 ■ スクリプト アクション ■ ユーザ コントロール API |
リリース 6.0 |
注: リリース 5.0 からリリース 6.0 にアップグレードする場合、スクリプトの [Edit Actions] ダイアログボックスの [Available Channels] セクションにある [Local HDMI-In] ビデオ ソースは [Channel HDMI-In] に置き換えられます。
ディスプレイ ストリーミング
「ディスプレイ ストリーミング」では、全画面表示(複数のテンプレート リージョンを含む)をマルチキャスト ストリームとして「オーディオなし」でレンダリングします。ディスプレイ ストリーミングの制御は、新しい Start Display Streaming / Stop Display Streaming スクリプト ステート アクション、ユーザ制御 API、または [Script Control] インターフェイスから行えます。
注: ディスプレイ ストリーミングは「ビデオのみ」をサポートします(オーディオなし)。ただし、DMP エンコードの HDMI-In チャネルのコンテンツのみをストリーミングする場合は、指定したビデオ ストリーム チャネルに適用されるスクリプト ステート アクションとして、ディスプレイ ストリーミングではなく「HDMI-In ストリーミング」を使用すれば、オーディオとビデオの両方を利用できます。
ディスプレイ ストリーミングで DMP エンコード ビデオ ストリーム チャネルを使用するには、コンテンツについて次の操作を行います。
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DMP ディスプレイから、システム内の他の複数の DMP に、全画面出力をブロードキャストします。
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DMP 間同期(ビデオ ウォール以外)をサポートします。
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ビデオのみを表示します(オーディオなし)。
図 6に示す HTML ページの例では、システムでページを外部 URL チャネルとして設定し、ディスプレイ ストリーミングを使用して、DMP エンコード ビデオ ストリーム マルチキャスト チャネルにストリーミングしています。
注:X-Frame-Options ヘッダーを設定しない外部 URL のみを使用してください。外部コンテンツで X-Frame-Options をテストする場合は、「外部 URL での X-Frame-Options の検出」を参照してください。
図 6 ディスプレイ ストリーミングを使用して外部 URL を DMP エンコード マルチキャスト チャンネルにストリーミングする例
ワークフローの概要
1.
外部 URL チャネルの設定で、ストリーミングをするコンテンツの URL を指定します。
注: HTTP ライブ ストリーム(HLS)は URL のファイル拡張子に基づいて決定されます。
2.
ビデオ ストリーム チャネルの設定で、DMP エンコーディングを有効にします。
3.
URL のエンコーディングに使用する DMP のみを含むグループを作成します。
4.
スクリプトを作成し、ステップ 3.の DMP グループのアクションとしてビデオ テンプレートを選択します。
5.
外部 URL チャネルをビデオ リージョンに割り当てます。
6.
[Start Display Streaming] アクションを選択し、設定した DMP エンコード チャネルを選択します。
HDMI-In ストリーミング
注: ローカル HDMI-In コンテンツは、SV-4K および CV-UHD の DMP でのみサポートされます。
DMP エンコード ビデオ ストリーム チャネルを併用する場合、ローカル HDMI-In チャネルを DMP エンコード チャネルにブロードキャストしてコンテンツをシステムの他の DMP で使用できるようにする、という選択も可能です。
注: HDMI-In ストリーミングは、SV-4K または CV-UHD の HDMI-In ポートをソースとするコンテンツについてのみサポートされます。
図 7は、DMP の HDMI-In ポートに接続されたデバイスから DMP エンコード ビデオ ストリーム チャネルにコンテンツをストリーミングする例です。
図 7 1 つの DMP から複数の DMP への HDMI-In ストリーミングの例
ワークフローの概要
1.
HDCP 準拠のコンテンツ ソースを DMP(エンコード側 DMP)の HDMI-In ポートに接続します。
注: HDMI-In ポートはデバイスのローカル HDMI-In を表す内部のユニバーサル識別子を持っています。そのため、エンコード側 DMP は Cisco Vision Dynamic Signage Director の独自のグループに配置する必要があります。
2.
HDMI-In コンテンツのストリーミング先となるビデオ ストリーム チャネルを設定します(決してチャネル 0 にはしない)。これは、DMP エンコード ビデオ ストリーム チャネルである必要があります。
3.
URL のエンコーディングに使用する DMP のみを含むグループを作成します。
4.
スクリプトを作成し、ステップ 3.の DMP グループのアクションとしてビデオ テンプレートを選択します。
5.
[Start HDMI-In Streaming](エンコーディング)アクションを選択し、2.で設定した DMP エンコード ビデオ チャネルを選択します。
6.
システムの他の DMP でストリームを受信(デコード)するには、DMP エンコード チャネルにチューニングします。
HDMI-In ストリーミングの制限事項
SV-4K メディア プレーヤーの HDMI-In ポートは、ビデオ リージョンへのソースか、エンコーダへのチャネル ソースのどちらかの使用に限定されます(両方の役割を兼ねることはできません)。
したがって、DMP エンコーダの HDMI-Out ポートに TV ディスプレイを接続し、同時にその DMP から HDMI-In ストリーミングを行う場合、その TV を HDMI-In チャネルにチューニングすることはできません(図 8)。
図 8 DMP エンコーダでサポートされていない HDMI-In ストリーミングの設定
しかし、TV ディスプレイを HDMI-In チャネルにではなく DMP エンコード ビデオ ストリーム チャネルにチューニングしていれば、DMP エンコーダに接続できます(図 9)。
図 9 DMP エンコーダでサポートされている TV ディスプレイを使用した HDMI-In ストリーミングの設定